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【現地レポ】WACK合同オーディション2020 2日目②自分と向かい合うこと、4名の脱落者

StoryWriter

合宿2日目にして、18名の候補生のうち3名が脱落してしまった。

脱落した3人は朝食を食べたあとで荷物をまとめ、日常に戻るための身支度をし、それぞれの生活へと帰って行った。見送りはスタッフだけだ。生き残った候補生たちも、いつ脱落を宣言されるかわからない。そんなことを考えると、ほんのわずかの時間で芽生えた脱落者との友情を引き換えにしてでも、目の前の練習に臨まなければならない。とにかく、もっと必死でやらないといけない。それを伝えなければ、私たちは脱落を宣言されてしまう。

候補生たちは、合宿初日からWACK代表の渡辺淳之介と圧迫面接に近い面談を行い、3名の脱落者を目の当たりにした(うち1人は腹痛による脱落)。前日には、このままだと誰も合格しないよということも宣言されたばかりだ。

そんな状況の中、前日にチーム分けされていた4組(WACKの研修生グループWAggチームと、候補生による3チーム)は、施設内にある体育館2つを使い、課題曲であるBiSの「STUPiD」をひたすら練習。昼になると予定通りダンス審査が開催された。

長机の中央に座った渡辺を中心に対峙するような形で、4組のグループは「STUPiD」を必死に歌い踊った。しかし、どのグループもどこか表情が硬いように見える。合宿施設についてから、まだ24時間も経っていないわけで、振り付けが揃わなかったり、歌が完璧でないのも当然ではある。それを差し引いたとしても、どこかぎこちなさを感じるパフォーマンスに対し、渡辺は下記のようにストレートに総評をくだした。

「何かはきちがえをしているのかな、って。恋愛に例えると、めっちゃ必死に「好き!」ってアプローチされる人からは逃げたくなるじゃん? むしろ、そっけないやつのほうが惹かれる。そういう押し引きがすごく大事。必死さは大事だけど、そこに重きを起きすぎた結果、ぶっちゃけて言えば「イタい」状況になっている。もちろん悪いことではないんだけど、そこだけになっていないかは考えてもらいたいな。ダンスの途中でステージの後ろに下がって行くのは、自信のなさの現れ。そういう気持ちと行動の絶妙なバランスがある。今のダンスを見て、正直みんなモテなそうだねと思ったよね」

彼女たちは、この合宿に合格した暁にはエンターテインメントの世界で、お客さんの前に立ってパフォーマンスをすることとなる。ひたすら必死にやることをお客さんが求めているのか? そうした問いを与え、広い視点を候補生たちに考えさせ、合宿に合格したら即戦力として活動する力をつける。ブートキャンプとしての合宿を通過していく候補生たち。4組の順位が発表されると、WAggメンバー1人と候補生を織り交ぜた5グループに分かれ、ダンス課題曲「STUPiD」の振り付けをオリジナルで作り、19時からダンス審査が行われることが発表された。

ダンス結果発表

1位……ア・アンズピア サアヤイト ウタウウタ キラ・メイ アイナスター
2位……アオイロコ・カンパイア テラヤマユウカ フショージ・メグミ
インポッシブル・マイカ ワキワキワッキー パー・ルイ
3位……ガミヤサキ カトー・ムセンシティ部 アイノ・リ・スタート
セックスサマーウイカ トト・パーティン・トト
4位……モンスターアイドル シオ・フォレスト 火星からウナギ ファンファン

 

合宿2日目午後 新チーム振り分け

チーム「うんち」
火星からウナギ
アイノ・リ・スタート
フショージ・メグミ
サアヤイト

チーム「SEX」
アオイロコ・カンパイア
トト・パーティン・トト
セックスサマーウイカ
アイナスター

チーム「FUCK」
キラ・メイ
テラヤマユウカ
ガミヤサキ
パー・ルイ

チーム「おしっこ」
ウタウウタ
カトー・ムセンシティ部
ファンファン
モンスターアイドル

チーム「BiTCH」
ア・アンズピア
シオ・フォレスト
インポッシブル・マイカ
ワキワキワッキー

 

チーム「うんち」のダンスレッスン

昼食はカレーライス。今回もランダムでデスソース入りご飯が仕込まれており、時間内に食べきることができないと脱落になる。これまでトイレに駆け込みながらもなんとか脱落者を出すことなく過ぎてきたが、ファンファンとアイノ・リ・スタートが時間内に食べきることができずに脱落が決定した。2人とも何度もトイレに駆け込みながら、少しずつでも口にカレーを運ぶことは諦めなかった。しかし、それで脱落が取り消されるような甘いシステムはここにはない。唯一挽回できるのは、救済措置で勝利を得ること。

