昨年11月にリニューアルされた批評誌『エクリヲ』の最新号vol.12が、2020年5月27日(水)に敢行される。
今回の特集は「ポストクリティーク――いま批評には何ができるのか」&「“異物(オーパーツ)”としての3DCG」。
5月25日(月)より通販サイトBOOTHにて先行販売。その後、順次、全国書店/映画館等にて販売される予定となっている。(西澤裕郎)
■コンテンツ詳細
『エクリヲ vol.12』
価格:2,300円+税
発売日:2020年5月27日
オフセット印刷/PUR 並製本/260ページ
印刷・製本発行:株式会社イニュニックエクリヲ編集部
1. ポストクリティーク――いま批評には何ができるのか
ラトゥール、セジウィック、フェルスキ――
批評の「その先」を示すポストクリティークへの招待
「ポストクリティーク」はこれまでの批評にあった世界の見方や思想の限界をとらえ直し、これからの道を模索する議論だ。わたしたちが慣れ親しんできたクリティーク=批評には、表面に書かれている/写っているものを疑い、その内奥や深層に隠された欲望や無意識を暴き出すような手つきを備えたものが決して少なくない。しかし、果たしていま「批評」は機能しているだろうか? ポストトゥルースの時代では「批評」的な態度は一般に認められている事実や常識を疑ってみせ、「もう一つの真実」という名の陰謀論を補強することに使われている。本特集では、ポストクリティークを牽引するリタ・フェルスキやイヴ・セジウィック、ブリュノ・ラトゥールの本邦初訳となる論考を掲載、大橋完太郎、勝田悠紀両氏の論考とあわせ、日本へポストクリティークを本格的に紹介する。
2. “異物(オーパーツ)”としての3DCG
最前線に立つ4人の証言と年表、
作品集、論考による3DCGの荒野へのロードマップ。
わずか半世紀の間に飛躍的な進展を遂げた3DCG。それは単に現実を高い精度で再生産するだけではなく、私たちが見る景色を異質なものに変える「異物(オーパーツ)」としての側面と共に進化してきた。本特集の狙いは、従来注目に値しないとされていたこの「異物(オーパーツ)」的側面から3DCG技術の可能性を掘り下げることにある。本特集では、デジタルアートの祭典、アルス・エレクトロニカでコンペティション部門長を務める小川絵美子氏、および実験的な表現を実践するクリエイター、山形一生氏、谷口暁彦氏、ニキータ・ディアクル氏へのインタビュー、共時的/通時的に3DCG表現を捉える4つのテーマのコラムと年表、アニメーション研究者・田中大裕氏によるVTuber論と批評家・横山タスク氏による日本3DCGアニメーション論を掲載した。
特集の他にも、全世界2000万部突破の劉慈欣『三体』を扱う本邦初の本格評論、楊駿驍による「〈三体〉から見る現代中国の想像力」連載も収録。