【GANG PARADE Vol.12】月ノウサギ編「目標を夢物語にするのはそろそろ辞めたい」

2019年9月より、グループ史上最大規模の全国10箇所12公演の〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催中の10人組アイドルグループ、GANG PARADE(以下、ギャンパレ)。11月4日には中野サンプラザでのワンマン、そして11月13日にはメジャー1stアルバム『LOVE PARADE』のリリースも控えている。そんな彼女たちのソロ・インタビュー・シリーズ、第2周目がスタート。

第2回目は、2018年4月にギャンパレに加入した月ノウサギへのインタビュー。人一倍の努力家で、それを表に出すことをせず、自分の美学をもって活動している月ノは、もはや新メンバーという枠もなくなり、ギャンパレを引っ張っていく存在へと成長を遂げようとしている。初めてライヴを観に行った思い出の場所である日比谷野音ワンマンのあと、一瞬未来を見失ったという月ノ。そんな彼女が今考えていることをお届けする。

取材&文:西澤裕郎
写真:宇佐美亮


できる子に寄り添える人でありたい

──月ノさんがギャンパレに加入して1年半経ちました。一生懸命になれるものがほしくて、WACK合宿オーディションを受けたわけですけど、実際、忙しい日々が続いている現状を、どう感じていますか?

月ノウサギ(以下、月ノ):何もなかったときより、ずっと幸せだなと感じています。毎日忙しくさせていただいていて、すごくありがたいと思う反面、急に何もなくなったときに、この忙しい時間をすごく恋しく思うんじゃないかと考えてしまうこともあって。気づいたらなくなっているのだけは嫌だし、やるべきことがある今の時間を、ちゃんと噛み締めていきたいなとは常々思っています。

──そこまで考えられるのは、過去に大切なものを失った経験があるからなんでしょうか?

月ノ:失ったことはないんですけど、失う人を見たことはあって。例えば、自分の好きだったアイドルが急に卒業していなくなってしまったあと、好きだったと伝えればよかったとか。それは一例なんですけど、若さも有限じゃないですか? この世の中って、若いってだけで評価されることっていっぱいあると思うんですよ。でも、若いうちってそこに全然気づけないというか。大人になってから若い頃に戻りたいって言う人もすごく多いと思うんです。私もたぶん言うと思うんですけど、できる限り、若い頃ああやっておけばよかったということは、若いうちにやっておきたいとすごく思っていて。

──先日発売された映画『世界でいちばん悲しいオーディション』DVDのボーナス・ディスクに、月ノさんとハルナ・バッ・チーンさん加入前の練習風景が映っています。なかなか振り付けが覚えられないハルナさんと、振り付けをしっかり覚えている月ノさんが対比されて描かれています。できない子の方に目がいくことを当時はすごく悔しく気にしていましたが、そのあたりは現在、どう思っているんでしょう。

月ノ:うーん……。 今も正直、気にしていないことはないというか。できる子も絶対にできない時期があるわけで、最初からできる人は絶対にいないんです。できるように努力するけど、そこを見せずにいるというか。自分が全部そういうわけではないんですけど、結構ジレンマを感じることはありますね。なんでできないの? って思っちゃうときもあって、そういう自分が嫌になったりとかもするんです。ジレンマはあるけど、自分はできない子にはなれないというか。それでも、できる子であろうとしちゃうというか。なんて言えばいいんだろう……。

──周りの評価より、手を抜いている自分が嫌になってしまうみたいな。

月ノ:それはありますね。そういう部分があるからこそ、私はできる子に寄り添える人でありたい。できない子に寄り添うのは分かりやすいと思うのですが、できる子に寄り添える人でありたいなというのは、すごく思っています。

最高を更新し続けなくなったら終わるのかなと思います

──最近のギャンパレは、グループのあり方が少し変わりつつある時期なのかなと感じていて。全員で集まって話し合う時間も前ほど取れなくなっていると思うんですけど、月ノさんはグループのあり方をどう感じていますか。

