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StoryWriter

皆さんこんにちは。

先日までマレーシアと台湾を旅行というか目的もなくプラプラしておりました。

僕は海外に行くときはいつも観光客で溢れかえっている観光地には行く気がしなくて、地元の人しか行かないようなカフェでぼーっとしたり汚いお店で食事するのが好きなタイプです。特に海外となると言葉も文化も違うばかりなので、そんな中に1人だけいる異国人の僕が全く別な存在になれているような気がしていて、それが妙に心地良かったりするんですよね。

普段の生活で追われている物事に対して、何も意識したり気を遣わなくていい感じがあり、それは凝り固まった肩の血行をほぐしていくような感覚。だから旅行の感想を求められても特に何も無いのが常でして、「まあ何となく良かったよ、居心地良かったよ」で片付いてしまうんです。

しかし、今回台湾ではちょっと一味違う出来事がありました。「Vast & Hazy」という台湾の音楽グループに出会ったのです。

「台湾の音楽事情って詳しくは知らないな」

旅行中にふとそう思って、現地のライヴハウスを調べていたんです。すると、その日はたまたま〈2019台北杜鵑花音樂節〉というイベントがありました。調べると、毎年一度開催されるチャリティーライヴイベントで、一定の期間(今年は3/15~4/6)台北各地のライヴハウスで毎週末ライヴが行われるというものです。チケットは前売りせず当日会場に並んで購入、値段も安く本当に皆に均等にライヴの機会が与えられるもの企画でした。

結構人気なグループも出演するらしいのですが、僕は全く下調べや知識もしないで行ったのでその時にいたグループ2組を見ました。大きな川沿いにある日本とあまり変わらないような、キャパ500人前後のライヴハウスでビール片手に後方で観ていました。

1組目の「貳伍吸菸所 Smoking Area 25」は結構アングラな感じでインストメイン、空間系のエフェクターを多用するタイプのバンドで、お酒も相まってか聴いているうちにだんだんまどろんでいくような世界観。好きな人にはたまらないってやつでした。

彼らの45分ほどのライヴが終わって出てきたのが、今回僕がお話したい「Vast & Hazy」です。

現在は女性ボーカル顏靜萱と男性ギタリスト林易祺から成る2人組ユニット。2014年からバンド体制で活動していたようですが、一旦活動を休止し2016年から現体制で活動しているようです。

バンド時代はアコースティックな曲調だったらしいのですが、僕が初めて触れた現体制はそれとは全然異なる、もっと電子要素もあるしファンタジックな世界観を持つグループという印象。

 

それでいて何よりヴォーカルの顏靜萱は綺麗で迫力がのある歌声と表現力を持つ歌姫でした。キュートなルックスとのギャップもあり、人間の暗い側面にフォーカスしたものが多い自身作詞の曲の世界観を表現するのに充分な実力を備えた人だなという印象がありました。ギターの林易祺もぽっちゃりとして優しい3枚目キャラの外見と口調とは相反して、繊細なギタープレイをする方という印象でした。また、暗い側面にフォーカスした歌詞が多いというのも実は人が比較的共感しやすい要素であって、加えて2人のステージ上の表現力があるからこそ人気があるグループだと思いました。

また、実は彼らを追いかけている台湾人の友人がいるのですが、このVast & Hazy、メインはこの2人で活動しており時期に応じて、もちろんサポートメンバーがいるわけですが毎回長い時間をかけて全員で話し合い、そのメンバー毎に応じて異なる編曲アレンジを準備してくるらしいのです。だからこそライヴに於いても彼らがお客さんを楽しませよう! という気持ちではなく、自分達も一緒に楽しむ! という気持ちがあるからこそ会場が1つになって楽しんでいる感覚がありました。

そしてこんな一期一会のライヴを行なっているのに、今回僕が偶然目にしたライヴでこのユニットに注目できたのも1つの縁なのかなあと思っていて。いつかこのグループにインタビューをして、台湾のポップスや音楽がK-POPのように日本で流行るキッカケにできたらいいなあなんて思いました。きっと日本でも流行る要素があるグループなのに、ただ情報が伝わってこないだけで知られないって寂しいじゃないですか。だからこそ、僕が彼らを広めていきたいなと今回思いました。

もっとこのグループに注目していきたいです。

今週はこの辺で。

また来週、1つよしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。

エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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