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【GANG PARADE Vol.13】カミヤサキ編「本当の意味での信頼関係を作っていかないといけない」

StoryWriter

2019年9月よりグループ史上最大規模の全国10箇所12公演の〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催し、11月4日には即完した中野サンプラザでのワンマンを大成功、11月13日にはメジャー1stアルバム『LOVE PARADE』をリリースした10人組アイドルグループ、GANG PARADE(以下、ギャンパレ)。2020年4月からは初のホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉も決定している彼女たちのソロ・インタビュー・シリーズ、第2周目がスタート。

第3回目は、ギャンパレの創設者であるカミヤサキ。プラニメ〜POP〜GANG PARADEと2回のグループ名の改名、活動休止期間、BiSへのレンタルトレードなど、数々の逆境を乗り越えてきたカミヤが、2019年のギャンパレの状態を赤裸々に語ってくれた。率直な気持ちの変化や、これからグループをどうしていきたいかなど、じっくりとロング・インタビューを行った。

取材&文:西澤裕郎
写真:宇佐美亮


どうにかしたいと思っていた問題が表面化してきた

──中野サンプラザ公演の本編終了後、「GANG PARADEの、現在。」という映像がスクリーンに流れました。メンバー10人が抱えている想いを語った映像の中でほとんどのメンバーが涙を見せており、サキさんもボロボロ涙を流しながら語っていました。どんな気持ちで話をしていたのか、訊かせていただけますか。

カミヤサキ(以下、サキ):当時、グループの雰囲気がよくなかったのもあるのですが、レンタルトレードを終えてBiSからギャンパレに戻ってきてから、私自身がどうにかしたいと思っていた問題が表面化してきていたというか。これまでのギャンパレは仲間意識的なもので成り立っていたグループで、その根底には逆境を乗り越えるという物語があった。一方で、そうじゃない部分も強くしていかないと、馴れ合いになっちゃうんじゃないかとも思っていて。本当の意味での信頼関係を作っていかないといけないんじゃないかと思って話していました。

──それがなかなか上手くいっていなかった?

サキ:上手くいかなかったというか、一瞬はよくなるけど違う形で同じような問題が起こるみたいなことが続いていたんです。根本的な解決に向かわないみたいな。これまでは仲間内でどうにかできていたけど、スタッフさんや関わる方も増えて、そうもいかなくなってきた。そういう時期のインタビューだったんです。

──今年5月に開催された日比谷野音ワンマンのMCは、次に向かっていこうという気持ちが伝わってきました。そのときと比べて中野では心境が変わっていた?

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サキ:日比谷野音のときも、変えたい気持ちはあったんですけど、それ以上にたくさんの方がお祝いをしてくださっていたので、お客さんだったり、スタッフさん、WACK所属の子たちに対する気持ちをちゃんと届けたい気持ちが強くあって。あのときのMCをさせてもらったんです。

──2019年のギャンパレは、メジャーデビュー、日比谷野音ソールドアウト、中野サンプラザソールドアウトと、プラニメ〜POP時代から考えると、信じられないくらいよい状況にいると思います。それにも関わらず、メンバー全員が口を揃えて、あまりよくない状態だと感じていることに、すごくびっくりしました。

サキ:今までは、分かりやすく打破するものがあったんです。例えば去年の夏頃はツアーファイナルのZeppがソールドアウトしていなかったので、それを売り切るために向かっていくとか、世間から小馬鹿にされていたときは、それを覆そうという気持ちだったりで1つになりやすい環境だった。BiSHはずっと自分たちを超えて上に行くというところで戦ってきたと思うんですけど、ギャンパレがそういうところにほんのちょっと片足を突っ込んだときに、あれ? みんなで何を見ていたんだっけ? ということになっちゃったのかなと思います。

──これまでのギャンパレは苦しいことが多かったけど、越えていくものが分かりやすかった、と。

サキ:と思いますね。今はグループで考えることも大事だけど、1人1人が何を見てどうなりたいかという意識が欠けていたら、気持ちの差が生まれてしまうと思うし、そういう部分で上手くいっていなかったのかなとは思います。

過渡期かなと思いますね

──話を少し遡ると、第2期BiSの解散に関してはどんなことを思いましたか?

