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StoryWriter

皆さんこんにちは。

先日内定式という、人見知りの僕にはハードすぎる出来事がありました。しかも、何故か1泊2日の旅行という荷が重すぎるイベント…… 色々な人と話をしてみたんですが気が合う人もおらず、会社の人達のありがた~いお話を聴き続け、宴会ではずっと社長(中国人)の傍で中国でもっとも強いお酒の種類である「白酒」に付き合い続けるだけという何とも苦行。

東京に着いた時の安堵感は物凄かったですが、到着早々に最大規模の台風のお出迎え……。

これからこの会社に入るかもしれない(入らなくてもいいように頑張ってはいる)と思うと、本当に今後の人生が鬱になってきてもうやるせなさでいっぱいです。

本当にいいのか自分と問い続ける日々の始まり始まり。早く自分を納得させられる結果を出さないといけないです。学生生活最後の学期も始まって焦燥感。

さて、今回お話したいのは「バジリスク~甲賀忍法帖~」です。

皆さん、特にスロットとか好きな人は必ず聞いたことがある作品名ではないでしょうか?

作家の山田風太郎が今から60年も前に連載で書き始めた「甲賀忍法帖」が原作であり、それをベースに2003年ごろから『ヤングマガジンアッパーズ』で漫画の連載が始まり、その後アニメも作られた作品です。

作画についても美形のキャラクターは美形に、グロテスクなキャラクターはグロテスクなのですが、いずれにしても綺麗な絵でそれ故に表現力が素晴らしく、読みやすいなという第一印象がありました。たぶん女の子にもウケる絵柄なんじゃないかな、と。

あらすじはというと、源平の戦から時代から数百年に渡って互いに争いあってきた伊賀忍者と甲賀忍者は、江戸時代になりようやく甲賀の首領の孫「弦之介」と伊賀の頭目の孫娘の「お幻」が恋仲にある為、その確執も解消され平和になるかと思われていた時期。

一方、徳川幕府では3代目の跡継ぎを決める為に初代の徳川家康と2代目の秀忠の間で意見が割れており、それを文句なく決める為に伊賀と甲賀を争わせてどちらが勝つか賭けをし、勝った方の意見を勧めることにしました。

こうして、伊賀と甲賀の各々から忍者衆を10人ずつ選出し殺し合わせる事になったのですが、その中には弦之介とお幻の恋仲の2人の名前もあり…… という展開です。

男の子なら誰でも憧れる、各々特殊能力を持つ忍者同士のバトルロワイヤルというアツい展開。加えて、男女問わず人の心を打ちやすい、恋仲の2人が運命のイタズラで困惑しながらも争わないといけないという悲劇的なストーリー展開。

確かに分かりやすく万人ウケしやすいエッセンスが散りばめられており、僕もグイグイ読み込んでしまった作品です。各キャラクターの壮絶な死に様もまた印象的で大人も読めるような展開になっています。

僕自身は意外と忍者や侍が出てくる時代劇というものが結構好きで必殺仕事人とかも好んで観ていたのですが、なんで好きだったのかなあと改めて考えてみるに、やっぱり彼らも自分の運命や生き方というものを命を懸けて全うしている姿に憧れる部分があるのかなと思いました。今の時代だと特にムリせず享楽的にのんびり生きるということもできますし、なんなら当時の町人達もそうだったのかもしれません。

でも僕はのんびりするとどんどん堕落してしまうタイプの人間で、その上すぐその状態に不安を覚えてしまいます。「こんなダラダラしたまま適当に生きて適当に死んでしまうのかな」という気持ちでいっぱいになってしまい、何も成し遂げられない自分がみっともなく感じてしまう…… 大和魂だとか武士道っていうものは現代では古臭い考え方だと思いますし、非効率過ぎることこの上ないということもすごく分かるのですが、無駄に苦労してもその上で結果を出した時に得られる達成感も一入だと思うんですよね。言うなれば、自分が何かを成し遂げた達成感を味わう1番いい術が苦労するということであって、日本特有の古臭い考え方がそれを感ずるに結構効果があったんじゃないかと。

そういう意味では、当時の武士とか忍者だとかってのは短く太く生きることができて、達成感に塗れて死ねたのではないかな。運命とかなんかよく分からないけど、でももっと生き急がないといけないような気がしてくる、甲賀忍法帖に出てくるキャラクターは僕にそんな風に思わせる作品でした。

自分が短くぶっとく生きていけるようには何をするべきかな…… 今日もまた考えないといけないです。考えたら即行動しなくては。

今週はこんなところで。また来週、よしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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