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【GO TO THE BEDS 連載】Vol.2 ココ・パーティン・ココ編「ギャップを楽しんでほしい」

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BiSHや豆柴の大群が所属する音楽プロダクションWACKの中で、最もキャリアの長いGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「GO TO THE BEDS」と「PARADISES」。メンバーたちはキャリア順に分けられ、衣装には「老」と「若」という漢字が入れられるなど、見せ方やコンセプトもまったく違ったグループとしてスタートを切った。

GO TO THE BEDSは「老」の文字を背負い、ギャンパレでキャリアの長い5名――ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンによって構成されたグループ。このたび、2020年4月1日から始動しはじめたGO TO THE BEDSの連載個別インタビューがスタート。

第2回目は、ココ・パーティン・ココへのロング・インタビュー。2017年のBiS合宿オーディションに参加し、公式ライバルグループSiSの初期メンバーとして活動を始めるも、初ライヴをもってグループは衝撃の解散。同じ境遇だったユイ・ガ・ドクソンとテラシマユウカとともにギャンパレに加入した経歴を持つ。グループで1番外交的で、話すことや、自分を曝け出すことにも前向きで全力なココが、コロナ禍に何を考えて行動しているのか話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太


情緒不安定で1人家で毎日泣いていました

──新型コロナウィルス拡大予防のための自粛により、ライヴや活動がほとんどできない日々が続いています。最近はどのように過ごしていますか?

ココ・パーティン・ココ(以下、ココ) : 家でずっとStay Homeしています。私は、コロナのニュースが出はじめた時からこうなる気がしていて。1月末〜2月頭くらいから、ハンドサニタイザーとウイルスブロックのスプレーを1人だけ持ち歩いていたんです。メンバーにも、まじで気をつけたほうがいいって言ったり、Twitterにも書いたんですけど、当時の日本はそんなに危機感がなくて。3月末ぐらいから一気に広がったじゃないですか?でも、ここまでライヴができなくなるとは想定していなかったので、ちょっときついですね。

──ココさんは2017年、BiSの公式ライバルグループSiSでの活動をするために上京してきて、ギャンパレに加入してからも、絶え間なく活動してきました。こんなに何もないという期間はなかったですもんね。

ココ : そうなんですよ。3ヶ月くらい何もしていないなんてことはなくて。

──気持ち的にはどうですか?

ココ : この期間が長く続くかも…… と腹をくくってからはまだよくなったんですけど、ライヴの見通しが立たず、中止か中止じゃないかも分からない不安定な時は毎日家で泣いていました。仕事以外のこともいろいろ考えちゃって。めちゃくちゃ孤独感に苛まれて、こんなに人に会わなかったらどうなるんだろうと思ったり。それに、いろいろな説が飛び交っていたじゃないですか? めちゃめちゃ情緒不安定で、本当に1人家で毎日泣いていました。

──今は、いかがですか?

ココ : 今はだいぶ落ち着きましたね。もともと家にいるのが苦手だったので、長い時間を家で過ごさなきゃいけない状況に最初は適応できなくて。結構それがしんどかった。あと、1人でいる時間が多いと、昔から余計なことを考えちゃうことが多くて。運動もできないから体も重くなる気がしたし、最初の方はめちゃくちゃ鬱じゃないけど沈んでいました。

──そうした鬱屈とした気持ちを、どうやって解消していますか?

ココ : 不安な気持ちは変わらないんですけど、自粛期間が長くなるかもしれないということを受け入れたことで、今できることはなんだろうと考えられるようになって。渡辺(淳之介/WACK代表)さんもTwitterで「爪を研ぐ期間だ」って言っていて。みんなそうだと思うんですけど、この期間で自分の中にあるいろいろなものが淘汰されて、本質的なものを考えるようになりました。

食らいついてやっていくしかない

──メンバーとは連絡をとっていますか?