サキ:渡辺(淳之介/WACK代表)さんが、BiSのことを1番愛していたんだということをすぐに思いました。逆に、メンバーからは本当にBiSをやりたいのかが分からなかった。レンタルトレード中、一緒に活動していた子もいたので、どうにかやりきってほしいなとは思っていたのですが、度々発せられる「この9人で」という言葉に違和感は感じていました。9人である以前にBiSだから。そういう意味で、本当にBiSを大事にしている子がいるのかはちょっと分からなかったかなと思いますね。

 

──その結果、第2期BiSは解散をしてしまいましたが、そういうグループのあり方を観て、ギャンパレはどうあるべきかということも考えたんじゃないですか。

サキ:考えましたね。ギャンパレは楽しい方に逃げちゃいがちなので。

──楽しい方に逃げちゃう?

サキ:さっき言った、メンバーとの結びつきが強い分、何かがあったときにメンバー思いになりすぎる部分があって、それが逆に仇になっていたと思うんです。なんとなくうまく解消できているように見えてしまうけど、解決できていない。今まではそれで上手くいった時期があったから、そのままの状態でやろうとしていたけど、変えていかないといけないよねというのが今なのかなと思います。

──メジャーに行って環境が変わったことで、グループとしてのあり方も変わらざるをえない。でも、どうやって変わったらいいのかも模索中なんですね。

サキ:過渡期かなと思いますね。BiSからギャンパレに戻って私が手出しすることが増えてきた時期があって、それが逆によくないんじゃないかと思ったんです。私も昔ほど「おりゃー!」みたいなパワーがなくなってきているなとツアー中に実感して。そんな自分がどうこうしようとしても上手くいかないよなと思って、もっと全員で作って引っ張っていけるグループにしようと話しました。特に、新しく入ったメンバーがこれからのギャンパレを引っ張っていくようになった方がいいんじゃないかって。

──ツアー前には、WACKグループとして初の舞台『プレイハウス』を行いました、ライヴとは違う経験という部分で、ギャンパレにとっても影響は大きかったんじゃないですか。

サキ:めちゃめちゃ大きかったですね。今までいろいろな方が力を貸してくださってギャンパレが成り立っているのですが、練習に関しては自分たちで進めてきたんです。初めてそういう練習の部分に関して指導者の人がガッツリ入った環境だったので、個人個人向き合う時間が多かったのかなとは思いますね。自分の与えられたセリフだったり、付けてもらった振り付けに対して、どれだけクオリティを上げられるか。ただ振りを入れるだけではなく、どういう表現ができるのか。エンタテインメントに関して、個人で向き合う時間が多かったかなと思います。

──他にどういう部分が変わったと思いますか。

サキ:『プレイハウス』をやる前とやった後では全然違くて。『プレイハウス』で稽古を付けてくださった方から、全員で歌うことの意味を学ぶこともできて。練習のときにみんなで顔を合わせてパートを繋いだり、新しい練習が増えたりもして、ただがむしゃらにダンスを練習するだけではなくなってきたかなとは思います。その分、ツアー前にみんなで集まって話す時間がとれなくて。それはこれからも同じだと思うんです。集まれる時間が絶対に減ってくる。そうなったときに、10人組というグループである以上、1人1人の持ち寄るものが大きく関係してくる。そういう意識が、あの時期には足りなかったのかなと思います。

本当に感謝しているのであればそういう伝え方ができる人にならないと

──ギャンパレはサキさんが作ったグループです。1回BiSに行って戻ってきて、昔みたいに「私がギャンパレだ!」みたいな雰囲気が、良い意味でなくなった感じがします。

サキ:いい意味でも悪い意味でも、最初の熱量を捨てすぎたなと(苦笑)。前はそれが悪い方向に出て空回るみたいなことが多かった。私がいないギャンパレがよくなっていくのを見て、私がいないことで上手くいっているんだと思えたときがあって。そのとき、自分の独占欲とか支配欲みたいなものが邪魔していたんだろうなと感じたんです。前は自分の思うようにしたいという気持ちが強かった。トレード期間中にそれを感じて自分をみつめなおした結果、そういう気持ちがなくなってフラットになれるかもなと思っていたけど、ここ1年ぐらいは捨てすぎたかもなという気持ちも出てきています。大人になってしまったのかなと(笑)。

──なかなか悩みは尽きないですね。

サキ:2年前、「ギャンパレは今、こんなに戦っているのに」と思ってBiSに行ったけど、BiSもすごく大変で。そのときに、別に大変なのはギャンパレだけじゃないなと思って。結局どこに行っても、それぞれぶつかるものがあって、そこに大きいも小さいもないなと。どのグループも、いろいろなものを抱えてやっているんだなと思いました。

──動画では「お客さんがいてくれているから頑張ってこれた。初めての感情かもしれない」という言葉がありました。どういう気持ちからの言葉なんでしょう?

