マリファナとクリエイティブの相関関係をハックする──渋谷CBDコーヒーショップ22歳オーナーに訊く

“CBD”をご存知だろうか? Cannabidiol(カンナビジオール)の略称で、大麻に含まれる成分であるカンナビノイドの1つだ。一般的にはTHCというハイになる成分を抜いたものとして認知されており、メンタルコンディションを整える用途などで用いられている。日本の大麻取締法には「(違法化の対象は)麻の茎および種子それら由来の製品は除外される」とあり、CBDの使用は違法ではなく、その効果が注目されている。

昨年2019年12月、そんなCBDを取り入れたコーヒーショプ『Creative Nuggets』が渋谷駅から徒歩5分の立地に誕生し、話題になった。お店のオーナーは若干22歳のyuito。どうして彼がこの事業を始めることになったのか、そして今後の展望は? 気になったことを全部訊いてきた。

取材&文:横澤魁人


ポップに変換してマスに届けていく

──まず、Creative Nuggetsでは何を売っているのでしょうか?

yuito:Creative Nuggetsでは、CBDコーヒーとCBDピザというものを出しています。カフェインとCBDの相性がすごく良いので、一緒に摂取することで頭はスッキリ、体はリラックスみたいな状態になれて。ピザは油分と一緒にCBDを取ると吸収率が高いので、その組み合わせにしています。

──そもそもCBDってなんなんですか?

yuito:CBDは、簡単に言うとマリファナからTHCっていうハイになる成分を抜いたものです。断っておくと、THCは悪いものではないんですよ。それはデータでも証明されていて。ただ、日本では違法なんですよね。だから怖いって思われる方もいるんですけれど、本当に医療の方面で使われていたりと有用な面も証明されています。

──CBDを取り扱うのは日本でも合法なんですよね?

yuito:そうですね。

──CBDってどんな見た目なんですか?

yuito:今使っているのは、オイルですね。水和性のパウダーとかもあるんですけど、オイルの方がCBD感を感じてもらえるかなと(笑)。

──そうは言っても、本当に大丈夫なのかなと思う人は多いと思います。

yuito:はい。なので、僕たちは徹底的にクリーンにやらないといけないなと思っていて。というのも、日本ではTHCの含む量を0.3%以下にしないといけないという決まりがあるので、僕らはその基準をしっかり守った上で、農薬も入っていないものを提供しようとしています。怖がられる物だからこそ、僕らの役割として少しポップに変換してマスに届けていくっていう作業も同時に重要なんじゃないかなと思います。

マリファナとクリエイティブの相関関係をハックしたい

──ちなみに、『Creative Nuggets』というお店の名前の由来は?

yuito:恥ずかしい話なんですけど、僕がお金ない時に、恵比寿のマクドでトレーに乗せたまま捨てられていたナゲットを食べてた時期があって。もちろん周りから変な目で見られるし、社会から認められないっていう悔しい気持ちがあって。でも、ナゲットって金塊の意味もあるんですよ。だから、周りからは自分のことを捨てられるようなナゲットと言われても、俺には価値があるぜっていう意思表示をするためにこの名前にしました。あとは、ナゲットがマリファナの隠語として使われていたりもして。そこも面白いなと思って(笑)。

──noteに書かれていた創立の理念では、HipHopから太宰治まで、かなりカルチャー面を意識されていました。

yuito:音楽からインスピレーションを受けることは多くて。特に、Mura Masaは好きです。彼らの曲だったり、MVだったり、ビジュアルだったり。というのも、例えば「健康にいいよ!」とか「これで生活が変わる! ハッピーだよ!」みたいなのを前面に押し出してやっていきたくはなくて。そうすると、僕が繋がりたい人達は離れていくだろうなと感じています。

──CBDとクリエイティビティとの関係にも言及されていました。

yuito:最終的な目標は「マリファナとクリエイティブの相関関係をハックしたい」です。マリファナはダメな今の世の中で、まずはCBDでいかにクリエイターのサポートができるのか。CBDを摂取することでクリエイティビティーが直接上がるかと言えばそうではないんですけど。今の世の中って、挑戦者に対して冷笑的であったりとか、出る杭が打たれたりとか、無意味なルールがあったり。そこからちょっと抜け出して、精神的に自由になって新しいものを生み出す。音楽なり、ビジネスなり、アートでも。そういうことが重要だと思います。そう考えると、今の日本ってすごいストレスだったりノイズが多いんですよね。だから、僕はそんな環境でもクリエイションに没頭できるような状態を作っていく手助けができたらいいなと思っています。

──このお店は渋谷の駅から徒歩5分の立地にあります。どうしてこの場所にしたのでしょうか?

yuito:いきなり渋谷の駅前に出すっていうのも面白いんじゃないかなと(笑)。あとは、僕らのお客さんって22~28歳くらいの起業家だったりワーカーの方も多くて、その人たちが来やすいのがこの街。渋谷ってキラキラしてるんですけど、闇があるじゃないですか。そこが僕は好きっていうのもあります(笑)。世の中って暗い面もあるし、死にたいなって思って起きる朝もあるけど、それでもやってこうぜっていうスタンスでこの事業をやっていきたかったから。やっぱり、死にたいと思っている人の希望の光に最終的にはなりたいので。

