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StoryWriter

4人組ロックバンド・東京初期衝動のヴォーカル&ギターしーなちゃんが、ジャンル問わず、話をしてみたい相手と対談を行なっていく連載がスタート。2018年にバンドを結成し、自主レーベル「チェリーヴァージン・レコード」を立ち上げ、DIYな活動を続けているしーなちゃんが、音楽に限らず、映画、お笑い、漫画などジャンルを横断し、それぞれの表現について、ざっくばらんに語り合っていく。

記念すべき第1回のゲストは、曽我部恵一。自主レーベルROSE RECORDSの設立も17年目に突入、今もインディペンデント/DIYを基軸とした活動を続けている。2020年にはサニーデイ・サービスのアルバム『いいね!』のリリース、「カレーの店・八月」と中古レコードショップ「PINK MOON RECORDS」を下北沢にオープンするなど、ミュージシャンとしても生活人としても、自身のスタイルを貫いている曽我部恵一と曲作りの話から、食べ物の話、下北沢の話までじっくりと対談を行った。

取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希


不良品のようなものに魅力を感じる

──東京初期衝動はこれまで、ほとんど先輩ミュージシャンと関わることがなかったですよね。

しーなちゃん:やっと最近2人ぐらいできたぐらいで。

曽我部:僕らも活動を始めた頃は、周りがみんな敵に見えるじゃないけど、なかなか仲良くなれなかったんだよね。まあ、そういうものですよ。

しーなちゃん:そんなある日、サニーデイ・サービスを私に勧めてくれた男の子から「曽我部さんがInstagramのストーリーに東京初期衝動を載せてるよ!」って連絡が来て、ビックリしました。

曽我部:レコード(『SWEET 17 MONSTERS』)を手に入れて、聴いていたら好きになったんです。うちの次女も、一緒に聴いていたら好きになっていって。

──初期衝動のどういう部分がいいなと思われたんですか?

曽我部:曲がよくて、単純にいい音楽だなと思ったんですよ。僕は音楽が好きだから、いつもいい音楽を探しているんです。演奏とか音楽など全部を含めて単純にかっこいいバンドだなと思って。自分も「あ、頑張らないとな」って思いましたね。

 

──音楽的な新しさみたいな部分とは違う部分で琴線に触れた、と。

曽我部:僕はあまり新しい音楽を求めているわけではなくて。古くても新しくても、メロディがよかったり、歌詞が刺さったり、感動があればいいと思っているんです。この人はこの音楽をやらずにはいられなかったんだろうなみたいな一生懸命さが1番大事だと思っていて。それって伝わるじゃないですか。そういう部分が詰まっている音楽だなと思ったんです。

しーなちゃん:うれしいです。

曽我部:僕らが若かったときは、みんな失敗ばかりだったんですよ。今って演奏もそうだけど、みんな上手い。YouTubeを観たり、調べることで正解がすごく分かっちゃうから、バンドの底上げがされているしレベルが高い。でも、僕はどっちかと言うと、出来損ないと言うと語弊があるんですけど、不良というか不良品のようなものに魅力を感じるんです。自分が好きになったパンクもそうだった。不良品と言うとすごく言い方が悪いんだけど、東京初期衝動は気持ちが先にいっている。やりたいことがたくさんあるんだけど、自分たちのサイズを内容が超えているような。そういうロックな最高なところを感じたんです。

しーなちゃん:うれしい……!

 

曽我部:褒めすぎてもあれだけど、何もできないのに、もうオリンピックに出ようとしているような勢いというか。思いの方が先にいっているのは、すごく大事なことで。例えば、ビートルズみたいなことをやりたい、ああいう音ってどうやってやるんだろうって言ったとき、自分たちしかいないと失敗するのね。で、失敗したのが自分たちのサウンドになっていったりする。後々を考えると、自分たちでやるってすごく大事なことなんだよね。

しーなちゃん:自分たちで手探りでやるのはすごく楽しいです。ああじゃない、こうじゃない、これでいいか! やっちゃお! みたいな。バカだって思われてもいいし、こっちの方がおもしろいからやろう! みたいな感じでやっています。

曽我部:何年ぐらいバンドをやっているんですか?