デスソース入りカレーを食べたあと、アイノ・リ・スタートは、チーム「うんち」のメンバーが練習している大体育館へと足早に向かった。

体育館の中に入ると、火星からウナギ、フショージ・メグミ、サアヤイトの3人が「STUPiD」のオリジナル振り付けを少しずつ考えているところだった。アイノ・リ・スタートの姿をみつけた3人は、彼女に近寄り言葉をかけ振り付けのアイデア出しと練習をはじめた。1番キャリアの長いサアヤイトが振りのアイデアを伝え、他の3人がそれを習得しようとイントロから少しずつダンスを形作っていく。

オリジナルの振り付けと並行して、渡辺の個人面談が行われることになった。昨日とは打ってかわり、渡辺が候補生に対してWACKの哲学を伝授しようとしたり、同じように圧迫面接のようなスタイルをとったり、その候補生にあわせ臨機応変にコミュニケーションをとっていく。しかし、昨日よりも細かく深い部分まで丁寧にコミュニケーションを取ろうとする渡辺に対し、候補生たちはなかなか心を開ききれない。

そんな中、涙を浮かべながら面談部屋を後にしたフショージ・メグミ。声をかけた瞬間、「どうしたらいいかわからない」と大粒の涙が彼女の頬にこぼれ落ちた。

「自分に自信がないから、どうやってアピールしたらいいかもわからないし、今自分が全力でできているかといえばそうじゃないし…… 悔しい。どうやって自分のことを出していけばいいのか全然わかっていなくて、「自分って何?」って聞かれても今のところ全然わからない。私はダンス経験がないからアイデアが全然出てこなくて。(スタッフの古木さんに)1回観てもらったとき「何を伝えたいかわからない」って意見をもらって4人で振り付けを変えようと思っているところなんです」

続けて面談会場から出て来た、同じチームの火星からウナギに声をかけてみると、「自信がないんです。朝のダンス審査みたいに中途半端にガムシャラにやっているやつらってなりそうで。スタッフさんに「何を伝えたいのかわからない」って言われるまで、中途半端でがむしゃらになっていることにまた気づけなくて。じゃあ、どうすればいいんだろうって考えてアピールもやっているけど全然しっくりこないしわからない。悔しい。スタッフさんにも、「サアヤイトさんに頼りすぎだからもっと意見を出したほうがいいんじゃない」って言われて。言っているつもりだったんですけど、やっぱり、つもりだったんだなって」と涙ながらに語り、アイデアを伝えてみると言ってその場を後にした。

4人での練習の時間を少し挟み、面談を終えたアイノ・リ・スタートにも声をかけてみると、「面談の間、サアヤイトさんと2人で振り付けを考えている時間があったんですけど、2人で話しやすい環境ということもあって話し合って振りを作れています。自分も楽しいし、観ている人も楽しくなるとうなフリにしたいんです。最初は歌詞に合わせた振りをつけていたんですけど、自分たちでやって楽しいねってものを集めて作りました。死ぬ気で楽しんでやります!」と、脱落が決まったことで、ある意味で肝が座ったともいえる堂々とした宣言がはっきりと伝わってきた。

彼女たちのダンスを近くで見ていたTパレットの古木智史は「この曲は、死ぬほど楽しんでという歌詞があるように、みんなが1番楽しまないとってことを伝えました」というアドバイスを彼女たちに伝えたという。しかし、なかなか楽しめていないんじゃないかと心配する表情も見せていた。果たしてこの日のダンス審査の行方は。

ネガティヴが突き抜けた先、トト・パーティン・トト

少し話は逸れるが、候補生にとって、渡辺との面談は緊張の場所である。自分自身をうまく伝えることができず涙するものもいれば、眠っていたキャラクターを引き出されるものなどもいる。しかしこの日、トト・パーティン・トトだけは、これまでにない理由を語ってくれた。涙を流しながら、あまりにネガティヴなワードが飛び出してくるのだが、言葉がまったく途切れないくらい同じ温度で言葉を紡いでいく。それがあまりに不思議で気になったので本人に話しかけてみた。

