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【PARADISES 連載】Vol.4 テラシマユウカ編「自信を持って私たちはこういうグループです! って提示していきたい」

StoryWriter

BiSHや豆柴の大群らが所属するWACKの中で、キャリアが最も長いGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「GO TO THE BEDS」と「PARADISES」。キャリア順にメンバーが分けられ、コンセプトのまったく違ったグループとしてスタートを切った。

PARADISESは、ギャンパレでキャリアの短い4名――テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイで構成されたフレッシュなグループだ。2020年5月23日には、WACKの研修生グループWAggから昇格したキラ・メイが加入し本格的に始動した。

第4回目となる個別インタビューは、テラシマユウカ。グループの中で最もキャリアの長い彼女は、コロナ期間中にどんなことを考え過ごしていたのか。作詞も多く手がけるテラシマの歌詞に込めた想いとは? ざっくばらんに話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太


PARADISESになったからには新しいものを生みたい

──コロナ禍が続いていますが、どのようにお過ごしですか?

テラシマユウカ(以下、テラシマ) : 緊急事態宣言が解除されてからは、本格的にアルバムの振り付けの制作や練習をしたりしています。

──連載している映画コラムの中でも書いていましたけど、気持ちがあまり前向きになれない時期もあったみたいですね。

ユユ : 時間があることで、前向きになれない時間があって。それはコロナ期間の発見でした。この仕事をしていると、たくさんの人と会う機会が多いから、自分の人間関係の広さについて考えたことがあまりなかったんですよ。でも、こうやって人に会わなくなってみて、連絡を取る人が親ぐらいしかいないし、自分の仕事に対してしか興味がなかったんだなってことに気がついて。自分の興味の幅の狭さに気づいて、この期間いろいろな人のパフォーマンスを観ようと思って、それこそ音楽番組もたくさん観るようになりました。

──逆に新しく吸収していこうという気持ちになったんですね。

ユユ : はい。自分にないものを持っている人たちばかりなので勉強になったんですけど、インプットを増やすことばかりで、アウトプットをする場がなくて、変に落ち込んだりする時期もありました。

──たしかに、もどかしいというかモヤモヤした気持ちになりますよね。

ユユ : そう、モヤモヤしました。だからアルバムの制作で作詞をすることで、すごく救われた気持ちになりました。

──根本的な話になるんですけど、ギャンパレが2グループに分裂するにあたり、PARADISESの中で最もキャリアが長いメンバーになることに関してはどのように思っているんでしょう。

ユユ : 今思い返すと、ギャンパレに入りたての頃は末っ子感があって、それに甘えていたところがたくさんあったんです。PARADISESになって、自分より活動歴が長い人がいなくなって、しかもメンバー4人全員、活動歴がバラバラなんですよ。その中でどうグループ感を出していったらいいんだろうというのはすごく思いましたね。客観的にGO TO THE BEDSを見ていると、それこそ3年半ずっと活動してきたメンバーなのでグループ感は強いし、ちょっと羨ましいなと思う部分もあるんですけど、PARADISESになったからには新しいものを生みたいと思っていて。ライヴができないからって、コロナを言い訳にしたくない。こういう状況の中でも精一杯できることを発信していかなきゃと思っています。

たまに夜になると自分の頭の中がめっちゃ映像化するんです

──PARADISESは、これまでのWACKグループとは違うイメージが多くありますよね。特にMVの爽やかな感じとか、最初びっくりしました。

ユユ : 私もすごく刺激的でした。今までやったことがないことだし、撮影現場に入った瞬間から、眩しい! ってなります(笑)。

 

──グループのインスタも始めました。そのあたりの発信はどうですか?

ユユ : 楽しくやっています。自分的にもいろいろ研究して、他の人の投稿を見たり、これはインスタっぽい写真だなとか、そういうのを研究しています。個人アカウントじゃなくてグループとしてやっているので、統一感を出すのはめっちゃ難しいと思うんですけど、それはそれですごく楽しいなって思います。

──ユユさんはストイックにいろいろ考えがちなところもあると思うんですけど、何かしら息抜きできるものはありますか?

ユユ : 映画を観ていても結局コラムに繋がるので、完全に無になる瞬間が息抜きになっているのかな。1人の時間、本当に何もしないのが息抜きなのかもしれない。記憶が完全にないみたいな時がたまにあるんです(笑)。

──それは寝ているというわけでもないんですよね?

ユユ : はい。たまに夜になると自分の頭の中がめっちゃ映像化するんですよ。なんて言ったらいいんだろう。めっちゃ不思議な感覚で、これはわかる人に言ったらめっちゃ理解してもらえると思うんですけど…… たぶん何かに対して不安を感じてる時なんですよ。上京してからも何回かあるんですけど、そうなると自分は何かに悩んでいるんだなとか思ったりして。

──最近もあったんですか?

