WACKのアイドルグループ・ASPが、全国18箇所を巡るツアー〈MARCH of ROGUES〉のファイナル公演を2021年11月24日（水）、東京・恵比寿リキッドルームにて開催した。
メンバーのナアユが、かねてから療養していた足の怪我の状態悪化のため、本公演をもっての脱退することがアナウンスされていた。また事前の特典会に参加した“ならず者”（※ASPファンの総称）から、特に事前アナウンスのなかった新メンバーとのチェキ写真がTwitterにアップされ話題になっていた。新メンバーが双子という情報もあり、本公演でどのような発表があるか注目が集まる中、ファイナル公演が行われた。
本ツアーのファイナル公演をレポートする。
ASP〈MARCH of ROGUE〉ファイナル公演
18時5分、ASPマネージャーの渡辺淳之介がステージ後ろからマイクで注意事項を述べ、MCを行った。「リキッドルーム、これは第一期のBiSから始まる伝説のライヴハウスです。BiSはこのリキッドルームを皮切りに駆け上がって行きました。BiSHはリキッドルームを駆け上がり、なんと紅白歌合戦に出場します。そんな門出のリキッドルーム。悲しいこともあるでしょう。楽しいこともあると思います。ここにいる400人、全員が来てよかったと思えるよう、ASP一同準備してきました。すべて忘れて楽しんでもらえたらと思います。僕も楽しみます！ よろしくおねがいします！」。そう語ると会場は大きな拍手に包まれた。
18時10分。照明が落ち、ステージの幕に映像が映し出されると、新衣装を着た双子の新メンバーと、その脇でおどけたダンスをするメンバー4人のビデオがぐるぐると映し出された。何周かその姿が映されると〈MARCH of ROGUES FINAL〉のタイトルが表示され、「拝啓 ロックスター様」のイントロがかかる中、幕が落ち4人が登場。のっけから「拝啓 ロックスター様」を2曲続けてパフォーマンスした。1stシングル曲「the MAN CALLiNG」、「BE MY FRiEND」を一気にパフォーマンスし、ならず者も一緒に振りをして盛り上がった。
「はじめまして、私たちASPです！」と全員で挨拶をすると、1人1人が自己紹介。ナアユが「〈MARCH of ROGUE〉、最後までよろしくおねがいします！」と挨拶すると、疾走感ある初期楽曲「A song of punK」へ。続けてポップで軽快な新曲「M」を披露すると、1stアルバムより「NOW or NEVER」、新曲「ITSUMO KOKOKARA」と一気に駆け抜けた。
ユメカがMCで「今日ここ恵比寿リキッドルームにモグ・ライアン、ナ前ナ以、ナアユ、ユメカ・ナウカナ？でステージに立てたことで、今すごく心臓が痛いです。心臓が痛いくらい、嬉しいでーす！ ASPは今日まで、まだまだ短い期間ですが、いっぱい笑いました。そして、いっぱい泣きました。そうやって泣いて笑った時間も、こうやってステージに立つ一瞬一瞬がすごく大切で、かけがえのない瞬間です。ナアユちゃんは今日で脱退してしまいますが、さみしい気持ちも、今日こうやってステージに立てて嬉しい気持ちも、全部全部胸に刻んで、噛み締めていたいと思います。最後の最後まで愛や笑顔や幸せが溢れて、溢れて、溢れかえっちゃうようなライヴにできたら嬉しいです！」と語り、タイトルコールをすると「The Emperror’s New Clothes」へ。そこから11曲を一気にパフォーマンスしていった。
ディストーションがかったギターサウンドにキャッチーなメロディの対比がエモーショナルな「WAiT and WASTE」、1stシングルのカップリング曲「WASTED TEARS」、モグ・ライアンの赤裸々な気持ちが歌詞で表現された「TRUST MY SELF」、グランジ調の「GO STRAiGHT」、〈ファッキュー〉とポップに連呼するのが印象的な新曲「いつでもファッキュー❤️」、ミドルテンポのハードロック楽曲「DiVE」、メロディックでパンクな新曲「マジ無いです。」、ダンサンブルな高速のリズムが小気味いい新曲「日々是虚無也」、ギターリフがフックになった「WARRiES」、ナアユ作詞の「被害者ぶるな」と、パンクやロックを中心にしながらもバラエティに富んだ楽曲で、満員のならず者を熱狂された。
大きな拍手が起こる中、ナアユがMCを行った。
ナアユ「WACKに入る前の私は何もできなくて、人のためにも自分のためにも頑張ることができなくて、本当の意味で、心の底から何かを愛することができませんでした。でも本当に今、3人とならず者とライヴができるんだったら、この後どうなってもいいし、足とか折れてもいいし、死んでもいいと、本気で心の底から思っていて、それくらい私はこの空間とみんなのことを愛しているんだと気がつきました。頑張り方を間違えていると思う人がいるかもです。でも私は、こんな感情になったのが生まれて初めてで、こんなにも愛せる人たちに出会えて、それに対して狂える自分を知れて、すっごく幸せです。そう思えるのはASPがいっぱいの愛に溢れていて、ならず者のみんなが私に尋常じゃない愛をいっぱいくれたからです。だから本当にありがとうございました。
