皆さんこんにちは。僕は沖縄にいます。
さて、やはりこの話なのですが、弊社SWより明日9月20日に手島将彦氏による著書『なぜアーティストは壊れやすいのか?』が発売されます! イェイ!!
今年の4月にSWに僕が入社する前から進んでいた話なのですが、出版社としては素人のSWに手島先生は言うまでもなく、的確なアドバイスを下さった伊藤さん、素晴らしいデザイナーの波奈さんなど様々な方がお力添えしてくださって出来た作品でもあります。売れることだけが目的ではありませんが、本について言うと、内容に込められた理念・思想というものはやはり手にとって頂かないと分からないものだと思います。手島さんも各所でお話しされていると思いますが、本書に出てくる発達障害・うつ・その他の話題というのは、関心がある人は自然と自分で調べていくので知識がついていくのですが、興味がない人というのは全く興味がないものです。
なので、難しいことなのかもしれませんが、こういった分野に興味がない人ほど読んでくれたら嬉しいなと思います。興味を持ってもらうために我々が1番頑張らないのですが……。
今週のお話をば。先日、中国映画の贾樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の『帰れない二人(原題:江湖儿女)』を観に行きました。
ジャ・ジャンクー監督といえば、ご自身の地元である山西省を舞台に、急激に変化していく中国の社会状況とその中で生きる人々のストーリーを描いた作風で有名な方です。これまでもジャ・ジャンクー監督の作品を何度も観たことがあり、特に『一瞬の夢(原題:小武)』と『青の稲妻(原題:任逍遥)』がお気に入りです。でも、今回の『帰れない二人』は本当にすごかった。いくつもの時代を跨いで2人のはぐれ者の男女の生き様を切り取り、また、僕自身も中国にいたことがいるせいか、現地の空気感をリアルに感じられてしまって、2時間超ずっと2人から目が離せませんでした。
舞台は2001年、山西省・大同(ダートン)。チャオの恋人とヤクザ者のビンの物語で、ビンは雀荘などの遊戯場を仕切ったり、仲間からの信頼も厚い兄貴分の存在です。ある日町中で車に乗っていると、若いチンピラの集団に襲われてしまいビンは流血して危うい状況に陥ります。それに耐えられなくなったチャオは、拳銃を持って車を飛び出し空に向かって威嚇射撃することでビンを救います。ですが、街中なので目撃者も多く、銃の不法所持などの罪に問われチャオは5年間刑務所へ。5年後に出所すると、チャオはビンを探すために奉節へと向かい再会するも、すべてを失ったビンは故郷・大同には帰れない、と言います。言葉を飲み込み立ち去るチャオ。そのまま時は流れ2017年、すっかり老け込んだ2人が再び大同で出会い…… というものです。
激しく変化していく中国では、景気のいい話もよく聞こえてきますが、その分陰の世界も存在するわけです。激しく変化する社会と相対的に、時代の陰に取り残された2人の感情に変化はあったのか? と言われると若輩なので正直分かりませんでした。でも、2017年の2人はラストシーンできっとお互いに走馬灯を見ていたんじゃないかなと思います。お互いにやっと掴めた幸せを実はひっそり感じていたと思うと、涙が止まらなくなりそうなラストシーンです。言葉にするのが難しい感情が溢れてきました。自分が20年後とかに観てみたら、きっと何か違う言葉が出てくるのかな…… と思ったり。
どうしても色々な人に観て欲しいのであまりネタバレにならないように書きました。どうか劇場であの儚さを感じてくれたらな、と思います。色々な人と感想を共有してみたい作品です。
書いてたら落ち込んできました、
今週末は兄の結婚式なので早く気持ちを入れ替えなければ。
また来週。ひとつよしなに。
※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。