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検証・BELLRING少女ハートとはなんだったのか?──Vol.2 橋元恵一(@JAM総合プロデューサー)が語る、ライヴアイドルとしてのベルハー

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2016年末に崩壊したアイドルグループ・BELLRING少女ハート。独自のサイケデリックなサウンドからブチ上げロックまで、変幻自在アイドル・ユニットとして活動。幅広い音楽性と、黒い羽をつけたセーラー服でステージを駆け回るパフォーマンスで「東京最狂」の名を欲しいままにした。しかし、その儚さ故に、惜まれながらも崩壊という形で解散を迎えた。

ベルハーにとってデビュー10周年を迎えた2022年4月8日。全楽曲のサブスク配信スタートを開始し、約5年半ぶりとなるワンマンライヴ〈Grave Robbery〉を東京・Spotify O-nestにて開催。詳細が一切明かされていないにもかかわらずチケットは即日完売。大きな注目の中、BELLRING少女ハート’22としてライヴを行い、メンバーはベルハーと同事務所AqbiRecに所属するNILKLYの小河原唯(おがわらゆい / 小笠原唯)、MIGMA SHELTERの橘田あまね(きったあまね / タマネ)、新倉のあ(にいくらのあ / ブラジル)、美波未優(みなみみゆう / ミミミユ)であることが明らかとなった。

ライヴの中で、BELLRING少女ハート’22の新メンバーを募集することも表明。リキッドルームのワンマン公演もチケットが完売するなど、2022年に再び動き出したベルハーのこれからに注目が集まっている今、「BELLRING少女ハートとはなんだったのか?」を、さまざまなゲストを迎え、多角的に検証していく連載をスタート。第2回目のゲストは、「@JAM」総合プロデューサーを務める橋元恵一を迎え、当時のベルハーメンバーのことや、アイドルシーンの変遷、ベルハーの魅力などを、ディレクターの田中紘治とともに語ってもらった。

取材&文:西澤裕郎


ある意味、何の統制もとれていない野生のアイドルというか(笑)

──橋元さんとベルハーの出会いから教えてください。

橋元:@JAMが初めてアイドルイベントに特化した〈@JAM the FIELD〉を始めたのが2012年なんですけど、vol1は6月に渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催して、vol2は10月にSHIBUYA-AXでやったんです。そのときに、確かメンバーが見学に来たんですよね。東京女子流、でんぱ組.inc、アップアップガールズ(仮)、Dorothy Little Happy、ひめキュンフルーツ缶、LinQなどが出演していて。

田中:錚々たるメンツですよね。

橋元:当時、僕が思っていたアイドルって、アップアップガールズとか、でんぱ組.incみたいな、フリフリの衣装を着て、かわいい曲を歌って踊るものだと思っていたんですけど、〈@JAM the FIELD vol1〉に出てくれていたBiSや、しず風&絆みたいなグループに驚いて。ベルハーは更に驚きました。ある意味、何の統制もとれていない野生のアイドルというか(笑)。

田中:関係者通路に座り込んで、お菓子を食べているような子たちでしたから。

橋元:その自由奔放な感じがたまらなく楽しくて、@JAMに出てもらいたいと思ったんです。たぶん、当時おもしろがっていた中では早いほうだったと自負しています。

田中:いろいろな方から呼んではいただいていたんですけど、まだどうなるかも分からない状態で、大抜擢みたいな形で大きいステージを与えていただいていたのは@JAMだけですね。

橋元:楽曲の素晴らしさに反して、パフォーマンスの低さというか。1つ1つの楽曲がかっこいいんですけど、メンバーがまだそこに追いついていない。そのトゥーマッチな感じもおもしろかったですし、初期のMV、えーとなんでしたっけ。

田中:「サーカス&恋愛相談」?