ココ : めっちゃ取っていて、ZoomもLINEもめっちゃしています。例えば、振りの話とかもスタジオでできないから、Zoomで方向性を話してから考えるとか。基本的にZoomなどオンラインで顔を見て話していますね。

──GO TO THE BEDSとしてスタートしたタイミングで、活動ができない社会状況になってしまったことについては、どういうふうに捉えていますか。

ココ : 準備期間が長い分、早く見せたいという気持ちが強くありますね。体制が変わること自体、お客さんも不安だと思うんです。GO TO THE BEDSを発足してから、お客さんと面と向かってしゃべれていないので、そこに対しての不安は自分たちがパフォーマンスで解消してあげたい。どんな形であれ、早くお客さんに見てほしいですけど、今は待つしかないので。

──ギャンパレという歴史の長いグループが分裂したことで、新しくスタートという見方もできるし、上手くいかなかったからテコ入れしなきゃとも考えられるわけですけど、ココさんは分裂をどのように捉えているんでしょう。

ココ : もちろん順々にステージをあげてやっていく姿を見せるのが理想ではあると思うんですけど、ギャンパレは、例えばBiSHみたいに固定のメンバーでずっとやってきたわけじゃなかったので。グループとしていろいろな変化があって大きくなってきたグループで、その一環だと一応考えてはいるんですけど…… 何回もこんなに大きい変化をしていくわけにはいかないので。今回、こういう選択肢をもらえたということは、私にとっては救いでした。ギャンパレの曲をできないとか、人数が少なくなって一緒にいる時間も絶対減るので、さみしい気持ちとか、細かい想いはたくさんあるんですけど、これに食らいついてやっていくしかないって気持ち。わりと前向きではあります。

──しばらく活動ができないので、観念的な話になっていっちゃうんですけど、脱退表明をしているカミヤさんもまだギャンパレとして所属しているわけですし、モヤモヤする部分も多いですよね。

ココ : そうなんですよ。話題が渋滞しているんです(笑)。自分もGO TO THE BEDSになったけど、まだギャンパレの一員ではあるし、そこが難しいですね。手探りの状態というか、本来だったらギャンパレのツアー中ですからね。今週末はツアー名古屋の予定だったんですよ。(取材当時)

──ギャンパレとしての集大成の場を設けて、そこでちゃんと完結させないと、次に進める感じがしないですよね。

ココ : そうなんです。区切りの場所がないと、自分たちが切り替えられたとしても、お客さんを置いてけぼりにしちゃうし、それはすごく嫌だなと思っていて。情勢がどうなるのか分からないにしろ、何かしらの形で1回区切りがないと、自分たちもお客さんたちも素直にG(※GO TO THE BEDSの略称、頭文字のG)とP(※PARADISESの略称、頭文字のP)の気持ちにも切り替わらない。お互いにとって、もやもやしたまま新しい体制がスタートするというのが1番嫌だし、避けたいなと思っています。

人として助け合いたい

──ギャンパレの中でココさん、ドクソンさん、ユユさんは、SiS組もしくは道玄坂マングースと呼ばれて、とりわけ仲の良い3人組でした。ココさん&ドクソンさん、ユユさんと2つに分かれてしまったことに関しては、どういう気持ちですか。

ココ : ユユと離れてから、喧嘩じゃないですけど、揉めたことがあったんです。そういうことが増えていっちゃうのかなと思ったりもしたんですけど、自分の中ではそれがあってよかったと思う部分もあって。一緒にいたからこそ、お互いが補い合っていたし、離れて補えなくなった時に、自分の悪いところと良いところがガッと出てきたと思うんです。それはGとPで別れるってなったら、全員そうなると思うんですよ。これまで9分の1でやっていたことが、半分になるから責任感も多くなるし、良い面も悪い面も出やすくなってくる。

──たしかに、ギャンパレはメンバーが多かったので、1人1人の個性をアピールするのが難しい部分もありましたもんね。ユユさんとの喧嘩をしたことで、どういう部分がよかったと思うんでしょう。

ココ : ユユと意見の食い違いみたいなのがあったけど、お互いアーティストとしてというより、人として分かってよかったこともあったなって。ユユは若いし、社会に出ている時間も少ないじゃないですか。だからこそ、ぶつかり合っても、人として助け合いたいなと思う。今までギャンパレとしてやってきた時間があるからこそ、「P頑張ってください、さようなら」みたいな切り離し方を自分はできない。もちろん干渉するわけではないけど、助け合ったり臨機応変に相乗効果で良くなるようなやり方をしていけたらなって考えています。やり方次第で、マイナスにもプラスにもなるような状況だと思うので。