私はユメカちゃん、ナナシちゃん、モグちゃんがいて、渡辺さんがいて、いっぱいの支えてくださる方がいて、新しく仲間になった2人がいて、ならず者のみなさんがいるASPにいっぱい助けられてきました。ステージを降りたらナアユは死ぬんですけど、私は一生ASPに救われて生きていくんだと思います。いまのASPが最強だって言いたいところなんですけど、これからもいっぱい変わり続けるし、もっともっと面白くなるし、みなさんの期待を超えていくので、これからもASPをよろしくおねがいします。次が、ナアユとして歌える、ASPとして私が歌える、この4人で歌える、本当に本当に本当に本当に最後の曲です。誰がなんといおうと、私にとって宇宙一のグループです。愛しています」
そして、ASPがスタジアムで歌うことを想定してサウンドプロデューサーの松隈ケンタが作った「SAKEBE」を4人で熱唱。力一杯笑顔で歌い終えると4人で手を繋ぎ、マイクを通さずに「ありがとうございました！」と挨拶をしてお辞儀をした。大きく鳴り止まない拍手の中、感謝の礼を長い時間し終えると、ユメカ、モグ、ナ前ナ以の3人で作った騎馬の上にナアユが乗り、左右中央と移動しながら挨拶をし、ASP4人での最後のステージを終えた。
間髪おかずに起こるアンコールの拍手。しばらくの時間をおいて、ステージ上の照明が灯ると、新メンバーの2人がステージに登場。「マチルダー・ツインズです」「ウォンカー・ツインズです」と、それぞれ自己紹介すると、新衣装に身を包んだ他の3人も登場した。
新たな5人体制で「拝啓 ロックスター様」をパフォーマンスすると、新メンバー2人がそれぞれMCで挨拶をした。
マチルダー・ツインズ「今ここで言わなかったら、後々めちゃめちゃ聞かれると思うので、思い切って言います。私は姉です！ テレパシーはたまに感じます。自分はならず者に認められたいし、ASPとして世界からも認められたいです。周りの目を気にして、好きなことも、抗いたいことも、したいことも押し込めて、溜め込んだフラストレーションをここで爆発させます。これからよろしくおねがいします」
ウォンカー・ツインズ「私はASPの破天荒さとか、格好いい音楽に憧れてオーディションを受けました。WACKに所属して、ASPのメンバーとしてなら自分を変えられるって思いました。むしろそれ以外の選択肢がひとつもなかったです。これから、夢を見ていた頃の気持ちを忘れず、ASPに新たな風を吹かせにいきます。よろしくおねがいします」
新メンバーの2人の初々しい挨拶にならず者が大きな拍手で迎えると、ナ前ナ以が、新メンバー2人が一卵性であることを明かしつつ、「これからのASPを見ていてほしいです。これから5人でいろいろなことがあると思うんですけど、最後はここにいるみなさんと一緒に笑っていけたらと思っています。ASPをよろしくおねがいします！ 「レリゴー！」」と、最後は「レリゴ」へ。曲の途中で、ウォンカー・ツインズが4人の騎馬の上に乗って5人体制のはじまりを示した。
そして、モグ・ライアンが2月21日にZepp DiverCity(TOKYO)でワンマンが決定したことを発表し、「来年もASPをよろしくお願いします！」と挨拶し、マイクを通さず5人で「ありがとうございました！」と挨拶をした。最後はステージ中央に残った新メンバー2人が一緒に「よろしくおねがいします！」とお辞儀をしてステージを後にした。
取材＆文：西澤裕郎
写真：外林健太
〈MARCH of ROGUES〉@東京・LIQUIDROOM
セットリスト
1. 拝啓 ロックスター様
2. 拝啓 ロックスター様
3. the MAN CALLiNG
4. BE MY FRiEND
5. A song of punK
6. M（新曲）
7. NOW or NEVER
8.ITSUMO KOKOKARA（新曲）
9. The Emperror’s New Clothes
10. WAiT and WASTE
11. WASTED TEARS
1２. TRUST MY SELF
1３. GO STRAiGHT
1４. いつでもファッキュー❤️（新曲）
1５. DiVE
1６.マジ無いです。（新曲）
1７. 日々是虚無也（新曲）
1８. WARRiES
1９.被害者ぶるな
20. SAKEBE
EN1. 拝啓 ロックスター様
EN2. レリゴ
