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【GO TO THE BEDS 連載】Vol.5 キャン・GP・マイカ編「ダメだった流れを、この日で一気に変えたい」

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BiSHや豆柴の大群らが所属するWACKの中で、キャリアが最も長かったGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「GO TO THE BEDS」と「PARADISES」。キャリア順にメンバーが分けられ、コンセプトのまったく違ったグループとしてスタートを切った。

GO TO THE BEDSは、ギャンパレでキャリアの長い5名――ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンによって構成されたグループだ。2020年7月22日(水)にはグループ初となるフルアルバム『GO TO THE BEDS』をリリース。9月6日(日)には横浜・関内ホールにて結成後初のホールワンマンライヴ〈ARE YOU SLEEPER?〉を有観客で開催する。

そんな彼女たちの個別インタビュー連載第5回目は、キャン・GP・マイカ。グループの振り付けの中心を担う彼女は、どのようにして振付を生み出しているのか。また、グループ加入後久しぶりの採用となった歌詞はどのように生まれたのか。じっくりと話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太


ギャンパレを引き継いでいる部分は少なくない

──マイカさんはコロナ禍中、どのようなことを考えて過ごしていたんでしょう?

キャン・GP・マイカ(以下、マイカ) : グループの始動とほぼ同時期にコロナ禍が本格化してしまって。最初は、ナルハが『今日、好きになりました。』に出演したり、地方のラジオ出演やインタビューもPARADISESのほうが多くて、比較して焦ることが多かったんです。でも、私たちはSNSの発信をしない時期が2週間あったので、自分を見つめ直すことが増えて。さらにアルバムを出すことが決まって振り付けも始まったんです。それまでは、活動の合間にちょっとずつしか作る時間がなかったんですけど、振り付や歌詞作詞だけに専念できる時間が初めてできた。世界的な状況もグループの走り出しも悪かったかもしれないけど、プラスに考えようと思えるようになっていきました。

──マイカさんがGO TO THE BEDSの振付をメインで作っていますが、具体的にどのように考えていくんでしょう。

マイカ : 最初に歌詞や曲の尺を全部ノートに書き起こして、格好いいアーティストの映像を観たり、曲を聴きながら妄想していくんです。妄想の中である程度の形になったら、自分の部屋にある全身鏡の前で踊って微調整していきます。振付を始めた頃は振りもノートに書いていたんですけど、翌日ノートを見ると何て書いてあるか分からなくて……。

──自分で自分の字が読めない、と(笑)。

マイカ : なので、自分が踊っている動画を撮るようにしたんです。観られるが恥ずかったので最初は自分だけのものにしていたんですけど、今回は振りをつける時間が短かったので「イントロはこんな感じです」「サビはこんな感じです」って動画を何個かに分けて事前にメンバーに送りました。それを踏まえて集まったら、みんなある程度踊れる状態だったので、その場で直したり、これは違うかなと思うものは1回家に持ち帰って作り直しました。あと、私、フォーメーションが作れないんです。歌っている子がここにいて、次歌う子はどこにいたらいいんだ? みたいなのが分からなくて。それを今回ユアちゃんが全部やってくれている。毎日夜中の2時から4時くらいまでユアちゃんとZOOMを繋いで、「ここがこういう振りで」って私が言ったのを、ユアちゃんがフォーメーション表に起こしてくれたんです。

──ギャンパレ時代に振付をメインで担当していたカミヤサキさんの色を払拭したい気持ちはありますか?

マイカ : 払拭したいって感じはないんですけど、ギャンパレは人数が多かったから数の暴力をいかに使うかを考えてやってきていたんです。でも5人だとそうもいかないから、最初のスプリットアルバム『G/P』で振りを3曲作った時に、2人ペアで踊る人を増やしてみたり、歌っている人にもっとフィーチャーしてみたりしてみて。9人だったら振りも大きく見えたけど、5人だともっとのびのび踊って違いを見せないとというか。5人でも迫力あるようにということは考えています。

──ギャンパレと今では人数構成もコンセプトも違いますもんね。

マイカ : GO TO THE BEDSにはギャンパレ歴の長い人が多いから、ギャンパレを引き継いでいる部分は少なくないと思っていて。いいところは取りつつ、新しいことも取り入れて、進化させていけていきたいと考えています。

──そういう意味で「行かなくちゃ?」は「Plastic 2 Mercy」を継承しているような曲でもありますよね。どういうことを意識して振付をつけたんでしょう?

