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【LIVE REPORT】BiS、約10ヶ月ぶりの東京有観客ワンマンで研究員と作り上げた“ライヴ”

StoryWriter

BiSが2020年12月18日(金)、年内ラストとなるワンマンライヴ〈The DANGER OF MiXiNG BiS〉を東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催した。

東京での有観客ワンマンライヴは、今年2月にリキッドルームで行われた〈“LIVE DAM Ai” presents STAND BY BiS〉以来、約10ヶ月ぶり。10月からワンマンツアー〈KiLL YOur WiNTerxxx〉を愛知、札幌、京都、仙台、福岡で行ってきた4人が、本拠地・渋谷の会場でどのようなライヴを見せるのか。チケットは一般発売後即完、オンラインで有料配信も行われ、大きな注目を集める中、2020年最後となる東京でのワンマンライヴが行われた。

開演5分前にBiSマネージャー渡辺淳之介が影アナで注意事項を述べ、「この日のためにメンバー、スタッフ一同、準備してまいりました。本当に今日が楽しみでした。今日来てくださったこと、絶対に忘れません。研究員のみなさん、一緒に楽しみましょう!」と挨拶をすると、会場は大きな拍手に包まれた。

18時30分になると暗転。ステージにセットされた西洋式の建物に、映像作家・山田健人によるプロジェクションマッピングが映し出されると、セット2階中央からスモークが吹き出しメンバーが1人ずつ登場。「SEX」「FUCK」「PRETTY」「BITCH」と書かれた文字の前に、ネオ・トゥリーズ、トギー、イトー・ムセンシティ部、チャントモンキーの4人が立つと、第3期BiSはじまりの楽曲「STUPiD」でライヴがスタートした。

のっけから、研究員たちがその場で両手を天に突き上げながら振り付けを行い一体感を見せると、メロコア調の「BASKET BOX」、初期BiS〜BiSHのDNAを感じるメロディアスなロック楽曲「I WANT TO DiE!!!!!」、第3期BiS初期楽曲「少年の歌」、初期衝動に満ちた「LET’S GO どうも」と出し惜しみなく披露。全身全霊を込めたパフォーマンスで、ホールとは思えない、ライヴハウスで生まれる独特の熱気が会場を包んだ。

「はじめまして! 私たち新生アイドル研究会BiSです!」と挨拶し、1人ずつ自己紹介をすると、スカ調からメロディアスなサビに開ける「DESTROY」を披露。不穏なイントロで始まる低音の聞いたヘビーロック「DEAD or A LiME」、ネオ・トゥリーズのソロ歌唱から始まりシャウトが印象的な「SURRENDER」、ヘビーなバンドサウンドにメンバーの声が正面からぶつかり合う「IT’S TOO LATE」、ミドルテンポのバラードロック「GETTiNG LOST」、軽快なリズムで可愛らしい振り付けを感じる「LOVELY LOVELY」、メロディックなロック「DiRTY and BEAUTY」と続け様にパフォーマンス。研究員たちは自分の席で両手と全身を使って盛り上がり、会場の熱気は高まっていった。

「新曲、もってきました!」とトギーが言うと、「HiDE iN SEW」を披露。初期BiS「HiDE OUT CUT」のコード進行に、新たなメロディと英詞が加わり生まれ変わった楽曲だ。メロディックな旋律に鍵盤が絡みあうBiSの新たな代表曲に研究員たちは魅せられた。

続けて、オルタナ調のサウンドでアップテンポな「KiSS MY ASS」、抒情的な鍵盤とメロディの「イミテーションセンセーション」を披露すると、「thousand crickets」では再び山田健人によるプロジェクションマッピングが。「ラジオ体操令和第3」の文字と体の動かし方が表示されると、4人とともに研究員もラジオ体操に興じる。1サビでメンバーたちが2階に上がっていくと、それぞれの背景に炎が現れ、「第一回BiSガチンコスクワット対決」の文字とカウント計、タイムがメンバーの下に表示された。前代未聞のプロジェクションマッピングとともに4人はスクワットへ。未だかつて観たことのない光景の中、トギーが122回のスクワットを行い1位を獲得。しかし決して楽曲が止まるわけではない。

そのまま「teacher teacher teacher」が流れはじめると、4人は階段を降りて一階へ。ネオとイトーは足がガクガクになっているが、そのままパフォーマンスを続けていく。明らかに体力が削られているがポップに踊り切ると、シャウトで始まるヘビーなロック「FUCKiNG OUT」へ。サビでは、左右にエールを送るようなフリで全身を動かし、疾走感に溢れた「テレフォン」では気力溢れる歌とダンスを1人1人が魅せる。続くメロウでロックな「this is not a love song」まで連続でパフォーマンスを行なった。

