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日本最大級のオンラインサーキットフェス主催者語る「目指すはオンラインとオフラインの融合」

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日本最大級のオンラインサーキットフェス〈NIPPON CALLING 2020〉が、2020年9月21日(土)、22日(日)の2日間にわたり開催される。

これは、2016年より東京の下北沢・新宿・渋谷の3地区にて開催されてきたサーキットフェス〈TOKYO CALLING〉が、コロナ禍の中、全てのライヴハウスアーティストやオーディエンスのために何ができるかと考え抜いて企画されたライヴの新しい見せ方で、忘れらんねえよ、ガガガSP、四星球、かりゆし58などをはじめ、約200組のアーティストが参加する。無観客配信ライヴとして開催され、プラットフォームには「mahocast」を使用。同時に放送される6つのマルチチャンネルを自由にセレクトすることができる。

〈NIPPON CALLING 2020〉開催にあたり、本サーキットフェスの主催者であるLD&Kの音楽事業部長の菅原隆文に2020年6月中旬に行ったインタビューを掲載する。紆余曲折ありながらも、コロナ禍のオンラインフェスとして〈NIPPON CALLING 2020〉がどのように出来ているのかをざっくばらんに訊いた。

取材&文:西澤裕郎
構成:岡本貴之


下北と新宿と渋谷の街を移っていくサーキットができたらめっちゃいいじゃんって

──2014年からスタートしたオーディションイベント〈宇田川コーリング〉を起点として、2016年からはサーキットライヴイベント〈TOKYO CALLING〉へ、そして2020年はオンラインサーキットフェス〈NIPPON CALLING〉へと、規模や方法を変えながら変化をし続けています。どういうきっかけではじまったものなんでしょう。

菅原隆文(以下、菅原) : 僕はもともと信頼できるアーティストと一緒に輪を広げていこうと思ってLD&Kでマネジメントの仕事をしていたんです。当時はCDがめちゃめちゃ売れていたので、レコード会社としても信用を作りたいなと思って、かりゆし58などのCD制作も始めるようになりました。その頃は情報もレコード会社に集まってきていていたので、オーディションや新人発掘も考えていなかったんですけど、2000年代後半あたりから若手のバンドに「何がしたい?」って訊くと「フェスに出たい」という答えがだんだん増えてきて。これは形を変えていかないとダメだなと思ったんです。うちは幸運なことにライヴハウスを持っているので、オーディションもそこでできるなと思って〈宇田川コーリング〉を始めてみたんですよ。

宇田川コーリング ビジュアル

──僕も当時、審査員として参加させていただきましたけど、最初は新人発掘オーディションとしてのライヴイベントという側面が強かったですよね。

菅原 : 〈宇田川コーリング〉のグランプリと準グランプリには、LD&Kからコンピアルバムを出すこと、同時に2014年12月25日に開催した〈LD&K NIGHT〉というイベントにオープニングで出られる権利を与えたんです。でも、かりゆし、ガガガSP、打首獄門同好会、日食なつことか、当時のうちのアーティストが全部出演したけどチケットが売り切れなかった。当時、色んなフェスがある中で、うちの会社はちょっとイベントが弱すぎるということを実感し、なんとかしなきゃならないなと思ったんです。

──2014年だと、フェスやイベントも飽和状態ではありました。そこでよく決断ができましたよね。

菅原 : 当時、関西でプロモーションをしようと思ったら、イベント主体で組むことができたんです。例えば、7月に〈見放題〉、8、9月に〈RUSH BALL〉、10月に〈MINAMI WHEE〉に呼んでもらえると、お客さんに上手く見てもらえる多面構造ができて、それがすごくいいなと思った。そういうものが東京にはないなとずっと思っていたんですよ。

──とはいえ、サーキットフェス自体は東京にもありましたよね。

菅原 : あったけど、何か足りないと思っていた。何が自分は欲しているのかなと思った時に、東京は下北シーン、新宿シーン、渋谷シーンって別れちゃっていることに気がついた。だったら、3日間で下北と新宿と渋谷の街を移っていくサーキットができたらめっちゃいいじゃんって。そしたら大阪より盛り上がるんじゃないかなと思って〈TOKYO CALLING〉をやろうと思ったんです。〈宇田川コーリング〉はその後各地に行って、〈大名コーリング〉、〈大須コーリング〉、〈梅田コーリング〉っていろいろなコーリングをしていたので、全国各地で仲良くしていった仲間と一緒に2016年に〈TOKYO CALLING〉を始めました。

TOKYO CALLING 2016 ビジュアル

──〈TOKYO CALLING〉は、現在では東京で外すことのできない大きなサーキットフェスになりました。菅原さんご自身での評価はいかがですか?

菅原 : おかげさまで〈TOKYO CALLING〉は初年度から成功していて。当初30会場だったのが39会場まで増えました。これまで4年やってきたんですけど、全てお客さんに喜んでもらえたと思っています。個人的には5年やって一人前かなと思っていたところがあるので、今年がわりと節目だと考えていたんです。初年度はAbemaさんが入っていたり、TOKYO FMさんで番組を作ったりとか、メディアとの連動も意識していたんですけど、イベント自体が強くならない限り相乗効果が期待できないなというところで、2年目以降はそういう動きはあまりしていなかった。そのかわりにTwitterとの連動で、プレゼントのフォロー&RT企画とかをいち早く取り入れていました。今はフォロワーが2万5000人ぐらいで、イベントとしてはそれなりのフォロワー数がいるので、そこには強みですね。

コンセプトは、オフラインのオンライン化

──もし新型コロナウィルスの感染拡大がなければ、今年も例年通り〈TOKYO CALLING〉を行う予定だったと思うのですが、今回はオンラインフェスということで大きな転換になりそうです。