月ノ:今年の夏、WACKで初めての試みであるミュージカルをギャンパレでやらせていただけたことがすごく大きくて。前までは、BiSHがいて、BiSがいて、ギャンパレがいてみたいな感じだったと思うんです。だからこそ、WACKを知ってくれているお客さんにギャンパレも好きになってもらおうという意識も強かったのですが、最近はもっと外からギャンパレを好きになってくれる人を増やそうという方面に意識がシフトしっていっていて。今、BiSHが1番先頭に立ってWACKを引っ張ってくれていますけど、BiSHとは別の道で1番を取りに行きたいと思っています。

──以前は、WACKのグループ内でトップを取るみたいな気持ちも強かったですもんね。

月ノ:なにかの記事で、BiSHがずっと6人なのは未完成な感じがするからっていうのを読んだのですが、すごくハッとして。私はBiSHが変わらないのは、6人が完成形だからだと思っていたんです。でももしかしたら、未完成だから、この6人の先を見たいってお客さんは思うのかもしれないんだなって。逆に、ギャンパレは体制が目まぐるしく変わるグループで、その都度完成を見せてきた。だからこそ、また変化を求められて、メンバーが入ってきたり、トレードがあったのかなって。BiSHが変わらないのと同じくらい、ギャンパレは変わることを求められてきた。それがわかったとき、変わるということへの意識が変わりました。正直、9人時代はこの9人でやりたいという気持ちがあったんですけど、それは内輪に見えてしまうんだなって。変わることへの恐怖心はあるんですけど、何があっても、それはギャンパレのためなんだというのはすごく思えたんですよね。

──ギャンパレは、常に変わり続けることを求められているグループだと。

月ノ:だから最高を更新し続けなくなったら終わるのかなと思います。体制が変わって、その都度前の体制を超えなきゃいけない。9人のときは7人のときを超えるというより新しいものを作るという意識だったんですけど、いいものを作り上げていかないといけないし、それができなくなったときに、ギャンパレはギャンパレじゃなくなるんじゃないかと。そう思う瞬間もあります。

──今年5月にナルハさんが入って以降、ギャンパレ史上、最も安定期なのかなと思います。逆に安定しすぎていて、この先どうなっちゃうんだろうと考えてしまうというか。それって、負け犬魂的な物語ではなく、アルバムだったりミュージカルだったり、表現力の純度を高めていく方向に変わりつつあるからなのかなって。そういう意味で、メジャー1stアルバム『LOVE PARADE』のタイトルには意味があるんじゃないかと思いました。

月ノ:ギャンパレ、というかWACK自体が「愛」という言葉をあえて使ってこなかったと思うんですけど、このタイミングでまっすぐに万人に伝わるテーマを歌わせてもらえることにすごく意味があるなと思っていて。まずは、この10人で、このアルバムを1人でも多くの人に届けたいという気持ちはすごくありますね。ここで届けられないと、何も届けられないと思うので。

──月ノさんにとっての愛というのは、どういうものなんでしょう?

 

月ノ:愛ってすごく抽象的で、すごく自由なものだと思っていて。使いすぎると胡散臭くなるというか。まっすぐだからこそ伝わらなくなるときもあるなって。『LOVE PARADE』の取材で、愛についてお話をする機会があるのですが、語っていくうちに、愛ってなんだ? ってなっちゃうことも多くて。使いやすい言葉だからこそ、使いどころを考えないと伝わらない言葉になってしまう。本当は重い言葉のはずなのに、何より軽くなってしまうときがあったり、すごく愛って難しいなと、言葉にして思ったことは多かったです。その中でも、誠意のある嘘のない愛をまっすぐ伝えられるにはどうしたらいいんだろうと考えて、伝えようとする努力を失っちゃいけないなとはすごく思いますね。

野音が終わった瞬間に一瞬だけ未来を見失った

──現在全国を回っている〈PARADE GOES ON TOUR〉はどうですか? 初日の横浜公演の後、渡辺(淳之介/WACK代表)さんから、強めのダメ出しをされていました。その後、何箇所か回っての手応えはどうなんだろうなって。

