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【連載】ヨコザワカイト「digる男。」Vol.33「無観客ライヴとへなちょこな歌」

StoryWriter

お世話になっております。株式会社SWインターンのヨコザワカイトです。

なんとなく希望が見えづらい、鬱々とした日々が続いていますね。引きこもり気のある僕なので分かるのですが、外に出れないという状態は人の精神状態を悪化させます。「不要不急の外出は避けろ」とのことですが、心身の健康を保つ程度の生活は送っていきたいですね。

そんな状況に追い討ちをかけるように、多くのライヴやイベントが中止・延期となっています。BAD HOPやNUMBER GIRLなど無観客で開催するアーティストも。個人的には、お笑い芸人・かが屋とゲストのママタルト、ザ・マミィが〈みんなのかが屋 無観客お笑いライブ〉を3月4日に開催するので要チェックです。

 

 

無観客ライヴといえば聞こえは良いですが、ライヴが映像に変わることによって、やはり観客としては体験から消費へと変化してしまうもの。どこか虚しさを感じるのもこれまた一面であって。この違いはいつか技術の進歩とともに乗り越えることができるものなのでしょうか。

そして、無観客ライヴというアーティストの新しい表現を前に、リスナーの音楽に向き合う姿勢はどう変わったのか。皆さんは生活のどの時間で1番音楽を聴きますか? 僕は家から出なくなって奪われたのが、愛おしい通勤の時間でした。

特に帰り道、家の近くの住宅街に入り静かになってこそ映える音楽もありました。帰る自分にマッチする音楽。テンションを上げる必要もなく、全てが実用性から解放された状態。それが僕の最高の音楽体験の時間でした。

そんなことを思い出しさせてくれたのが、じょばんに「失くす前に気づいて」。裏返る不安定なリコーダーと歌だけのシンプルさ。とてもへなちょこな歌です。それが、逆に色々な感情を十二分に引き立てます。

情報がなんでも積って残っていく時代だからこそ、失われるものはなんだろうかと考える力が必要なのかなと思います。無観客と一観客である自分の関係を見つめ直した時にそんなことを考えました。

※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。

ヨコザワカイト(よこざわ・かいと)
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。株式会社SWで学生インターンをしながら就職活動中、そして迷走中。ガガガSPが大好き。

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