しーなちゃん:2018年からだから、3年目になりますね。

曽我部:わりとまだ短いんだ。でも、3年であそこまで形になるんですね。

 

──今音楽を始める子って、打ち込みなど1人である程度やれるのかなと思うんですけど、しーなちゃんがバンドにこだわる理由はどこにあるんでしょう?

しーなちゃん:私、人に尽くすのが好きなんですよ。ご飯を作ってあげたり、お世話をしてあげるのがすごく好き。例えば、私が曲を作ると、ギターの希ちゃんやベースのあさかちゃんが喜んでくれるとか、なおちゃんが楽しそうにドラムを叩いてくれる。そういうのがあるからバンドが好き。あと、1人だと味付けできないところを他のメンバーが音をガーッて上げてくれるのも好きですね。

──曽我部さんはいろいろな形態でやられていると思うんですけど、バンドの魅力はどういうところにあると思いますか?

曽我部:僕の場合、ずっとやっているから自分に合っているというか。ある部分では仕事でもあるから仕事仲間でもあるし、高校の時の友だちでもある。なんですかね。分からない(笑)。

──他人と向かい合いながら表現をするって大変なことなんじゃないですか?

曽我部:そこまで大げさじゃないんですよ。友だちとやるってだけなんですよね。バンドって。

しーなちゃん:友達だと、はっきり言えない時ないですか? 「うーん、このリフは……」みたいに思っても。

曽我部:ああー、言えないの?

しーなちゃん:私、メンバーがやること全てを肯定したくなっちゃうんです。だから、うーんと思っていても、「いいいじゃん!」って言っちゃうんですよ。

曽我部:そこは人との付き合い方だよね。僕はわりと「あ、それいらない」とか「そこはもっとこうして」とか言う(笑)。昔から僕がディレクション、プロデュースする感じだったから、「こんな感じのサウンドはないかな」って言いながらやってきているのが癖なっちゃっていて。

しーなちゃん:私は自分が正解と思えないんです。逆に、メンバーのセンスがいいなと思っていて。特にギターの希ちゃんは、サニーデイ・サービスがすごい好きなんですけど、私もその子の好きな音楽が好きだから、私が間違えていて向こうが正解だみたいな気持ちになっちゃうんですよ。最近、バラード系の曲を作ったんですけど、最初と全然違うものに出来上がって。方向性は同じなんだけど、完成図が全然違うものになる。だから、楽しいなって。

曽我部:それは新曲?

しーなちゃん:新曲です。

曽我部:楽しみですね。

いろいろ感じながら生きるのが大事だと思うし、そういうのが曲の栄養

しーなちゃん:曽我部さんって膨大な量の曲を作っているじゃないですか?

曽我部:結構作りますね。なんだかんだ。

しーなちゃん:今日の対談に向けて、寝ている間もヘッドホンしてずっと追っていたんですけど、膨大な量すぎて追えないみたいな。

曽我部:いや、もうファンの人も分からないと思う(笑)。

しーなちゃん:去年『いいね!』ってアルバムが出たじゃないですか。何がすごいって、そんな膨大な曲を作っているのに、どの作品にも、この曲が1番好きって思うものが絶対にあるんです。コロナ自粛中に「春の風」を聴いてびっくりしました。一緒に聴いてた人が「これ誰?」って言うので、サニーデイ・サービスって言ったら、ええ! すごい、またいい曲作ったんだみたいな。

 

曽我部:自分は曲ができたらどんどん出したいなと思っていて。昔はいいものだけを出さなきゃいけない気持ちがあったんですけど、いまはバンドもソロも、ちょっとしたつぶやきみたいなものもある。いろいろやっていると、中にはいい曲も出るかなと思っているんです。曲を作るのが好きなのかなと思う。

しーなちゃん:曽我部さんの歌詞もすごく好きで。「この人、ほんっとにいい恋愛しているよね!」って思う歌詞が多いですよね。

曽我部:きっと、自分の中に恋愛の理想像があるんだろうね。

しーなちゃん:よくこんなこと思いつくなって歌詞がたくさんあって。水色って私もよく使うんですけど、「レモン色」みたいな私には絶対出てこない歌詞も多い。すごいポップで、綺麗な小説家のような言葉を使っている。

曽我部:歌詞は後につける? 最初からある?