──ギャンパレ時代は、常に3人でひとつという感じでしたもんね。

ココ : 3人とも性格は全然違くて、ズッコケ三人組みたいな奇跡的なバランスが取れていたと思っていて。ちゃきちゃきなやつと、ひょろっとしたやつと、ちょっとでかいやつみたいな(笑)。ダチョウ倶楽部さんみたいな3人組の構図ってなんとなくあるじゃないですか? 全然性格は違うんだけど、足りないものをもらっていたし、自分も2人に何か与えられていたらいいなと思う関係性だった。だからさみしい気持ちはあります。でも、ユユが1番大変だなと思いますね。加入した当時のギャンパレメンバー5人は全員Gにいるわけで。さみしくなったり、自分のあり方について悩むこととかもあるんだろうなと思って。離れていても、そこも考えてあげられたらなと思います。

WACKとは何かって考えるべきなのでは?

──そういう意味でいくと、Gはキャリアの長いメンバーが多い訳で、ギャンパレ魂みたいなものを引き継いでいる気持ちはあるんじゃないですか?

ココ : それはありますね。継承しているというか、共通認識としてベースにある。ギャンパレが良いって言われたポイントや支持してもらっていた部分を残しつつ、自分たちのカラーが出せたらいいなと思っていて。格好いい曲と、かわいい曲、両方がギャンパレにはあったと思うんですよ。Pにもギャンパレっぽさみたいなものはあると思うんですけど、濃いのは断然もうGのほうで、薄めたくても薄められないみたいな(笑)。

──クセの強い人ばかりが集まっている感じですからね。

ココ : うちらも別にギャンパレ感をめっちゃ出そうとかしてないんですけど、キャリアの順番で言うと、どうしてもそれが出ちゃいますよね(笑)。

──それを「老」って一言で担っているのは流石ですよね(笑)。

ココ : 実は、私がPに入るって話もあったんですよ。サキちゃんがいた時からGとPのユニット説はあって。その時に話を聞いた限りでは、私はPだったんですよ。そしたら、サキちゃんが辞めることになって……。

──繰り上がったと(笑)。

ココ : ただ「老」に関しては、キャッチーだし、確実に見てツッコんでもらえるので。インパクトが半端ないじゃないですか? まだ衣装で外に出てないんですけど、おいしいと思っていて。全然ありだと思っています。

──正直、「老」ってほどでも年老いてもいないですしね。

ココ : 自分たち的には、全然老とは思ってないですね。でも最近、WACKにも若い子たちが増えて。私、結構まだ新人のつもりでいたんですけど、そういう歳というか立ち位置になったのか、と思うことが増えました。

──WAggとか、本当に初々しいですしね。

ココ : WAggやBiSを見ていると、若っ! って思います。若い子が増えたことで、逆にキャリアがある人たちの安心感だったり、揺るがない安定感を欲しているお客さんも絶対にいるはずなんですよ。みんな若い子や新しいもの好きだとは思うんですけど、私たちは実家みたいな感じというか(笑)。意外と、そういうグループはないなって。新人なんですけど、どっしり構えている。もちろんうちらも、がむしゃら感はあります。だから、こいつら若い子と同じ括りなのに頑張っているな、って感じの必死さを伝えていけたらなって。

