皆さんこんにちは。
年が明けて休む間も無く、追い込んで追い込んでやっとこさ卒業論文を形にすることができ、今週ようやく大学側に提出できました。ただ、あまりに破れかぶれな仕上がりであったので、終わった後の達成感や解放感というものが全く無くてずっとモヤモヤしています。
中学生の頃にバスケットボール部に参加していたんですけど、普段の練習でめちゃくちゃ頑張っていた友達こそ最後の試合で全力を出し切っていて、終わった後ものすごくスッキリした表情をしていたことを思い出しました。やっぱり何事も本気で頑張らないといい気持ちで終われないものなんですね、普段80点を連続して叩き出している人間よりも、普段4点でもキメなきゃいけない場面を120点で突破できる人間の方がカッコいいし。
僕もそういう人間になれたらいいなあと思っているけども、結局卒論もヘッポコエンジンのブーストで何だか釈然としないクオリティで仕上がってしまい…… ダメだなあ自分というぼんやり思うだけの結果になりました。
もっとメリハリを持って生きないといけないんだけどなあ。何か一つやり遂げた! という感覚が欲しい。
さて、こんなボンヤリ生きている僕ですが、今回お話したいのが「ハロルドが笑うその日まで」です。
2014年に北欧はノルウェーで公開された映画で、あまり北欧映画というのは日本では馴染みが薄いジャンルなのではないでしょうか。
あらすじはというと、ノルウェーに住み、立派で丈夫な家具を長年に作り続けていた老人ハロルド。小さな町で有名な家具屋を営んでいた彼の隣に、ある日突然スウェーデンからの格安家具のチェーン店IKEAがオープンして、あっという間にハロルドの家具屋は閉店に追い込まれてしまいました。生活が一気に困窮した彼は、妻の介護もままならないので老人ホームに入れることを決めますが、途端に妻も亡くなってしまいます。記者をやっていた息子も失業中で「何もかもIKEAのせいだ!」と怒りの矛先を向けて、遂にはIKEAの創業者カンプラードを誘拐することを目論み、スウェーデンに向かうハロルド。その道中で知り合った、家庭環境に恵まれないエバも加わり遂に誘拐を実行するが…… という感じです。
コメディ要素が随所に散りばめられておりそれに加えて人の温かさも溢れた作品なのですが、真冬の北欧が舞台のため、日照時間も短いせいか全体的にどんよりと暗めな雰囲気があるので、不思議なギャップがある映画だなあと思いました。性根の悪い人間が1人も出てこないというのもほっこりポイントの1つ。外にしんしんと雪が降っている中、コタツで暖を取っている気持ちになれる映画です。
この作品の見どころは、何と言っても恨み辛みを抱えてカンプラードの誘拐を実行するハロルドの後ろ向きさや鬱屈とした雰囲気のある主人公の暴走をコメディ要素全開に描いている点なのですが、何よりもこれが逆恨みでここまで暴走しているのが面白いなあと。
カンプラードさんは決して悪意のある人間では無く、ビジネスの才能があり人情もある至極真っ当な人間なんですが、そんな人を対象に自分の身の回りの不満や社会の不満をぶつけているような感じがします。でも確かに考えてみると、この捻くれ根性という性格が自分にもよく当てはまるなあと。社会や気にくわない誰かへの反骨精神だけは一丁前に養っていて、でもそれは決してポジティブな結果を引き起こすものではないですよね。そして何より僕もこういうハロルドの性格を理解できてしまうタイプです。(人を誘拐しようとは思わないけど)
多分僕やハロルドのような人間は、自分で苦境を乗り越える力というものがないんですよね。自分一人で抱える力もなくて結局何かのせいにしないとやっていけない弱者なのだなあと思います。映画では「大事なのは椅子そのものではなく、椅子に座る人間の方だ」というカンプラードの言葉で、ハロルド自身がその負の側面に進む精神自体が良くないことを本人が悟りポジティブな方向に進むような展開で終わりますが、でもやっぱり現実ではそう簡単に気づけない、もしくは自分に問題があるって認められないことの方が多いんじゃないでしょうか。何かに不満を抱いたり辛い時は、人に何か感情をぶつける前に自分を冷静に振り返れる余裕を忘れないようにできたらいいな、と思える作品でした。そんな簡単な事じゃないですけどね……。
卒論が終わってもテストやインターンやらやる事いっぱいでピンチ続きなのですが、イラついたりせず負の感情は自己完結できる人間でありたいな。
今週はこの辺で。また来週、よしなに。
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。