しーなちゃん:生活していると言葉を使うじゃないですか。その時にできるだけメロディがつけられるように練習していて。リズムに乗って読んだり、リズムに乗って言葉を考えるみたいな感じで同時に作ります。どっちが先なんですか?

曽我部:僕も同時が1番理想的。後で乗っけることもなくもないんですけど、すごく難しくて。後で歌詞を乗っけると、ベストなものってなんだろうと考えて時間がかかっちゃう。この曲はこういうことを歌いたいメロディなんだ! とバンって出すのがやっぱりいいよね。

しーなちゃん:いいですよね。どういう時に歌詞を書くんですか?

曽我部:自分の心では解決できないような喜びや苦しみがあった時、曲にするしかないなって思うじゃないですか? もちろん、なんとなくポロッとできる時もあるんだけど、心から何かが出ていきたい、何か表現したい、こういう気持ちなんだけど自分の中では消化できない、そんな時に生まれてくるものだと思うんですよ。だから、いろいろ感じながら生きるのが大事だと思うし、そういうのが曲の栄養だと思うんです。なんとなくぼんやり、何も感じないようにして生きていたらできないかもしれない。だから、悲しいこととか、うれしいこととかいっぱいあるけど、そういうのをいちいち感じながらみんな音楽を作っているんだろうなと思いますね。僕はそういうのが溜まった時に、曲になる感じです。

 

──しーなちゃんも普段生活してて、心が大きく揺れ動いたりしますよね。

しーなちゃん:私、ジェットコースターなんですよ(笑)。

曽我部:うんうんうん。

しーなちゃん:いろいろな人を好きになっちゃうし、いろいろなことに悲しくなっちゃうし、うれしくなっちゃうから、すごく忙しくて。どういう時に曲を作るんだろう…… 私は、みんなが寝静まった頃に作ります。朝の4時とか5時。

曽我部:夜型?

しーなちゃん:いや、私、仕事を普通にしているので、翌日仕事がないと「作るチャンスだ!」と思って夜ふかしして。ボイスメモに普段いっぱい録っておくんですけど、聴かないんですよね。1番できるのは自転車を漕いでいる時とか、サウナに入っている時とか。

曽我部:サウナ好きなんですか?

しーなちゃん:サウナ大好きです。

曽我部:温泉とか行くと、たまにサウナに入るけど、みんなが言っているようなガチなサウナに入りに行くっていうのはやったことなくて。

しーなちゃん:たぶん好きだと思います。800円ぐらいで入れる山の温泉とか、すっごい自然を感じて最高な気分になります。大好きなんです自然が。1番心が洗われるし、「あー次の曲、頑張って作ろ」って思える瞬間がある。

2人が大きな影響を受けた岡崎京子

曽我部:産まれたのは東京?

しーなちゃん:東京です、足立区。

曽我部:でも、自然が好きなんだ。

しーなちゃん:身近になかったから、新鮮に感じるんですよね。足立区は何もない場所なんですけど、漫画とかCDとかいっぱい置いてあるウェアハウスっていう大きいレンタルショップがあって。そこで試聴機にいっぱいCDを入れて聴いていて。漫画も立ち読みばかりしていました。

曽我部:夜中までやっているの?

