watch more

【GANG PARADE Vol.18】テラシマユウカ編「未来をどうしたいのか考えて前向きに進んでいきたい」

StoryWriter

WACKに所属する9人組アイドルグループ、GANG PARADE(以下、ギャンパレ)。2020年1月29日に前山田健一と松隈ケンタが強力タッグを組んだ配信限定ダブルA面シングル『涙のステージ/FiX YOUR TEETH』をリリース、4月からは初のホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉も決定している彼女たちのソロ・インタビュー・シリーズ、第2周目がスタート。

第8回目は、2016年10月にギャンパレに加入したテラシマユウカへのインタビュー。忙しい中でも毎週映画館に足を運び、映画コラムを執筆する彼女。もともと多くを語るというよりも行動で自分自身を表現してきたテラシマだが、2019年はギャンパレを客観視しつつ、メンバーに対して自分の意見をしっかりと伝えている姿が印象的だった。そんなテラシマの現在について話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
写真:宇佐美亮


自分と全く関係のないところで、ありえないことが起こっているのが面白い

──活動が忙しい中でも、毎週必ず映画館に行って、コラム「今日はさぼって映画をみにいく」を書いてくれていますよね。もともと映画が好きとはいえ、大変じゃないですか?

テラシマユウカ(以下、ユユ):(映画が好きなので)そんなことないですよ(笑)。

──映画を毎週1本のペースでアウトプットしていくという生活を1年以上続けていたら、映画に対する気持ちは変わったりしていないですか?

ユユ:あー。自分の精神状態によるかな。前までは文字にするわけじゃなかったから自分の中で落とし込めればいいなと思っていたんですけど、映画コラムは文字にして人に伝わりやすく書く必要があるから、張り詰めた状態で観ているときはあるかもしれないです。しかも何回も観にいけないから、1秒たりとも気が抜けないなって。

──映画を観ることによって、自分の糧になっていることはありますか?

ユユ:こういう表現の仕方があるんだって影響を受けたりします。私は、インプットをする趣味が映画以外ないと言うか。ライヴやテレビで歌ったり表現をしている立場なので、いろいろな映画を観て違うベクトルのものが自分の表現として出ればいいなと思っていますね。

──映画って、制作に関わる人数が音楽に比べて多いじゃないですか。そういう部分でも、音楽とは違う視点で学ぶことは多いんじゃないかなと思います。

ユユ:めっちゃ思いますね。エンドロールでも演出とかどういう人がいるんだろうとか観ちゃいますし、ブランドの提供とかロケ地の協力とか、こんなにたくさんの人たちで作っているんだなって、そのたびにすごいなと思っています。

──映画の中でもホラーが好きなのはなんでなんでしょう。

ユユ:自分と1番かけ離れているからかな。ホラーとか魔法系、例えば『ハリーポッター』だと実際の世界ではありえないことが描かれていたりするじゃないですか。ホラーに関しては、自分の身に本当に起こったら嫌だけど、映画で画面越しに見ていたら、言ってしまえば他人事じゃないですか(笑)。その感覚がいいなって思うんですよ。自分と全く関係のないところで、ありえないことが起こっているのが面白い。なんか笑っちゃうんですよね。小さい頃にホラーを観てトラウマになったことがあって、その映画は一生観たくないなと思ったんですけど、他のホラーに関してはある意味、お笑いを見ている気分になってくるときもあるんです(笑)。

──そういうときは、映画館でも声出して笑っちゃう?

ユユ:笑っちゃいます。『IT』とか、ホラーじゃなくてちょっとおもしろい系とか、映画館だと結構他の人も笑っていて、私も気持ちわかるな〜と思いながら笑っちゃいます(笑)

「声がドキュメンタリーだね」って言われた

──1月にリリースした配信シングル『涙のステージ / FiX YOUR TEETH』は、前山田健一さんが作詞とアレンジで参加されています。ギャンパレに新しい風が入ってきたシングルとも言えると思うんですけど、メインのサウンドプロデューサーである松隈ケンタさんの手法だったり感覚的なことだったりで違いは感じましたか。

ユユ:感じましたね。レコーディングの仕方も全然違っていました。松隈さんは感情を込めることを言ってくださることが多いんですけど、前山田さんはあまり感情を込める系じゃない方法でアドバイスをもらったというか。レコーディングのとき「声がドキュメンタリーだね」って言われたんです。それを言われたとき、私は別のブースで歌っていたんですけど、そのあと、歌詞の朗読をしてみてって言われて読んだ部分が実際に使われていて。人の特徴を一瞬で見出すことのできる人だなって本当にびっくりしました。今まで、自分は一定の温度感で喋っているので、あまり感情が伝わりにくい声なのかなと思っていたんですよ。でも前山田さんにそう言われて、そういう側面もあるのかなって嬉しかったですね。

──前山田さんのレコーディングがなかったら生まれなかったパートだったんですね。

ユユ:そうですね。極端にやってみてって言われて一発で撮ったんです。まさか使われるとは思わなかったんですけど、こんな形になるんだっていうのは新鮮でした。

──自分で気づかない部分を見出してくれるのは嬉しいですよね。他に印象的なことはありましたか?