橋元:そうです! あれもめちゃくちゃかっこよくて。こういうグループが、アイドルというカテゴリの中に存在するんだっていうのが本当に衝撃的だったんですよね。

 

田中:僕はあれを、アイドルってこういうことだよねと思って作っていましたけど(笑)。

橋元:だとすると、間違ってます(笑)。

田中:そこが意外だったんですよ。「衝撃を受けた」って、よく言っていただくんですけど、衝撃を与えるつもりは全然なくて。むしろ、そういうことをできるのがアイドルだと思ってやっていたので、僕の中ではすごく王道だなと思っていたんですよね。むしろ、お客さんを煽ったりするアイドルを観て僕は邪道だと思っていたし(笑)。

橋元:そこから田中くんのこだわりが1個1個伝わってきていて。コーチェラに出たいって、あの頃から言っていたし、グループへのパフォーマンスに対しても、めちゃくちゃ怒っているんですよね。そこらへんでお菓子を食べているような子たちに、パフォーマンスのことでめちゃくちゃ怒っているのを観て、適当にやっている人じゃないんだなってことが伝わってきて、好感度がすごく高かったです。ただ、僕たちのイベントでは事前に準備をして照明を作ったりするので、大体1週間とか10日前にはセットリストくださいって必ずやっているんですけど、出してこない人の筆頭なので(笑)。でも、そこにも意味があって。そのときのメンバーのコンディションでセトリを決めたいんだって話を聞いたこともあるから、その気持ちもわかるなと思うし、そこは田中くんらしいなって。

田中:そこはいつも、自分でもスタッフさんが困っているだろうなと思いながらも、直前まで見極めたいっていうのがあって。いつもご迷惑をおかけしております……。

当時のアイドルシーンで戦略的に攻めている人たちの中でベルハーはノイズだった

──そんな異質なアイドルを、どうして@JAMに抜擢しようと思ったんですか?

橋元:当時、ご当地アイドルも盛り上がってきて、いろいろな人がプロデュースしていたんです。例えば、Dorothy Little Happyだと仙台で坂本サトルさんが、ひめキュンだと伊賀千晃さんがプロデュースしていてみたいな。アイドルを束ねている武将みたいな人の顔が見えてくるところにグループのおもしろさがあるんじゃないかと僕は思っていて。そんななか、かわいく歌って踊る子たちを5組集めたら、他にもこんなグループもいるんだよ!っていうグループを入れて観てもらうのがオムニバスイベントの醍醐味で、そうしたグループを紹介するのが自分たちの使命だ!みたいな気持ちでお声がけしていました。ちょっと尖ったというか、当時はベルハーとかいずこねことか、音楽性に特化している子たちをフックアップして紹介したい気持ちが特にありました。

田中:先ほど、僕は王道をやっているつもりだったという話をしたんですけど、@JAMのラインアップにベルハーがいるのを見て、狙いを感じられたというか。当時のアイドルシーンで戦略的に攻めている人たちの中で、ベルハーってノイズだったなと思っていて。引っ掻き回し役というか。橋元さんが意図的におもしろいところに組んでくれているのを感じていたので、毎回出る意義を感じていました。何かしなきゃいけないんだなっていう。

橋元:1年後のAXのイベントにベルハーが出てくれているんですけど、SUPER☆GiRLS、でんぱ組.inc、Negiccoとかの並びにいたら、やっぱりベルハーっておもしろいじゃんってなる。それがたまらなく楽しかったですね。今じゃ、当たり前になっちゃってますけど。

田中:当時、カウンターとして機能しているのはすごく感じましたね。@JAM以降、そうやって考えるような方たちが出てきて、℃-uteとの対バンでベルハーが出るとか、そういう機会が増えていきました。

 

──実際、お客さんの反響はどうだったんでしょう。

橋元:当時はオムニバスのイベントがおもしろい時で、いろいろなアイドルを観て自分たちの中に内包していく時代だったと思うんですよ。SUPER☆GiRLSのファンもベルハーをちゃんと観て、SUPER☆GiRLSのファンなりにベルハーの良さを噛み砕いていこうとしていたし、ベルハーのファンもSUPER☆GiRLSのような音楽もちゃんとインプットしていた気がします。

田中:いつの頃からか、対バンイベントだと、自分の観たいものだけ観るお客さんがすごく増えてきて、3マンとかでやっていると、目当てのグループ以外のライヴではお客さんがぞろぞろとフロアから出てき始めた。その頃から何かが変わったというか。その日出ているもの全部楽しもうみたいな体力が、みんななくなっていったなって。それは年齢とかの問題ではなく、若いお客さんもそうだし。それはフェスでも感じますか?

