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StoryWriter

皆さんこんにちは。

気が付いたらこの連載も50回目になりました。

この連載を書き始めて思うのが、自分の好きなものなんて実は思ったより多くないのかもしれないということ。勿論、例えば音楽1つとっても、なんとなく好きだけど代表曲2、3曲しか知らないくらいのグループとかありますよね。僕はそういう人達を自分の好きな音楽グループだとは思うけど、人に語れるほど知ってるわけじゃないなと思いますし、ましてこういった誰が見るか分からない場所では公開できるようなお話はできないと思います。僕が行きたい業界にいるなら、4月からメシを食っていく世界に行くなら本当に広く深く知らないといけなくなってくると思います。だから、もう遅いとか思わずに少しづつ、触れるもの全てを骨の髄に染み込ませないといけないなあと。僕の強みってなんだろう。それをどうやって活かして、どうやって広げていくか…… しっかり考えないといけないな。

さて、今回お話したいのは幾つになって新しい事に挑戦する気持ち、それに伴うヒューマンドラマとして好きな作品「プラダを着た悪魔」です。

 

あらすじはと言うと、ジャーナリスト志望のアンドレアは大学を卒業してオハイオからニューヨークに出てきて、様々な出版社に履歴書を送りますが志望するような場所には行けず。なんとか連絡が来たのはファッション雑誌。ファッションには無頓着で興味もないアンドレアですが、なんとなく面接に行き合格は決まったものの、そこには「女王」と称される鬼のような編集長のミランダがおり、彼女の下で文字通り馬のようにアシスタント業務をこなす事になる……。というもの。

この作品は特に女性が憧れる華やかなファッションの世界を舞台にしており、加えてバリバリ働く女性の抱えるプライベートとの兼ね合いの問題なども触れており、かなり女性からの支持が多い作品です。確かに主人公アンドレアがファッション業界で身を置く事によって自身も服装にこだわるようになり、同時に苦労しながらも仕事にのめり込んでいく女性の姿が凛々しくも描かれており、女性が憧れる要素が盛りだくさんのストーリーだと思いました。

僕もこういうストーリーは好きですし、華やかなアイテムや舞台がたくさん登場する場面と必死になって泥臭くもしがみつく姿のギャップも素敵だと思いました。何より僕がインターンとして1年以上片足をしがみついてきた業界と似ている部分もあって共感できる作品だと思いました。華やかな理想とも言えるようなアイデアを実現する為に皆が身を粉にして働く、そうして絞るように生み出し、形にしていく世界だよなあ、と。その達成感や関係者や世間の期待に応えたい、色々な思いが重なって形作っていく世界だと僕は思います。

女性の支持が絶大なのは勿論ですが男性が見ても面白い作品であります。

というより、エンタメやファッションなど華やかな世界のみならず、どんな仕事でも通じるような教訓も詰められた作品だなと思っていて。上司に言いつけられた事だけでなく、求められている以上の結果を出せるように頭を動かす事、プライベートの自分とは関係なく仕事で求められている「自分」を作る事……。

ここだけ切り取って考えるとブラックだとか何とか物議を醸してしまうかもしれませんが、これは仕事をする心構えを言っているんじゃなくて、仕事で成功したい人や何かを仕事で成し遂げたい人こそ気にするべきポイントだと思います。生活に困らないお金を稼げてほどほどの生活ができればいいな〜って言う人は絶対それでいいと思いますし、別に苦労する必要はないと思います。何一つ間違っていない。それだけじゃない、もっと何かこの世に残したいとか仕事で上手くのしあがりたいとか野望のある人は気にするべきポイントがいくつかこの作品にはあるんじゃないかなあと思いました。

また、僕が作中で一番印象に残っている台詞は、アンドレアが女王ミランダの右腕的人物ナイジェルに対して、ミランダや仕事の愚痴をこぼしていた時の一言です。

“Andy, be serious. You are not trying. You are whining.”
(アンドレア、ふざけないでくれよ。君は努力しているんじゃない、愚痴を並べているんだ)

やりたい事や夢があって生き抜いてきたこの世界に身を置いてきたナイジェルからの一言。

厳しいように聞こえますがナイジェルの働く姿を見て「興味を持たない自分を捨てて、この世界に飛び込んでいかないといけない」と気付かされる場面です。次の日から自分のファッションにも気を遣うようになったアンドレアの姿はこの業界にいる以上の覚悟を決めた姿だと思います。

郷に入っては郷に従えと言いますが、自分の生きていく環境を決めたらそれに即していくのが一番楽で成功する道なのかもしれませんね。僕もようやく踏み入れた世界に即すように色々なものを取り入れていきたいものです。

今週はここら辺で。
また来週、よしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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