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【連載】なにが好きかわからない vol.34「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」

StoryWriter

こんにちは。

最後の新学期が始まり早2週間が経ちました。今更学校に行っても特に友達もいないし、さっさと授業を受けて要点だけメモとっていち早く帰ることだけ考えています。

思い返してみると、僕は小中高大ともに学校が好きでした。というのも約束しなくても友達に会ってくだらない事ができるからです。勉強とか先生とかそんな事はどうでも良かったし、如何に休み時間と体育の時間に友達と楽しく遊ぶか、どんな話をするかっていうこと以外は本当に興味が無かったんです。

今、大学の多くの同期の友達はしっかり卒業して社会人をしてらっしゃるので、学校に行くと本当に学業関連しかやることがなくて全く楽しくなくて困り果てています。学校って友達がいなかったらこんなに退屈なもんなのかな……。

僕の人生の充実感って本当に友達で構成されていたんだなあと改めて再認識してます。本当は大学なんて最高学府に向いていない人間なのかもしれないですね…… いち早く卒業したい。

やりたい事はたくさんあるけど、やりたくないのにやらなきゃいけない事もありすぎてそのプレッシャーも凄い…… もう四苦八苦だなあ。

さて、こんな僕ですがどうにか生きる希望を見つけて人生を楽しみたいと思っております。

とりあえず何かしらで今の憂鬱を笑い飛ばしたいのですが、そんな中で1番笑える漫画が「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん」です。

「ピューっと吹くジャガー」でお馴染み、うすた京介さん原作の漫画で週刊少年ジャンプで1995〜1997年に渡って連載しておりアニメ化もされました。

ちなみにアニメの主題歌は以前この連載でも取り上げたPENICILLINの代表曲「ロマンス」です。

結構破天荒なギャグ漫画なのであらすじというのを書くだけ不毛になってしまうかもしれませんが、わかめ高校に転校してきた藤山起米粒(ふじやまおこめつぶ)君は隣の席の花中島マサルと知り合い、花中島の体得している格闘技の部活「セクシーコマンドー部」に付き合わされることになりドタバタする……。

なんとも説明するだけ無駄なあらすじになってしまいました。要するにシュールにふざけ倒す漫画です。

僕はうすた京介さんのギャグ漫画を改めていて気付かされたのですが、お笑いっていくつかパターンがあって知的なユーモアを存分に含んで「作り込まれている」ものと、何がなんだかワケの分からない異質さが面白いもの、との2種類があるのではないかと。

そして、「すごいよ‼︎ マサルさん」の場合は特に後者に属すると思います。

不良に絡まれて後ろからマサルさんが羽交い締めにされた! と思ったらなぜか親が子供に小便をさせるポーズに(太腿の裏から抱え込むポーズ)なっていて、それに相手が怯んだ隙にマサルさんが繰り出すセクシーコマンドー秘技「ヒトリ・デ・デキルモン‼︎」。

自分でも書いていてあまり意味が分からないのですが、先に挙げた例でいう後者のお笑いってこういう事であって、言葉で説明のしようがないけど見ると何故かシュールで笑いを取れるものなんじゃないかと。どういう理論で言動が発生しているのか理解できない、常識で理解できるラインを超えてくるものに価値があるんじゃないかなあ。

もちろん前者と後者にどっちが良いとか悪いとかは無くてこれは完全に好みの問題。僕は後者が好きというだけの話で、それを極限に突き詰めたような作品がこの「セクシーコマンドー外伝 すごいよ‼︎ マサルさん」だと思っております。

ただ、現代のモラルだとかリテラシーだとか権利だとかが重視されている状況で、人々に受け入れられにくくなっているお笑いのスタイルがあります。それが「誰かが傷つけられたり、理不尽な目に遭うスタイル」いわゆる体育会系ノリと言われるやつです。

僕自身がこれについて好きとか嫌いとか関係なく、今の時代に求められている、ある意味「クリーン」なお笑い、他者を傷つけずに馬鹿をやるという事がこういったギャグ漫画には表されているような気がします。これって多岐に渡って言えることで、今って多方面でリベラルな物の見方が要求されている時代ですよね。

皆各々の好き勝手な物の見方があって、それに基づいて好きに行動したり言葉を発せられるのですが、それによって少数派の意見も重視されており、気を遣わないといけない幅も広がり過ぎて、結果好き勝手できない時代なんじゃないかなと思います。その点に於いて、本当に、ほんとうに窮屈な時代だと思います。

人を傷つけないというのは至極真っ当な当たり前に遵守されるべき概念だけど、傷つきやすいというか何かにつけて敏感過ぎる人も多いというのも事実だと思います。皆が等しく生きにくいっていうのも滑稽な世界だなあ……。

どうにかそういった価値観から一歩抜きん出たところに生きたいと思っていましたが、僕はただレールを踏み外すだけのはぐれ者になってました。はぐれメタルよろしく、何も言わずに逃げ足早く立ち去るのみ。

でも、本当にこのままでいいのかな?

お笑いという概念からなんか飛躍し過ぎて収拾つかなくなりました。ここら辺で。自由に生きたいです。

また来週、よしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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