「いま、BiSを観てくれているあなたに、私たちは手を伸ばし続けます」とチャントモンキーが語ると、「TOUCH ME」を体いっぱいに使って歌い踊り、本編は幕を閉じた

4人はステージを後にしたが研究員から大きなアンコールが起こる。その拍手に応えて再び4人がステージに登場すると、それぞれMCを行った。

トギー「なんでもできるって思っていました。なにも知らなかったから、なんでもできるって思っていました。だけど、なにもない人間だと思い知らされるたびに、天才じゃないって実感するたびに、本当に私にはなにもできないのか確かめてみたくなりました。格好よくなくてもいいから、あがいてみたくなりました。天才じゃないから、なにもないから、きっと死ぬ気でがんばらないと叶わないことばかりで。研究員と一緒じゃないと私たちはきっと何もできなくて。研究員と一緒じゃないと、私たちは行きたい場所に行くこともできません。研究員と一緒じゃないと、BiSはBiSじゃないです。これから先、どんなに大きな壁が私たちの前に立ちはだかっていても、もう足止めされないです。何度でもぶっ壊して、ぶっ壊して、何度でも進み続けます。死ぬ気で進み続けます。言霊とか、言葉の力って、強いっていうから。私たちは研究員と武道館に行きたいです。これからもよろしくおねがいします」

チャントモンキー「最初はコロナに怒っていました。なんでライヴができないんだって。でも、コロナで気づけたこともあります。去年まで私たちの活動のほとんどはライヴで、ライヴと研究員はセットでした。でも世界が一変して、研究員がいないライヴをやりました。はじめて研究員とライヴが切り離されたみたいで、こんなに悔しくて虚しい気持ちは初めてでした。私たちは、もちろん去年から必要だと伝えていたけど、その意味を全身で感じました。私たちの原動力は研究員です。正直、振り付けを考えたり、文章を考えたり、難しいし、向いてないかなとか思ったりしてしまうんですけど、それでもライヴで研究員が全力で楽しんでくれる姿を思い出したら、もっと楽しんでもらいたいと思って頑張れます。私たちは研究員に原動力をもらっているから、いまはまだまだだけど、これからもらったもの以上のものを与えられるように頑張ります。今年のライヴ締め、研究員と一緒にできて、幸せです。こんな気持ちをくれてありがとうございます」

ネオ・トゥリーズ「10月18日からありがたいことに、有観客ワンマンをさせていただくことが決まって、こんな世の中の状況で私たちが活動できていた時間より長い時間研究員に会えなくて、待っていてくれた時間、少しでも取り戻せるように私たちがいつも研究員に感謝している気持ちをライヴで返したい、届けたいと思ってライヴをしていました。けどライヴをして、実際は私たちが研究員からたくさんの元気とか笑顔とか楽しいとか嬉しいとか、いろんなものをもらってばかりだなと思います。私は、いつもよくない未来を考えてしまったり、考えなくてもいいことを考えてしまうことが多いんですけど、そんなときにいつも思い浮かぶのは研究員の顔で、ここで負けちゃいけないと思って。BiSになる前なら全部放り投げていたはずなのに、私は、正直やさしい人間では全くないんですけど、研究員の皆にはやさしい人でありたいなと思います。本当にありがとうじゃ言い表せないくらい感謝しています。まだまだ未熟な私たちですが、もっともっと努力して、ここにいるみんなと配信をみているみんな、未来の研究員のみんなと元気な姿で会いたいです」

イトー・ムセンシティ部「BiSとして活動するのが1年半以上経ちました。長い間があいてしまったりしたけど、私たちはたくさんの人に出会うため、たくさんの場所でライヴをさせていただきました。でも、ただ歌って踊るだけじゃ意味がなくて。気持ちを伝える練習というのができなくて、すごく苦しんだりもしたんですけど、唯一研究員のみんなと会える、このライヴという場所が私にとっては、一番私とBiSと研究員と向かい合える場所だと思いました。明日が来ることが怖いって何度も何度も思ったんですけど、明日研究員と会えるかもしれないと思って迎える夜は全然怖くなくて。みんなと会えるって考えたら、すごく楽しいって気持ちが、そう思えるようになりました。みんなの声が聞こえないことはすごくさみしいと思ったけど、自分には聞こえて来る気がして、不安とか怖さはもうありません、今日研究員のみなさんとすごして新しいBiSが作り出せる第一歩だと私は思います。今日この場所に来てくれてありがとうございました。また絶対に会いたいです」

