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【GANG PARADE 連載 Vol.6】テラシマユウカ編「武道館に立ちたいです」

StoryWriter

2019年5月に野音ワンマン・ツアー〈CHALLENGE the LIMIT TOUR〉を大阪と東京で2週連続で開催し大成功に収めた10人組アイドルグループ、GANG PARADE。6月19日からは自身初の配信EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』をリリースし、LINE MUSICリアルタイムチャート1位を獲得。今年4月にリリースされたメジャーデビューシングル『ブランニューパレード』に続き2作連続で1位を獲得するなど勢いに乗っている彼女たちのソロ・インタビュー・シリーズ。

6回目となる今回は、GANG PARADEで多くの歌詞を担当し、映画コラムを連載するなど、文化的な活動が高い評価を得ているテラシマユウカのロングインタビューをお届けする。地元・大阪での大阪城野音ワンマンから、ライバルでもあった第2期BiSの解散について、そしてここで初めて語られるテラシマユウカの宣言まで、重要な言葉が多く語られた貴重なインタビューとなった。

インタヴュー&文:西澤裕郎
写真:宇佐美亮


9人が終わるさみしさが10人への期待に変わった

──ユユさんにはStoryWriterで映画コラムの連載をしていただいています。どうして映画のコラムを書こうと思ったかを改めて訊かせてもらえますか?

テラシマユウカ(以下、ユウカ) : 当時、グループ内でメンバー個人のいいところを伸ばそうという話をしていて。自分の得意なことや好きなものを考えたときに、1番はじめに出てきたのが映画だったんです。学生のときはホラー映画が大好きでずっと観ていたんですけど、上京してきてからはあまり友だちがおらず時間を持て余すことが多くて。1人でもできることと言ったら映画館に行くぐらいしかなくて。それでさらに映画がすごく好きになっていきました。

──ちなみに、自分の映画好きを決定づけた作品ってありますか?

ユウカ:1番好きな映画は連載1回目で紹介した『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』なんですけど、私は家族と観に行く映画が大好きで。『ハリー・ポッター』とか『トランスフォーマー』とかも一緒に観ていたので、思い入れはありますね。

──GANG PARADEの話になりますが、今年4月にメジャー・デビューして、野音ツアーも成功させました。外から見ると、すごく上り調子だと思うんですけど、今のグループの状態をどういう風にとらえているんでしょう。

ユウカ:10人としては、やることがまだまだ山積みだと思っていて。大阪野音で9人体制最後のライヴをして、日比谷野音で新メンバーのナルハワールドを加えた10人体制でのスタートを切ったんですけど、話し合う時間があまり設けられなくて。今は10人の気持ちを揃えることを課題にして活動しています。

──ユユさんは大阪出身なので、大阪野音は凱旋ライヴでもありました。9人体制も最後でしたが、どういう気持ちで大阪野音には臨んだんでしょう。

ユウカ:3月末に行われた〈WACK EXHiBiTiON〉でナルハワールドの加入が発表されたときは9人体制が終わることが衝撃だったんですけど、ナルハを入れて10人で最初の練習をやったとき、9人が終わるさみしさが10人への期待に変わったんです。なので、9人最後ということには全然捉われていなくて。大阪という土地に関しては、自分にとって当たり前の生活があった場所。そういう地元の大きいキャパ会場に多くの人が観に来てくれることに素直に感動しました。SEが鳴ってパッと前を向いて、たくさんの遊び人(※GANG PARADEファンの総称)が見えたとき、めちゃくちゃ泣きそうになって。大阪で暮らしていたときは特に目標もなくふらふら浪人していたんですけど、一歩踏み出してよかったなって感動しました。

──MCでも「特別なことは何もなかったんですけど、そんな当たり前で私にとっていつもの日常があったのがこの街です」と言っていましたもんね。

ユウカ:本当に何もしていなくて、勉強をしていたぐらい。今思うと、勉強もあまりしていなかったんですけど(笑)。言ったら本当に普通の人間だったんですよ。浪人をして大学に行って、なんとなく選んだ道でなんとなく暮らしているのを今想像したら、そういう生活を選ばなくてよかったなって。