しーなちゃん:夜中までやっています。朝から晩までいましたね。座り込んで漫画を読んでいました。私は全然音楽を探れてなかったなって思うんですけど、サニーデイ・サービスって、音楽を聴いている人が聴く音楽だって印象があって。

曽我部:あーそうかもね。ちょっとマニアックな音楽かもしれない。

しーなちゃん:銀杏BOYZが好きな男の子って、今の時代でもミックスCDとかを渡してくるんですよ。渡してくるっていう言い方は変ですけど(笑)。そのミックスCDに、絶対サニーデイ・サービスが入っているんです。

曽我部:そっかあ。

しーなちゃん:その中で気になった曲が「青春狂走曲」で。読み方が分からなくて訊いたら、「青春狂走曲」は『狂走情死考』っていう映画から来ているから、絶対観た方がいいよって教えてもらったり。

 

曽我部:よく知ってるな、その人。

しーなちゃん:すっごい長文で、曽我部さんが好きなら、岡崎京子の漫画と、この映画が絶対好きだからって薦めてくれたり。

曽我部:岡崎京子さんは好きなんでしょ?

しーなちゃん:好きです。

曽我部:タイトルにもなっているもんね(※東京初期衝動、初の映像作品『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』)。僕も青春だった。

しーなちゃん:『桜 super love』のジャケットイラスト、岡崎京子さんですもんね。

曽我部:そうそうそう。高校生の時に読み始めたんですけど、四国のすごい田舎の高校生だった。本当に山とか海しかないところで。東京に行ったら岡崎さんみたいな生活をしたいなと思っていた。

しーなちゃん:だから、下北沢なんですか?

曽我部:っていうのもある。岡崎さんの存在がなかったら下北に来てなかったかもしれないです。田舎に住んでいたときから、岡崎京子がいる街っていう感じの認識だった。

しーなちゃん:下北沢がそういう街だって知らなかったなあ。

 

曽我部:僕は下北のこととか、東京のこととか何も分からないけど、岡崎京子と言えば下北だよなって感じはしていて。書いていたからね、下北のZOOに行ったとか。

しーなちゃん:エッセイとかも書いてらっしゃいますもんね。曽我部さんのインタビューを読んだら、カレーもレコードを探すのも全て下北で住むって書かれていたじゃないですか。

曽我部:うん、そうそうそうそう。下北って住めば都っていうかね。たまに高円寺とかに行くと、なんか外国に来たみたいで、めっちゃ楽しいんですよ。

しーなちゃん:ほんとですか(笑)? 私はいつもいるから、分からなくなってきちゃった。

曽我部:高円寺に行くと全然文化が違うというか、楽しいんですよ。下北は小さいから全部が分かるでしょ。高円寺ってすごく大きいし、人も多いから。

しーなちゃん:ごはん屋さんがたくさんあって、お昼いろいろなところに行っているんですけど、まだこのカレー屋もラーメン屋も行ってなかったわっていうところがいっぱい出てきます。ごはん好きですよね?

曽我部:うん。

しーなちゃん:インタビューを読んでも、ごはんがおいしく食べられればって。

曽我部:そうそうそう。「今日も飯うまいねー」みたいなのが生きる上で1番重要なことっていうか。そういうのがあれば、他のことは二の次三の次でいっかみたいな。

しーなちゃん:カレーが1番好きなんですか?

曽我部:カレーも好きですけど、なんでも好き。

しーなちゃん:私はラーメンが1番好きです(笑)。

曽我部:どこのラーメンが好きですか?

しーなちゃん:三鷹のさくら井ってところ。

恋をしている時って、かわいい曲ができる

──しーなちゃんは食事制限して、かなりストイックに体を絞ってますよね。

曽我部:あ、そうなんだ!

しーなちゃん:10何キロ絞って。

曽我部:うわ、すごいね。

──曽我部さんもすごい体重を絞られた時があったじゃないですか。

曽我部:うん。お酒を辞めた時。お酒は辞めて長いんですけど、よくあんなに飲んでいたなって思いますね。お酒飲みます?