ユユ : ありました。すごく抽象的な映像なんですけど、ペンで書いた黒い線みたいなものが動き出したりとかして。あと足元でたくさんの人が歩いているだけの映像とかもある。それは、別に観ようと思っても観られるものじゃないし、やめようと思ってもやめられるものじゃなくて。それが嫌だった時もあったんですよ。眠れないし、無理だなみたいな。それが今は一周して、あーきたきたきた! と思って、その時間を楽しむみたいな感じになっています(笑)。

──その感覚と上手い付き合い方を見つけたんですね。

ユユ : はい。そういうのも上手いこと使っていかなきゃいけないなと思って。

──今回のアルバム楽曲の歌詞を書くにあたって、その感覚はなにか生かされていたりするんでしょうか?

ユユ : 作詞期間中、ちょうどその状態になったんですよ。なので、そういう状態で作詞した部分もあります。今回は時間がありすぎたので、逆に自分を追い詰めないと無理だなと思って。3日間寝ないで、ずっと書いていたんです。時間があると甘えちゃうんですよね。後でやればいいやとか思って。それが嫌で、3日間で4曲ぐらい書いた気がします。「ALIVE」と「命短し乙女たち」はその期間。「STARE」はもう少し前の時期に書きました。

前を向けない人の気持ちが分かるからこそ寄り添っていたい

──「STARE」はいつぐらいに書いたんでしょう。

ユユ : 緊急事態宣言が出るちょっと前ぐらいですね。世の中がここまでの状況になると思っていなかったし、気持ちの置きどころが分からなくて。SNSでの不穏な空気感とかもすごく嫌だったんですよ。日常生活の中で仕事がなくなったり、学校も行けなくなったり、いろいろな不安があったと思うんです。そういう気持ちを完全に否定できなくて。私は自分のネガティブな気持ちを、それはそれでいいやん、って思いたい。根からポジティブの人のことがすごく羨ましいと思うこともあるんですけど、前を向けない人の気持ちが分かるからこそ寄り添っていたい。この曲を聴いて、自分自身を否定する必要はないし、何か新しいことを始めるのが怖いって気持ちも分かるし、私はその中でちゃんと寄り添っていてあげたいなって気持ちを書きました。

──ユユさんの中から発せられるテーマは、曲調に左右されたりするものなんでしょうか?

ユユ : ものによりますね。PARADISESはキャッチーで明るい曲調が多くて。例えば「BRIGHT FUTURE,YOUR SMILE」はデモ段階から仮歌に底抜けの明るさを感じたんですよ。だからこそ、私はこの曲は書けなくて。途中まで書いたんですけど、すごく表面的な感じがしてしまって。明るいからこそ、ただ明るいだけを書くのは自分の中では違うなと思ったんです。ただ、暗いだけじゃなくて、前を向こうって気持ちはあるので、ほぼ全曲そういう感じで書こうと思いました。「BRIGHT FUTURE,YOUR SMILE」はこのアルバムの中で1番好きな曲なんですけど、書いてくださった永井葉子さんの歌詞がすごく好きで。「僕が君を連れていくから」とか「僕が君を笑顔にさせる」っていう歌詞で、私でも救われる気持ちになる。毎日1曲目に、絶対にこの曲を聴くんですよ。太陽みたいな曲で、自分も安心できるし、自分たちがこれを歌うことによってお客さんに対しても、こういう気持ちだよって示してあげたいなと思いますね。すごく共感できる。自分の気持ちを持ち上げてくれる曲です。

──「ALIVE」はどんなことをテーマにした曲でしょう。

ユユ : PARADISESのために何を働きかけられるんだろう? と考えていた時期に書いたんです。この活動を始める前の学生だった時、何のためにこの勉強をしているんだろうとか、めっちゃ考えちゃう性格で。大学受験をして、国家資格とってみたいなのが当たり前の学校で、周りにそれに疑問を感じている人がいなかったんですよ。私はふと疑問を感じてしまって、オーディションを受けることにしたんですけど、サビの「僕はここにいてもいいかな」っていうフレーズが最初に浮かんで、そこから広げていきました。

──ユユさんは、考えすぎて苦しくなる時もありそうですよね。

ユユ : あります。でも、自分の中でこれが日常だから、そんなに疑問を感じたことがなくて(笑)。

──その反動として、無の1時間とかがあるのかもしれないですね。

ユユ : たしかに。それって、自分の性格が子どもだからなんだと思います。仕事とプライベートを割り切れないというか、全部時間が続いてるような気がして。もちろんオンとオフはあるんですけど、自分の中でそのスイッチが薄いというか。だからずっと同じことを考えちゃうし、寝たら忘れるって感じもない。寝て起きたら、また昨日考えていたことが続くみたいな感じなんです。