橋元:感じますね。今もしつこく、全部観てねってやっているのは@JAMくらいかも知れません。うちで平行物販もやらないのは、やっぱり音楽を感じてほしいからなんです。もちろん特典会と音楽がニコイチなのがライヴアイドルってことは理解しているので、特典会は最後にするから、この時間はみんなで音楽を楽しもうよってことをやり続けていて。

田中:僕は今、そこが1番さみしいですね。もちろん、そこはお客さんの自由ですけど、5000円なりのチケット代を払ってくれているんだから、出ているもの全部楽しんだほうがいいじゃないかって。観たいグループは1組だけだからチケット代が高いみたいな反応があるじゃないですか。その言葉からもわかるように、25分のためにいくら払っているみたいな感覚がお客さんの中に出てきちゃっている。いろいろな人を知るのがおもしろいのに、ベルハーが終わる2016年頃にはそうなってきていたなと思うんですよね。

──逆に言うと、ベルハーがあれだけコアにカルトに盛り上がったのは、アイドルシーン全体をおもしろがっているお客さんのいる時代だったからという部分もあるんでしょうか。

田中:あの時代だったから、ああいう盛り上がり方をした部分はあると思います。なにより、ももいろクローバーが作った流れが大きくて。アイドルといえば秋葉原みたいなイメージが個人的にありましたが、ももクロがバンドと対バンして、バンドのお客さんから、なんだこれ!すげー!って声がネットで上がった。あの流れは、その後に影響したと思うんですよね。得体の知れないエネルギーみたいなものは、ベルハーとかっていうより、お客さん自身にもありましたよね。未知なものに触れていくときの興奮とか、今は好きなグループに集中するようになった。

橋元:なんでも楽しんでやろうっていうのは、おっしゃるように今はないかもしれないですね。

田中:あの時代だから、ああいうムードになったのかもしれないですね。ベルハーのお客さんを観ていても、アニメオタクからアイドル好き、バンド好き、たまたま来たらハマっちゃったとか、振り幅が広かったんですよ。老若男女、みんな混ざって楽しんでいた感じでした。

橋元:うちで〈Quattro Mirage vs @JAM〉っていうイベントを、2014年渋谷クアトロで2週に渡って8日間やったんですね。アイドルとバンドの2マンの走りで、ねごととDorothy Little Happy、赤い公園とアップアップガールズ、髭とベルハー、グドモとでんぱ、SPYAIRとCheeky Paradeとか、おもしろい対バンだったんです。まだバンドがアイドルと絡むことがちょっと格好悪いって時代だったので、アイドルに対してある程度理解のあるバンドに出てもらって。おもしろかったのは、バンドマンはアイドルのオタクに対して、みんな僕たちのこと知っているかな?みたいな感じで迎合していて。一方、楽屋で田中くんはメンバーに「お前ら一切髭のファンとかに迎合するんじゃねえぞ! お前らはお前らのやり方でいいんだよ」ってめちゃくちゃ言っていて。それが対照的でした。バンドは、ある意味許容していかなきゃいけないんだっていう中で、一切の許容をしない田中くんは、ある意味、すごくかっこいいなと思いました。

〈Quattro Mirage〉で対バン相手の髭との集合写真

田中:あのときは企画自体がおもしろかったし、バンドがアイドルファンを巻き込んでくれるからこそ成立していたと思っていて。僕は媚びるなよと言いつつ、バンドがアイドルファンをしっかり掴んでいく部分は参考にしろと同時に言っていたんです。MCでもパフォーマンス中の煽りでも、お客さん全員を巻き込もうと工夫しているバンド側の寄り添おうとしてくれる姿勢がなかったら逆に成立していなかったと思って。自分たちで演奏してプロデュースして、アイドルのようなフットワークではライヴ本数をこなせないから、1回1回失敗できない。アイドル運営としてバンドの方々に接して、今日のお客さんみんなを巻き込むぞ!みたいな姿勢やステージングはすごく刺激になりましたね。