サキ:これまでは、馬鹿にされているからやってやろう! みたいな精神が強くて。最近は、お客さんの楽しかったり嬉しそうな表情が見たいという気持ちに変わってきたんです。何か1つでも持ち帰ってもらえるものをギャンパレのライブで産み出したい。そういう感覚になれたのは、本当にお客さん、スタッフさん、いろいろなところで出会った人のおかげなんです。中野までの自分は感謝をMCで伝えることで終わっていた。これからは言葉で伝えるだけじゃなくて、おもしろいことや楽しいものにアウトプットして伝えていかないとと思っています。外っ顔だけの感謝だったら誰でもできるけど、本当に感謝しているのであればそういう伝え方ができる人にならないといけない。

──先日、第3期BiSとCARRY LOOSEが200km対抗駅伝を行いました。言ってみれば、昔のPOPとBiSHの対抗駅伝を感じさせる企画ですが、そうやって自分たちがやってきたことを、他のグループが繰り返して、なぞっていくのがWACKらしさでもあります。そのあたりはどう感じていますか。

サキ:それがWACKの魅力の1つでもありますよね。過去のストーリーが形を変えて蘇るみたいなことって、旧BiSを経てBiSHが始まったのもそうですし。

──サキさん自身、変わったと自分で思いますか?

サキ:変わらなくていいところまで、変わっちゃったかもしれないですね。

──変わらなくていいところ?

サキ:変に落ち着きすぎるみたいなところとか(笑)。

──常にエネルギーとパッションに溢れていましたもんね。

サキ:そうですね。ぶおーって。ギンギンでしたもんね(笑)。

「らびゅ」はすごく特別

──メジャー1stアルバム『LOVE PARADE』は、サキさんにとって、どういう作品になりましたか?

サキ:「LOVE」という共感を得やすいテーマで歌わせていただくことが本当に嬉しくて。そういう部分を表現させてもらえると思っていなかったんですよ。中野サンプラザの前に、過去のインタビューをいろいろ読んでいたんですけど、プラニメを作ったばかりのとき、旧BiSメンバーと一緒にaikoさんの中野サンプラザのライヴを観に行ったんですよ。そのライヴを観て、変なことをしなくてもストレートなパフォーマンスだけでお客さんを楽しませられるのはすごいねってプー・ルイと話していて。当時、私はダイブをしなきゃ評価してもらえないと思っていたし、変なことをしなきゃ観てもらえないと思っていたから、そういうのがなくてもちゃんと成立するのっていいよねってことを喋ったインタビューを見つけて。そのときから考えると、今『LOVE PARADE』というテーマを歌っていて、ちゃんと想いが叶えられているんだなって。世間的に見たらまだ名前も知られていないとは思うんですけど、人が共感しやすいテーマを歌えるようになったということがとても感慨深いなと思って。

──「らびゅ」では、メンバー10人でハートを作る振り付けが印象的です。あれはどういう想いで作った振り付けなんでしょう。

 

サキ:「らびゅ」はすごく特別で。あの振り付けは、ココのことを思って振り付けたんです。ココの親族の方が亡くなったタイミングが「らびゅ」の制作期間と被っていて、歌詞もそうだし、ココのことを想って付けたほうが絶対いいと思ったんです。だから、最初の振りで、ココを真ん中に、みんなが周りにいて、ハルナとヤマちゃんが横でココを支えている。2番の「1人じゃ今何もできない、あなたを探して」っていうところが、ココだけステージ上で前を向いて、みんなは後ろを向いているという構成を付けたり。そういう裏話はあります。でも、それだけにならないよう分かりやすくハートを入れたり、いろいろな意味を込めて付けています。ココと親族の方の記憶だったり、今まで過ごしてきたものが残せたらいいなと思って付けました。

──そういう作り方は、今まではそんなにしたことはない?

