お世話になっております。digる男・ヨコザワカイトです。
ついに、YouTubeの日別平均時間が15時間を超え、このペースで伸びれば、2年後には24時間を超える計算となっています。
さて、2020年6月20日(土)は「Record Store Day」です!
今年も、4月18日(土)に開催が予定されていたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、6月20日(土)に開催が延期されることになりました。この記念日を前に、改めてレコードのことについてあれこれと考えてみました。
レコードが持つ不便なデザイン
音楽の媒体は、便利さの追求とともに進歩してきました。蓄音器の発明に始まり、レコード、CD、ストリーミングとサービスや媒体は形を変え、僕たちは現在「好きな時に好きな場所で好きな曲」を聴く事ができるようになりました。
音楽を消費社会のグッズと捉えるなら、レコードは“不便なデザインで音楽を閉じ込めたメディア”と言えるのかもしれません。専用の再生環境を整える必要がありますし、その適切な管理もデータに比べて大変です。
しかし、その不便さが、便利さの追求とともに失われてきたコトを浮かび上がらせます。
突然ですが、仮にあなたが遊園地にいたとして
・並ばずに乗れるアトラクション
・60分並ぶアトラクション
のどちらを選びますか?
多くの方が前者を選ぶと思います。しかし、相対化されたことによって、僕たちは”待ち時間が産んでいた価値”に気がつく事ができます。
60分並ぶ間に一緒に並んだ人と会話が生まれたり、アトラクションのディティールをしっかりと見ることができます。それは、作り手の意図を時間をかけて受け止めることにも繋がりますし、何より、60分という時間はあなたに”その分の期待感”を演出します。
これこそが、相対化して見直される不便なデザインの良さです。
再生環境を整える必要がある分だけ音質にこだわる事ができ、片面30分という制約はA面B面という文化を残しています。1枚1枚が大きい分部屋の中での存在感を増しジャケットをより楽しむ事ができ、何より針を落とすまでのワクワク感が音楽を盛り上げて演出してくれます。
ストリーミングサービスの普及によって、音楽の消費社会化がさらに加速しました。そのカウンターとして、今”あえて”という感情を持って、レコードの文化は再興しています。消費社会の中で見出しづらくなってしまった聴き手としてのアイデンティティの拠り所をそこに見る若者も多いのではないでしょうか。
After 2020の聴き手として
そして、2020年。音楽業界は、コロナという有無を言わさぬ負の影響によって大きく変わろうとしています。音楽を楽しむ方法の1つ、ライヴという形態が失われてしまったからです。現場を失った僕たちはどこに行けばいいのでしょうか。
現実問題として、当面の間は今までのような密な空間でのライヴの開催は厳しいと言われています。
人は失われて初めてその存在に気がつくように、この宣言によって、能動的に音楽を聴く時間が増えた人は多いのではないかと個人的に考えています。ライヴに行けないと宣告されることのフラストレーションが、普段あまりライヴに行かない人も、音楽消費を”じぶんごと”として捉える事につながっているのではないでしょうか。
その上で、「多様な聴き方を自分に用意する」ことで、音楽を楽しむ幅がさらに広がっていけばいいなと思っています。
現状のストリーミングサービスやSNSのデザインは、人をComfort Zoneに留める作用と制約があります。なので、音楽を手にする様々なルートを持っておくと、そこから抜け出して得られる発見や楽しみを再認識する事ができます。
まだレコードで聴いたことがない人がいましたら、これを機に聴き始めてみてはいかがでしょうか? 下にまずはここからというレコードプレーヤーのLinkを貼っておきますね。
※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。StoryWriterで連載を担当しながら就職活動中、そして迷走中。最近はLolicoreが好き。