圧倒的センター感は朝倉みずほ、TIRAは入口担当というか

左から、宇佐美萌、仲野珠梨、TIRA、美月友華、朝倉みずほ

──橋元さんは、メンバーのことはどのようにご覧になられていたんでしょうか。

橋元:初期メンバーでは、TIRAとみずほが圧倒的に印象に残っていて。特にTIRAはビザの関係で途中、台湾に帰ったじゃないですか。そこから日本に引き戻そうみたいなことを田中くんがずっとやってらっしゃって。

田中:そう。TIRAを戻すために法人化したんですよ。

橋元:僕は当時、@JAMを台湾でせっせとやっていたんですけど、イベントを作る側としても、ベルハーのTIRAがどうやって活動していけるか力になれないかと思って、相談に乗ったりしていたんです。

田中:TIRAが取得できるビザの関係で、ホールとか大きい会場でしかライヴができなかったんです。実は当時TIRAは別のプロダクションに所属するソロアイドルで、ベルハーにお借りしている状態だったんですが、実質的にはこちらの活動が主になってたので、僕の方でいろいろ試行錯誤することになって。で、会社の取締役ポジションに就くと、どうやら興業ビザじゃなくても広報活動という名目で芸能活動がオッケー“らしい”と知って。それで大急ぎでAqbiRecを作ったんです。いま考えると無茶苦茶なことしてますが、入管のアドバイスも受けながら思いつく限り何でもやってみようと。とにかく条件がたくさんあったんですが、日本の滞在期間を作るために学生ビザで日本の語学学校に通わせていたんですね。冗談で「誰かと結婚したらいいんじゃない」って振ったこともあるんですが「私はアイドルです!」って却下されましたね。そのうち語学学校からの連絡でTIRAが学校にほとんで通ってないことがわかって(笑)、本人に事情を聞くと「他のメンバーはライヴで活躍しているのに、もし興行ビザが取れなかったら自分が復帰したとしても活動を制限されるのが悔しいって病んでしまって、それを誰にも言えなかった」という理由で、いつも近くのファミレスで時間を潰して過ごしてた、と。結果、学校から「学生ビザで来日させて働かせているんじゃないか入管に疑われます」って連絡がきて(笑)。そこでTIRAのベルハー復帰を諦めました。それまで何度も入管とやり取りしてましたが、電話で社名を伝えると「あ、アイドル活動の件ですよね」って積極的に相談に乗っていただいて、入管といえば厳しいイメージだったので心強かったですね。

※現在、TIRAは結婚して日本在住。里咲りさ率いるアイドルグループの人妻メンバーとして活動開始が決定している。

──そこまでするくらい、TIRAさんはベルハーにとって重要なメンバーだったんですよね。

田中:TIRA自身のこともそうだけど、TIRAがいるグループを見せてお客さんを喜ばせたいという一心でそこまでやっていたんです。TIRAは本当にエネルギッシュでしたよね。橋元さんが台湾でイベントを開催してるときも、TIRAが押しかけていると聞いて。

橋元:TIRAが楽屋裏にきて、僕の隣に座るんです。他のアイドルグループが挨拶に来るじゃないですか。そしたら、横で奥さんみたいに一緒にお辞儀をしていて(笑)。

田中:人との距離がすごいんですよ。ボクサーのような踏み込みでいきなり間合いに入ってくる。一瞬で顔面が30センチの距離に迫るような子だったので、おもしろかったですね。橋元さんのイベントに出たい、出してほしいって気持ちも、すっごく強かったんだと思います。

橋元:みずほとか、あやのとかカイちゃんとか、結論みんなおもしろかったですよね。

田中:@JAMを好きだった理由の1つが、橋元さんがベルハーのメンバーをすごく気に入ってくれているというか、思い入れ持ってくれているのが伝わってきたからで。@JAMが横アリとかでやる規模になっても、いろいろなグループに愛情を注いでる。そこは橋元さんもエネルギーあるなと思いましたね。

