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「アイドル vs AV監督」シリーズ完結──監督・カンパニー松尾が語る、その裏側

StoryWriter

カンパニー松尾

ネタバレを含みますので注意してお読みください】

2015年に公開され大きな話題を呼んだ『劇場版 BISキャノンボール2014』。アイドルグループ・BiSの解散ライヴのドキュメンタリーを撮るという名目でAV監督たちがメンバーに密着、横浜アリーナでの解散ライヴ前日にも関わらず連絡先を聞いたり、下着を見せてくれと迫ったり、誰が1番点数をゲットできるかを競った。

そこからはじまった「アイドル vs AV監督」シリーズ。2016年には、新生BiSの合宿オーディションを記録した『劇場版 BiS誕生の詩』、BiSのライバル・グループ・SiSの消滅を記録した『WHO KiLLED IDOL ? –SiS消滅の詩』、2017年に行われた5泊6日の「WACK合宿オーディション」でAV監督たちがポイントを競った『劇場版 アイドルキャノンボール2017』が公開。それらに続く「アイドル vs AV監督」シリーズ完結編が『裏アイドルキャノンボール2017』として完成した。

この映像の第1部では、アイドルの合宿オーディションにハマジム枠として送り込まれたAV女優志望の1人の潜入候補生が中心に描かれている。その子のオーディションでの頑張りと苦悩はもちろん、それを撮影しているカンパニー松尾がアイドルプロデューサーのような視点になっているのがおもしろい。そして、その候補生は最終的に「横浜キャノンボール」を経て優勝した監督のためのポールガールとして登場し、衝撃のAVデビューを飾ることとなる。

そうした女の子側の目線だけでなく、『キャノンボール』で勝つために覚悟を決めた男たちの葛藤や行動が描かれている。ここまで動揺させられる作品は初めてだ。そんな本作を完成させた監督のカンパニー松尾にロング・インタヴューを行った。

インタヴュー&文:西澤裕郎
写真:カトウキギ


俺はプー・ルイの何くそ感というか演歌っぽいところが好きだった

──『裏アイドルキャノンボール2017』を観て、非常に気持ちが混乱しました。2014年からはじまった「アイドル・シリーズ」の中でも1番心が動かされたんですけど、松尾さんの手応えとしてはいかがでしょう。

カンパニー松尾(以下、松尾):最終的に「これを出したかった」というところがあったので、ようやくこれで「アイドルキャノンボール」が完結したと思っています。「アイドル vs AV監督」プロジェクトは、ようやく完成したなと。

 

──これっていうのは、具体的にどういうものなんでしょう?

松尾:要するに、ハマジムで著作権を持ったキャノンボール作品を出したかったんです。そのための一案として、ハマジムから1人女の子をWACK合宿オーディションに潜入させるアイデアを出した。加えて、「アイドルキャノンボール」で監督たちが苦戦するのが目に見えていたから、自分たちのフィールドで戦える「横浜キャノンボール」をやろうと思ったんです。ただ「アイドルキャノンボール」で優勝チームが決まったあと個人戦の話になって、そこの最後でドラマが生まれた。それがおもしろかったので、無理くり「横浜キャノンボール」を放り込んだっていうのが「劇場版アイドルキャノンボール」だったんですよ。

 

──言ってみれば「横浜キャノンボール」で岩淵(弘樹)さんが想像以上のドラマを生み出したことがきっかけになっていると。

松尾:岩淵くんの最終審査会議もよかったですよね。今回「裏アイドルキャノンボール」に「横浜キャノンボール」の映像もいっぱい入っているんだけど、(エリザベス)宮地もがんばっているし惜しいんだよね。宮地はプレゼンのところで意気消沈しちゃって、がんばってナンパしたんだよっていうアピールをまったくせずに終わっちゃっている。

──このシリーズを通して、岩淵さんと宮地さんという、新世代の映像作家のライバル関係が生まれているのも見所の一つですよね。

松尾:そこは色濃く出ていますよね。正直、岩淵と宮地があんなに対照的になるとは思っていなかった。合宿に行く前は、アドバンテージがあるのは宮地のほうだと思っていたくらいで。宮地はSiSの映画(『WHO KiLLED IDOL? –SiS消滅の詩–』)を作っていたり、メンバーとの人間関係もあった状況だったから。ぶっさん(岩淵)は、BiS合宿オーディションには来ていたけど、みんなが顔を知っているような感じでもなかった。結果は、みなさんご存知の通りですけど。