──WACKの中でも「老」を衣装に背負えるのはGぐらいだと思います(笑)。

ココ : そうなんですよ! そういうことになっちゃったんですよ、まじで。

──最近は、WACKらしいって言葉もあまり聞かなくなりましたしね。

ココ : 老害みたいですけど、WACKらしさみたいなものはもうちょっと考えた方がいいんじゃない? ってギャンパレでも話し合ったことあるんです。そこで、WACKじゃないといけない何かを持ち続けていくべきか論があったんですけど、私は持つべきだと思っていて。WACKを背負って活動している以上、やっぱりWACKとは何かって考えるべきなのでは? って。とはいえ、初期BiSを知らない子とかが実際当たり前にいるわけじゃないですか。ってなった時に、WACKの歴史をちゃんと継承できるのって2期BiSとプラニメからいるギャンパレだと思っていて。もちろんBiSHもどんどん開拓していってくれているけど、自分は初期BiSから好きになって入っているからこそ、(プー・)ルイしゃんがいた2期BiSと、サキちゃんがいるギャンパレはすごく特別で。戦争のことを語り継いでいくばあさんが死んでいくみたいな気持ちなんです。別にこれを共有しようとは思わないけど、本当に消えちゃったら悲しいなとは思っていて。本当の意味で引き継ぐじゃないけど、サキちゃんが辞めたら、初期BiSとの繋がりは完全になくなっちゃうわけじゃないですか。GO TO THE BEDSには、そういう面影を感じてほしいですね。

 

──これから新規のファンの人たちも増えていくでしょうしね。

ココ : それこそ豆柴だったりBiSHのファンだったりがWACKを大きくしていることには間違いないから、そういう人たちが深堀りしたときに、知ってくれる人がいたらいいなって気持ちはあります。

1番下っ端のグループでありつつ、いにしえ感を感じるグループ

──この先、GO TO THE BEDSをどんなグループにしていきたいですか。

ココ : 自分たちはWACKで1番下っ端のグループでありつつ、いにしえ感を感じるグループでもあるので、そのギャップを楽しんでほしいなと思います。1から後輩グループとしてやっていく気持ちでいて。新しいグループを最初から見れる機会ってあまりないと思うので、フラットにみんなで一緒にスタートするみたいな部分を楽しんでもらいたいですね。よく「ギャンパレをもうちょっと早く知っておけばよかった」っていうツイートを見かけて、それも嬉しいんですけど、新しいスタートも見届けてもらえたら嬉しいです。

──ココさん個人としての目標というかやってみたいことはありますか。

ココ : 私は喋るのも好きだし、やってみたいこともあるんですけど、全部が中途半端なんですよね。歌とか競歩とかも補欠ぐらいまではいけるんですよ。クラスの選抜リレーとかもそうで。平均よりはできるんだけど、別にズバ抜けていないみたいな。昔からそうなんです。

──いろいろなものが平均点以上でできるのも、すごいことですよ。

ココ : 絵も描けるんですけど、めっちゃ上手いわけじゃないし、器用貧乏というか…… 極めてこなかったんですよ。私にはこれしかできないんだ! みたいなことがない。体育とか美術とか、音楽とかも、それなりにできるけど、めっちゃできる子には敵わないみたいな感じなんですよ。

──これだけたくさんのものが出尽くしている時代、0から新しいものって、ほとんど生まれないと思います。何かと何かを組み合わせるというのは、いろいろできるココさんだからできることなんじゃないかと思いますよ。

ココ : たしかに。

──WACKも、海外のカルチャーを取り入れたり、日本のロックと海外のパンクの手法の掛け算をして生み出したものなんかも多いですし。

ココ : なるほど。時代は回りますもんね。何が自分の中でも世の中でもパーンってハマるか分からないから、いろいろ発信しなきゃですね。良い機会なので、個の出し方を具体的に考えてみます。

──ブスチャレもそうですけど、ココさんは、やると決めてからの度胸とか根性がしっかりあるので、どんなものが生まれてくるのか楽しみにしています。

ココ : 自分でもバカだなと思ったんですけど、リツイート欲しさに「1リツイートにつき1秒筋トレやります」みたいな企画をやったんですよ。体幹のプランクってやつなんですけどめっちゃきついんですよ。2、300くらいリツイートがつくかなと思っていたら、1500リツイートついちゃって。25分やらなきゃいけなくなってしまって、めっちゃ後悔したんです(笑)。でも結果として、コロナ期間に自分が1個やったぞみたいなものになったから、もっとSNSでお客さんがおもしろいなって思ってもらえることをやっていきたいなと思います。


GO TO THE BEDS PROFILE

ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンの5人からなるアイドルグループ。読み方は“ゴートゥーザベッツ”。

2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「ギャンパレ」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。

2020年4月1日に同日結成した「PARADISES」とのスプリットアルバム『G/P』をリリース。

https://gotothebeds.com/

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