──確かに変な街ですよね。

yuito:渋谷ってノイズが多いんですよ。宣伝の光も、人々の会話も。その中で自分が大切にしていることを見失わずにやっていくのは難しいんですけど、それでも心の声を大事にできるお店にしたいですね。

お互いに役割の違いを理解しあってやっていきたい

──「出る杭は打たれる」というところでは、先日yuitoさん自身、ある発言で炎上されていて。そこについてお訊きしてもよろしいでしょうか?

yuito:はい。僕がある記事(※)の中で、THCを完全否定しているような表現をしてしまって。それがマリファナの合法化に向けて活動されている方や、医療面でマリファナを必要とされている方から批判を頂きました。
(※記事:https://careerhack.en-japan.com/report/detail/1289

──「マリファナ吸ってラリってるヤツが一番嫌い」という見出しですよね。

yuito:本当はどういうことが言いたかったかというと、“ただ違法性をちらつかせて悪ぶるだけ”ではダメだと僕は思っていて。ルールに中指を立てるだけでは、マリファナの合法化には近づかないし。具体的に効果のあるアクションを起こさないと、世間の認識は変わらない。マリファナもお酒と同じように、使い方が大事なんだってことを言いたかったんです。それは事業者のスタンスとしても、そうでないといけないなと思っています。

──確かにこの文言から、その意図は読み取りづらいかもしれないですね。

yuito:この文言でも、中身で意図をしっかりと伝えられば良かったんですけど。もちろん、マリファナを吸ってHipHopのアーティストが作品を生み出す、病気の人がマリファナを吸って症状を軽減させる、こととかは素敵なことだと思います。日本では法律がありますが。

──個人的には「嫌い」という文言が良くなかったのではないかと。ただ、怒っている人とゴールは一緒のはずなんですよね。

yuito:そうですね。合法化だけが目標ではないんですけど、合法化はされたらいいなと思っているので。進め方は違いますが、リスペクトはもちろん持っています!

──かなりの批判や意見がTwitterで飛び交ったと思うのですが、実際にそこからお店に来られた方もいらっしゃったのでしょうか?

yuito:いらっしゃいましたね。大麻の合法化の活動をされている方であったり。ただ、話し合う中で理解していただいて、僕自身も彼らの活動のことをより理解して、お互いリスペクトしてやっていこうという最終地点で折り合いました。それは本当に良かったです。

──SNS、特にTwitterって一方的に意見を言えてしまうツールですよね。そこでのやりとりと、実際にあって話すやりとりは違いましたか?

yuito:そうですね。ネット上では自分の想いやリスペクトを伝えきれない。SNSは難しいです……。後から何を言っても言い訳に訊こえてしまいますし。

──炎上を経て学んだものはなんでしょうか?

yuito:マリファナはとてもセンシティブなもので、60年代アメリカから今でも議論があって。そこを理解していたつもりだったんですけど、言い方によってはリスペクトが欠けているように伝わってしまって。言葉の扱い方1つにも気をつけないといけないなと思いました。しっかり意思をもって活動されている方が多いですし、病気をお持ちでマリファナを必要としている方もいらっしゃって。本当にリスペクトを払いながら、お互いに役割の違いを理解しあってやっていきたいと思うようになりました。

僕が一番CBDを欲していますね

──ここからは、そんなyuitoさんがどんな人なのかということを訊いていきたいと思います。まずは、CBDの事業を始めようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

yuito:そもそも僕がHipHopとかその辺のカルチャーが好きで。というのも、海外で生活をしていたということもあって、ドラッグに触れる機会が多くて。学生時代は正直、多くの人がマリファナ吸っているような環境でした。学校に売人が売りにくるみたいな(笑)。「今週マリファナパーティーあるから来なよ!」って誘われたり、そんな環境でした。

──それは日本とは大違いですね(笑)。

yuito:なので悪い意味で最初は興味を持つようになって、そこから日本に帰ってきて、2年前に躁鬱になってしまって。それでも働き続けないといけないっていう中で、一度メンタルを壊すと一生付き合わないといけないものだし、どう向き合ってこれから生きていくのかと考えた時に、ケミカルではないCBDがメンタルコンディションを整える上で必要なものになったんです。それが自分の実感値としてあったんですね。僕は結構、多感すぎる面があって。日常生活で色々気になりすぎて精神的なストレスを感じやすい人間なんです。それを健康的にどう整えるかという点でCBDは重要だったし、彼女や身の回りの人が精神的に悩みを抱えているのもこれまで見てきて。そういう状況を改善したいという思いがあります。

──その実体験をビジネスに繋げたと。

yuito:なんでビジネスにする必要があったかというと、この社会にある程度ランドさせて広げることで、みんながお金を払って摂取して有用性を感じてもらって、みんなで考えることがすごく重要だと思ったからです。

──2年前、躁鬱になってしまったのは何か原因があったのでしょうか?

