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【LIVE REPORT】BELLRING少女ハート’22が年内限定で復刻「強烈なアンチが生まれるぐらいがんばりたい」新メンバー募集も

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BELLRING少女ハート(以下、ベルハー)が2022年4月8日、約5年半となるワンマンライヴ〈Grave Robbery〉を東京・Spotify O-nestにて開催した。

2016年末に崩壊したアイドルグループ・BELLRING少女ハート。独自のサイケデリックなサウンドからブチ上げロックまで、変幻自在アイドル・ユニットとして活動。幅広い音楽性と、黒い羽をつけたセーラー服でステージを駆け回るパフォーマンスで「東京最狂」の名を欲しいままにした。しかし、その儚さ故に、惜まれながらも崩壊という形で解散を迎えた。

ベルハーにとってデビュー10周年を迎える2022年4月8日、全楽曲がサブスク配信スタート。さらに、「墓荒らし」を意味する公演のイベント開催が発表され、一切詳細が明かされていないにもかかわらず、チケットは即日完売。プラチナチケットを手に入れたヲタちゃん(※ベルハーファンの通称)たちが会場に詰めかけた。

ファンの間でも「ベルハー復活?」「ディレクターである田中紘治の弾き語り?」「旧メンバーによるトークイベント?」など様々な憶測を呼び、謎が謎のまま当日を迎えた同企画についてレポートをお届けする。

BELLRING少女ハート ’22始動、強烈なアンチが生まれるぐらいがんばりたい

O-nestは、ベルハーとして最後にワンマンを行った会場だ。そこで開催される約5年半振りの主催のイベントということで、何をやるのか一切明かされていなかったが、ベルハーTシャツを着せた空気人形を持ったヲタちゃんをはじめ、かつてのヲタちゃんから、伝説としてベルハーを耳にしていた初見の観客まで、この日起こることを目撃しようと満員の来場者が集まった。

開演時間になり客電が落ち、ジーっというノイズ音が暫く流れると、赤いライトとともに「the Edge of Goodbye」のギターイントロが響いたと思いきや、鳴っては止まりを繰り返す。ヲタちゃんたちが戸惑いを見せる中、何度か目のギターイントロが鳴ったところで、ドラム、ベースと、音が重層的に重なっていき、アンサンブルが完成、曲がスタートするかと思った瞬間、音が止まり、暗転。わずかの時間を置きステージ上の明かりが灯ると、黒い羽をつけたセーラー服に身を包んだ4人のメンバーが現れた。

逆光の中、ベルハーの初期楽曲で疾走感のあるロック楽曲「the Edge of Goodbye」をパフォーマンスし出した4人。緊迫した表情で歌い、ときより、にやりと笑顔をみせる。続けて初期楽曲「ボクらのWednesday」が流れると、飛び跳ねてリズムにノるヲタちゃんたち。

2曲を終え、ヲタちゃんから大きな拍手が起こる中、「みなさんこんにちは。私たち、BELLRING少女ハート ’22です」と自己紹介すると、緊張感と熱気が緩和し、笑いが起こった。そして照明に照らされた4人が自己紹介をした。

「たーくさんの愛が詰まっています。小河原唯(おがわらゆい / 小笠原唯)です」

「煮ても、切っても、焼いても、好きにしてね。橘田あまね(きったあまね / タマネ)です」

「ブラジルの人、聴こえますか〜? 赤色担当、新倉のあ(にいくらのあ / ブラジル)です」

「南の国のお姫様、美波未優(みなみみゆう / ミミミユ)です」

BELLRING少女ハート ’22としてステージに立っているのが、ベルハーと同事務所AqbiRecに所属するNILKLYの小笠原唯、MIGMA SHELTERのタマネ、ブラジル、ミミミユであることが明らかとなった。

そしてベルハーのディレクター田中紘治がステージに登場。「あれ、忘れてるね」と田中がメンバーに指摘し、ベルハーの自己紹介の枕詞「みんなのファンをいただきます!」と言いかけるが、田中も久しぶりということで「違う違う」とてんやわんや。のっけからベルハーらしい緩さを見せたあと、改めて「みんなのファンをいただきます、私たち、BELLRING少女ハート ’22です」と挨拶をした。