 

──あんなにはっきりキャラクターの違いが出たのにもびっくりしました。

松尾:「BiSキャノンボール」ってガチだから、良い意味でも悪い意味でも殺伐感があったり、アイドルと監督の関係が平行線のまま進んでいくんですよ。それはそれで好きなんだけど、俺もそれなりに長い間、BiSのことを撮っているからメンバーとの人間関係もできてしまって、そうでもない感じになってきたんですよね。そこに岩淵と宮地が入ってくれたおかげで、緩くなりかけていたところをもう一度締めてくれた。あとは(バクシーシ)山下さんですよね。前回あれだけED状態だった男が、あそこまでビシっとくるとは思わなかった。

──マラソンでもトップでしたからね。なぜここにきて復活を遂げたんでしょう。

松尾:山下さんの中で「BiSキャノンボール」での反省がすごく大きかったんじゃないですかね。振り返るとそういうことが多くて。2009年で結果がでなかった山ちゃんが2013年でがんばったし、2013年で結果に結びついていなかった梁井が「BiSキャノンボール」で確実に点数を重ねてきてリベンジをしてきた。そこでいうと、前回「BiSキャノンボール」であまり活躍できなかった山ちゃんが満を持してというか、絶対に勝つんだという強い気持ちで臨んできた。

WACK所属アイドルによるサインが入った「劇場版アイドルキャノンボール2017」

──顔も生き生きとされていますもんね。

松尾:そうですね。アイドルのことや、曲とり合戦、メンバーに関してはまったく眼中にないんだけど(笑)。

──そのわりに「GANG PARADE」のTシャツをずっと着ていますよね。

松尾:最後「横浜キャノンボール」用に「WACK EXHiBiSION」の物販で買っていたんですよ。あれを着て、最後横浜で女の子をひっかけて、Tシャツを女の子に着させるつもりだったみたい。

──ぶっちゃけ、松尾さんも、BiS合宿やWACKオーデに参加して、BiSに入れ込んでいたように見えたんですけど。

松尾:入れ込むというか、渡辺(淳之介 / WACK代表)さんとプー・ルイの関係性がおもしろかった。そういう意味でグループ別にいうとBiSを追いかけていましたよね。

──ライヴを撮影しに来ていることもありましたけど、特別BiSにはまったというわけではない?

松尾:オタクにはなれないけど、曲も好きになりました。みんながBiSHを好きになる気持ちはわかるんだけど、俺はプー・ルイの何くそ感というか演歌っぽいところが好きだったから。それこそパンクな人で、アイドルであり破壊者でありヴォーカリストであった。いつもプー・ルイはおもしろかったですね。

ハマジム枠だから落とされた、っていうくらいの女になってほしかった

取材はハマジム事務所で行われた

──先ほどお話にもあったように、WACKオーデにはハマジム枠としてヤマハシミキが潜入していました。僕も合宿にライターとして参加していましたけど、誰がハマジム枠かわからなかったです。普通に潜り込ませるとしたら、もっとわかりやすい子なのかと思うんですけど、なぜ彼女だったんでしょう。

松尾:現役の女優さんを隠して潜り込ませてもすぐにバれるから絶対にやめようと思って、まったくの素人さんでAVに出たことない人にしたかったんです。企画が通ってWACKの1次オーデまでの締め切りが短かったから、手当たり次第に俺と梁井とアキヒトで女の子を探したときに、本当にタイミングよく彼女がいたんですよ。おもしろいことはなんでもやりたいって子で、たまたま電話したタイミングでAVやろうと事務所に入る直前だった。「こういう話があるよ」って言ったらおもしろがってくれて。ただ、オーデに潜り込んで何もできないと申し訳なかったので、輝かせたくてレッスンをさせたんです。

