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StoryWriter

皆さんこんにちは。そういえば忘れていたのですが、気がついたら先日誕生日でした。

昔はあんなに楽しみで待ちきれなかったマイバースデイ。社会人にもなると本当にただの日です、ちょっと多めにライン来るだけの日。全くフレッシュな気持ちも無ければソワソワもない。仕事して家系ラーメンにビール頼んでご満悦で帰りました、安上がりで面白くない男ですチャンチャン。

昨日、再び台湾から来日公演に来ていたバンドのインタビューとライヴレポを行いました。早急にまとめて公開する予定なので、是非とも皆さん見てくださいね、よしなに。

プロフィールにも書いているのですが、実は大学で中国語専攻で留学してました。外国人観光客相手に色々案内したり、某化粧品メーカーの店頭で訪日観光客の案内をするアルバイトを合わせて3年近くやっていたり。なんとなくで始めたことで、こういう仕事でも役に立たせようとはそこまで考えていなかったんですが、なんやかんや中華圏と切っても切れない縁があるみたいです。

でも、通訳通さなくても(ある程度は)インタビューできる人ってあまりいなさそうだし、現地の情報も集められれば、何か面白いことができそうなのかなと思って日々邁進しております。これからも、色々な来日するアーティストについて発信していけたらと思うので、そちらもひとつよろしくどうぞ!

さて、今回お話したいのはなんでしょう……(594)。先日、ユジク阿佐ヶ谷に映画を観に行って震えるくらい心を打たれた作品「グリーンブック」のお話をしたいなと。

 

ものすごく話題になった作品ですが、公開当時は都合が合わず観に行けなくて今回ようやく観ることができました。結果から言うと久しぶりに心がじわじわ暖かくさせられた作品です。まだ観てない人は少なくとも7月26日まではやってるので観にいこ。

あらすじはと言うと、1960年代のまだ黒人差別が根付いていて、一部地域では黒人への差別が合法(ジム・クロウ法)であった時期のアメリカの話。血の気が多く粗野な性格の主人公トニー・リップはクラブの用心棒を食い扶持にしていたのですが、店が改修工事で一時閉鎖に。彼に新たに紹介された働き口は天才黒人ピアニストであるドン・シャーリーのアメリカ中西部の運転手(という名のガードマン)。元々黒人に対する蔑視を抱いていたトニーは、全く気が乗らないもののお金と家族の為にも「クリスマス」までには帰ってくるといって3ヶ月のツアーに同行する。粗野で無教養の主人公トニーと、気品のある言動と教養があるドン・シャーリー。ツアーの中で遭う様々な事件の中で、2人の関係性にも変化が生まれて…… というストーリーであります。

「金持ちは教養人だと思われたくて私の演奏を聞く。その場(演奏)以外の僕は黒人、それが白人社会だ」

スーツを新調しようとしても試着を拒否され、黒人のクラシックピアニストは成功しないからエンターテイナーになれと言われた時も、黒人の夜間の外出は禁止だから、ゲイだからと警察に不当な暴力をされても、自分の品位を保つ為に涼しい顔で引き下がっていたドン・シャーリーが、思わず心境を吐露したこのシーンが本当に印象的でした。どれだけ気品を高くもって善く生きようとしても、それを賤しめる声を完全に無視することは難しいわけです。どんなに相手が気にしていないように見えても、確実に相手を傷つけている言葉や態度を言っていいわけじゃない。黒人差別の話は日本人にはもしかしたら馴染みが薄いかもしれないですが、日本でもそれに似ている事案は今でもあると思います。そういう事まで一気に考えさせられる1シーンでありました。最初は黒人と白人という、差別する側と差別される側に分かれていた2人が、いつしか肌の色も気にならず、最初からただの友達だったようにしか思えない。そんな風に描かれた、アカデミー賞作品賞も頷ける見事な作品でした。作品内のシーズンのせいかクリスマスにまた観てみようと思います。マジでオススメです。

今週はさらりとこの辺で。

また来週、ひとつよしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。

エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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