しーなちゃん:全然飲まないんですよ。体質的にあまり飲めない。

曽我部:僕はお酒でいろいろな時間を無駄にしたなあって。もちろん、その時にしか生まれなかったものもあるかもしれないけど、プラスマイナスで考えたらマイナスの方が多いと思う。楽しいけど、もう10年近く飲んでないですね。

しーなちゃん:すごい! 徹底していますね。

曽我部:そのほうが、ずっと思考がクリーンだから。お酒を飲んでいると1回1回リセットされちゃうというか、翌朝ちょっとぼんやりしてたりする。そういうのがなくなったから、お酒を辞めてよかったなって僕は思うんですよ。居酒屋とかの雰囲気は好きだし、人が飲んでる分には全然よくて。だから僕居酒屋に行ってもノンアルを飲んでいたり、それで楽しいなって思えるんです。

しーなちゃん:見ているだけでも、十分楽しいですよね。

──健康体と作品づくりって関連性があると思いますか?

しーなちゃん:イメージだと、心が不健康な方が曲っていっぱいできそう。

曽我部:何を不健康とするかだよね。

しーなちゃん:恋をしている時って、かわいい曲ができるんですよ。

曽我部:へー! そうなんだ。

しーなちゃん:ふふ! 恥ずかしい(笑)。恋をしている時、メンバーで恋バナして、「あーこれ歌詞になるね。曲できそう」みたいなことを言うんです。「流星」も、みんなの付き合っていた彼氏のことを詰め込んだ曲で。

曽我部:そっか、そういうことか! あれは恋している情景?

しーなちゃん:しているけど、終わりかけている感じの情景。

曽我部:終わりかけているか、終わったのか、どっちとも思えるような情景だよね。でも、すごく美しい。

しーなちゃん:本当は「あなたの好きなバンドがスキ」だったんですけど、「キライ」にした方があまのじゃくっぽくてかわいいねって変えたんです。

曽我部:みんなで話すの?

しーなちゃん:みんなで話します。「そのバンドの曲ばっかり聴いていやだ!」って感じのほうがあまのじゃく感が出るし、出していきたいねって話をして。

曽我部:羨ましいな。みんなで喋って決めるって。うちは僕だけが作る感じで。演奏とかはみんなでやりながら話すけど、詞は全部自分だから。

しーなちゃん:詞も全部作って、みんなに提出します。

曽我部:いいなあ。バンドだなあー。

しーなちゃん:何種類か作って提出して、どっちがいい? とか、ここをこうでもいい? とか、相談しないと決められない。優柔不断なんです。

曽我部:年齢はみんな同じ?

しーなちゃん:バラバラですけど、そんなに変わらないです。

曽我部:それが1番いいことかもしれないな。うちは音楽についてはあまりメンバーと「ああしようよ、こうしようよ」って言わないから。

しーなちゃん:私は本当になんでも訊いちゃいます。ジャケットの色とか、曲のタイトルとか、なんでもかんでも全部訊くから、常にLINEトークが動いていて、みんなかわいそう(笑)。「これがいいんじゃない?」って言ってくれるんですけど、いや、やっぱりこっちにしようみたいな。結局、自分の意志が勝っちゃうんですよ(笑)。

曽我部:分かる、その感じ(笑)。でも、人がいるのが重要なんだよね。人の意見を訊いて、ちょっと預かって考えるみたいな。何型ですか?

しーなちゃん:O型です。でも、メンバーにはB型って嘘ついてるんですよ!

曽我部:嘘ついているの?!

しーなちゃん:はい。B型って言った方がアーティストっぽくてかっこいいかなみたいな。前に1回訊かれた時に、私ABって言っちゃったんですよ(笑)。この間と言っていることが違うみたいな感じになって。やばいって。

曽我部:おもしろいけど、メンバーに隠しているんだったら書けないね(笑)。

しーなちゃん:曽我部さんは何型なんですか?

曽我部:ABです。

しーなちゃん:えー! いいなあ! 羨ましいな、アーティストだ!

──意外と気にするタイプなんだね。

しーなちゃん:そう、なんかたぶん変なところに気にしいなんだと思います。

これ以上は絶対できないっていうのを毎回やっていくのがロックバンド

──実際今日話してみてのしーなちゃんの印象っていかがです?

