【連載】なにが好きかわからない vol.79「面孔乐队」

弊社SWより、手島将彦氏著の新書『アーティストはなぜ壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』が9月20日に出版されます。

アーティスト/マネージャー経験もあり、現在は音楽学校で教師もされていて、更には産業カウンセラーという資格も持たれている方の著書。メンタルや労働環境により「壊れやすい」イメージのあるアーティスト、実は彼らは「壊れやすい」のではなく「壊されやすい」存在なのではないか? という切り口から、世の中で「生きにくい」とされる人々の生き方や、その周りの人の理解・接し方を考えようという内容です。

僕個人的には、今の日本人にとって絶対必要な認識が詰まってる1冊だと強く思います。こういう人もいるんだなあ、と知識として身に付けるだけではなく、本書に書かれている事を常に意識した行動が当たり前にできる世の中になればいいと思っております。本書の予約はこちらから。さらに手島さんのトークショーはこちらから予約できます。

さて、夏も終わる今日この頃。先週もお話した中国のネット番組「乐队的夏天(バンドの夏)」に出演していた中国のバンド「面孔乐队」のお話をば。ちなみに中国語で乐队(ユエドゥイ)はバンド、面孔(ミエンコン)は顔つき、表情の意味です。かっこ良く言えば、The faceみたいな感じの名前ですかね。

中国のロックの歴史は1986年に崔健(ツィジェン)というロック歌手から始まったと言われています。文化大革命の頃に、海外から来た留学生や観光客との交流の中で西方由来のロックを聴いて影響されたと言われています。その流れで出てきたのが1989年にデビューした今回の面孔乐队、中国初のヘヴィメタルバンドです。1992年に「给我一点爱」という曲で、当時平均年齢18歳だった面孔乐队は一気に評判となりました。ジャンルとしてはヘヴィメタルに分類される彼らですが、デビュー曲である「给我一点爱」では90年代の邦楽バンド、例えるならキーボードのないWANDSみたいな感じがあって、これまた90年代邦楽好きの僕にとってはたまらない1曲です。その後、幾度かのメンバーチェンジや活動休止を挟んだのち、2006年から再度活動し始めて数々の中国内の音楽フェスに参加するなど能動的な活動をしております。ある意味、中国ヘヴィメタルを作り上げた「活ける化石」のようなポジションであるかもしれません。

僕自身、2018年に彼らがリリースしたEP『幻觉』で初めて面孔乐队の存在を知りました。名前くらいしか知らなかったのですが、先にも言ったように中国のバンドブームを巻き起こしている「乐队的夏天」に彼らが参加していることを知って改めて聴いたわけです。そしたらまあなんと、1曲目の「英雄」から西洋のヘヴィメタルバンドと比べてもなんら遜色のないスリリングでズンズンな楽曲をかましてくるじゃないですか。中国ってあまりロックのイメージ、ましてやヘヴィメタルなんて無い方も多いかと思うんですが、そんなことはございません。ちょっと昔のメタリカっぽい感じもあってすごくカッコいい、海外に出してもウケるなじゃないかなと思うレベルです。と思いきや、2曲目の「幻觉」ではアコースティックギターも入ってマイルドさもありつつ、メロディはめちゃくちゃC-POPな感じもあって。そんなにメタルメタルしてなくて聴きやすいかなと思います。番組でのパフォーマンスでも披露されていたのですが、トップ7には残れず途中の選考で敗退。個人的にとても好きだったのに残念です……。いつか生でライヴを見れたらいいなあと思うばかり。

中国のバンドってどんなんだ? って思う方々は是非とも色々掘ってみると面白いと思います。邦楽と違わず、アイドルバンドとかもいるし面白いと思います。世界的にはデジタルな音楽やヒップホップなんかも流行っていますが、ここで巻き起こる中国のバンドブームはチェックしておいてほしいなと思います。

今週はこの辺で。

また来週、ひとつよしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。

エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

あわせて読みたい