【連載】なにが好きかわからないvol29「はじめの一歩」

こんにちは。

兄の結婚関連での用事がありまして、急遽実家に3日間ほど帰って来ております。

うちの兄は大学で僕と同じく中国語と英語を勉強しており、加えて小さい頃から兄弟よく比べられていた、というか僕が勝手に比べていました。

ですが、性格は全く僕と真逆です。彼は根が明るく人見知りもしない社交的なタイプで、なんでもポジティブに物事に向き合って結果を残せるタイプの人間。

一方の僕は、知らない人と話せないし、心を開いた友人と狭いコミュニティで生きるのが好きで、何かやろうとしても失敗してはすぐクヨクヨしてしまうヨレヨレダメ人間。隙があれば、いつでも何かから逃げて楽することを考えてしまうタイプです。

思えば、兄弟ってそういう性格に分かれやすいものなのかもしれません。弟って甘やかされますし、兄ちゃん父ちゃんの後ろに隠れていれば大体守ってくれますし。

でも、人生的な意味合いで考えたら兄ちゃんタイプの人間の方が充実して楽しいものになるんじゃないかと。実際、兄は昔から英語や海外文化が好きで、かねてより望んでいたように海外で仕事をしております。

一方の僕はなかなか思い通りにならない人生、というか自分で思い通りにするパワーがない。 他人に御膳立てしてもらうのを心の何処かで期待している節がきっとあるんですよね、いつまで甘ったれた人間でいるつもりなんだろう自分は…… 実家に帰る度にそんな気持ちに向き合わざるを得なくなります。世知辛えな!!

前置きも長くなりましたが、今回お話したいのは週刊少年マガジンで連載中の長寿漫画「はじめの一歩」です。

簡単なあらすじはというと、釣り船屋の母子家庭でいじめられっ子だった主人公幕之内一歩がプロボクサー鷹村守に助けてもらった事をキッカケにボクシングジムに通い始める。意外にもセンスがある事を見抜かれた一歩は、本格的にボクシングのめり込み始め「強いってどんな気持ちだろう」という純粋な気持ちで拳闘の世界に身を投じていく…… というようなお話。

この作品もさっきお話した兄ちゃんが高校生の時に集め始めた漫画で、今回の帰省で久しぶりに読み返してみたので今回後輩たちの見ている前で情けない姿を見せるわけにはいかないという気持ちと持ち前の才能で踏ん張って勝つタイプの描かれ方をしております。取り上げてみました。ボクシングとか全く無縁な趣味で生きてきたのですが、実際に読んでみるとこれもまた弱者が這い上がって強くなるという事にフォーカスされた作品だったので僕にとってハマる要素があったのかなと思います。

特に僕が好きな試合が鷹村守vsJr.ミドル級世界王者ブライアン・ホークの一試合。

ブライアン・ホークという男は天才的な野生児で、世界戦の前でも2週間しか練習をせず、ずっと酒と女に溺れているというボクシングをなめ腐った男です。天才と呼ばれた鷹村がそれを上回る圧倒的な天才に序盤かやられっぱなしではありますが、後輩の見ている前で情けない姿を見せたくないという気持ち、そして本来の野性味と確かに培ってきた練習量で巻き返していく「鷹村の姿こそがボクサーの理想の姿」だと相手セコンドにまで認めさせる。この展開にアツくなりました。何より自分が正しいと思っている人間に対して、別のスタイルで真っ向から挑んで納得させる。男の子なら大体好きな展開じゃないかなと思います。

性懲りも無く「強虫と弱虫」の話と紐付けてしまうのですが、この「はじめの一歩」という作品では、主人公の一歩が属する鴨川ジム内の仲間内でもこの対比が描かれています。

主人公一歩とその先輩後輩達はやはり負けることもあり、その度に涙を流して引退を考えたり挫折しているわけです。ところが、先のあらすじにも挙げた鷹村という男は恵まれた才能とセンスを持つ強者、ピンチに陥ることさえあれど「鷹村さんが負けるわけがない」という皆の期待を背負い、「後輩たちの見ている前で情けない姿を見せるわけにはいかない」という気持ちと持ち前の才能で踏ん張って勝つタイプの描かれ方をしております。

ここで、強虫と弱虫の対比に置き換えて考えてみると「強虫=鷹村」、「弱虫=一歩達」になります。一歩達後輩は鷹村が無敵だと泣きながら信じて応援していますし、彼に憧れの念を抱いています。しかし、鷹村を強虫たらしむのも実はこの弱虫の存在。自分を慕い、目標として付いてきてくれるフォロワーがいるからこそ強虫は如何なる苦境にも耐えて、情けない姿を見せまいと目標に邁進できるのではないかな、と。

弱虫にとっては、自分が何かに頑張れる為に目標や憧れの存在としての強虫が必要ですが、強虫にとってはそういった存在があるからこそ頑張れる。互いにとってその存在自体が相互に利益を出すんですね。

でも、改めて僕はやっぱり強虫になりたいと思っています。

自分がやってきた事や生き様なんかで誰かに影響を与えてから死にたい。誰かのフォロワーで終わる人生じゃなくて、自分の好きな音楽や映画、本が僕に影響を与えてくれたように、自分のやり方で何かの成果を出して他人に認めさせたいと思っています。

その為には内定もらったIT企業なんかじゃなくて、もっと適した場所があるはずなんですが…見つかるかなあ…

弱気になったところでありますが、長くなってしまったのでここら辺で。

また来週、よしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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