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【REPORT】映画『宮本から君へ』、池松壮亮と峯田和伸でトークイベントを開催

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全国公開中の『宮本から君へ』。主演に池松壮亮、ヒロインに蒼井優を迎え、真利子哲也監督により映画化した本作は、人生負けっぱなしの男・宮本(池松壮亮)が恋人・靖子(蒼井優)との関係を打ち砕く“衝撃の事件”をきっかけに一世一代の勝負に挑む、人間讃歌エンターテインメント。

その公開を記念して、10月11日(金)東京・新宿バルト9にて、宮本を演じた池松壮亮と、池松が敬愛する峯田和伸によるトークイベントが行われた。本記事では、同イベントのオフィシャルレポートをお届けする。


池松と峯田は、三浦大輔が作・演出を手掛けた舞台『母に欲す』で兄弟役を演じて以来、親交を深める仲。池松は、峯田のバンド銀杏BOYZの「BABY BABY」Tシャツを着て登壇した。

公開初日に劇場で映画を観た峯田は、「観終わって、(劇場で)照明がついた時のあの感覚が忘れられない。あの熱気は(映画館では)なかなか味わえない、ライヴみたいな感じで。映画鑑賞というよりも体験でした」といい、劇場をどうやって出たかも覚えていないほど衝撃だったと絶賛。「映画を観終わって放心して有楽町を歩いていて、ふと携帯の電源をつけたら、池松くんからメールがあって」とシンクロしたエピソードを披露。池松は、峯田のことを「とても尊敬している人で、一番映画を観てもらいたかった人。映画化にあたり、一番応援してくれていた」と、峯田の言葉に対して嬉しそうな様子を浮かべた。

峯田が原作と出会ったのは2005年。自身が主演を務め映画化された『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の原作が好きだったことから知人にお勧めされて読んだのがきっかけ。主演・池松壮亮×監督・真利子哲也で映画化を聞いた時には、「この二人ならいけるんじゃないかと思った。時がきた!」と確信しかなかったという。「原作はバブル時代だったからこそ生まれ落ちたもの。20年経って、ゆるふわな空気の中にどうなるか」と、今という時代に映画が受け入れられるのか、想像つかなかったが、映画を観始めてすぐに「今だからこそ通用するんだと思った」と語った。

そんな原作ファンの峯田は、ドラマ『宮本から君へ』の最終話にカメオ出演している。池松は、真利子哲也から「タクシードライバーの役に峯田さんに出てもらいたい」と聞いたとたん「峯田さんを軽く扱っちゃダメ。ワンシーンに出てもらう人ではないから」とキッパリ反対。しかし、すでに峯田に出演オファーが届き、峯田は出演を即決していた。「原作もドラマも好きだったし、何より池松くんに会える、と思って」と快諾したことを明かした。峯田は、「ご飯に誘おうと思っても「今日はイケる!」と思うのは1ヶ月に2日程度、仕事のほうが会いやすいんです」と照れる。

映画は、血だらけになった宮本が自分にビンタするシーンから始まる。この冒頭は、峯田がドラマに寄せた「池松壮亮という一人の青年が、平成の終わりを、時代を背負って、ドラマの中でぶん殴り続けている。何を。欺まんを。不自由を。俺を。もうそういう事じゃないんです」というコメントを受け、池松が監督に提案して映画の導入になった。

「この時代に、あれだけの原作を引っ張り出して映画化するということはどういうことなのかを考えた時に、宮本が自分をビンタし続けることで、宮本が何者かを見せることができるんじゃないかと」と話し、映画の中で唯一、原作にないシーンとなった。ライヴでの峯田はマイクで自分を殴り続けるパフォーマンスをする。峯田は「お客さんをぶん殴るには、まず自分をぶん殴らないと」と話し、池松は「自分に罪の意識をもつことを、峯田さんと会ったときから教えられてきたので、原作から反映させたかった」という想いも吐露した。

 

峯田に映画の好きなシーンを問うと、映画の中盤、雨の降る海岸で、宮本と靖子が対峙して語るシーンをいい、「それまで写実的で生々しいのが、あのシーンだけは抽象的でファンタジー。大林宣彦監督の作品のような。そういうヒキの演出もあって、この作品は何度も見たくなるのかもしれません」と語った。

蒼井が演じる靖子に関しては、「最高過ぎる」の一言。『斬、』も鑑賞した峯田は池松と蒼井に対して「二人は前世でなにかあったんじゃないかな」とつぶやき、2人の信頼関係に感服した様子。そして、純粋に「(蒼井が)結婚したことで凹まなかったですか?」と問いを投げかけ、池松が否定すると、会場は笑いに包まれた。

最後に、峯田は「『タクシードライバー』や『太陽を盗んだ男』が今でも大好き。そういった類の作品に『宮本』も入ったんじゃない? 池松くんはしばらく適当に仕事していいと思う。それぐらい頑張った。15年ぐらいボケーッとしていいよ」と池松へ言葉を投げる。池松は「目に見えない圧力を受けていたり、フラストレーションが溜まっていたり、その中で生きている人の背中を押せる作品になっていたらうれしい。センシティブなことも扱っていますし、どれだけやっても無力さと罪の意識は残りますが、峯田さんの言葉に報われたような気がしました。隣に峯田さんのような人がいると、自分も何かやらなければという気持ちになる。ライヴを観に行っては力をもらっています。峯田さんが15年休むのであれば休みます(笑)」と応答し、相思相愛ぶりにほっこりした舞台挨拶となった。

また、10月19日(土)には東京・新宿バルト9にて『宮本から君へ』応援上映、10月20日(日)には東京・ユーロスペースにて蒼井優が登壇するなど続々とトークイベントを実施予定。詳しくは公式HPまで。


■作品情報

『宮本から君へ』

原作: 新井英樹 『宮本から君へ』
百万年書房/太田出版刊
監督:真利子哲也 脚本:真利子哲也、港岳彦
出演:池松壮亮 蒼井優 井浦新 一ノ瀬ワタル 柄本時生 星田英利 古舘寛治 ピエール瀧 佐藤二朗 松山ケンイチ
主題歌:宮本浩次「Do you remember?」(ユニバーサルシグマ)
レコーディングメンバー Vocal:宮本浩次、Guitar:横山健、Bass:Jun Gray、Drums:Jah-Rah
配給:スターサンズ、KADOKAWA
(C)2019「宮本から君へ」製作委員会

公式サイト:miyamotomovie.jp

あらすじ
文具メーカーで働く営業マン宮本浩は、笑顔がうまくつくれない、気の利いたお世辞も言えない、なのに、人一倍正義感が強い超不器用な人間。会社の先輩の友人である、自立した女・中野靖子と恋に落ちた宮本は、靖子の自宅に呼ばれるが、そこに靖子の元彼・裕二が現れる。裕二を拒むため、宮本と寝たことを伝える靖子。怒りで靖子に手を出した裕二に対して、宮本は裕二に「この女は俺が守る」と言い放つ。この事件をきっかけに、心から結ばれた宮本と靖子には、ひとときの幸福の時間が訪れる。しかし、二人の間に、人生最大の試練が立ちはだかるのだった。究極の愛の試練に立ち向かうべく、宮本が”絶対に勝たなきゃいけないケンカ”に挑む!

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