菅原 : 10年目を見据えて、オンライン化を進めていこうとは思っていたんです。〈SXSW〉のような形で、海外とのフェスだったりイベントだったりも含めて、アーティストを発信していく側になれればいいなということは考えていました。なので、〈宇田川コーリング〉から〈NIPPON CALLING〉に至るまでのすべてが僕の中では完全に繋がっているんです。今回僕が目指しているコンセプトは、オフラインのオンライン化です。

──オンラインに踏み切ったきっかけとして、2月29日Zepp Tokyo で開催された打首獄門同好会のオンラインライヴがあるのかなと思います。菅原さんが現場の最終責任者だったわけで、前例がない中でオンラインライヴをよく即決されましたよね。

菅原 : あのとき、オンラインにせざるをえない状況だったんですよね。有人で観客を入れてやることは、ほぼほぼできないだろうなと。当時、オンラインにしましょうというのは、2月27日に判断したと思います。最初、会長(大澤敦史)から提案を受けて、誰もやってないんだったら、まず最初にうちらでやるのはいいよねってことを思ったんです。そこから本当に急ピッチで曲を作るわ、台本を作るわで会長はすごいなって改めて実感しました(笑)。当日僕も会場にいましたけど、とてもおもしろかったんですよね。

──今回オンライン化するにあたって、会場を日本全国のライヴハウスに広げられたのはどうしてだったんでしょう。

菅原 : 〈TOKYO CALLING〉は、東京、名古屋と大阪と福岡の4社でやっているイベントなので、みんなの意見も訊いてどうしようかなってずっと考えていて、配信だったら新宿、渋谷、下北に加えて、池袋のライヴハウスAdmも入れられるじゃんと思った。そのとき「あれ? だったら大阪もできるんじゃない?」って思い、〈NIPPON CALLING〉って言葉が浮んできて。実際どうやってできるのかな考えて、6月頭に早々に発表だけしましょうっていうことになったんです。1%でもできる可能性があるのであれば、早めに自分たちの意思を表明しておこうと考えたんです。

──〈NIPPON CALLING〉の収益構造はどのように考えられているんですか?

菅原 : 現時点(2020年6月)で、入場料をいくらに設定するのか、チケットが何枚売れるのかは全く想像できないじゃないですか?そこはとりあえずやってみるしかないのかなとは考えています。基本的には有料配信で、あとは投げ銭もやろうと思っています。もともと〈TOKYO CALLING〉をやろうと思ってライヴハウスを押さえていたので、ライヴハウスのキャンセル料を含めてどうしても損失が出てしまうんです。〈TOKYO CALLING〉から〈NIPPON CALLING〉に変えることでの収益は想定はするんですけど、分からないっちゃ分からないので、主催する4人で話しながらとりあえずやってみようと考えています。

すべて一緒くたになって1つのシーンを作っていきたい

──オンラインフェスならではの魅力はどういうところにあると思いますか?

菅原 : 普通のサーキットだったらタイムテーブルを見て移動距離を考えて諦めざるを得ないものでも、オンラインだったら観れるチャンスは多いと思うんです。複数のステージをオンラインで選びながら観て楽しめる。そういう手軽さがオンラインサーキットフェスの醍醐味になるんじゃないだろうかという想定のもとにやろうと考えています。

 

──YouTubeやニコニコ生放送など様々なプラットフォームがありますが、〈NIPPON CALLING〉はどのようなスタイルで行う予定なんでしょう。

菅原 : mahocastを使用して行う予定です。チャンネルイメージで言うと、メイン放送の下にサブのステージがいっぱい出てきて、それをチョイスできるような仕組み。サーキット感を出したいと考えていて、それができるmahocastと組んでやろうと思っています。あとはタイテを押したら、そこに行けるみたいな仕組みとかも作れたらいいなと思っていて。今から実装して、9月にローンチというのはシステム開発的にも難しいと言われているんですけど、できるところまでやれたらなと考えています。

──2019年は389組のアーティストが出演しました。今年はどうしても出演者数を絞らないとならないと思うんですけど、どういったラインナップになりそうでしょう。

菅原 : 本来であれば、〈NIPPON CALLING〉は5周年になるので、縁のある人を中心に組もうと思っていたんですけど、4年間全部出てくれている人だけを調べたら50~60組いたんですよね。そういう方は特に出ていただきたいなと思っています。あとは、本当に新人だったり、コラボステージとかもある程度作って、アーティストさんと一緒にやったりとか、そういうのも含めて考えていこうと思っています。

──〈NIPPON CALLING〉を開催するにあたり、期待することはありますか。

菅原 : それは、オンラインとオフラインの融合ですね。それが最終的にできるようになって〈NIPPON CALLING〉や〈TOKYO CALLING〉が1つのメディアとして機能するようになればと思っています。すべて一緒くたになって1つのシーンを作っていきたい。観てもらったら、「おもしろい!」ってなると自信はあります。それは前提で、お客さんも、出演者も喜んでもらえるようなシステムをギリギリまで練っていこうと思います。


■イベント情報
〈NIPPON CALLING 2020〉
開催日程:2020年9月21日(月・祝)、22日(火・祝)
開演時間:12:00(両日)
会場:オンラインにて開催
チケット料金:1日券 3,500円 / 2日通し券 6,000円 (税込)
チケット販売期間:mahocastにて発売中 〜9/29(火))23:59まで
※アーカイブ配信期間はアーティストにより異なります
購入/視聴URL : https://www.mahocast.com/ce/custom/calling

・NIPPON CALLING オフィシャルHP:https://nippon-calling.jp
・NIPPON CALLING Twitter:https://twitter.com/tokyo__calling

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