──最初に話してくれたみたいに映画を家族で観るというのは平凡かもしれないけど幸せじゃないですか。それでも、そういう生活から一歩出たかった。

ユウカ:出たかった。私、普通に幸せに暮らしていたと思うんですよね。何一つ不自由じゃなかったし。でも、おもしろくなかったんですよね。大学は薬学部を目指していたんですけど、それも安定した生活ができると思って選んだだけで、本当に私は安定していたいのかなと思って。何か苦労をしてもいいから刺激的でおもしろい道に進みたいなと予備校に通っているときにふと思いついて。気づいたらGANG PARADEに入っていました。

絶望じゃなくてチャンスだった

──そこからは普通の生活とは真逆な怒涛の日々が始まるわけですよね。活動初日にグループがなくなるとか。当時はそれが楽しいとは言えなかったと思うんですけど、今振り返ってみると刺激的だなと思えますか?

ユウカ:刺激的でした。BiS合宿オーデもそうだったし、SiS(※テラシマが活動当初所属していたグループ。BiSの公式ライバルグループとして活動する予定だった)のお披露目をするまでも忙しかった。SiSが解散してからも、ココ(・パーティン・ココ)と(ユイ・ガ・)ドクソンと集まって、渡辺さん(※渡辺淳之介/所属事務所WACKの代表。GANG PARADEプロデューサー)にWACKに入れてほしいって言おうよとか、いつの間にか毎日同じことの繰り返しじゃなくなっていて。あのときは必死やったから何もおもしろいとか思っていなかったんですけど、確実に毎日同じことを繰り返していた日常よりは楽しかった。あと、SiSの解散を告げられた後、渡辺さんにご飯に連れて行ってもらったんです。本当に「絶望だ、人生終わりだ」と思っていたんですけど、渡辺さんが「これは絶望じゃないから」って言っていて。そのときは何言っているんだろうと思ったんですけど、今思ったらあれは本当に絶望じゃなくてチャンスだったなと思って。その言葉は今でも何かあったときの1つの支えになっています。

──それにしても、本当に諦めずにそれをバネにしてやってきましたよね。

ユウカ:メジャー・デビューしたときに、私たちより前から活動していたメンバーに対して「GANG PARADEを続けてくれて本当にありがとう」ってめっちゃ思いました。もしどこかで諦めていたら、私たちの今はなかったし。

──大阪野音のMCでは「私たちは今日という日をひとつの通過点として、大阪で叶えたいさらに大きな夢を叶えにまた帰ってきます」ということも話していましたよね。

ユウカ:これまであまり東京以外で大きなワンマンをやることがなかったから、大阪野音をきっかけにどんどん地方の人にも観てもらえる1つ目のステップにしたいと思っていて。次のツアーは、大阪ではなんばHatchでやらせてもらうんですけど、大阪野音を売り切ることができなかったから絶対にソールドさせて次に繋げたい。ギャンパレに入って、自分がどこでやりたいんだろうなと考えたとき、パッと思いついたのがなんばHatchだったんですよ。なんばHatchでやるのはすごく楽しみです。そして大阪の人にとって1つ夢として大きい、大阪城ホールでは絶対にやりたい。

──大阪野音の翌週、日比谷野音で10人体制のお披露目ライヴを行いました。日比谷野音はどういう思いで臨んだんでしょう。

ユウカ:SiSが解散してギャンパレに加入することが決まってすぐ、BiSHの日比谷野音を観に行ったんですけど、すごく悔しい気持ちがあって。私もいつか絶対あそこに立ってやると思ってはいたんですけど、想像がつかなかった。自分たちがここにたどり着けるのかなって正直自信がなかったんですけど、それが現実になって。日比谷野音決まったと言われたときに鳥肌が立って。2年半かけてやっと来ることができたんだと素直に嬉しかったし、いざ立ってみたら、あのとき客席から観た景色よりは大きくは感じなくて。あの頃想像できなかった景色を今見れているから、この先も今の自分たちが想像できない景色を見れるんじゃないかって、未来に期待する気持ちが生まれました。