橋元:僕は表しか見てないから、裏でどういうふうにマネジメントをしているのかは分からないんですけど、セトリを出さない人がどうやってメンバーと話しながら二人三脚で頑張ってきているんだろうと思って(笑)。普通の事務所の人と絶対違うはずじゃないですか? でも田中くんの文句を1つも聞いたことないし、頑張っている姿を見るにつけ、僕も親戚のおじさんみたいな感じで、大丈夫か、ちゃんと飯食わせてもらっているかってことが気になっていたというか。そういう意味でも、ベルハーは絶対おもしろいから頑張れよって感じでした。

田中:ベルハーにいた大半の子たちは、お客さんが好き、ライヴが好き、頑張るみたいな感じで、それ以外の人間味がいい意味で抜け落ちていたというか。

橋元:それをそのままでいいよって受け入れているのが、いいんじゃないですかね。

 

──ベルハーを象徴するメンバーとして、みずほさんが挙げられることが多いのかなと思うんですけど、橋元さんから見てみずほさんの印象はどうなんでしょう。

橋元:時代時代によって違うのかもしれないんですけど、圧倒的センター感は朝倉みずほだった気がしていて。TIRAは入口担当というか。例えば、でんぱ組.incは古川未鈴という絶対的センターでいて、最上もがが入口としてお客さんを引っ張ってきていた。TIRAがもがで、みずほがセンターっていうイメージ。そう田中くんが考えていたかは分からないんですけど。

田中:みずほに関しては、センターとは決めずに散らしている感じがありましたね。型にはめないようにはしていたんです。アー写も、みずほがセンターに来るって少なくて、どこにいてもベルハーになるようにはしていましたね。ベルハー自体を、ちょっと曖昧にしておきたかったというのがあって。あまりコンセプトに則ったグループにしないようにはしていたんです。

橋元:それぞれが受けるセンターのイメージは違うってことですよね。僕はみずほだと思っていたけど、もえちかもしれないし、珠梨かもしれないし、という。

田中:あやのだと思っている人たちもたくさんいるでしょうし。ただ、もえちのファンは、もえちは特別枠であってセンターだとは思っていなかったと思うんですよね。もえちも、あまりセンター欲はなかったかもしれない。

橋元:1番マインドが普通というか、普通の話を1番しやすいのがもえちだったかもしれない。

田中:もえちはわりとマイペースにいたいというか。売れたいとは言うけど、たぶんそんなに思ってなかった。ただ、もえちみたいな子がお客さんの妙な熱狂を生んでいた部分もあるんですよね。もえちのお客さんが1番激しかったですからね。

許容できる節度とできない節度のヘリを走っている感じがあった

──ベルハーを語るにあたって、お客さんの熱気もフィーチャーされますが、イベントを主催されている中でベルハーのお客さんをどういうふうにご覧になっていったんでしょう。

橋元:騒ぐ人は多かったですけど、言うことを聞かない人はあまりいなかったですね。暴れ方をちゃんと理解してくれているというか。特にベルハーのお客さんは@JAMに迷惑をかけたら出られなくなっちゃうぞ、みたいなことも踏まえて楽しんでくださっていたような気がするというか。

田中:当時、界隈でめちゃくちゃ有名なピンチケがベルハー に通ってて、暴れ過ぎて通報されるタイプだったんですけど、例えば「今日はこういうイベントだから、こういう行為は禁止です」って公式からアナウンスをすると、いつも自由にやらせてもらっているからルールを守ろうってことをTwitterで呼びかけるんですよ。彼みたいなファンがいたからフロアは自由にさせたし、迷惑をかけて関係者にお詫びするのも全然苦じゃなかった。そういうフロアとして受け入れてくれる主催者も多かったです。

橋元:@JAMでは、どっちかと言うとメンバーが下に降りてくることはありましたが(笑)。

田中:ファンは、ダメだと言えば、守りますんでね。

橋元:そこは民度が高いイメージがある。ベルハーって、ライヴをやっているときにお客さんに対して、騒げとか煽ったり促していた記憶はないんです。

田中:それは絶対に禁止していました。

橋元:演者が騒げとか飛べとか煽って場が荒れて、それが許されるんだってなって歯止めがなくなっていく部分もあったりしますからね。

田中:お客さんがステージを観た上で、フロアでどう楽しむか決めることなので、演者がああしろこうしろっていうのはダメだし、演者がライヴハウスのルールを破らせちゃダメなので。メンバーがお客さんにルール範疇外のことをせてしまったら、なんの言い訳もできない。