ユユ:最初、前山田さんから「FiX YOUR TEETH」の仮歌が送られてきたときにびっくりしました。松隈さんは、ふざけた感じの仮歌で送ってくださることが多くて、それがだんだん歌詞が変わって完成形になっていくんですけど、前山田さんの仮歌も変わっていて。「歌詞ってあとから変わりますよね?」って聞いたら「多分変わらないと思うよ」って言われて。すごい!って思いました。歯についてピンポイントで言っている歌詞なので(笑)。

──「FiX YOUR TEETH」もそうですし、クロちゃんの書いている豆柴の大群の歌詞を見ても思うんですけど、本当に発想が自由というか。

ユユ:型にはまらない感じが伝わってきますよね、私は自分も作詞するので、前山田さん始めいろいろな方の歌詞を見たり聴いたりしていたら、自分の考えが凝り固まってる部分もあったのかなって思いました。豆柴の大群だと「ババロアキック」って、世の中にない単語が入っていて、耳に残る歌詞ですごくいいなと思ったんです。長く聴かれていたり流行っている楽曲にはそういう曲も多いと思うんですよ。1回聴いただけで、何かフレーズが耳に残る。「FiX YOUR TEETH」もそうやって耳に残る楽曲だと思います。

──一方で「涙のステージ」は、初の松隈さん単独の作詞による楽曲です。

ユユ:すごく自分のことを言われている気がする楽曲です。今までの歌詞って、歌っている自分にも当てはまるし、お客さんにも当てはまる、いろいろな意味で捉えられる歌詞が多かったんです。でも「涙のステージ」は、ギャンパレとして歌っているからこそ響くものがある気がして。やっぱりライヴでうまくいかなかったり、悩んでいる想いを抱えながらライヴにいったり、そういう気持ちが全部入っている。なので、めちゃめちゃグッときます。

自分の人生をどうにかしたかった

──WACKツアーZepp Tokyo公演当日、突然、ハルナさんの脱退発表がありました。Twitterで発表があって、その日から9人体制になりましたが、どんな気持ちだったんでしょう。

ユユ:お客さんが悲しいだろうなと思って。ハルナの脱退を聞いてしばらく涙はでなくて、Zeppに到着してからも、脳みその処理が追いつかなくてよくわからない状態だったんですよ。めちゃくちゃ落ち込んでいますっていうより、その日のライヴをやるしかないって気持ちもあって。ライヴが終わってクールダウンして、特典会でお客さんと話したり顔を見ていたら、そこで初めて涙が出てきて。

──突然のことで、気持ちの整理をする時間がなかったですもんね。9人でライヴをやるしかないという部分で、アドレナリンのようなものが出たりもしたんじゃないでしょうか。

ユユ:私がギャンパレに加入する前、メンバーが突然脱退してサキちゃん、ユアちゃん、ミキちゃんの3人でステージに立った〈@JAM EXPO〉と状況がちょっと似ているじゃないですか。そのときのライヴ映像を見て、めちゃくちゃ感動したのをいまだに覚えていて。それは、やるしかないっていうライヴへの気持ちがすごくあったからだと思うんです。今回、そういう気持ちもありつつ、「ブランニューパレード」や「らびゅ」といった、ハルナが入ってから一緒にやっていた曲もセットリストに入っていたので、様々な感情が浮かびました。

──WACKツアーは所属グループ7組で全国をまわりました。どんな気持ちで臨んでいたんでしょう。

ユユ:毎年1月頭にある〈WACKなりの甲子園〉で全組揃ってライヴを行うんですけど、そのイベントは、ギャンパレが「順番を入れ替える」って宣言をしたり、この1年の決意を表明する特別な日で。それとは別で、去年WACKツアーを回ったときは、2組ずつや3組ずつだったので、パフォーマンスにおいても、お客さんの記憶にも残りやすかったと思うんです。でも今回は7組が続けてライヴをしていくので、その中でお客さんの記憶に残すのは難しいなって。お客さんも3時間くらい観て疲れるだろうから、よっぽど突出していないと、すごく難しいだろうなって気持ちで臨んでいました。

──他のグループに対しては、どういう気持ちを持っていますか。

ユユ:お客さんには、私たちのライヴを観て大丈夫だって安心してほしいと思ってやっていました。どんな状況でも生き抜いてやるぞって。それが伝わるようなパフォーマンスができたらなって気持ちが強かったです。

──これだけ大所帯でツアーを回っていると、WACKの中で先輩になってきた感覚はあるんじゃないですか?