そして、田中とメンバーでミニトークを行った。今年10周年ということで何かやろうかと思ったとき、ベルハーの曲をライヴハウスで聴きたいとスタッフに告げたところ、4月24日のリキッドルームを押さえることができたこと、BELLRING少女ハートのデビュー日4月8日に何かやりたいなと思い、今日のイベントを開催したことを明らかにした。

「ベルハーの曲をやってみてどう?」と田中がメンバー4人に質問をすると「難しい……」と感想が漏れる。橘田あまねは「単純な動きが多いけど、単純な動きを大真面目にやるっていうのが難しい」と語った。また田中が、「ベルハーの曲を改めてやってみて、年間100本近くやっていた旧ベルハーのメンバーにリスペクトの気持ちが起こりました。この日のために、レコーディングとか振り入れもしていたんですけど、今年はベルハー10周年ということで、5、6回くらいベルハーのライヴをしたいと思っています」と話すと、ヲタちゃんたちから拍手が起こった。

「ベルハーの曲をライブハウスで聴きたいって人向けなので、あの子が出てくる、この子が出てくるって、そんなにいろいろ期待しないでください(笑)。レジェンド枠で出て欲しいよねって話はしていて、そういうのは乗り気でいます。本当は(オリジナル)メンバーも今回出たかったんだけど、こういう状況下でやる以上は、新しい形で見せないと、あの頃はあれができていたのに、これができたのにってなって、お互い寂しいし、だったらいま、AqbiRecで頑張っている子達で、あの頃とはまたちょっと違う格好いいベルハーの姿を見せれたらと思っています」と田中が語り、「がんばります」とメンバーたちは応えた。

また、メンバー1人ずつ今の心境を述べた。

小河原唯「私はNILKLYってグループをやっているんですけど、BELLRING少女ハートさんの曲をアレンジしてやらせたりしていただいて、すごく大事にしたい曲で、尊敬の意があるからこそプレッシャーがすごくて。みなさんを目の前にして、いますぐ逃げたいんですけど、がんばりたいと思います」

新倉のあ「私はあまり緊張はしていないので、準備してきたことを精一杯やって楽しみたいです」

美波未優「私は最初にオーディションを受けたのが、BELLRING少女ハートと新グループの合同だったので、こっちの世界線もあったのかなって新鮮で楽しいんですけど、すごい疲れます。がんばります」

橘田あまね「レッスンをしていたときに、振り付けのYUKO先生に教わったことなんですけど、「あまねはダンスの動きが出ている」っていわれるので、ダンスの動きを意識しないで出来るくらい楽しんで全力でやりたいと思っています。いままでやってきたことをやるのではなくて、新しく吸収できるようにがんばっていきたいと思っているのでよろしくおねがいします」

さらに田中は、BELLRING少女ハート ’22を始めた理由と、どうしてこの4人だったのか、そしてこれからの構想を下記のように語った。

「シンプルに、お客さんとライヴハウスでベルハーの音楽を聴きたかった。それだけなんです。あと、生誕とかでベルハーの曲をやってくれるAqbiRecの子たちを観ていて、いけるんじゃないか、やったらおもしろいんじゃないかなという気持ちになって。例えば、歌がうまいとか、ビジュアルとか、キャラがどうとかじゃなくて、ベルハーの衣装を着てステージに立ったときにスッと入っていける子たちは、オリジナルメンバー以外で誰かなと考えたときに、この4人でした。だけど、本当は5人にしたいんですよ。なので、リキッドルームのワンマンチケットが完売したら、BELLRING少女ハート ’22、新メンバー募集します」

まさかの新メンバー募集の発言に、会場には大きな拍手が起こった。

「今年10周年だし、人間老いるよね。だから終わる前に駆け抜けよう。今日もラストまで駆け抜けよう。じゃあいこうか!」という田中の声に、メンバー4人はハグをし、印象的なイントロではじまる「サーカス&恋愛相談」へ。間奏パートでは、組体操に美波未優が乗りスマホで客席を撮影。悲鳴で同曲が終わると、「yOUらり」のイントロが流れ同楽曲を披露、続けて青いバックライトの中で「ダーリン」をパフォーマンスした。

