Elephant Gym、新曲に込めた“青”の想い「“Underwater”に凝固されたものを凝視できる」

2012年に台湾・高雄市で結成されたスリーピースバンドElephant Gym(大象體操)。台湾での人気は圧倒的であるのはもちろん、日本や海外でも精力的に活動を行い、昨年から1年に渡り全14カ国約100公演のワールドツアーを開催するなど、その人気はアジアのインディーズシーンとしては随一となった。また、今月にはTyler, The Creator主催〈Camp Flog Gnaw Carnival〉(LAドジャースタジアム)出演を控えており、また、日本のインストバンド、LITEとの北米西海岸ツアーも敢行する予定である。その一方で、新曲「Gaze at Blue(凝視)」も発表、来年1月には自身初となる東名阪ワンマンツアーを控えている。

そして今回StoryWriterでは、そんな話題に尽きないElephant Gymへ新曲「Gaze at Blue(凝視)」へ込められた”青”への想いと敢行中の北米ツアー、及び来年の半年の充電期間について、ビデオ通話を通してのインタビューを決行した。

(取材・翻訳・文:エビナコウヘイ)


水底までたどり着いたら全てが抽象的で、だけど青色ばかりが広がっていた

──今回発表された新曲「Gaze at Blue(凝視)」はどなたがメインで作られたんでしょう?

Chia-Chin Tu(涂嘉欽・Drum 以下:Chia-Chin):今回の曲は僕が最初にドラムとバッキングループだけのデモを作りました。その後、KT(張凱婷)とTell(張凱翔)と話し合ってどういう風に作っていくか考えたんですよ。曲の構成や元々のドラムも彼らの意見を取り入れていく中で何度も変えたりしました。なので、最初のデモはもちろん僕が作りましたが、完成した作品はデモとは大きく異なってますね。

Tell Chang(張凱翔・Guitar,Piano, Synth以下、Tell):最初のデモは今までの曲に比べてちょっとテンポがゆっくりだったんですよ。皆にポエティックな印象を与えたかったので。なのでMVの撮影の時も監督は結構ポエティックな手法を採用してくれて、静かな印象も与えつつ、皆がこのMVを見ながら自分自身のことも考えられるようにしてくれました。

 

──ちなみにいつ頃作られた曲なんですか?

Tell:4月頃にデモができ始めました。

Chia-Chin:その後はヨーロッパツアーに行っていて、9月くらいに帰ってきて書き上げた感じですかね。でも時間が本当に限られていて、曲を書き上げて2日後にはレコーディングが始まったんです。メンバー皆最初から最後まで1回しか通して弾いていなかったので、レコーディングまでの2日間必死に練習しましたね。

──この曲に込められた想いってどんなものなんでしょう?

Chia-Chin:この曲を作り始めたきっかけっていうのは、僕は外を散歩している時によく風景を見ているのですが、いつもとある風景に釘付けになってしまっていたんです。しばらくその風景を見ていても、退屈だとか全然思わず、なんなら色々なことに思い至っていくうちに、自然とインスピレーションが湧いてきた。なので、この曲は湖を眺めているような気持ちになれるし、何かしらの風景や絵画を眺めているような気持ちになってくると思います。色々な時節や観察が盛り込まれているはずですよ。

Chia-Chin Tu(涂嘉欽・Drum )

──今回の楽曲は英題だと「Gaze at Blue」ということで、青いものや水と関連するものが連想されました。それはやはり前作の『Underwater』と関連がある世界観なのでしょうか?