──松尾さんがヤマハシのことをどう思っているかわからなかったんですけど、どういう気持ちでWACKオーデは接していたんでしょう。

松尾:最初と合宿の途中にある俺が怒るシーンを見るとわかるんですけど、完全にヤマハシのことを突き放していました。「お前は候補生だろ! AV女優じゃねえだろ!」って。どっちかっていうとアイドルになれよって説教していた。最終的には落とされるかもしれないけど、とにかくギリギリまでがんばってほしかった。本当に候補生として見ていましたね。テロップに入れているけど、「そんな君がアイドルになったら1番おもしろい」と思っていたし、真面目にそこに賭けていた。それに合宿に参加しているのに、落ちたらAVがあるって保険に思ってほしくなかった。甘えられると困るし、どうせ落ちるからネタ振りでやっていればいいんでしょって態度だと他の候補生にも悪いから。受かる気持ちで真面目にやらないと絶対ダメだぞって伝えていました。

──松尾さんもアイドルプロデューサー的な気持ちで臨んでいたわけですね。

松尾:それはありますね。ヤマハシがWACKに入ってもいいくらいまで成長してほしかったんですよ。ハマジム枠だから落とされた、っていうくらいの女になってほしかった。渡辺さんが入れるかどうかまで迷わせてほしかった。

──最初からAV女優になることが決まっている女の子が、最初にアイドル活動をしてブランド作りをしてからデビューするみたいな座組があるって聞くことがあるんですけど、流れで言えばそれに近いわけですよね。

松尾:いま西澤さんがいったことは業界的に実際にあって、AVデビューする子が逆計算をして、最初は写真集を出したりすることもあるんです。でも今回はそうではなくて、真面目にあの子にがんばってほしかった。俺が渡辺さんに対して仕掛けていきたいなと思った。岩淵は露骨に渡辺さんとの対決を意識しているけど、俺は直接の対決じゃなくて、ヤマハシを使ってできたらよかったし、がんばってほしかった。おもしろくなるのになと思っていました。

『裏アイドルキャノンボール2017』メインビジュアル

──結局、ヤマハシは合宿の途中で脱落してしまいました。脱落者が出るにつれ、ハマジムチームの監督たちも姿を練習場から消していったのは、キャノンボールで競っていたからなんですね。

松尾:我々は、落ちた子からポイントをとらないといけなかったんですよ。ただ、そのときの合宿では、BiS、BiSH、GANG PARADEの曲取り合戦があって、宮地はその曲取り合戦に感情移入してアイナ(・ジ・エンド / BiSH)に惚れていった。梁井も山ちゃんも、それを恐れていたんです。大逆転をするのは宮地のチームなんじゃないかと。お姉さんチームであるアイナに対して大技が成功すればポイントが高かった。ハメ撮りとまではいかなくても、なにかアピールするものを宮地が持って帰ってきたらそれが怖いと。

──宮地さんはドキュメンタリーを撮るほどBiSHへの愛情が深くなり、のめり込むことになっていきます。それに対して、岩渕さんは終始ポイントを取ろうと徹底していました。

松尾:そう、岩淵は徹底しているんです。岩淵は「テレクラキャノンボール」以前から俺たちと関係があるんですよ。今回はAV監督じゃなくてもやれたから、ようやく自分が参加できるという状況ができた。まあ、今回の裏を最後まで見るとそこの仕切りがわからなくなるんだけど、岩淵は岩淵なりに操を守っている。

──嫁さんがいるからセックスはしないという操ですよね。ただ、セックスはしないけど、◯◯◯をしゃぶることになるという(笑)。

松尾:もうAV監督以上のことはやらされているんですけどね(笑)。今回は自分のちんこを出す出さない関わらずという形で門戸を開いたので、それに対する意気込みがすごかった。自分はちんこは出せるけど、ハメ撮りはできないと。なにができるのかは彼が1番考えていた。

──合宿に来る前、嫁さんにもしかしたらセックスするかもしれないと伝えています。そこは覚悟と葛藤を抱えているということがわかる場面ですよね。

松尾:最悪ハメ撮りする気にはなっていたもんね。それが彼の「キャノンボール」への想いだし、AV監督とどう戦うか考えていたところ。俺たちと違っていて、渡辺さんや俺らとの戦い、あとはAVに対する戦いをすごく考えていた。宮地はオナニー世界チャンピオンだし、2時間で何発出せるかとかをやられたら彼のほうが怖いわけですよ。最後全部終わったあとで、1時間で何発出しますって映像でもよかったんだけど、そこまで宮地は考えてられていなかった。