サキ:ガッツリそういう風に作ったのは初めてですね。ライヴでは、そこだけに引っ張られずにしっかりできるものにしたかったし、そういう思いを込めたからこそ伝えられるようにしたかった。メンバーには今の話をしていなかったんです。でも、みんなちゃんと振りの意味を噛み砕いて表現してくれているので言わなくても大丈夫だなと信頼が強くなりました。

──10人でハートを作るというのは、すごい発想力だと思いました。

サキ:今までの表題曲でも何か1つ大きなものを表現するということをずっとやってきたので、そこはブレず曲に沿ったものができたんじゃないかと思います。

奇跡だってことを感じた一夜でした

──中野サンプラザ公演自体は、振り返ってみてどうでしたか?

サキ:今までにない会場のセットだったり、演出だったりもそうですけど、ホールでワンマンをさせていたくこと自体初めてだったんです。ステージに上がったとき、お客さんが泣いている姿も見えて。ここにギャンパレが立っていることは奇跡だ、ってことを感じた一夜でした。反面、すごく課題も見つかりました。終わった後、感傷に浸ることもなく、課題、課題、課題、課題みたいな(笑)。考えなきゃいけないことと、課題がいろいろ見つかったワンマンでしたね。

──2020年4月からは、初のホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉の開催も発表されています。最初に話してくれたように、グループが変わっている最中でもありますが、ギャンパレをどんなグループにしていきたいと思いますか?

サキ:これまで、「愛を届けます」とか「感謝してます」とか、そういう言葉を伝えてきたけど、言葉じゃないもので何か残せたのかと言ったら、その要素は少なかったと思っていて。ちゃんとそういうことができるグループになりたいですね。おもしろいこと、楽しいことをやれるグループになりたい。それはグループとしてもだし、全員が全員個人でもできるようになれればと思います。

──ホールツアーに向けての意気込みを訊かせてください。

サキ:中野サンプラザのライヴではホールでの見せ方を詰め込みすぎようとしすぎて、どっちつかずになっちゃったなって。ギャンパレは10人メンバーがいて、ホールのパフォーマンスが映えるグループだと思っているので、そこを限りなく完成させたい。2階席の人が見ても、こんな風になってたんだ! ってなってほしいし、1階席の人にも「2階席から見てみたい! もう1回行こうかな」ってなってほしい。もちろん全公演ソールドアウトしたいです。ギャンパレのこれからにつながるツアーになると思うので、やりたいことをやって満足じゃなくて、お客さんに届けられるまでを突き詰めて臨みたいですね。ホールだからできる10人でのパフォーマンスを見せつつ、ライヴハウスの熱さと前を向く気持ちも忘れずにやりたいです。


GANG PARADE PROFILE

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールドの10人からなるアイドルグループ。2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、2019年4月17日にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル「FUELED BY MENTAIKO」よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。 同年5月に東阪野音ツアーを成功させ、5月26日より同事務所所属グループWAggよりナルハワールドが加入し、現体制での活動をスタートさせる。PCゲーム「マジカミ」の主題歌および挿入歌を担当し、その楽曲を収めた配信限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』を6月19日にリリース。9月より自身最大規模の全国10箇所12公演を巡るツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉を開催中。

■ツアー情報

〈MY FIRST HALL TOUR〉

2020年4月12日(日)埼玉 三郷市文化会館
時間:Open 15:00 / Start 16:00 [問]KM MUSIC 045-201-9999

2020年4月26日(日)愛知 名古屋市公会堂
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]ジェイルハウス 052-936-6041

2020年5月2日(土)兵庫 あましんアルカイックホール
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400

2020年5月5日(火・祝)北海道 道新ホール
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]WESS 011-614-9999

2020年5月16日(土)宮城 仙台銀行ホール イズミティ21
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]G/I/P 022-222-9999

2020年5月22日(金)東京 中野サンプラザ
時間:Open 18:00 / Start 19:00 [問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

2020年5月23日(土)東京 中野サンプラザ
時間:Open 16:00 / Start 17:00 [問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

チケット料金(税込)
NORMAL TICKET 5,800円(税込)
CHEAP TICKET 3,800円(税込)
年齢制限 / 未就学児童入場不可

◆チケット一般発売日
2020年1月18日(土)AM10:00〜

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