そして、リキッドルームへの意気込みを1人1人語った。

新倉のあ「満員のリキッドを沸かせる気持ちで、全力で挑みます」

美波未優「田中さんから、次はないと思って今日で全力を出し切れ、と言われて臨んでいるんですけど、一個一個全力でがんばります」

橘田あまね「みなさんが知っている、あの頃のベルハーとは全く違うものだと思うんですけど、私は強烈なアンチが生まれるぐらいがんばりたいと思っているので、みんなついてきてください」

小河原唯「今みんなが言ってくれた言葉以上に、メンバーがすごい熱量を持っているのを私は十分知っていて。言葉よりも心を持っている人たちなんです。そういうのをしっかり、みなさんにお伝えできるようなライヴにしたいと思っています。精一杯がんばるので、あと2週間後なんですけど、もし予定が空いている方がいたら、リキッドルームでぐちゃぐちゃになりましょう」

「今日のライヴ、なんと、あとちょっとです。最後までしっかりしっかり届けていくので、最後までよろしくおねがいします!」という言葉の後、再びハグをした4人は、 中期楽曲「タナトスとマスカレード」へ。アコースティクギターの音色、少女たちの合唱、ヘビーなギターソロとドラムが加わる耽美的で退廃的な雰囲気の中、羽を揺らして動き回る4人。マイナー調のギターバッキングに、ずしりと腹に響くキックからメロディアスなサウンドを歌い上げる「low tide」で何かに取り憑かれたような激しい表現を魅せると、最後は1stアルバム『BedHead』の最終曲で西部劇的な雰囲気も纏った「WIDE MIND」を披露。全8曲をパフォーマンスし、BELLRING少女ハート ’22初のライヴは幕を閉じた。

そのままステージ上のメンバーとヲタちゃんたちで記念撮影をし、 「今日、この場に何の詳細もわからないままお集まりいただいたみなさん、ありがとうございます。これからもライヴがあると思うので、そちらにも遊びにきてください。私たちBELLRING少女ハート ’22でした」と深くお辞儀をしてステージを後にした。

客電がつき、「特典会に移らせていただきます」とアナウンスが入っても、まったく鳴り止まない拍手。しばらくの間、拍手が続くと、照明が落ち、赤い照明が灯り、再び「the Edge of Goodbye」のインロトが流れた。1曲目とは違い、メンバー4人も衝動的に歌い踊り、ヲタちゃんたちも大きくジャンプをし、一体感を生み出した。そこにはかつてのベルハーの現場が重なって浮かんできるような熱気が確かにあった。

「アンコールありがとうございます。それでは本当に、以上私たち、BELLRING少女ハート ’22でした。ありがとうございました!」 とメンバーは挨拶をし、熱気の中、新体制でのベルハーの初ライヴは幕を閉じた。

一度は崩壊という形でグループの終焉を迎えたBELLRING少女ハート。いまにも崩壊しそうな儚さと命を削るようなパフォーマンスによって伝説を残したアイドルグループが、期間限定とはいえ、コロナ禍を経て、どのようなグループとしての運命を辿っていくのか。そのはじめの一歩が踏み出された、歴史に刻まれる1日となった。

※リキッドルームのワンマンチケットは、ライヴ後の22時48分にSOLD OUTした。

取材&文:西澤裕郎
写真:Masayo

BELLRING少女ハート ’22
2022年4月8日(金) @東京・Spotify O-nest
セットリスト
01. the Edge of Goodbye
02. ボクらのWednesday
03. サーカス&恋愛相談
04. yOUらり
05. ダーリン
06. タナトスとマスカレード
07. low tide
08. WIDE MIND

■ライヴ情報

BELLRING少女ハート 10th Anniversary
「BABEL ’22」
2022年4月24日(日)@LIQUIDROOM
開場16:45-開演17:30
前売¥4,000 +D
詳細 http://bellringgirlsheart.amebaownd.com/posts/32710102

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