橋元:そのへんがベルハーがベルハーである所以なのかなって気がしますね。ベルハーもフロアに降りて走り回ったことが何回もあるけど、僕が許容できる節度と許容できない節度の線があるとして、そのギリギリというかヘリを走っている感じがある。でも、それ以上ここをやったらダメよってことはやっていない。そこのせめぎあいも、おもしろかったですけどね。

田中:でもそのベルハーの感じのまま、メンバーの入れ替えを経ても無垢な感じのままは進むのは難しいなと。

期間限定の中でどうしていくのか、一ファンとして楽しみ

──@JAMにベルハーが出た1番印象に残っている回があれば教えていただけますか?

橋元:さっき言った2013年の〈@JAM the FIELD vol4〉でステージを降りたことと、記憶違いでなければ、AXのライヴのときギリギリまでメンバーが来なかったんですよ。うちのイベントって、オープニングがあって、全ラインアップで今日の意気込みを話して1組ずつ始まるんです。そのオープニングにいなくて、本番ギリギリで出てきてAXのフロアを走り回っていたような気がする(笑)。

田中:あのときは僕もアイドルフェスの慣習がわかっていなくて、その前に別のライヴを入れてしまっていて、そこからタクシーで向かったんです。出番前に間に合ったのが1人か2人なんですよ。わーって走っている最中で1番先に着いた子がフロアからステージによじ登って(笑)。

〈@JAM the FIELD vol4〉の集合写真

橋元:どっちにしろハチャメチャです(笑)。それを真面目に捉えたら、何してくれるんだー! ってなるんですけど、まあおもしろいからいいかあって感じでしたね。あとは〈Quattro Mirage〉で髭と対バンしたときに、バーカウンターみたいなところをメンバーが走り回っていたことですかね(笑)。

田中:あー、それ珠梨だな。すみません、それは僕がいいよって言っちゃったんです(笑)。クアトロってフロアに大きな柱があるじゃないですか? 見えにくい場所にお客さんがいたりするから、あのへんのお客さんにも会いに行きたいって相談されて。当時のメンバーは、お客さんに対して、どうサービスできるかって考えがものすごくあって。パフォーマンスを綺麗に見せたいというより、とにかくお客さんを喜ばせたいし、楽しませたい。奇をてらったことをしたいとか、変なところに立って目立ちたちとかじゃないんですよ。柱の裏の人がステージをちゃんと観れないから、行って楽しませたいって気持ちがあって、それに対してどこまではやっていいよとか、それはダメだよって僕が指示をしていた面もありますね。

橋元:僕が会場のスタッフさんからめちゃくちゃ怒られた覚えがあります(笑)。それ、ライヴの思い出じゃないな(笑)。

──そういう部分も許容して、更に毎回呼んでいるのはすごいですね。

橋元:それ込みでベルハーだと勝手に思っていたので。なんかやってくれるってものが、こっちの許容だったらいいかなって感じでしたね。

田中:とにかくお客さんを喜ばせたい。ちょっと寂しそうにしている人がいたら近くに行きたい。オフ会とかでもそうだったし、自分がどう観られるかっていうのは二の次三の次で、ここは俺が怒られるんでっていう許し方はいっぱいしましたね。どうせ怒られるだけで済むからさっていうのは合言葉のように言ってましたね(笑)。でも、それをメンバーが狙ってやっていたら俺は許してなかったですね。

橋元:ベルハーのウィキペディアを見ても、TIFに出ましたっていうのは書いてあるんですけど、@JAMのことはどこにも書いてない。思い出を探ろうと思ったけど、探れませんでした(笑)。ライヴというより、そういう思い出ばかり出てきてすいません(笑)。

──現在のことになると、BELLRING少女ハート ‘22が始動しているわけですけど、それに関して橋元さんはどう受け止められたんでしょう。

橋元:Twitterで知ったんですけど、おもしろいことやるなというか、ベルハー俺好きだったなっていうのを回顧する感じでした。どういう活動をしていくか、逆に聞いてないから期間限定の中でどうしていくのか、一ファンとして楽しみですね。

田中:新メンバーを1人ぐらい入れて、5人体制にしたいなと思っていて。今のところ、AqbiRecのメンバーだけでやっているので、外部の子が1人入ってきて初めてちゃんとしたグループになるかなって。そこからどう転がしていこうか、いろいろ考えてはいるんですけど、とにかく思いっきりやってみようって感じですね。

──ぜひ@JAMにも出演してほしいです。

田中:@JAMはお呼びいただけたら絶対に出させていただきいたいです!