──人が増えた分、個々の見せ場は減っていくわけですけど、ユユさんはどういう部分で自分らしさを出していこうと思っていますか。

ユウカ:私はパフォーマンス面では、いい意味で安定していたいなと思っていて。日によってメンバーもそれぞれコンディションがあると思うんですけど、その中でも1番安定したものを見せられたらと思っている。私には爆発力が足りないなというか、例えばココとかってパワフルじゃないですか? 私はそっちではないし、一時期それに悩んだ時期もあったんですよ。周りの人から、やる気がないと捉えられていた時期もあったし。でも、安定しているって見られたらいいんじゃないかと思って。柱みたいな感じになれたらなと思っています。

BiSが解散をして、心境の変化はありました

──これも不思議な話ですけど、もとはBiSの合宿オーディションからユユさんの物語が始まったじゃないですか。BiSがあったからこそ、今があるとも思うんですけど、第2期BiSの解散についてはどう思っているんでしょう。

ユウカ: BiSのメンバーがどう思っているかはわからないんですけど、渡辺さんの言葉をお借りすると「絶望じゃないから」って思いますね。ここで諦めてしまったら本当にここで終わりなんですけど、別に道が途絶えたわけではないから。2期のBiSは終わってしまったけど、それぞれの人生はまだまだあるから私は楽しみだなと思っています。でもやっぱり1番近くにいたわかりやすいライバルだったし、少なからずBiSに奮い立たせられているところはあった。BiSと比べられて悔しかったし、めちゃくちゃしんどかったけど、その悔しい気持ちをバネとしてやれているところがあったから。第2期BiSがなくなった今としては、自分たちで自分の気持ちを奮い立たせないといけない部分もある。BiSに支えられていたというか、前を行くBiSを必死に追い抜かそうとしていたところはあったので。BiSが解散をして、心境の変化はありました。

──別インタビューでココさんはBiSが解散して悲しかったと涙を流して話していました。

ユウカ:私もめっちゃ悲しかったです。BiSオーデを一緒に受けて受かった子がWACKから誰もいなくなるという想像もつかなかったことが起こってしまって。改めて本当に何が起こるかわからない世界に立っているなと実感しました。自分たちも今上り調子で行かせてもらっているかもしれないけど、この先何が起こるかはわからないし、もっと慎重に、でも勢いよくやっていきたいなと思いました。

──最近GANG PARADEを知ってファンになった人たちは、そういう過去を知らない人も多いですよね。そういう状況の中、どうやってGANG PARADEの次の道を作っていこうと思いますか?

ユウカ:これまでって、グループのストーリーに助けられてきた部分がめっちゃ大きかったと思っていて。昔から知ってくれている人は野音のパフォーマンスを観てプラスアルファで感動してくれたと思うんです。でも、それを知らない人も増えてきて、SiS自体を知らない人もいるし、BiSとどういう関係なのかも知らない人も多いと思うから、ストーリーなしに私たちを観てもすごいなと思ってもらえるようにパフォーマンスレベルをもっともっと上げていかないといけない。フェスとかに出たときに、今のGANG PARADEをポンと出してお客さんを圧倒できるようにしないといけない焦りはあります。

あなたが生きたかったのってこんなのですか?

──9月からは全国10箇所12公演のツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉が開催されます。ファイナルは中野サンプラザとなりますが、今言っていたグループとしての進化が問われるライヴになりそうですね。

ユウカ:9人体制になったときは、月ノ(ウサギ)とハルナ(バッ・チーン)が加入してすぐにツアーが始まって、ツアーでグループの体制を作り上げていった感覚があったんですけど、今回はツアーがちょっと後なのでそれだと遅いねって話をしていて。ツアーまでにこの10人のGANG PARADEの形を作らないといけない。ツアーでは、その完成系をいろいろなところに見せに行きたい。そこは9人のときとは違う感覚でやっていこうという話をみんなでしました。

──6月29日にリリースされた配信限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』では、ユユさんが「本当に僕が生きたかったのはこんなんじゃ無え!」と「fxxk your disco」を作詞しています。

ユウカ:「本当に僕が生きたかったのはこんなんじゃ無え!」は、私がGANG PARADEに入る前の話なんです。自分は何がやりたいんだろう、と思ったときに、私が生きたかったのってこんなんじゃ無くない? と思って、2番で〈都合の悪いお勉強やめて〉って言って歌詞を書いたんです。妥協した勉強をしているぐらいなら、辞めて何かしちゃおうぜっていう。世間的にも自分がやりたいことをやれている人って結構少ないと思っていて。そういう人たちに向けて、あなたが生きたかったのってこんなのですか? という歌詞です。「fxxk your disco」に関しては、「意味がわからない感じにしてください」ってテーマだったので、言っちゃえばノリで書いたんですけど、ちょっとストーリーがあって。いじめられて、家にも居場所がなくて家出をしたJKの話なんです。こんなに何も考えずに書いた歌詞は初めてかも。音重視って感じで、あまり意味がないです(笑)。

──未来は予想できないですけど、今の時点で、GANG PARADEをどういうグループにしていきたいですか?

