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【LIVE REPORT】xiangyu、初の自主企画イベント〈香魚荘827〉で魅せた一年間の進化

StoryWriter

xiangyuが、8月27日(火)、デビュー1周年と1st EPの発売を記念し、初の自主企画イベント〈香魚荘827〉を東京・渋谷O-nestにて開催。半澤慶樹(PERMINUTE)、テニスコート、ぎゅうにゅうとたましい、コメカ(TVOD)、トリプルファイヤー、酒向萌実が出演した。

本記事では、xiangyuが1年間の集大成を魅せた本イベントをレポートする。


xiangyu初の自主企画ということでxiangyuのやりたいことを詰め込んだ本イベント。渋谷・O-nestの会場内にもxiangyuのこだわりが散りばめられていた。入場しまず目に入るのは、天井からネットで吊り下げられた“みかん”。その下には昔ながらの畳とちゃぶ台が用意され、香魚荘に訪れた人が談笑するスペースとなっていた。また、会場に配置されたプチトマトやアロエなどの植物はxiangyuが実際に育てたもので、そこから微弱電気を取り半澤慶樹(PERMINUTE)が音に変換するといったパフォーマンスも行われ、ほのかなみかんの香りとchillな雰囲気に会場は包まれていた。

本イベントは、”TALK STAGE”と”LIVE STAGE”の2ステージ構成となっており、トークコーナーとライヴコーナーが入れ替わりで休みなく行われた。

18時50分、まずTALK STAGEに登場したのは本日の主役xiangyuとアパレルブランドPERMINUTE(パーミニット)を手がける半澤慶樹、新古典派ナンセンスコメディを展開するコントユニットテニスコートの神谷圭介。ジャンルの全く異なる3人が集まってのトークも本イベントならではの企画だ。xiangyuとは学生時代からの友人である半澤は、自身のアパレルとのコラボではなく1人のアーティストとしてオファーがきたことに驚いたと話した。神谷の紹介時、xiangyuが「テニスコートさんのコントは絶対に面白いので楽しみにしてください!」と話すと、神谷は「ハードルを上げないでね」と返し、会場からは笑いが起こった。

続いて本日初のLIVE STAGEに登場したのはぎゅうにゅうとたましい。パジャマ姿でゆらゆらと歩きながらのパフォーマンスだ。観客は、ノイズ混じりのエネルギッシュなトラックに体を揺らしながら、その上に乗るゆるい歌詞のラップとのギャップを楽しんでいるようだった。全6曲を披露すると、「今日は最後までくつろいでいきましょう!」とライヴを締めた。

続くテキストユニットTVODで活動し古本屋早春書店の店主も務めるコメカとxiangyuのトークコーナーでは、実はかなりの本好きというxiangyuの意外な一面を掘り下げた。xiangyuは、元々ファッションを学んでいた学生の頃から、周りの人を巻き込むような場を作りたいと思っていたという。本イベントでもxiangyuという存在が多くの人を巻き込む1つの場となったのは、彼女の「人の繋がりに興味がある」という姿勢が通底しているからではないだろうかとコメカは話し、「きっと本屋向いてますよ」と勧めると、xiangyuも「じゃあ、やろっかなー」と笑いながらも乗り気の様子。

そして19時35分、トリプルファイヤーのライヴが始まった。全10曲を披露したそのパフォーマンスは、ここまで明るく前向きだったこのイベントの厚みを増やすように観客を魅了した。鳥居(Gt.)、山本(Ba.)、大垣(Dr.)、シマダボーイ(Perc.)のタイトなリズム裏打ちされたトリッキーなプレイと、吉田(Vo.)のナンセンスな歌詞の世界観との絶妙なバランスがゆるさと緊張感を両立させていた。

20時15分からは一転し、社会問題と向き合う人のクラウドファンディングプラットフォームを運営する株式会社GoodMorningの代表酒向萌実、先ほどライヴを行ったばかりのぎゅうにゅうとたましいとxiangyu。意外にも同学年だという3人が、仕事や世代感について話し合った。25の誕生日に急に社長のオファーを受けたという酒向に終始興味津々の2人だった。

