【連載】なにが好きかわからない vol.74「海角七號」

皆さんこんにちは。

6月下旬から今日までめちゃくちゃな梅雨ですよね。朝起きて雨や曇り空だと絶望的な気持ちになるのと、湿度が高いと身体が痒くなるので本当に早く明けてほしいです。

先日、また台湾のバンドのインタビューのお話をいただきました。「落差草原WWWW」というバンドなのですが、エクスペリメンタルでもあり、サイケデリックでもあり、アンビエントというか部族性の高い楽曲を作るバンドです。インタビューした感じだと、バンドマンというよりは芸術家という方の意識が強いバンドであって、ライブも2日間観させていただいてのですが、照明や使う楽器の音色含めてステージングを作り込んでいる感じにものすごく感動しました。日本のバンドだと、ああいうのはたぶん出てこないんじゃないかなって思うくらいオリエンタル性を感じまして……。ライヴレポと一緒に近日公開しますので何卒読んでください! 今後も色々な中華圏の音楽とか取り上げていきたいと思ってます!

と、実はここでようやく本題なのですが、今回お話したいのは『海角七號』という台湾の映画です。

 

2008年の台湾映画なのですが、この時期には台湾映画界っていうのは低迷期で、どの作品もあまり興行収入が芳しくない時期だったのですが、この作品だけは台湾での歴代興行収入2位にランクインするほどの大ヒットになりました。

あらすじはというと、日本統治時代の1940年代、ある日本人男性教師と生徒の台湾人女学生が恋に落ちて駆け落ちを約束するも、日本の敗戦が決まったので教師は帰国せざるを得なくなり2人はそのまま再会することなく別れ、帰国の船の中で手紙に想いを綴り続ける。

その数十年後、ミュージシャンとしての成功を夢見るも挫折に落ち込む阿嘉(アガー)は郵便配達の仕事で食いつないでいると、宛先住所が不明の郵便物を見つける。そこに書かれた日本語の手紙の内容と「高雄州恒春郡海角七番地」という謎の住所。一方、街のイベントフェスティバルで前座バンドを組むために阿嘉は、マネージャーの日本人女性の友子に出会い…… という感じです。

正直、映画作品としてはものすごく良い! とまでは僕個人は思いませんでした。過去の2人と現代の2人のつながりも何となく曖昧だし、いつ阿嘉と友子が恋に落ちたのかよく分かんないしと思ってしまったので。だからこの映画を見ると思うのは、台湾南部の地域の風景の良さやのどかさ、人情味みたいなところが1番大事だなと思っています。とはいえ内容としても、台湾と日本、様々な歴史上の問題や国際的な要因でオフィシャルな関係を築けずにいたものの、それを超えて台湾からのラブコールが描かれた作品なのかな?と思います。コメディ要素も多くて、気を楽にして素直に溶け込めれば感動できる作品なんじゃないかなと思います。

そしてこの映画について最近知った1番のポイントが、以前にも取り上げた日本統治時代に、先住民からの抗日闘争を描いた作品『セデック・バレ』と同じ監督の魏徳聖氏の作品であることだと思います。一説によると、先に海角七號を作って公開し、それで儲けたお金を元に、予てから作りたかった『セデック・バレ』レを作ったのだとか。同じ監督が描く、全く異なる日本の切り取り方の2作品。同じ時期のテーマを正反対の立場で切り取ったのには、きっと物事の表面ばかり見てはいけないということではないでしょうか。なにも考えずに「台湾は親日国家だから云々」と言わずに、事実として付き纏う酸いも甘いもをちゃんと噛まないといけないんじゃないでしょうか。両方の作品をしっかり消化した上で、台湾をどう考えるか、台湾と日本の関係はどう向き合っていくべきなのか? を考えるいいキッカケになればいいなあと思います。

インタビューなど台湾に触れる機会が多いので、台湾について思うことが、最近輪にかけて増えました。冒頭でも触れましたが、近日公開の台湾のバンド「落差草原WWWW」のインタビューも台湾を少し知れるいい発言がありますので、是非目を通してください。そして、触れてみてください。

今週はこの辺で。

また来週、ひとつよしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。

エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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