ユウカ:9人とか10人とか人数関係なく、GANG PARADEの名前を広げていきたい。例えば、フェスに出たときにこれギャンパレって名前聞いたことあるから観に行ってみようって思ってもらって、そこで私たちがパフォーマンスで圧倒をして、どんどんお客さんを増やしていく。それが1つの目標です。これまでもアイドルイベントとかにいっぱい出ていたんですけど、そこで他のアイドルを観に来たお客さんにGANG PARADEを観て好きになってもらって、ちょっとずつお客さんを増やしてきた。私たちにはそういう過程があって、今があるから。今は出るイベントが変わっただけで、やることは結局は一緒なのかなと思っています。ただ、観てくれる人数が多くなってくるから、前みたいなスピードでやっていると全然間に合わないというか足りない。だから、引き込める力を何倍にも大きくしていきたいです。あと、これまでは自分たちが武道館に立ちたいって、まだ自分たちの口では言えないなと思っていたんですよ。だけど野音を終えてから、その夢がちょっと現実的になったのかなと思って。だから初めてこういうところで言うんですけど、武道館に立ちたいです。


GANG PARADE PROFILE

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールドの10人からなるアイドルグループ。 2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、その翌年4月17日にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル「FUELED BY MENTAIKO」よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。 同年5月に東阪野音ツアーを成功させ、5月26日より同事務所所属グループWAggよりナルハワールドが加入し、現体制での活動をスタートさせる。 PCゲーム「マジカミ」の主題歌および挿入歌を担当し、その楽曲を収めた配信限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』を6月19日にリリース。9月より全国ツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催する。

■ライヴ情報

PARADE GOES ON TOUR
2019年9月7日(土)神奈川 横浜Bay Hall
2019年9月8日(日)神奈川 横浜Bay Hall
2019年9月14日(土)愛知 DIAMOND HALL
2019年9月15日(日)静岡 浜松窓枠
2019年9月21日(土)福岡 DRUM LOGOS
2019年9月22日(日)広島 CLUB QUATTRO
2019年9月29日(日)大阪 なんばHatch
2019年10月5日(土)北海道 PENNY LANE24
2019年10月6日(日)北海道 PENNY LANE24
2019年10月12日(土)宮城 仙台Rensa
2019年10月20日(日)新潟 NEXS NIIGATA
2019年11月4日(月祝)東京 中野サンプラザ

チケット料金(税込)
【通常チケット※ライブハウス】
スタンディング 4,000円(税込)※入場時にドリンク代別途必要
2階指定席 5,000円(税込)※なんばHatchのみ
【通常チケット※中野サンプラザ】
全席指定 5,000円(税込)
年齢制限/スタンディングチケットの未就学児童入場不可

各地エリア先行
6月19日(水)以降

チケット一般発売日
2019年7月13日(土)AM10:00〜

■リリース情報

GANG PARADE 配信限定EP
『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』
2019年6月19日(水)発売
収録曲:
本当に僕が生きたかったのはこんなんじゃ無え!(作詞:テラシマユウカ 作曲:松隈ケンタ 編曲:SCRAMBLES)
fxxk your disco(作詞:テラシマユウカ 作曲:松隈ケンタ 編曲:SCRAMBLES)
体emotion(作詞:ヤママチミキ 作曲:松隈ケンタ 編曲:SCRAMBLES)
Daylight(作詞:カミヤサキ 作曲:松隈ケンタ 編曲:SCRAMBLES)
WARNER MUSIC JAPAN/FUELED BY MENTAIKO

予約購入リンク:https://GANGPARADE.lnk.to/NEWSG0413AW

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