マイカ : 振りをつける段階から、立ち位置的には「Plastic 2 Mercy」みたいな感じで考えていて。フロアもステージも関係なく、みんなが手を挙げて盛り上がれるようなイメージで振りをつけました。イントロ、Aメロ、Bメロが静か目なので、1番の盛り上がりをサビに持っていくためにどういう流れでいったらいいか、爆発して見えるかは結構苦戦しました。サビは何回もやり直しましたね。

──サビは癖になる振付だと思いました。特に手を横にやるところ。

マイカ : 藤崎マーケットの「ラララライ」のやつですよね。

 

──そこからインスピレーションを得ていたんですね。

マイカ : 表題曲なのでキャッチーな振り付けにしたくて。誰でもできることを意識したとき、手を挙げるだけだと自由すぎるし、かと言ってかっちり揃えすぎても盛り上がりに欠ける。いろいろ悩んだんです。3代目J Soul Brothersさんの「流星」ダンスとか、そういうものを作り出したいと思っていたし、観てくれた人に引っかかればいいという思いでいろいろやってみました。

──今後も配信ライヴを並行してやっていとしたら、ダンスの重要性は上がっているんじゃないかと思います。

マイカ : 振り付けに関しては、最初は全員の案を取り入れつつ私がまとめていたんですけど、アルバムが一貫して格好よかったので、振りも一貫して格好いい一本の糸的なものがあった方がいいよねってなって。みんなの意見を取り入れつつやるのもよかったけど、やっぱりみんな思考が違うから、全部取り入れると振り付けがふんわりしちゃう。っていうのもあって、今回のアルバムは私が主軸で全部考えてから、みんなで踊って違って直すやり方に変えたんです。そうやっているうちに、1曲に対しての理解度や深みが増すようになっていきました。

自分に書ける恋愛の歌詞に特化していこうかなと思っています(笑)

──マイカさんにとって、1stアルバム『GO TO THE BEDS』はどんなアルバムになりましたか。

マイカ : 一言で言うと「かっこいい!」という言葉が1番合っている。私たちらしい後がない切羽詰まった感じがありつつ、勢いがすごい1枚になったと思っています。

──マイカさん作詞の「Where are you?」はどんなことを思って書いたんでしょう?

マイカ : もう長年作詞が採用されていなかったので諦めていたんですよ。でも、GO TO THE BEDS一発目のアルバムだから、みんなの作詞を入れてあげたいってスタッフさんが言ってくださって。読書をすると言葉の幅が広がったり、引き出しが増えるみたいなことを言われるんですけど、私は読書するとすぐに眠っちゃうんです。しかも訳が分からないんですよ (笑)。自分に合わないことはやめようと思って、私は恋愛映画とかドラマを観るのが大好きなので、自粛中に流行っていた『愛の不時着』を観て書きました。叶わない恋みたいな感じで。

 

──そう言われるとたしかに、『愛の不時着』感をそこはかとなく感じます。

マイカ : そう思ってもらえたら成功です(笑)。マネージャーの辻山さんと何回もやり取りしたし、作詞講座まで開いてくれて。参加者は私とキラ・メイと月ノウサギで、パワーワードや響く言葉を勉強したり、曲調とか伝えたいことをいろいろな歌詞を見て学んだんです。こうやって言いたいけど、もっと意味ありげな言葉はなんだろうってググって書いたり。大変でした。

──マイカさんには、自分で生み出した「マイカ語」があるじゃないですか。そういう言語感覚はある人だから、言語感覚はおもしろいと思います。

マイカ : でも、あれは人に伝わらないんですよね。ファンクラブでWACKメンバーでリレー形式で日記を書いているんですけど、私が提出すると「誤字なのかマイカ語なのか分からないんですけど確認をお願いします」みたいな連絡が来て。

──あはははは。

マイカ : 私の言葉をみんなに歌わせるのは申し訳ない(笑)。あと、書こう! とかやろう! と思うとできないんですよね。いつも自然に出るんです。だから、作詞に活かすっていうのはちょっと難しいんですよ。よくキャラなの? とか言われるんですけど、そうじゃないんです。困ったもんですよ(笑)。

──(笑)。デモを聴いて、恋愛をテーマにしようと思ったんですか?

マイカ : 「Where are you?」のデモから切なさと壮大さを感じて、これは私の好きな恋愛っぽい歌詞がいいかもしれないと思ったんです。恋愛だけじゃなくて、親友とかに置き換えて聴いてもらっても当てはまると思います。

──今回歌詞が採用されたことで、自信にも繋がったんじゃないですか?

マイカ : 自信にもなったし、作り方がやっと分かってきたと思っていて。採用されていないけど、作り方や歌詞のはめ方が良くなってきているってスタッフさんに言っていただいて。あと、作詞が採用されたのは加入した直後以来なので、ファンの人がすごく喜んでくれたんです。これからもいっぱいドラマだったり映画を観て、自分に書ける恋愛の歌詞に特化していこうかなと思っています(笑)。

スタートが上手くいかなかった分、ひっくり返せるラストチャンス

──8月1日に開催されたWACKによるライヴイベント〈WACK FUCKiN’SORRY PARTY〉で、ココさんがいない中、4人でのデビュー・ライヴを披露しました。初ライヴ、いかがでしたか?