曽我部:楽しいです(笑)。自分とすごく距離がある感じもしないし。

しーなちゃん:実は〈BAYCAMP〉の時に曽我部さんのこと観てはいたんですよ。希ちゃんが曽我部さんのことを大好きだから、私が曽我部さんのサインをもらったら、希ちゃんが私のことをもっと好きになってくれると思って、何度も何度も話しかけようとして、ケータリングの時とかも後ろに並んだんです(笑)。

曽我部:ははははは!

しーなちゃん:でも、やっぱり話しかけられなかった(笑)。

曽我部:一緒に対バンとかやりたいですね。

しーなちゃん:ぜひやりたいです!

曽我部:やりましょ、やりましょ。

──東京初期衝動が始まって3年目ですが、もしよかったら曽我部さんから激励の言葉をいただけますでしょうか。

曽我部:激励っていうのもおこがましいんですけど、全部ひっくるめて楽しんでやってほしいなと思うバンドですね。次の作品もそんな気負わずにいくといいと思います。あんなアルバムを作っちゃうと次が大変な気はするんですよ。でも、これ以上は絶対できないっていうのを毎回やっていくのがロックバンドだと思うから。ライヴもそうだし、またそういうものが生まれてくるんだろうと思います。

しーなちゃん:ありがとうございます。がんばります!

曽我部:こちらこそがんばります!

しーなちゃん:最後に、私が好きな曲を一方的に言っておきます(笑)。「コンビニのコーヒー」と「胸いっぱい」、「NOW」、「桜 super love」。あと「春の風」、「セツナ」、「青春狂走曲」、「白い恋人」、「恋におちたら」が特に大好きです!

曽我部:ありがとう(笑)!

しーなちゃん:これからも曽我部さんの膨大な量の曲を追い続けていきます。

曽我部:一生かかっても聴けないぐらいありますよ(笑)。

しーなちゃん:曲だけじゃなく、曽我部さんの好きな映画を観て、いっぱい影響をぐんぐん吸収したいと思います!

PROFILE
曽我部恵一(そかべ・けいいち)
1971年8月26日生まれ。乙女座、AB型。香川県出身。’90年代初頭よりサニーデイ・サービスのヴォーカリスト/ギタリストとして活動を始める。1995年に1stアルバム『若者たち』を発表。’70年代の日本のフォーク/ロックを’90年代のスタイルで解釈・再構築したまったく新しいサウンドは、聴く者に強烈な印象をあたえた。2001年のクリスマス、NY同時多発テロに触発され制作されたシングル「ギター」でソロデビュー。2004年、自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント/DIYを基軸とした活動を開始する。以後、サニーデイ・サービス/ソロと並行し、プロデュース・楽曲提供・映画音楽・CM音楽・執筆・俳優など、形態にとらわれない表現を続ける。

東京初期衝動(とうきょうしょきしょうどう)
2018年4月しーなちゃん(ボーカル/ギター)を中心に銀杏BOYZ好きが集まってバンド結成。2019年4月、自主レーベル「チェリーヴァージン・レコード」を立ち上げ、1st EP『ヴァージン・スーサイズ』でCDデビュー。SNS、ライブパフォーマンスなどが話題となり、11月にリリースした1stアルバム『SWEET 17 MONSTERS』は、初回生産限定盤2000枚が発売4ヶ月で完売。2020年春、初の全国ツアー「東京初期衝動の全国逆ナンツアー」が新型コロナの影響で夏に延期となり、8月16日東京LIQUIDROOMを含むすべての公演がソールドアウトとなる。このツアーを持ってベースかほが脱退。一般公募にて新メンバーあさかが加入となり、第2期東京初期衝動がスタート。現在のメンバーは、しーなちゃん(ボーカル/ギター)、希(ギター/コーラス)、あさか(ベース/コーラス)、なお(ドラム/コーラス)となる。2021年1月バスリズム「今年コレがバズるぞ!BEST10」の10位にランクインする。5月12日には、1年ぶりとなる新作3rd E EP『Second Kill Virgin』のリリースが決定!! 今、もっともライブシーンで初期衝動を感じられるロックバンドである。

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