お世話になっております、株式会社SWインターンのヨコザワカイトです。
最近、不穏なニュースが多くないですか。新元号“令和“という言葉には、“世界が調和され、平和が永遠に達成される”というメッセージが込められているといいます。しかし、それは“怒り”をなかったことにするという意味ではないはず。
今回は、こんな時代にもう一度聞きたいこのバンドの1枚です。
頭脳警察
1969年12月PANTA、TOSHIで結成。頭脳警察は共産主義的な革命運動が激化する時代背景の中で生まれた。日本語による過激な歌詞と自由なメロディーは当時の若者の叫びであり、圧倒的な支持を得る。ファーストアルバム『頭脳警察1』(1972年3月)は歌詞の過激さから発売中止、『頭脳警察セカンド』(1972年5月)は9曲収録のうち3曲が放送禁止、さらに1ヶ月余りで回収から発売禁止と相次ぎ、いつの間にか反体制の象徴となっていった。しかしその一人歩きしたイメージとは裏腹に、始動を開始した頭脳警察はオールドテイスト & パンキッシュなロックンロール、バラードも取り入れ、前衛的な日本語ロックを展開し、数々の伝説的ステージと6枚のアルバムを残して1975年に解散。1990年再結成。1991年活動休止。2007年、再々結成。現在バンド、ソロ共に活発な活動を続けており、2019年は結成50周年を迎える。(公式HPプロフィールより)
『頭脳警察 BEST』
=楽曲リスト=
1. 銃をとれ
2. ふざけるんじゃねえよ
3. 夜明けまで離さない
4. さようなら世界夫人よ
5. やけっぱちのメルヘン
6. 時々吠えることがある
7. コミック雑誌なんか要らない
8. 間違いだらけの歌
9. 詩人の末路
10. 歴史から飛び出せ
11. それでも私は
時代が変わっても評価され続けるバンドの曲は、いつの時代も変わらない良さがある、などとよく言われます。頭脳警察も結成50周年を迎え、思想の対立の中で正当に評価されてこなかった音楽性や歌詞の世界に再評価が集まっているバンドと呼ぶことができるでしょう。
しかし、今の時代に頭脳警察を聴くということにどんな意味が生まれるのか、をもっと知りたいのです。僕はこのアルバムを聴く中で、時代の変化と共に“怒り”という感情の性質に違いが生まれてしまったのではないかと感じました。それはこのバンドが古臭くなったという意味では全くなく、今のこんな時代だからこそ聴くべきものがそこにはあるんじゃないかと思ったわけです。
伝説的のアルバム『頭脳警察1』に収録され、今回のBESTでも1曲目を飾る楽曲「銃をとれ」の、“銃をとって叫べ”という歌詞。悲しい意味で今の時代に本当に響くのか不安にはなりませんか。だって今は、常に銃の引き金に手をかけて生活しているようなもの。ネット上では、次の攻撃対象を常に探す“炎上待ち”のような状態が続いていますし、それに怯えメディアの規制が進む歪な世の中です。それに合わせて人々の寛容さも減り、銃はもう持っているけど叫んだらやられる、そんな世界に生きているような気がします。
PANTAさんもインタビューで、
「つまらないことだけど、最近はみんなイライラしているというか、気持ちの地金がむき出しでかっこ悪いよ。なんかゆとりがないね」(※zakzak記事より)
と述べています。50年間で何が変わって、何が変わることが出来なかったのか、そんなことを考えさせられてしまいました。
最後にアルバムの話に戻すと、この『頭脳警察 BEST』は「それでも私は」のこんな歌詞で締められます。
こんな俺にはわからねえ 生きるということが
幸わせに生きる奴等と
俺との間にある壁が何か
それでも俺は求めつづける
何かを…… 何かを
『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)で町山智浩さんも触れていましたが、叫び続けることしかできないからこその苦悩、そこまで歌うからこそロックというものが全て詰まった頭脳警察なのではないでしょうか。そんなマクロな世界からミクロな自分まで色々なことを考えさせられる充実感のあるBESTアルバムでした。
今回は西荻窪のアンノンレコードさん(公式HP)でdigった『頭脳警察 BEST』の紹介でした。見つけた方は是非手にとって時代の変わらなさ、変わっちまった所を感じてみてはいかがでしょうか。
※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。株式会社SWで学生インターンをしながら就職活動中、そして迷走中。ガガガSPが大好き。