イトーがMCを終えると「BiSは来年1月からまたみんなに会いにいくツアーをします。よろしくおねがいします!」と発表。研究員たちは、声を出すことができないが、暖かく力強くやさしさのこもった拍手で会場をいっぱいにした。

そして第3期BiSの代表曲「BiS -どうやらゾンビのおでまし-」をアンコールで披露。〈何度でも行かなくちゃ〉という歌詞が、コロナ禍以降の彼女たちの状況と重なり合い、今日この日を迎えた喜びへと続いているようだった。4人が見せたライヴへの全身全霊の返答として、研究員たちのジャンプが大きなうねりとなっていた。続けて「CURTAiN CALL」を披露。そのまま大団円と思いきや、もう一度「CURTAiN CALL」を披露し、約10ヶ月ぶりとなるBiSのワンマンライヴは熱気の中で幕を閉じた。

マイクを通さず4人が「以上、BiSでした。ありがとうございました!」と感謝の言葉を述べ深々とお辞儀をすると、最後はボロボロと涙を流しながら、研究員に向けて手を振って挨拶。最後は4人で手を繋いで感謝を述べると、ステージを後にするのを惜しむように、そして同時に久しぶりの東京ワンマンをやりきり満足したかのように、1人1人深くお辞儀をしてステージを後にした。研究員たちの拍手は弱まることなく、そして鳴り止まなかった。

コロナ禍によって、観客は声を出せない、モッシュやダイブもできない、肩も組めないなど、制約があるなかで行われたBiSの久しぶりのワンマンライヴ。そんな中でも、この日BiSが生み出したものは、間違いなく“ライヴ”だった。彼女たちがコロナ禍で悩み、もがきながらも辿り着いた、そのライヴは必ず未来に繋がるものだと確信せずにはいられなかった。

取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太


BiS〈The DANGER OF MiXiNG BiS〉
2020年12月18日(金)@東京LINE CUBE SHIBUYA
ゼットリスト
1. STUPiD
2. BASKET BOX
3. I WANT TO DIE!!!!!
4. 少年の歌
5. LET’S GO どうも
6. DESTROY
7. DEAD or A LiME
8. SURRENDER
9. IT’S TOO LATE
10. GETTiNG LOST
11. LOVELY LOVELY
12. DiRTY and BEAUTY
13. HiDE iN SEW
14. KiSS MY ASS
15. イミテーションセンセーション
16. thousand crickets
17. teacher teacher teacher
18. FUCKiNG OUT
19. テレフォン
20. this is not a love song
21. TOUCH ME
EN1. BiS-どうやらゾンビのおでまし-
EN2. CURTAiN CALL
EN3. CURTAiN CALL


■ライヴ情報

BiS ツアー〈KiLLiNG IDOLS TOUR〉
2021年1月17日(日)@仙台・GiGGS
2021年1月20日(水)@広島・BLUE LIVE
2021年1月21日(木)@高松・feathalle
2021年1月23日(土)@名古屋・Zepp Nagoya
2021年1月24日(日)@大阪・Zepp Osaka bayside
2021年1月27日(水)@熊本・Drum B.9 v1
2021年1月28日(木)@福岡・Zepp Fukuoka
2021年1月31日(日)@神奈川・KT Zepp Yokohama
2021年2月10日(水)@神奈川・KT Zepp Yokohama
2021年2月12日(金)@東京・Zepp Tokyo
2021年2月14日(日)@北海道・Zepp Sapporo

〈WACK TOUR2021″TO BE CONTiNUED WACK TOUR”〉
2021年1月16日(土)@愛知・Zepp Nagoya ※EMPIRE / GO TO THE BEDS
2021年1月30日(土)@神奈川・KKT Zepp Yokohama ※BiSH / 豆柴の大群 / PARADISES
2021年2月6日(土)@福岡・Zepp Fukuoka ※EMPiRE / BiS
2021年2月7日(日)@大阪・Zepp Osaka Bayside ※BiS / PRADISES
2021年2月21日(日)@北海道・Zepp Sapporo ※BiSH / GO TO THE BEDS
2021年2月27日(土)@宮城・仙台GiGS ※EMPiRE / 豆柴の大群
2021年3月17日(水)@東京・Zepp Tokyo ※BiSH / BiS / GO TO THE BEDS / Wagg
2021年3月18日(木)@東京・Zepp Tokyo ※EMPiRE / 豆柴の大群 / PARADISES / Wagg

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