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【LIVE REPORT】透色ドロップ、コロナ禍で生まれ色味を帯び始めたグループの姿

StoryWriter

5人組アイドル・グループ、透色ドロップが、2020年11月28日に新宿BLAZEにてワンマンライヴ〈透色学概論Ⅴ〉を開催した。

2020年4月24日、新型コロナウイルスへの緊急事態宣言の真っ只中に、Zoom上でグループお披露目記者会見を行なった透色ドロップ。配信リリースした1st EPは、リリース開始1週間でサブスク再生回数1万回を突破。さらにSHOWROOMでの配信、コロナ禍でのデビュにー抱えている不安や決意を伝える「透色ドキュメンタリー」をTwitter上で公開し話題を集め、6月18日に初ライヴ〈アイドルをやらないと死ねない〉を無観客配信した。

7月1日には「目指したい場所はどこなのか考えに考え抜いた結果、わたしたちはSNSから地上へと新しいフェーズに突入していくことを決めました」と、ライヴを主戦場にする「透色ドロップの地上宣言」を発表。コロナ禍で有観客ライヴ開催の制限がある中、ワンマンツアー公演〈透色事変〉の7公演を発表。そんな彼女らが11月28日に新宿BLAZEで行った〈透色学概論Ⅴ〉をレポートする。


メンバー各々のアイドルらしい表情に目を奪われたライヴ

開演時刻の18時半をすぎた頃、メンバーからの注意事項がアナウンスされると会場が暗転。ライヴの始まりを告げる授業のチャイムと同時に「お願いします!」の声が場内に鳴り響くと、爽やかなピアノフレーズが印象的なOvertureが流れてメンバーが登場。お披露目当時の、制服をモチーフにしたような旧衣装を纏った姿からは、まだ初々しい気持ちが感じられる。

そのままライヴのオープニングを飾ったのは、11月3日の大阪公演で初披露された「ユラリソラ」。青春という刹那的な時間の中での初恋を切り取った、どこか切なく、爽やかなメロディラインが印象的な楽曲だ。初披露から時間が経っていないにも関わらず、イントロからファンも曲に合わせてケチャをする。新型コロナウイルスの拡散リスクの観点から声援は出せないものの大きな動きで盛り上がる。特に、メンバー藤咲ゆきあのファン一人一人に向けるような笑顔が曲に合って光っている。

藤咲ゆきあ

ショートMCでは、ライヴのコンセプトに合わせ、各々の好きな給食メニューも伝えながら自己紹介。本ツアー2回目の新宿BLAZEでのライヴになるが、前回よりも動員が増えたことへの喜びを素直に伝えた。「声は出せないけど、振りコピしたり、推しジャンしたりして盛り上がっていきましょう!」と見並里穂が盛り上げると、「やさしさのバトン」、ダンスが大好きだと公言している藤咲ゆきあがバレエのような軽やかなソロダンスを披露した「君色クラゲ」を披露。先述のMC通り、会場のファンが振りコピをして一体感が生まれる。それを嬉しそうに見つめながら、曲に合わせてハツラツとした表情を見せる忽那杏優に観客たちは目を奪われる。さらに続けて、ポップなアッパーチューン「キュンと。」を披露。当初は緊張した面持ちの藍田萌の表情も解れて、時折笑顔を見せ始める。キュートなダンスの中でメンバーが顔を合わせて微笑み合う場面では、メンバーの親密さを感じさせられ、会場は暖かい気持ちになった。

忽那杏優

藍田萌

続いてショートMCを挟んで新曲「ぐるぐるカタツムリ」を初披露。事前のMCでダンスの振り付けをレクチャーし真似するファンも見られた。恋する乙女心を歌った曲に合わせてステージ上を所狭しとメンバーがポップに踊り跳ねる。クールなキャラクターでリーダーの橘花みなみが曲中のセリフを恥ずかしそうに喋っていた姿に、観ている側も心をくすぐられたような気持ちになる。甘酸っぱい気持ちに溢れる1曲だった。

橘花みなみ

この後は童話の桃太郎の世界観を思わせる「桃郷事変」を披露し、キュートなライヴの雰囲気を大きく転換させる。ファンキーなSEが流れると、見並里穂が「後半戦も盛り上がって行きましょう! カタツムリの次は猿になれんのか! そんなんじゃ鬼ヶ島に連れて行かねえぞ! もっと盛り上がれ! 新宿BLAZEバカになれ!」と、会場が大きなクラップに包まれる。新型コロナウイルスの中でライヴシーンが消沈してきた中、久しぶりに大きなクラップシーンや推しジャンを目の当たりにして、アイドルシーンの盛り上がりっぷりを思い出させられる。

見並里穂

その勢いで「ネバーランドじゃない」、「アンサー」を披露。爽やかな曲調と振りが多い中で、アクセントとなる流れの2曲だ。クールでパキッとした橘花みなみのダンスとクールな顔つきには迫力さえ感じられる。最後は「君が描く未来予想図に僕が居なくても」を披露。〈運君が描く未来予想図に僕の名前がなくたって 君が ただ君が 笑っていればいい 運命の糸なんていらない 愉快なピエロで構わない〉と、健気な片想いの歌詞を歌う彼女たちの表情にはドキっとさせられた。

心の中に大きな余韻を残してライヴは終了。最後に12月14日に2ndEP『透色学概論』のリリースがメンバーからアナウンスされた。終演後の場内で、推しメンの魅力や2nd EPリリースの感想を語り合う声を耳にしながら、筆者は会場を後にした。

新型コロナウイルスの第3波到来が、日増しに叫ばれている。この中で、再び彼女らが観客を目の前にライヴができるのか予断は許さない。コロナ禍で生まれた彼女らは、曖昧な輪郭のまま活動を続けてきた。それでも今回のライヴでは、グループ名通り、透明がかってはいるものの、確かに形や色味を帯び始めている姿が垣間見えた。そんな成長を感じさせたライヴだった。

取材・文:エビナコウヘイ


■ライヴ情報
透色ドロップ ワンマンライヴ〈透色学概論Ⅴ〉
2020年11月28日(土)@新宿BLAZE
=セットリスト=
overture
1. ユラリソラ
2. やさしさのバトン
3. 君色クラゲ
4. キュンと。
5. ぐるぐるカタツムリ
6. 桃郷事変
7. ネバーランドじゃない
8. アンサー
9. 君が描く未来予想図に僕が居なくても

■リリース情報
透色ドロップ
2nd EP『透色学概論』
配信日:2020年12月14日(月)

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