ユユ:ありますね(笑)。今まで自分からあまり人にしゃべったりできなかったので、先輩としてどう接したらいいんだろうっていう戸惑いみたいなものはありました。

──もともとWACKに入ってくる子は、学校のクラスや大人数の場所に馴染めない子が多かったですしね。

ユユ:そういう人生を送ってきた子が多いはずなんですけど、所属する人数が増えたことで、WACKとしてのコミュニティができてきていて(笑)。女川の打ち上げとか、ココとか賑やかな子たちを観ていたら、陽キャグループみたいだなと思ったりもして。そういう部分も含めて、WACKの中で、すごくいい雰囲気が出ているのかなと思います。

──そんなWACKの中で、ギャンパレの魅力というのはどういうところにあると思いますか?

ユユ:ギャンパレは「みんなの遊び場」って言っているので、すごく楽しい場所じゃないといけないと思っていたんですよ。それで逆に難しく考え過ぎて出来なくなっていたことがあったと最近気がついて。自分が楽しいという前提があっての、「みんなの遊び場」だと思うんですよ。それが出来ていたときもあったんですけど、メジャーデビューして、時間がかかって少しずつ変わって、自分ありきじゃなくなってしまった。自分たちのやり方が腑に落ちなくなってきたところがあったし、なにより自分が楽しむことを忘れてしまった。もちろんお客さんはすごく大事だし、好きでいてくれる人がいるのも、応援してくれているのもありがたいことなんですけど、私がオーディションを受けた理由って、自分の人生をどうにかしたかったからなんです。メジャーデビューさせてもらって、いい方向に行き始めた段階から、どうにもならない人生じゃなくなってきて。そこが変わったときに、自分的に根本にあるものを見失いかけたのかなって。そこを自分でもう一回見つめ直そうって。

──ギャンパレに加入するまでも、加入してからも、ユユさんは本当に悔しい思いをしてきましたもんね。そこからギャンパレが認められた今、自分の将来のことも考えたりする?

ユユ:しますね。もしギャンパレが無くなったらどうなっちゃうんだろうって。ギャンパレに加入するまで何か積み重ねてきたものがあるわけでもないし、自分が何かに秀でているわけでもなかったけど、それこそ映画コラムをやっていることによって、それまで全然アイドルを知らなかった人が読んでライヴ見にきたっていう人もいて。他の部分をやることによってグループに還元されることもあるし、もっともっとそれぞれが新しいことをやろうとしたらいいんじゃないかな。今現在でやらせてもらってることがあるけど、もっと自分の得意なことを出していけたらいいなって思います。

今、生きるモチベが高いんですよ

──3月後半にはWACK合宿オーディションが開催されます。毎年、ギャンパレはメンバー加入やレンタルトレードなど何かしらの変化があります。どんな気持ちで迎えたいと思いますか。

ユユ:ギャンパレからは月(ノウサギ)が参加するので、メンバーを応援するのももちろんなんですけど、候補生とかWAggのメンバーも人生をかけて参加しているし、新メンバーとして加入する可能性もなくはないと思うんです。どの子が入ってきても私たちが全く知らない状態じゃなくて1人1人WACKになるかもしれないと思って私も参加したいです。

──サキさんの脱退に関して、発表から時間が経って、現在のユユさんの心境はいかがでしょう?

ユユ:もっと一緒に未来を見たかったなという想いはあります。寂しいけど、サキちゃんに頼っていた部分が多かったのかなと思って。それは、サキちゃんがBiSにレンタルトレードで行った時も思った事なのに、帰ってきてからも頼ってしまって。10人いる事で責任を分けるんじゃなくて、×10にしないといけなかった。実際は、自分がやらなくても他の誰かがやってくれるっていうことが多かったと思うんです。私も、自分が先陣をきって歩いてくタイプじゃなくて、引きこもりタイプで後ろからフォローするタイプと思っていたんですけど、そんなことを気にしている場合じゃなくて、自分のやれる事はやる、気づいた事は伝える、それがサキちゃんがいなくなっても大切になってくると思うんです。

──外から見ていると、ギャンパレはいつも目の前のことに全力だったと思います。

ユユ:「いつ死ぬか分からないから今を後悔しないように精一杯やらなきゃいけない」っていう考え方ってあるじゃないですか? その気持ちはすごくわかるんですけど、私は終わりに向かって歩いていくような気がして嫌なんですよ。もちろん一個一個後悔しないようにやっていこうと思うんですけど、いつか終わってしまうことを考えるんじゃなくて、未来をどうしたいのか考えて前向きに進んでいけたらと思うんです。

──2019年後半はメンバー間での話し合いが増えたそうですが、そういうことも話したりしているんですか?