KT Chang(張凱婷・Ba 以下:KT):ありますね。前作をリリースした後にアメリカツアーに行ったわけですが、『Underwater』のリリースから1年をかけてもっと深い場所まで、「水底」(=Underwater)というものを探ってみたくなったんです。水底までたどり着いたら全てが抽象的で、だけど青色ばかりが広がっていたという感覚があったんです。

Chia-Chin:僕にとって「青」というのはとても簡単で、1種類の青しかないと言ってもいいです。青ってスペクトルで見たら無数の種類の青があるじゃないですか? だから大まかにかいつまんで青と言ってもいいし、細分化して細かく捉えてもいいと思います。

Tell:今回「Gaze at Blue」という曲を作った理由というのは、来年にはElephant Gymは半年間ライヴ活動を休止します。なので、今回の北米ツアーの中で、『Underwater』の世界観に一つ区切りをつけたいなと思うんです。今回LITEと周る北米2マンツアー〈The Blue Tour〉は、ツアーポスターに湖が結氷している写真を使用しているんですけど、僕らは最初、結氷の表面には何も見えないと思っていたんです。でも実はそうじゃなくて、水面まで逃げきれずに凍りついてしまった小さな気泡がたくさん湖の中にあるんですよね。僕らの”Underwater”の底にも色々なものが凝固されていて、時間が止まっているもの、それらを凝視することができると思うんです。

Tell Chang(張凱翔・Guitar,Piano, Synth)

Chia-Chin:ちょっと訊きたいんですけど、台湾は気温が高くて氷点下になることはないんですが、日本では雪も降りますしこういった凍った湖面の景色見れたりするんですか?

──僕は青森の田舎出身なので冬はとても気温が低くて、そういった景色はよく見かけましたよ。

Chia-Chin:じゃあさっきのツアーポスターの写真のような景色も見たことあります?

──ありますあります(笑)

Chia-Chin:台湾ではどうあっても見れない景色なのでとても気になったんです!

来年の半年の充電期間の意味

──先ほども少しお話してらっしゃいましたが、来年は半年間ライヴ活動を休止されるそうですね。そちらはどうしてなんでしょうか?

Tell:2015年にも、僕とChia-Chinが徴兵に行ってバンド活動を休止していたんですけど、その間にメンバーそれぞれが色々な音楽ジャンルをどんどん掘り下げ始めたんです。僕は韓国の音楽を聴いていたし、Chia-Chinは元々日本の音楽が好きで聴きかじっていて、KTはジャズをやっている友達と一緒にジャズを練習してみたり。そして、徴兵が終わってバンドを再開した時に、皆がそれぞれ異なったスキルや発想をエレファントジムに持ち込むことができたから、約1年間の〈Underwater World Tour〉を敢行することができたんです。なので、また皆が色々なものを学んで吸収したり、色々な音楽に触れて、次のアルバムを制作する時には各々違うアイデアを込めることができると思ったんですよ。

KT:ツアーやアルバム制作の時は他のアーティストの音楽を聴く時間が少なくなってしまいます。仕事状態の時は、他の作品に触れようとする衝動がなくなってしまうので、今回ライヴ活動を休みたいっていうのは充電期間ですね。

──なるほど。前回のアルバムでも原住民の歌手とコラボしたり、ラップを取り入れた曲もあってとても精力的に挑戦している感じがしました。国外での活動も多く、バンドとしてとても順調な感じがあったので、ここで半年ライヴ活動を休止するっていうのはとても意外な感じがする人もいると思いました。

KT:あー、でも本当に全然そんな深刻な理由はないんですよ! 別にライヴ活動休止を強調しているわけでもないし、ライヴ活動休止前だからツアーやろう! ってタイミングを加味したわけでもないですし。なんなら修行しようっていうくらいのもので、本当に心配していただくようなことはないですよ(笑)。ライヴお休みしますよって宣言しておかないと、きっと色々なところから素敵なライヴのお誘いもいただいてしまうじゃないですか。そうなると、私たちも断らないので、休みがなくて(笑)。〈Underwater World Tour〉も当初の予定よりどんどん長くなってきていたものだったので。だから、本当にしっかり練習したいなら、ちゃんと皆に「ちょっとお休みします」って伝えないといけないなって思ったんです。半年だけだし。

KT Chang(張凱婷・Ba)

Chia-Chin:要するに皆にもっといい作品を届けたいから休むってことですね。

──そうなんですね。わざわざライヴ休止を宣言したので何かあったのかと心配になっていましたが、安心です(笑)。

KT:別にメンバーの関係性なんかも全く問題ないですし! 「全く心配いらないよ」って日本のファンの方にもぜひ伝えてくださいね!