──「命短し乙女たち」は文学的なタイトルですね。

ユユ : 曲調がめっちゃ好きで、仮歌を聴いた時から、この歌詞を書きたいって思ったんですよ。仮タイトルが「さよならメトロポリス」で、メトロポリスって大都会とかそういう意味じゃないですか。バイトとかも何もしたことがない状態で東京に来たので、東京=社会みたいなイメージがあるんです。東京に来て感じたのが、変なところではめちゃくちゃ関心を持って牙を向けてくるのに、大事なところで関心がないフリをする人が多いなってことで。東京来てからわざと人にぶつかられることが多くて、それで叫ばれたり、絡まれやすいんです。でも、もし誰かが倒れてたりとかしても、気づかないフリをする人っているじゃないですか。なんなんだよそれって思っちゃう。東京が悪いわけじゃないんですけど、そういう気持ちを当てはめたりとかして書きました。

自分たちが1番自信を持たなくてどうするんだ、って思った

──PARADISESのメンバーの4人の中で、ユユさんが1番キャリアが長いこともあって、グループを引っ張っていくみたいな気持ちはありますか?

ユユ : 引っ張っていかなきゃいけないという気持ちはありつつ、PARADISESとしては4人とも同期だから、差をつけたくないなと思っていて。それこそ敬語をやめにしたりしています。私もギャンパレ時代、サキちゃんに頼っていた部分がめちゃくちゃあって。それをなくそうと思っていたんですけど、無意識にそういうマインドになってしまったりしたので、全員が全員自分で動く力を持っていられるようにはしたいなと思います。受け身じゃなくて。

──実際、4人の雰囲気はどんな感じですか?

ユユ : すごくほんわかしていますね。基本、振り付けは作詞した人が作ることにしていて。メイちゃんはまだ作詞がないんですけど「BRIGHT FUTURE,YOUR SMILE」をやってくれたり。今までだったら振り付けをする人が決まっていて、教えてもらうのが当たり前だった。自分が考えてきたものを教えるってハードルが高いことなんですけど、それぞれの成長に繋がるんじゃないかなと思っています。

──1stフルアルバムということで、どんな作品になりましたか?

ユユ : タイトルの通り、私たちはこういうグループですよというのが敷き詰められたアルバムになっています。全体的に曲調はポップでキャッチーなんですけど、1曲1曲全部個性が違うというか。統一感があって綺麗にまとまっているけど、ちゃんと色が分かれていて虹色みたいな感じ。しっとり系でエモーショナルな「終わらない旅」がスパイスになって、このアルバムが成立している。なので、アルバム全部通して聴いてほしいですね。「STARE」とか今までになかった感じの曲調だったり、「青い春」もすごくゆっくりした曲で、振り付けとかもみんなで話し合って作っているので、ライヴでお客さんがどういうノリ方をしてくれるんだろうってめっちゃ楽しみなアルバムですね。

 

──ちなみにGO TO THE BEDSとリリース日が一緒になったり、同時並行で動くことが多いですが、意識したりしますか?

ユユ : いい意味で、意識しすぎていないですね。それこそ最初の方は同期のココとドクとめちゃめちゃ喋る時間も多くて、一緒にご飯に行ったりもしていたんですけど、それがパタンとなくなっちゃって。自分的にしんどい時期もあったんですけど、自分が考えなきゃいけないし、成長できるポイントだと思うようになって。GO TO THE BEDSは、私たちとは本当に真逆の対照的なかっこいい曲調で、個性をめちゃくちゃ殴りつけてくるようなグループだから、素直にかっこいいなって思いますね。今まで一緒にやっていて客観視できなかった部分があるんですけど、別れたことによって、身近だけど1つのグループとして外から客観的に見られるっていうのは今までになかったおもしろさがあるなと思います。

──GO TO THE BEDSが個性を殴りつけてくるような強烈なグループだとしたら、PARADISESはどんなグループでしょう?

ユユ : WACKの中で新しい道を切り開こうとしているグループだと思います。王道なんだけど、びっくりする新鮮さもある。それこそ、ナルハが「今日好き」に出てくれたおかげで、めちゃくちゃ知名度が広がったと思うんですよ。でも、まだPARADISESにまで行き着いてない人も多いと思うから、どう届けていくかもっと考えていかなきゃいけないと思うんです。今までにあった手法でやっていたら届かないから、目新しさや新しい手法もPARADISESでやっていきたいなと思います。

──自分たちで新しい道を作っていくグループだと。

ユユ : すごく大変なことだと思うんですけど、自分たちのグループに対して、自分たちが1番自信を持たなくてどうするんだ、って思ったんですよ。だから自信を持って私たちはこういうグループです! こういうエンターテインメントです! って掲示できるようになっていきたいですね。


PARADISES PROFILE

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイの4人からなるアイドルグループ。読み方は“パラダイセズ”。

2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「GANG PARADE」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。

2020年4月1日に同日結成した「GO TO THE BEDS」とのスプリットアルバム『G/P』を発売!!

同年7月22日に初のフルアルバム『PARADISES』をリリース!!

https://paradises.jp/

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