ユユ:それも皆で話し合いました。その中で私が思ったことがあって。今まで悔しい思いや馬鹿にされてきたグループだったんですけど、少しずつ変わってきたと感じることも増えていて。WACKでBiSHの次に見られたりすることも増えたり、後輩も出来たり、2期BiSが解散してライバルがいなくなったことによって、自分にもグループ的にも大きな影響があって。状況がよくなってきたとき、逆境がないとやれないのかなと思ってしまったことがあるんですよ。でもそれだと、一生逆境にいないといけない。売れたいって気持ちはあるので、上に行った時も変わらない熱量を持てるやり方、考え方にシフトチェンジしないといけないのかなと思って。状況も人もWACKも変わっていくから、自分の考え方も順応させていかないといけない。そうしないと置いてけぼりになってしまうのかなって。ツアーを回っている中で、時代遅れになってしまうかもしれないなって感覚が生まれて、自分の価値観とかを見つめなおす機会だなと思っています。

──ユユさんたちがギャンパレに加入したことで、新しい価値観がたくさん生まれたと思います。

ユユ:映画で描かれているみたいに、BiSオーディションに落ちてしまったのにGANG PARADEに加入させてもらえるようなことが起こってしまう事務所だから。あのとき諦めていなくてよかったなと思うし、続けることによって生まれることがあるというのも経験してきているので、考え方も柔軟にやっていけたらと思います。

──2020年、初めてのホールツアーもあります。いい年になるといいですね。

ユユ:2019年は雰囲気が悪いときもあったけど、今は登るしかない状況なんです。これからも色々起こるかもしれないけど、私たちが責任をもってお客さんのことを安心させたいし、自信を持ってやっていけるようにしたい。今、生きるモチベが高いんですよ。何て言うんだろう。めっちゃやってやろうっていう気持ちです!


GANG PARADE PROFILE

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、ナルハワールドの9人からなるアイドルグループ。 2014年に結成されたプラニメが前身ユニットで、2度の改名とメンバーの増減を経て、 2019年4月17日にワーナーミュージック・ジャパン内新レーベル「FUELED BY MENTAIKO」よりシングル『ブランニューパレード』でメジャーデビュー。 5月19日に大阪城野外音楽堂、5月26日に東京・日比谷野外音楽堂で野外ワンマンライブ『CHALLENGE the LIMIT TOUR』を開催。ソールドアウトし、大盛況に終わった。 今年春から全国6箇所7公演を巡る初のワンマン・ホールツアー〈MY FIRST HALL TOUR〉を開催予定。ツアーファイナルは、2020年5月22日・5月23日に中野サンプラザ2DAYS。 ヒャダイン×松隈ケンタが強力タッグを組んだ配信限定シングル『涙のステージ/FiX YOUR TEETH』が現在配信中。

■ツアー情報

〈MY FIRST HALL TOUR〉

2020年4月12日(日)埼玉 三郷市文化会館
時間:Open 15:00 / Start 16:00 [問]KM MUSIC 045-201-9999

2020年4月26日(日)愛知 名古屋市公会堂
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]ジェイルハウス 052-936-6041

2020年5月2日(土)兵庫 あましんアルカイックホール
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]サウンドクリエーター 06-6357-4400

2020年5月5日(火・祝)北海道 道新ホール
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]WESS 011-614-9999

2020年5月16日(土)宮城 仙台銀行ホール イズミティ21
時間:Open 17:00 / Start 18:00 [問]G/I/P 022-222-9999

2020年5月22日(金)東京 中野サンプラザ
時間:Open 18:00 / Start 19:00 [問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

2020年5月23日(土)東京 中野サンプラザ
時間:Open 16:00 / Start 17:00 [問]SOGO TOKYO 03-3405-9999

チケット料金(税込)
NORMAL TICKET 5,800円(税込)
CHEAP TICKET 3,800円(税込)
年齢制限 / 未就学児童入場不可

◆チケット一般発売日
2020年1月18日(土)AM10:00〜

PICK UP