俺が積み上げてきた「アイドルキャノンボール」も、全部山下さんがぶち壊してくれた

──優勝者のポールガールとしてヤマハシが登場し、AVデビューを果たします。いきなりのハードプレイというか、頭がおかしくなりそうなディープな世界に突入していきます(笑)。

松尾:俺もあれを望んでいるわけではないんですよ(笑)。最終的に勝った岩淵は「奥さんがいるから、どうしてもセックスはできない」ということで権利を放棄した。「キャノンボール」ルールでいうと、次の順位の人に王様権が移るんですよ。山下が譲り受けた段階で、バクシーシ山下ワールドですよ。素晴らしかったですね。腹抱えました。岩淵がかわいそうで(笑)。俺が2位だったら、「ぶっさん、もういいよ」って言って俺がハメ撮りして終わりじゃないですか。でも山ちゃんだからしつこい。全然許してもらえない。勝って地獄っていう。

──岩淵さん、全然チャンピオンっていう感じがしないですもんね。

松尾:プー・ルイが前回の新生BiSの合宿で言っていたけど、落ちても地獄、受かっても地獄。ぶっさんは勝ったほうが地獄だったんじゃないかって(笑)。劇場版では嫁さんが好きだからって言って終わっているけど、山ちゃんに「それは当たり前だから」って否定されるじゃないですか。あの感じとか最高ですからね。

企画、撮影、編集について語る、カンパニー松尾

──「アイドルキャノンボール」で岩淵さんが打ち立てたものが、一瞬で崩壊していきますしね。あれだけ苦労しておしっこを飲んだりしたのに(笑)。

松尾:そう、壊れていく。俺が積み上げてきた「アイドルキャノンボール」も、全部山下さんがぶち壊してくれた。あんな扱いをされたヤマハシも喜んでいるから、ああ、こっちの人だったんだなって。俺がアイドルにしようとしていたのは間違いだったんだって気づいた(笑)。

──(笑)。ただ、アイドルになるためにレッスンをしたり、オーデションに潜り込むドキュメントを1章から見ていって感情移入しているだけに、唾を飲んだり、いじめられるシーンはとても複雑な気持ちになります。

松尾:そこは逆に山ちゃんがモノ扱いしてくれて、ある種おもしろかったかもしれない。最後まで見ていくとだんだん可愛くなるしね。あと、(嵐山)みちるの魅力が「アイドルキャノンボール」であまり見えてなかったんだけど、最後ようやく裏のほうで出てきてよかった。セックスは強いし、帰ろうとして帰らないとかの場面もおもしろい。

──優勝者へのご褒美なのかわからなくなってきますからね。タオルをかけられたり、本当にどういう気持ちで観ればいいのか…。

松尾:ひどいよね。だけどおもしろいんじゃない。合宿でヤマハシ推しをしてくれていた方が見たらどう思うのかはわからないですけど。

──ヤマハシ本人は、その扱いについて気づいているんでしょうか。

松尾:男どもの悪意みたいなものにはあまり気づいていないかもしれない。自分でそういうふうにされるのを楽しんでいる部分もあるから。望んでいるは、楽しんでいるは、性癖的にあっていたかもしれないですよね。

──そのあとの松尾さんとのやさしいセックスで救われた気になるというか。

松尾:然るべきところに収まりました。それで最後、梁井さんで女になるみたいな流れ。あれがAVです。4時間中のラスト15分くらいがAVです。

──ちなみに、松尾さんは合格してほしいという気持ちで合宿に参加していたわけですけど、どういう心境でヤマハシとセックスをしていたんでしょう。

松尾:盛り上がっていましたよ。俺はずっとAV監督をやっているんだけど、案外ひどい人で、女性のフォルムしかみていなかったりして。肌が白くていいなとか、こういうフォルムしているのかとか。でも、4時間という時間をかけて最後ようやく野鳥から小鳥くらいにはなったのかなと思って編集しましたね。