Tell:僕たちの活動はとても順調だと思います。でもツアーの時にはプレッシャーもあったんですよ。イギリスで2回荷物を、パソコン2台とKTの服が盗まれたんですけど、警察の人があまり対応してくれなかったりして。荷物を盗まれたら単純に各地を回る上でも大変ですし、パソコンがなかったのでステージでの演奏にも支障がありました。そういう意味でも、ツアーで疲労が溜まってしまったので休みたいっていうのはありますね。

──ちなみにライヴ活動をお休みする前に日本でツアーを決めたのはなぜなんでしょう?

Tell:やっぱり日本っていうのは僕らもとても大事にしている場所で、大好きな音楽場景が広がっているんです。あとは、前回日本に行った時、アルバム『Underwater』の収録曲で披露できていない曲もありました。あの頃はまだ仕上げきれていなかった曲もあるんですけど、今回はそれらの曲もちゃんと届けたいと思っていて。日本初のワンマンツアーなので、ライヴお休みしちゃう前に完全な状態のElephant Gymの演奏を皆さんにお届けできると思います。ツアーでは特別な内容も準備していますが、それはライヴに来てくれた方だけが楽しめるものだと思うので、皆さん楽しみにしててね!

──来週(インタビューの時点で)からLITEとの2マンツアー〈The Blue Tour〉が始まりますが、抱負をお聞かせください。

KT:LITEのメンバーに日本語を教えてもらいたいです(笑)。毎回日本に行くのは半年毎とかになって、勉強して行ってもすぐ日本語忘れちゃうので、今回のツアーではLITEのメンバーに日本語の先生になってもらいたいです!

──それは大事ですね(笑)。

Chia-Chin:僕が初めてLITEのライヴを観たのは地元の台湾・高雄なんです。しかも高校生の頃なので大体10年前。なので、彼らと一緒にツアーを回るっていうのはとても不思議な感じがします。僕らもLITEの音楽が好きだし、演奏力もとても素晴らしいと思います。僕らは対バンの時、先に演奏するのが好きなんですけど、今回の2マンツアー後半は多分出番を逆にするかも。

KT:皆どんどん年齢を重ねてきてるので後にやると疲れちゃうんですよ、私たちもLITEも先に演奏しちゃいたいんです(笑)。私たちも体力がないので(笑)。

Chia-Chin:一緒にやるバンドにはやはり素晴らしいパフォーマンスをしてほしいと思いますし、一緒に楽しめれば互いの刺激にもなりますしね。互いに励まし合って刺激しあってツアーを回りたいですね。

──互いに励まし合いながら切磋琢磨して頑張ってください! 最後に日本のファンの皆さんに一言お願いいたします。

Chia-Chin:日本は多分海外の中で1番多く行っている場所だと思います。いつもライヴに遊びに来てくれてありがとうございます。何度も日本に行くうちに多くのファンの方がついてくれるようになって、とても感謝しております。今回のワンマンもぜひ遊びに来てね!

Tell:今回のツアーではある演出も用意しているんですけど、海外のライヴではなかなか特別な演出を準備できる機会が少ないので、皆さんにもぜひ足を運んでいただいて観に来て欲しいです!

KT:(後ろからひょっこり現れて)新曲やるよ!


■ツアー情報

Elephant Gym
1st One-Man Tour in Japan 2020
〈The Rats and The Elephants〉

=ツアー日程=
2020年1月12日(日)@愛知・名古屋UPSET
2020年1月13日(月祝)@東京・渋谷CLUB QUATTRO
2020年1月15日(水)@大阪・梅田Shangri-la

チケット:
前売3,800円 / 当日4,300円(D代別途)

■一般発売:11月2日(土)下記にて発売開始
・名古屋公演 :チケットぴあ(P:167-657)/ 英語販売あり・ローソンチケット(L:43723)
・東京公演:チケットぴあ(P:167-611)/ 英語販売あり・ローソンチケット(L:74611)
・大阪公演:チケットぴあ(P:167-571)/ 英語販売あり・ローソンチケット(L:56104)

あわせて読みたい