お世話になっております。部屋がDJ機材で埋まってしまったdigる男・ヨコザワカイトです。
本格的に梅雨に入りましたね。僕は、この季節が好きです。雨が降っている時に聴く音楽は特別な感じがします。これはどうしてなのかと立ち止まって考えて見ると、雨の音が微妙なノイズになっているからなのかもしれないなと。もちろん、湿気はレコードに大敵なのですが。
というわけで、今回のテーマは「ノイズミュージック」です。
digる男を名乗っているからには、定期的に新しいジャンルに挑戦しようと心がけているのですが、これまでどう聴けば良いのかわからなかったジャンルがノイズです。なかなかとっつきずらいジャンルですよね。
僕の場合はdigを続けていく中で、少しその聴き方が分かってきたのでノイズ初心者がどう世界に入っていけば良いのか、をご紹介します。とはいえ、まだまだ初心者なのでご意見などあればコメントください。
ノイズミュージックとは
原則的に非楽音の芸術である。(日本語wikiより)
音楽のコンテキスト内でノイズを表現的に使用することを特徴とするカテゴリである。(英語wikiより)
そう言われてもっていう感じですよね。ノイズというものをどう扱っていけば良いのでしょう。
ノイズミュージックの邦訳は「騒音音楽」ですが、騒音と一言で表現しても百人が百通りの騒音を思い浮かべるのではないでしょうか。ノイズも、アーティストによって異なる音楽性があります。僕は前まで「ノイズはどれも一緒じゃん」と思っていましたが、色々聴き始めるとそうでもないという事がわかってきました。
ジャンルの名前を調べて音楽を聴いていくというのは確かに入りやすいのですが、基本的に音楽ジャンルというのはリスナー側がアーティスト群を体系化し理解するために勝手に作ったものです。
まずは“サブジャンルの名前を知る前に”どんな音楽があるのかということを”初心者だからこその感覚”で聴き分ける事が大事なのではないかと思っています。
僕がまず聴くときに音楽の成分として分けたのは「ビートの有無」です。
大体の音楽にはビートがあるので普段そのような事を意識しないのですが、ノイズ初心者だからこそビートの有無はまず意識して聴き始めました。
ビートがない例
ビートがある例
ビートの有無で曲への向き合い方が違いますよね。ビートがあればそれに乗れば良いのですが、ビートがなければ「今発されている音を聴く」とか「より大きな流れを感じる」とかになってくるかと思います。
次にバンド系かテクノ系か。
ここも感覚的にわかりやすい分け方だと思います。もちろん両者は入り混じっていますが、まずは有機的な楽器を歪ませているのか、電子音を歪ませているのか、というところから分けていくとわかりやすいと思いました。
バンドサウンドの例
テクノサウンドの例
Ryoji Ikedaは正確には実験音楽/エレクトロニカ/IDMなどのジャンルになるのでしょうか。初心者面して細かいジャンル分けは気にしていませんが、とにかく聴いていて気持ちが良くて好きです。
ここまで上げたthrobbing gristleを除く3アーティストが日本出身です。そう、日本は豊潤なノイズ大国なんです。ジャパノイズというサブジャンルもあるほどで、レコード屋のノイズコーナーも充実していますよね。
とにかく、このように自分なりのノイズミュージックの解釈をどう始めるかと意識すると途端に聴きやすくなってきます。アングラかつ奥が深いジャンルなのでdigが一層楽しいんです。
初心者的ノイズの聴き方
ここまで、ジャンルの話をしてきましたが、僕が試したノイズミュージックに慣れる方法を最後にご紹介します。
1. 適当なアルバムを用意します。最初から最後まで聴かざるを得ないレコードかカセットがおすすめ。
2.アンプの音量を極力上げます。
3.部屋の電気を消します。
4.目を閉じて体の力を抜きます。スマホもNG。電源を切りましょう。聴覚以外の情報をすべて断ちます。
5.アルバムを最初から最後まで音が途切れるまで聴きます。その間なにも考えません。棒立ちで大きな肉の塊と化します。
6.音に慣れてきたら少し揺れるなどします。
これが僕が色々試した中で最も良かったノイズの聴き方です。これを毎晩繰り返しましょう。
そもそもノイズというのは「非楽音」。それと同時に非論理的/非情報的な芸術です。できるだけ情報を遮断して、その荒れ狂うノイズに体を委ねるという聴き方が最も適しているような気がします。
中途半端に聴くだけではノイズの事が好きになれなかったので、こうして僕は慣れていきました。これまで苦手意識を持っていたという人も、上記の聴き方を試してみてはいかがでしょうか?
※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。StoryWriterで連載を担当しながら就職活動中、そして迷走中。最近は、密かに音源も制作している。