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【連載】本と生活と。vol.12 ナム・インスク『実は、内向的な人間です』

StoryWriter

こんにちは! 最近、洗濯物を干すのがちょっと楽しいたまざわです。

もともと洗濯物を干すのは嫌いではないのですが、以前住んでいたマンションは日が差さないベランダだったので、年中部屋干しをしていてジメジメするし、気をつけないと臭くなるしで散々でした。引っ越してきた今の部屋は日差しがとてもよくて、洗濯物もすぐに乾きます。

そして、何より向かいの家に住むワンちゃんがたまにベランダから呼びかけてくれるんです。たぶんミニチュアダックスフンドだと思うのですが、洗濯物を干していると「ワン!」って尻尾を振ってキラキラした目でこちらを見ていて、めちゃめちゃかわいい。虜です。忙しない朝の束の間の癒やしになっています。

生活に寄り添う本を紹介するこの連載。第12回目はナム・インスク『実は、内向的な人間です』です。

vol.12 ナム・インスク『実は、内向的な人間です』

『ひとり暮らし』

著:ナム・インスク 訳:カン・バンファ
発売:2020年11月20日
出版社:創元社
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784422930879

作品情報:外向型人間にものさしを合わせたかのような世の中で、内向型人間は深く悩みながらも懸命に生きている?? アジア圏女性のメンターとして愛される著者が、自身の内向的な人生を振り返りながら、どうすればそんな自分ともっと親しくなり、ささやかな幸せを育むことができるのかについて考察したエッセイ集。

 

本作は韓国の人気作家、ナム・インスクさんが自分の内向型な性格を分析し、など様々な生活のケースに当てはめたエッセイ集。

映画や小説、漫画でも、周囲の人間が内向的な性格の子を外向的に変えて、垢抜けてめでたしめでたしみたいな物語が苦手なんですよね。私自身が内向型人間なこともあるのですが、外向型人間でないといけないなんて誰が決めたんですか? とちょっと憤りを感じます(笑)。本書はそんな気持ちをまさに代弁してくれるかのようなエッセイです。

特に私が好きな章は「横になった瞬間に眠れる人生について」。著者のナム・インスクさんは幼い頃から寝付きが悪く、ベッドに入った瞬間に眠れる人が羨ましいと語っています。眠ろうとすると、自省による問いかけが内へと向かい続け、気がつくと体が緊張してしまっているとのこと。実は私も昔から全く同じ状況なので、「そう、それそれ!」と本当に共感した章です。

「他の人は気にしたこともない日常を、非日常の出来事として受け止められること。それは意識が内へ内へと向かいがちな人々に与えられた、慰めのひとつなのかもしれない。」(ナム・インスク(2020年)『実は、内向的な人間です』146ページより)

眠れないことについて語った上で、ナム・インスクさんは最後に上記のことばを綴っていました。たしかに気づくと意識が内へ向かいがちな内向型な人にとって、時に不眠になってしまう要因になる些細なことを受け止められるならば、その逆で日常の小さな誰も気づかないことでちょっとした幸せも感じ取れるのではないかなと、私自身も前向きに考えられるようになりました。それこそ、前振りで言った向かいの家の犬がかわいいだったり、いつも通る道で少し前までは蕾だった花が咲いているのを見ると、1日中無敵ハッピーになれる日があります。そんな風に発想の転換をすれば、もっと生きやすくなるのかなと思いました。

人前では明るく振る舞わなきゃとずっと気を張っていたり、すぐに何かと疲れてしまう体質を責めてしまう方にぜひ読んでみてほしい一冊。(何より私自身がそうなので)内向型な性格で悩んでいるけど、自己啓発をして自分を変えたいのではなくて、そのままでの自分でいたいという方にもおすすめしたいです。

それでは今週はここまで。来週もよろしくおねがいします!

※「本と生活と。」は毎週水曜日更新予定です。

たまざわかづき
1993年生まれ。SWスタッフ。もともとクラリネットとドラムをやってました。音楽以外の好きなもの:本、映画、動物、ドラマ、Netflix、Hulu、ぬいぐるみ、文房具など諸々たくさん。モルモットのごまちゃんと生活してます。30歳になるまでに本屋さんの開業を目指しています。

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