「私は本当にできないことが多いけど、みんなの前で弱音とかは言えない。なので、形としては面談かもしれないけど、本当に相談に行くような感じで話していて、アドバイスもくれる場所なんです。面談というか、それで助けてもらっている気がします」

渡辺との面談を「相談に行くような感じ」と語った候補生がいただろうか。一行に止まることのない彼女の言葉に、こちらも好奇心がいっぱいで、次の一言を欲してしまっている。

「ダンスをはアイナスターさんがほぼ作ってくれるし、私はそれを覚えるだけなのに覚えることすらできず、体がうまく動いてくれなくて。それだと同じグループの人の評価が下がっちゃうから、私は人なりにできるようにならないとと思うのに全然できない。ごめんなさい、すごいネガティブで。昨晩の視聴者投票1位は全然私の実力じゃなくて。WACKオーデでは、あまりできない子が歌ってシンデレラストーリーみたいになったりするけど、私はももらんどさんみたいに可愛くないし、MiKiNA EMPiREさんみたいに美人じゃないし、ナアユさんみたいに可愛くないから、1位をとっても意味がない…… あ、そういうこと言っちゃいけない」

そう言い残すと、ダンス審査に向けた練習をするために駆け足で体育館の中へ戻っていった。

合宿2日目は4名の脱落者が

19時。ダンス審査が行われた。5組ともがオリジナルで考えた「STUPiD」の振り付けでパフォーマンスを行った。事前に渡辺から「BiSに似ているものがあると評価が低い」「完全に1からオリジナルを作ってください」と伝えられていたこともあり、5組とも振り付けはそれぞれだ。「うんち」チームは緊張の面持ちも見せながらも、サビでうんちを模した振り付けをしたり、最後にうつ伏せに寝そべって4人が頬杖をつくといった振り付けをしてみせた。

そして、結果は…… 5組中2位を獲得することとなった。渡辺は「振り事態がちょっとノりずらいなと思って。緊張も相まって自分たちもリズムに乗れていなかったとは思うんだけど、サビのうんちスタイルがよかった」と講評を述べた。4人のメンバーそれぞれが違う境遇の中、即席で組まれたグループがオリジナルのダンスを生み出し、一つの結果を出すまでの過程を見ていたら、決して画面には映らないそれぞれの葛藤や想い、距離の測り方があるのだなということがわかった。一度、火星からウナギがアイデアを口にした際、他の3人から反応がなく、一人静かにティッシュで涙を拭っていた瞬間は強く心に残った。その後、火星からウナギは自ら意見を出してグループを引っ張ろうとし、最終的には2位を獲得することになった。嬉しい気持ちとともに、2位では満足していないという彼女の声は力強かった。

ダンス審査結果

1位……チーム「FUCK」
2位……チーム「うんち」
3位……チーム「おしっこ」
4位……チーム「SEX」
5位……チーム「BiTCH」

その後、夕食、渡辺によるWACKの哲学などを話す講義を挟み、視聴者投票と結果発表が行われ、この日の脱落者が発表された。

その結果、脱落者は、デスソースを食べきることができなかった、ファンファン、アイノリスタートに加え、モンスターアイドル、フショージ・メグミの計4名となった。

しかし、渡辺が「もう1日見たいと思いました。次の日まで持ち越します。残ってもらえるなら残ってください」と宣言し、脱落者の1日延長が決定した。

明日は渡辺が編成した新チームにて、BiSHの「オーケストラ」をオリジナルで振り付けを作り、お昼にダンス審査を行う。そして、そこからWACKのメンバーが参加し、WACKメンバーを含めたダンス審査が夜に行われる予定。明日は、合計評価得点が最下位のグループが脱落することとなる。

毎年、WACKの現役メンバーが参加した後、合宿がドライブしていくことが多いWACK合宿オーディション。合宿3日目。果たしてどのような動きが起こるのか。

BiSHからは、セントチヒロ・チッチ
BiSからは、トギー
GANG PARADEからは、月ノウサギ、ユイ・ガ・ドクソン
EMPiREからは、MiDORiKO EMPiRE
CARRY LOOSEからは、ウルウ・ル
豆柴の大群からは、ナオ・オブ・ナオ
が参加する予定だ。

取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太


全て見せます! WACKオーディション合宿2020完全密着 6泊7日の死闘

3月22日(日)13時~「前半」:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324617066
3月25日(水)12時~「後半」:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324617068

StoryWriter Twitter:https://twitter.com/storywriter_inc

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