テニスコートのステージでは、コントライヴと音楽イベントの相性の良さを見せつけた。次々と出てくるワードのチョイスと緩急の大きいテニスコートのコントが本イベントを見に来ていた観客とうまくマッチし爆笑を巻き起こす。コントは3本立ての構成となっており、車のコントからF1のテーマ曲として有名なT SQUAREの「TRUTH」を3人で歌いコントが閉められるという驚きの展開で閉められた。

20時55分からは西澤裕郎(StoryWriter)を司会に迎え、先ほどライヴを行ったトリプルファイヤーの吉田(Vo)、鳥居(Gt)が、xiangyuが気になっているという歌詞の世界観についてのトークをおこなった。トリプルファイヤーは吉田の書くニヒルな歌詞が特徴の一つだが、意外にも1人称は吉田ではない場合もあるとのこと。しかし鳥居は曲を作った時には想像もしなかったような歌詞が乗ることに疑問を感じているようで、吉田が「コミュニケーション不足ですね」とコメントすると会場は笑いに包まれた。

そして最後に、本日の主役xiangyuが登場。1曲目「ヒューマンエボリューション」からエネルギー全開のパフォーマンスを魅せる。息を切らしながら続けた「Go Mistake」では、ゴミ処理場の映像のVJをバックにサビではその縦ノリなビートに会場が揺れると、新曲「ピアノダンパー激似しめ鯖」へ。ゴリゴリの低音にピアノダンパーとしめ鯖が似ているという謎な歌詞が乗るまさにxiangyuらしさが溢れる1曲。続けて、1年前に初めてリリースした曲「プーパッポンカリー」や「菌根菌」という定番曲で1年間の成長を見せつけるなど、パワーアップしたxiangyuが魅せる生命力に会場は一体となって盛り上がった。

そして、新曲「ひじビリ」へ。今までにない高速ビートに少し苦戦しつつも、新たな表現方法にも挑戦する姿勢は今後の可能性になっていくだろう。そこから一転しライヴの人気曲「31」、「ハマエゲ」、「餃子」では落ち着いて歌い上げるという場面も。最後は、「風呂に入らず寝ちまった」で定番となった風呂(ビニールプール)に入り観客の上を回るパフォーマンスで大きく盛り上がる。スモックがまるで湯けむりのように立ち込める中、観客を1人1人確かめるように会場を隅々まで周回した。曲が終わり感謝を述べライブを締めようとすると、観客がまだ終わりたくないとxiangyuがステージに残る中すぐにアンコールをおこなった。想定外の出来事に驚きつつ、嬉しそうな表情を見せxiangyuが、「Go Mistake」と「プーパッポンカリー」のどちらか歓声の多かった方を披露しますと言うと、どちらも大きな歓声が上がり、結局2曲とも披露。今日一番の盛り上がりを見せ、イベントは終了。

人前で歌うことがコンプレックスだった彼女が、たった1年間でここまで堂々としたパフォーマンスを魅せるように成長したのだから驚きだ。xiangyuはこの先どこまで大きくなっていくのか、その進化にこれからも目が離せない。(横澤魁人)


〈香魚荘827(シャンユーソウ827)〉

2019年8月27日(火) 東京・渋谷O-nest

出演:xiangyu、半澤慶樹(PERMINUTE)、テニスコート、ぎゅうにゅうとたましい、コメカ(TVOD)、トリプルファイヤー、酒向萌実

=xiangyu セットリスト=
1.ヒューマンエボリューション
2.Go Mistake
3.ピアノダンパー激似しめ鯖
4.プーパッポンカリー
5.菌根菌
6.ひじビリ
7.31
8.ハマエゲ
9.餃子
10.風呂に入らず寝ちまった
EN1.Go Mistake
EN2.プーパッポンカリー

・xiangyu 公式Twitter
@xiangyu_fish

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