橋元:僕はベルハーが大好きだったので、新しいベルハーにも期待しているし、楽しみです!

※BELLRING 少女ハート ’22が@JAM出演決定! ベルハーは8月27日に出演!


■イベント情報

@JAM EXPO 2022
2022年8月26日(金)@神奈川県 横浜アリーナ
2022年8月27日(土)@神奈川県 横浜アリーナ
2022年8月28日(日)@神奈川県 横浜アリーナ

出演者:
【8月26日】
AKB48 / AKB48 17期研究生 / SKE48 / NMB48 / HKT48 / NGT48 / STU48 / 26時のマスカレイド / 虹のコンキスタドール / ナナランド / MyDearDarlin’ / クマリデパート/ #ババババンビ
MC:峯岸みなみ(@JAM EXPO 2022 親善大使)

【8月27日】
Appare! / アップアップガールズ(仮) / アップアップガールズ(2) / アップアップガールズ(プロレス) / いぎなり東北産 / ウイバナ / HKT48 / STU48瀬戸内PR部隊Season2 / NMB48 / OCHA NORMA / かすみ草とステラ / 九州女子翼 / QUEENS / クマリデパート / CROWN POP / Gran☆Ciel / 群青の世界 / KRD8 / SANDAL TELEPHONE / C;ON / JamsCollection / Jumping Kiss / 神使轟く、激情の如く。 / 綺星★フィオレナド / SAISON / 刹那的アナスタシア / Task have Fun / TEAM SHACHI / chuLa / 月に足跡を残した6人の少女達は一体何を見たのか… / つばきファクトリー / Devil ANTHEM. / テラス×テラス / でんぱ組.inc / NightOwl / ナナランド / #2i2 / #ババババンビ / HelloYouth / PANDAMIC / femme fatale / フィロソフィーのダンス / FES☆TIVE / Pimm’s / PinkySpice / FRUITS ZIPPER / BELLRING 少女ハート ’22 / ベンジャス! / BOCCHI。 / MyDearDarlin’ / マジカル・パンチライン / 真っ白なキャンバス / まねきケチャ / MIGMA SHELTER / 未来サプライズ / You Never Know / #よーよーよー / Luce Twinkle Wink☆ / わーすた

【8月28日】
アイドルカレッジ / Appare! / アップアップガールズ(仮) / アップアップガールズ(2) / AMEFURASSHI / alma / ウイバナ / ukka / AKB48 Team 8 / カラフルスクリーム / 九州女子翼 / QUEENS / クマリデパート / CROWN POP / Gran☆Ciel / 群青の世界 / Kolokol / 佐々木彩夏(ももいろクローバーZ) / SANDAL TELEPHONE / C;ON / JamsCollection / しろもん / 綺星★フィオレナド / Strawberry Girls / SAISON / Task have Fun / chuLa / 手羽先センセーション / Devil ANTHEM. / 東京女子流 / ナナランド / 浪江女子発組合 / ≒JOY / #2i2 / 虹のコンキスタドール / ≠ME / ばってん少女隊 / Palette Parade / ハロプロ研修生ユニット’22 / PANDAMIC / BEYOOOOONDS / FES☆TIVE / FRUITS ZIPPER / BABY-CRAYON~1361~ / ベンジャス! / B.O.L.T / MyDearDarlin’ / マジカル・パンチライン / 真っ白なキャンバス / まねきケチャ / MIGMA SHELTER / 未来サプライズ / メタモル!!! / You Never Know / #よーよーよー / Luce Twinkle Wink☆

@JAM EXPO 2022公式HPhttps://atjam.jp/expo2022

 

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