こんにちは! 体調も情緒もジェットコースターなたまざわです。
不幸自慢と捉えてほしくないし、だから? という感じなのですが私は不安障害(社交不安障害、パニック障害)を患っています。1年以上心療内科に通っていて、初期よりはよくなってきましたが、それでも調子が悪い時には動悸や吐き気、めまい、頭が真っ白になってしまうという症状に悩まされます。今、まさに元気になったりダメになったり、落差で体力0という感じです。
こういうことを書くと嫌な気持ちになる人もいると思うけど、同じ病気で悩んでいる人がこんな人もいるんだなって、少しでも生きづらさがやわらぐきっかけになってほしいなと本気で思っています。それにメンタルの病気は風邪と同じように、誰でも患う可能性があります。理解がある人が周りにいるだけで、こうやってSWで働けているし(迷惑かけまくっているけど)、好きなものをたくさん摂取して、遊んでもいます。普通の人間です。連載も社会で暮らしていて感じる違和感や、生きづらさを少しでも解消するきっかけの選択肢に本(読書)があったらいいなという想いではじめました。
さて、なんだか今日は暗くなってしまいましたね。仕切り直しです! 生活に寄り添う本を紹介するこの連載。第28回目に紹介するのは、綿貫大介『ボクたちのドラマシリーズ』。
vol.28 綿貫大介『ボクたちのドラマシリーズ』
『ボクたちのドラマシリーズ』
著者:綿貫大介
内容:
ドラマの主人公たちが巨大な悪に立ち向かい大恋愛をしているなかで、ボクの毎日は感傷的でありきたり。まぁ今の社会ってだれもが不幸でつらい思いを抱えている必要があり、同情は美徳で、幸せそうな人たちを叩くことでまわってるし。 …ってそんな人生はまっぴらごめんだ!当たり前に幸せ目指そうよ!というバイブスで送る、自分の人生をドラマにすり替えたジャパニーズドラマエッセイの誕生です。エッセイに結びつけた名作ドラマの数々のほか、時代による女性の描かれ方を探る「平成ヒロイン解説」など、文化構想学の資料としても役立つ1冊です!
本書は編集者・ライターである綿貫大介さんのドラマ好きが高じて制作された、ドラマのエッセイ集です。内容にもある通り、名作ドラマが綿貫さんのエッセイと紐付けられていたり、年表でドラマとその時代背景を比べるコーナー、さらには選挙ポスター風に描かれた「平成ヒロインドラマヒロイン5変化」コーナーなど、ドラマ好きなら夢中になって読み漁ってしまう、エッセイを超えた大作だと思います。
私は1993年生まれで絶妙にデジタル世代からはちょっと外れていて、小さい頃からテレビやドラマが今でも大好きです。きっと同年代の人なら「あー!」となると思いますが、小学校や中学校の長期休み期間、平日の昼間や夕方に昔のドラマ再放送が頻繁にやっていましたよね。今それが減っちゃって、ちょっとさみしいです。だから、そんな懐かしい気持ち+ドラマのエネルギーを感じる何かを探していて、渋谷のSPBSでたまたま本書を見かけて、「うわ! 絶対やばいやつ!」となって購入しました。結果、本当に熱量がすごくて、自分が知らないドラマも追って観たくなるほどハマりました。
特に時代背景と流行したドラマの考察がとても鋭くて、今まで何気なしに観ていたドラマにもこんな意図があるのかとか、それこそ、その時代の流行を知りたいと思った時にはこのドラマを観ればいいんだなということが丸分かりで、楽しすぎて時間も忘れて一気に読み進めてしまいました。
特に好きなフレーズを下記に引用します。
過去のことはたいてい「いい思い出だった」のてんこ盛りで、それも時間が経つほどさらに美化されていく。だからちょっと嫌だった記憶だって、時間を使って発酵させるとちゃんとおいしくなることが多い。思い出なんて梅酒みたいなものだね。どんな過去も、時間をかけて置いておき、時々取り出して覗いてみると、いつの間にかかけがえのないきれいな琥珀色の輝きを放っている。(綿貫大介『ボクたちのドラマシリーズ』14ページより引用)
上記は2016年に放送されたドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』に紐付けられたエッセイからの引用です。私はまさにずっと過去に苦しめられているので、綿貫さんが例えた梅酒のように思える日が来るのかなとちょっと前向きな気持ちになります。また、『いつ恋』をまた観返そうと思ったのでした。
ドラマ好きな方は絶対必見の書ですし、ドラマから時代の流行を遡ってみたいという方にもおすすめです。また、綿貫さんの好きの熱量がとてつもないので、読んでいてパワーをもらえます。
それでは今週はここまで。来週もよろしくおねがいします。
※「本と生活と。」は毎週水曜日更新予定です。
1993年生まれ。SWスタッフ。もともとクラリネットとドラムをやってました。音楽以外の好きなもの:本、映画、動物、ドラマ、Netflix、Hulu、ぬいぐるみ、文房具など諸々たくさん。モルモットのごまちゃんと生活してます。30歳になるまでに本屋さんの開業を目指しています。