月ノ:初日は準備不足で臨んでしまったというか。やれることはやったけど、やれることがあまりに少ない状態でステージに立ってしまったなと思っていて。その場にいたお客さんのことしか考えていなかったというか。それは間違いではないんですけど、ここからツアーを回っていくぞという気持ちだったり、これからツアーを一緒に回ってくださるスタッフさんへの気持ちが純粋に足りていなかった。お客さんに初日は甘えてしまったというか、お客さんが楽しそうならそれでいいみたいに、上に行く気持ちを止めてしまった。ツアーを回って少しずつよくなってきたなとは思っているんですけど。10人で話し合う時間が少なくて、気持ちの面での基盤があまり固まっていないというのも正直な現状で。パフォーマンスの面ではすごくよくなってきているけれど、中身が伴いきっていないかもしれない。そんな感覚もあります。あまりこういうことを言うと、来てくださったお客さんに失礼なので言いたくないんですけど、もっと成長するべき部分があったのではと思います。個人としてもグループとしても。地方はチケットが売り切れなくて、分かりやすく数字に出たので、そこはすごく実力不足を感じましたね。

──ツアーファイナルの中野サンプラザは、ギャンパレが初めて立つ場所です。チケットは即完していますが、どのようなライヴにしたいと思っていますか?

月ノ:ずっと忘れたくないのは、お客さんを幸せにしたいという気持ちなんです。ありがたいことにチケットはソールドアウトしているので、1人残らず楽しんでほしいし、幸せになってほしいし、プラスの感情を抱いて帰ってもらいたい。より外の人に届くライヴにしたいというか、先が見えるライヴにしないとと思っています。今まではあまりそういうことを考えずにやってきたら、自然と先が見えたんですね。去年の〈REBUILD TOUR〉のZepp Tokyoも必死にやった結果、先が見えたというか。でも今回は予め先を見ながら、ギャンパレのよりよい未来に繋がるライヴにしたい。そのために個人としても、グループとしても、何ができるかをこのツアー中ずっと考えてはいるんです。中野サンプラザには、意志を持った10人で立っていたいなと思います。

──実際、話し合う時間や一緒にいる時間が減ってきた現状の中、10人の未来に向かっての目標とか意志は形作られてきている感じはありますか?

月ノ:10人で会う時間というのはむしろ多くて、ほぼほぼ毎日会っているんですよ。でも、ちゃんと話し合えていないというか、根本の話をできていないことが多くて。未来へのビジョンが各々で違う部分もあったりするから。すごく個人的な話なんですけど、私は日比谷野音に思い入れがあって、野音が終わった瞬間に一瞬だけ未来を見失ったんです。個人としてどこを目指していこうみたいな。

──そんな状態があったんですね。そこからどう気持ちを転換したんでしょう。

月ノ:メンバーが10人いて、目指したいところが1人1人違うから、どこかを目指したいメンバーがいるなら、そのメンバーと一緒に頑張っていきたいと思って、そのためにやるべきことをやっていかないとと思いましたね。だから、未来のビジョンをこのツアーで見つけ出したいんです。今までのツアーだと、ファイナルをソールドさせたいという目標だったり、身近に分かりやすい目標があった。今回は逆のパターンで、ありがたいことに中野サンプラザが早めにソールドアウトしたので、より先のことを見据えて目標を立てて進んでいかないといけないなとは思っています。目先のツアーだけではなく、もっと未来の立ちたい場所だったり、どれだけギャンパレを世に出したいかとかを考えないといけない。

でかい目標を現実として捉えていくべき

──日比谷野音のあと、未来を見失ったという話がでましたけど、野音は初めて月ノさんがライヴを観に行った思い入れのある場所なんですよね。そこに自分が立ったことで、達成感を感じたっていうことなのかもしれないですね。

月ノ:達成感と同時に、喪失感もあって。無意識に目標として見定めすぎていたんだと思います。一瞬、心が空っぽになったというか。それだけ特別な場所だったと思う。そこから取り戻したのですが、一瞬だけそういう時期がありました。それはグループとしてというよりは、個人的な話なんですけど。

──でも、よく取り戻せましたね。

月ノ:それはやっぱり、メンバーが側にいてくれるからというのもあるし、周りの方が予定を組み込んでくださって忙しくさせていただけたからだと思います。

──BiSHは結構早い段階で、ドームツアーをやりたいとか、SMAPみたいな存在になりたいといった大きな目標を口にしていました。逆にギャンパレは、そのあたりが現状バラバラでまだ探しているような最中なのかもしれないですね。