──ヤマハシのケータイ番号が変わって連絡が取れないというテロップは気になるところです。

松尾:WACKオーデが終わって、ウィニングファックも終わって、1回歌舞伎町の路上で会ったんですよ。ニコニコと元気だったんだけど、彼女の中でも、なにか変わったのかもしれないです。たぶんまたどこかで会えるとは思っているんですけどね。俺の中では同士的な気持ちでいるから。

アイドルシリーズも次の「テレクラキャノンボール」への布石なんですよ

この日は風が強かった

──この作品を観て、なんてひどいことをしているんだと感じる人もいるかと思います。ただヤマハシはAVという世界で自分をまっとうしている。純粋に気持ちよく楽しんでいる部分もあると思うんですけど、そこはやはりアマチュアという感じなんでしょうか。

松尾:本当のプロは客観視していますよね。プロは自分が感じているかいないかは別にして見せている。でも、ハマジムは痛ければ痛い表情のままやっている。だから、ヤマハシの表情はハマジム作品としては合っているんですよ。画面を見ている先の人を考えるんじゃなくて、目の前の俺とのコミュニケーション。相手とのコミュニケーションによって、女も変わるじゃないですか。それでいいんだよって言ってあります。ハマジム以外のAVだと、人妻だったら人妻って設定が決まっていてその状況にあわせないといけない。すごく明るくて気持ちいいけど、イヤとしか言えなかったりする。実はAVっていうのは作品やテーマに対して忠実にやっているので、自分の意思とは違う女優として演技していることが多い。ハマジムに関してはそれをやりたくない。だから、ハマジムのAVをみると気持ちがグラグラするんだと思う。ヤマハシミキっていうのも仮名だけど、俺はヤマハシのことを知りたいわけですよ。結果、ハマジム的にはああいうドキュメントになっちゃうかな。もしあそこでスイッチが入って、AV女優みたいにやられたら萎えちゃう。

──SiSのときもそうでしたけど、台本があるように見えて、すべて本当に筋書きがないというのが驚きでもあります。

松尾:実はWACKだけじゃなく、他のアイドルグループでも起きていると思うんですよ。そこを出すか出さないでいえば、普通出さないじゃないですか。でも実際、人間だから、屁をこいたとか泣いてぐしゃぐしゃになっているとか、精神的に落ちることも病むこともありますよ。たぶんWACKとハマジムの相性がよかったのは、いわゆる作り物に対して、ちょっと違和感があるというか、ある程度全部見せちゃっていいんじゃないと思っているところ。WACKがおもしろいのは、きれいにデコレートされたお菓子じゃなくて、砂糖なら砂糖、小麦なら小麦みたいな女をみせてくれるんです。最終的にはアイドルになるんだろうし、ちゃんと作り込まれたステージとかを見ればいいんだろうけど、そうじゃない部分に魅力がある人のほうが裏側で観ていてもおもしろいし、俺はそこに惹かれるのかなって思います。

──これでアイドルシリーズは終わりと考えていいんでしょうか。

松尾:はい、僕としては終わりです。映画の中で、渡辺さんが宮地にちらっと話しているんだけど、「キャノンボール」がヒットしてから、ハマジムはTシャツを売ったり、音楽もののドキュメンタリーを撮ってたりして、「松尾さんもAVから離れようとしてる」って。実際、離れる気は毛頭ないんだけど、外から見ればそう見えちゃうんだなと思いました。けど、今、50歳を過ぎて、じゃあどっちだって言われたらやっぱり俺はAV監督でいたいし、AV監督のほうが向いているんですよ。というか所詮AV監督なんです。ドキュメンタリー監督だなんて偉そうなことを言っているけど、たいしたことはないんです。なので、アイドルとの絡みは終わりです、たぶん。

──『裏アイドルキャノンボール2017』は、次のキャノンボールを予見させるような形で終わります。新たにキャノンボールが観れると期待していていいのでしょうか?

松尾:言ってしまえば、今回のアイドルシリーズも次の「テレクラキャノンボール」への布石なんですよ。「アイドルキャノンボール」を経て「テレクラキャノンボール」に戻る。具体的に2020年って掲げているので、それに向かってがんばっていこうかなと思っています。そのときに、元アイドルのポールガールとしてプー・ルイとかが出てくれたら繋がりますけどね(笑)。

『裏アイドルキャノンボール2017』は絶賛発売中

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