マイカ : マイクを持って歌って踊るのが久しぶりすぎて、こんなに自分って緊張する人だったっけ? と思うぐらい緊張していました。でも純粋にすごく楽しくて、これこれ! って気持ちになりました。踊り終わってステージをはけた後は、開放感に満ち溢れていて。後から映像を観たり、いろいろな人からの言葉をもらったり、冷静になると、もうちょっとこうすればよかったとか課題はあったんですけど、踊り終わった一発目の気持ちは、最高! という感じでした。

──ライヴ前、メンバーとはどんなことを話して臨んだんでしょう。

マイカ : 本番前、スタジオで渡辺(淳之介/所属事務所WACKの社長)さんに見てもらう機会があったんですけど、私たちが人を殺したような目と顔をして踊っていたみたいで。「ギャンパレ時代、めっちゃ最高だった! みたいな日あったでしょ? その感覚を取り戻してほしい」って言っていただいて。たしかに、そういう感覚はギャンパレ時代に何回もあったんです。ライヴが終わった後、とにかく楽しかったー! みたいな。振りを間違えても気持ちは伝わったライヴもたくさんあったから、自分たちも楽しまないと観てる人には伝わらないし、自分たちが1番楽しんで自信を持っていこうって話をしました。とりあえず楽しむということを大事にしようと。

──いつの間にか失敗できないプレッシャーを、自分たちで自分たちに与えてしまっていたのかもしれないですね。

マイカ : 失敗できないし、後がない。ちゃんと見せなきゃというプレッシャーがあったんです。そんなことより気持ちで負けないということを思い出させるために、現場マネージャーの平山さんが、本番と同じセットを10回連続で通すって言って本番の数日前にやったんです。10回終わったら「もう1回!」って言ってくれて最終的に11回やったんですけど、終わってヘトヘトになったときにドクが泣き出して。みんな気持ち的に分からなくなってきちゃっていたんですけど、とりあえず楽しもうということを確認して、やれることをやりきろうと思いました。

──11回やることで、余計なことを考える余地がなくなった?

マイカ : 余計なことを考えないようにというのもあったし、目をつむっていても踊れるような状態にしようという気持ちもありました。あと、体力作りという面もあったので、そういう練習もしたり。私たちが単独でライヴをやるよりも遥かに多い人たちが配信で観ているだろうから、ちょっとでもいいなと思ってくれる人が増えたら勝ちだなと思って。スタートが上手くいかなかった分、ひっくり返せるラストチャンスだという気持ちでやっていました。

──実際、Twitterなどではたくさんのコメントが見受けられましたよね。

マイカ : 〈WACK FUCKiN’SORRY PARTY〉でのライヴは「すごかった…!」みたいな反応をSNS上でたくさんいただいて。でも映像を見返すとボロボロなんですよ。ファンの人の記憶が「めっちゃいいライヴしてた!」といいものに変換されている部分もある。もちろんベストは尽くしていたんですけど、5人でワンマンをやった時に何倍も超えたものを見せないとと思って、今必死に練習をしています。

──9月6日(日)には横浜・関内ホールにて、結成後初のホールワンマンライヴが開催されます。まだお披露目してない曲も披露するんですよね?

マイカ : やります! と言っておきながら、同じ曲を13連発とかだったらおもしろいですよね(笑)。そこは楽しみにしていてください。普通にいいライヴじゃダメだと思うんです。インパクトも、技術面も、長いことやっているので貫禄もいい感じで出していきたいし、新人の勢いも落とさずいいものをお見せしたいです。

──お客さんにとっても、久しぶりのライヴになると思います。

マイカ : お客さんのライヴの記憶も美化されているだろうから、それに負けないぐらいの準備を今しています。なので、本当に楽しみにしていてほしいなと思いますね。5人になって1人1人にスポットが当たりやすくなったので、その人作詞の曲がフィーチャーされる振付を意識して作っています。今5人がすごく絶妙なバランスでまとまっていると思うんですよ。1人ずつの責任感も遥かに上がっているので、そこから生まれる何かを観てください。ダメだった流れを、この日で一気に変えたいです。


■イベント情報

GO TO THE BEDS「ARE YOU SLEEPER?」
配信日時:2020年9月6日(日)
時間:Open 18:30 / Start 19:00
※アーカイブ配信はありません
チケット料金:視聴チケット 3,500円(税込)
チケット販売URL:http://w.pia.jp/t/gttb/
※チケットぴあ「PIA LIVE STREAM」にて販売となります。
・配信に関する注意事項
ご購入前に必ずチケットぴあ「PIA LIVE STREAM」オフィシャルサイトをご確認ください。
https://t.pia.jp/pia/events/pialivestream/
チケット発売日:2020年8月21日(金)18:00~

GO TO THE BEDS PROFILE

ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソンの5人からなるアイドルグループ。読み方は“ゴートゥーザベッツ”。

2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「ギャンパレ」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。

2020年4月1日に同日結成した「PARADISES」とのスプリットアルバム『G/P』をリリース。

同年7月22日に初のフルアルバム『GO TO THE BEDS』をリリース!!

https://gotothebeds.com/

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