yuito:それは仕事のストレスですね。17歳くらいからビジネスを始めていて、中々うまくいかなくて、周りに支えてくれる人も正直いなくて。誰にも相談できなかったので、どんどん落ちていって。学校に友達もあまりいなかったですし、家族にも理解されないだろうと思って言っていなかったので。自分の中だけでどう解決しようかばかり考えてしまって。

──そんな状態からyuitoさん自身もCBDに救われたと。

yuito:僕が一番CBDを欲していますね。日常的に愛用しています。ストレスが溜まると、過呼吸ほどではないんですけど、息が切れることもあって、長期的に使い続けることができるCBDでそこを抑えるというのもあります。

──今、おいくつなんでしたっけ?

yuito:今年22の歳です。学年は大学3年生の代かな。今は学校行っていないんで分かんないですけど(笑)。高校はニュージーランドの高校で、帰国してからどう受験しようか迷っていた時に、京都でAO入試の専門塾を立ち上げた人に出会って。僕の3つ上なんですけど。その人から人生にとって大事なものを色々教えてもらって。大学にも入ることができて。その人に憧れて、背中を追いかけているみたいなところがあります。

──ビジネス方面で活躍される方と、カルチャー方面で活躍される方が両立しているのは珍しいと思っていたのですが、話を訊いていると、yuitoさんの中ではそれは自然なことだったと。

yuito:そうですね。僕の中では、ビジネスもカルチャーもなくて、ただ好きなことをしているんです。“カルチャー”という言葉でまとめると薄っぺらくなってしまいますが、世の中に発信する言語がたまたまビジネスだっただけです。だから誤解して欲しくないのが、もちろんビジネスなので金を儲けた方がより多くの人に届けることになるし、その仕組みを作るのは大事なんですけど、それだけが目的ではないということです。もし金儲けのためだけなら、もっと医療とか美容の領域で経済合理性に乗っ取ってやっていると思います。例えば、外資系の製薬会社が入ってきた時にバイアウトするとか。そういう成長曲線を描いた方がいいんだけど、そこに僕はあまり興味がないんです。そこは見て欲しいところですね。

僕らはこう気持ちよく楽しくやっているよ、みんなはどう?

──CBDはエナジードリンクと比較されてることも多いと思うのですが、yuitoさんとしてはどのように考えていますか?

yuito:働き方が変わってきているというのはありますよね。カフェインに頼って仕事をするだけではなくて、ゆったりとクリエイティブに働くというのも今にあっているんじゃないかな。ただ、日本ではまだ “Chill”を必要だと思っていない人って結構いると思うんです。CBDが理解されづらい中で、どう伝えていきたいのかっていうのは迷いどころです。海外と比べても特に日本はその文化にまだ対応しきれていないと思うので。何もしないこととか、思考の余白って大事だと思うんですけどね。常に100パーセントの状態で作り出されるものって息苦しかったり、しんどかったりするんですよね。

──そこには、yuitonさん世代の感覚もあるのかなと思います。<僕らは「綺麗なもの」に拒絶反応を示す>という見出しも見たのですが。

yuito:これも極端でしたよね(笑)。でも、世代感はあると思っていて。Chill系の音楽が流行っていたり、シーシャが若干盛り上がっていたり。今、わかりやすい幸せの定義とか成功の定義もないし、僕らは迷ってるんです。金を稼いで上に行くことが絶対だっていうのはしんどいし。Mura Masaの曲にも「No Hope Generation」っていう曲がありますけど。希望のない時代に生きているから、未来にあまり期待していないし、冷めた目で世の中を見ているけど、そのままでいいわけではないので変えていく方法を考えていかないといけない。ただ、スタンスとして「僕らは世界を変えてやるんだ!」っていうのは大事だけどしんどいから、「僕らはこう気持ちよく楽しくやっているよ、みんなはどう?」ってシェアする感覚で作っていきたい。

 

──最後に、これからのことを訊きたいです。阿佐ヶ谷ロフトAでも出店をしたんですよね。

yuito:飲食店で僕らのCBDメニューを出し始めていて。まずはCBDを今のカフェインのように有名にしたいと思っているので、そのために飲食であったり、フィットネス、シーシャ、コワーキングエリアとかとコラボしてやっていこうと思っています。あと、栽培もやり始めます。日本ではできないですけど、しっかり合法な海外の国でやっていきたい。コンタクトも取り始めています。やっぱり最初から愛情を持って育てていきたいですし、原価を下げて、手にしやすい価格帯でもっと多くの人に届けたい。東京都内のどのお店に行っても「CBD製品あるじゃん!」っていうくらいに広めていきたいです。なので、これからも見守っていただけると幸いです!


■店舗情報

『Creative Nuggets』

営業日時:土曜/日曜 12:00-17:00
住所:東京都渋谷区渋谷1-25-10

yuito Twitter:https://twitter.com/yuito4514
Creative Nuggets Twitter:https://twitter.com/nuggets999
Creative Nuggets Instagram:https://www.instagram.com/c_nuggets99/

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