月ノ:そこが今、1番の悩みというか。でも、ドームツアーだったり、武道館だったり、1万人のお客さんを呼ぶとか、そういうのを夢物語にするのはそろそろ辞めたいなと思っていて。なんだかんだ心の底では届かないとか、自分たちにはまだ早いと思っているところもあって。もちろんできたら嬉しいけど、まだ夢のように思っている部分が多い。それが夢のままだからダメなんだと思って。私はそろそろ、そういうでかい目標を現実として捉えていくべきなのかなとは思います。Mステだって出たいし、それをもっと具体的にどうやって叶えていくのかだったり、どうやったらそこに辿り着けるのかを、もっとグループ全体としても考えていけるようになっていきたいし、絶対達成したいなと思います。

──ギャンパレは最近、個々人での活動も活発になってきています。ユユ(テラシマユウカ)さんの映画の連載だったり、ドクソンさんのラーメンコラムだったり、ユアさんの音楽の連載だったり、個々人の得意なものを活かしたことを仕事に繋げています。月ノさんは自分の好きなものとか、得意なものとかでやってみたいこととかありますか?

月ノ:ずっと言っているのは、撮られる人になりたい。撮るのも撮られるのも好きなんですけど、アー写だったりとかMVだったり1つの作品って、すごい手間がかかっていて。いろいろな人の力が加わって、できた作品ってすごく尊いものだなと思うんです。そういうものに携わる人間になりたいし、そういう風に撮られる人間になりたいなとすごく思っていますね。いつか写真集を出したい。そういう作品が作れるぐらい、でかい人間になりたいなと思います。


GANG PARADE PROFILE

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールドの10人からなるアイドルグループ。2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、2019年4月17日にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル「FUELED BY MENTAIKO」よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。 同年5月に東阪野音ツアーを成功させ、5月26日より同事務所所属グループWAggよりナルハワールドが加入し、現体制での活動をスタートさせる。PCゲーム「マジカミ」の主題歌および挿入歌を担当し、その楽曲を収めた配信限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』を6月19日にリリース。9月より自身最大規模の全国10箇所12公演を巡るツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催中。

■ライヴ情報

PARADE GOES ON TOUR
2019年9月7日(土)神奈川 横浜Bay Hall
2019年9月8日(日)神奈川 横浜Bay Hall
2019年9月14日(土)愛知 DIAMOND HALL
2019年9月15日(日)静岡 浜松窓枠
2019年9月21日(土)福岡 DRUM LOGOS
2019年9月22日(日)広島 CLUB QUATTRO
2019年9月29日(日)大阪 なんばHatch
2019年10月5日(土)北海道 PENNY LANE24
2019年10月6日(日)北海道 PENNY LANE24
2019年10月12日(土)宮城 仙台Rensa
2019年10月20日(日)新潟 NEXS NIIGATA
2019年11月4日(月祝)東京 中野サンプラザ

チケット料金(税込)
【通常チケット※ライブハウス】
スタンディング 4,000円(税込)※入場時にドリンク代別途必要
2階指定席 5,000円(税込)※なんばHatchのみ
【通常チケット※中野サンプラザ】
全席指定 5,000円(税込)
年齢制限/スタンディングチケットの未就学児童入場不可

チケット一般発売日
2019年7月13日(土)AM10:00〜

■リリース情報
Live Blu-ray
『CHALLENGE the LIMIT TOUR at 日比谷野外大音楽堂』
2019年9月4日(水)発売
【初回生産限定盤】WPXL-90204~90205 15,800円+税 Blu-ray2枚組
100P写真集ブックレット+スリーブケース付トールサイズ・デジパック仕様
【通常盤】WPXL-90206 7,000円+税 Blu-ray1枚組
予約購入リンク
https://GANGPARADE.lnk.to/CtLTAW

Major 1st Full Album
『LOVE PARADE』
11月13日(水)発売
【初回生産限定盤】WPZL-31666~31668 12,000円+税 CD2枚組+Blu-ray1枚組
(100P写真集ブックレット+スペシャルBOX仕様)
【通常盤】WPCL-13110 3,000円+税 CD1枚組
予約購入リンク
https://GANGPARADE.lnk.to/LOVEPARADEAW

WARNER MUSIC JAPAN/FUELED BY MENTAIKO

あわせて読みたい