バーチャルサーカス団VALIS(ヴァリス)が2022年7月30日、2nd ONE-MAN LIVE「転生デパーチャー」をヒューリックホール東京で開催した。
本公演は本来2月に開催が予定されていたが、メンバーの新型コロナウィルス感染を受け順延されており、満を時して実現。2021年11月に開催された1stワンマンライブ『拡張メタモルフォーゼ』の中で披露した“オリジン(中のアクター)”の姿で全編披露されることが発表されており、CHINO、MYU、VITTE、NINA、NEFFY、RARA――6人のオリジンたちが、VALISオリジナル楽曲の他、ソロメドレー、ライブ初披露となる新曲など、第1幕と第2幕からなる二部制でライブを披露した。現地観覧チケットはソールドアウト、ライブの様子はZ-aNとbilibiliでも配信された。
第1幕 過去を見失った6人がオリジン姿で立つステージ
開演時間になると、夜の街で6人が勢揃いしステージにセッティングするまでを姿を描いたオープニングムービーが流れ、ブルーの逆光の照明に照らされる中、6人のオリジンが登場。ワルツ調のオープニングミュージックに合わせてダンスをすると、デビュー曲「残響ヴァンデラー」でライブがスタートした。
サーカスステージをイメージした背景の前で、かいりきベア作詞作曲による軽快なデジタルロックを小気味良く歌うと、シームレスにトラックが繋がり、ミステリアスなイントロから始まる「真夜中コンツェルト」へ。syudou作詞作曲による、どこかレトロながらトラップも使用したハイブリッドな楽曲で、のっけからVALIの世界へと観客たちを誘った。
「みなさんこんばんは、わたしたちVALIS!」と全員で挨拶をすると、1人ずつ自己紹介。メンバーカラーにあわせてヴァンデラー(※ファンの呼称)たちはペンライトを振った。「やっと、直接ヴァンデラーのみなさんと会えてうれしいです!」と、NINAはチャンニナ音頭を踊って喜びを表現した。
タイトルコールをし、煮ル果実作詞作曲のミドルテンポの楽曲「道化師ブランケット」をしなやかなダンスとともに披露すると、Ayase作詞作曲によるラップ調の「開幕ゼノパレード」、鍵盤の旋律から始まるポップでキュートなR Sound design作詞作曲の「錯綜リフレクション」と、すべて曲間なしでライブ仕様に繋いだ3曲を披露した。
メンバーが3人ずつ水分補給へ行っている間に、ステージ上の3人はいちゃいちゃしたり、配信視聴者に向けてスクショタイムのポーズを取るなど、自由に伸び伸びとした雰囲気でトーク。「あらためて、目の前にバンデラーがいる景色最高じゃない? いいこと思いついた! いまからこの景色を目に焼き付けるタイムにしてもいいかな?」とバンデラーに問うと、様々なメンバーカラーのサイリウムが会場を彩った。「みんな大好き!」とCHINOが囁くと、メンバーも倒れ込むくらいメロメロに。MYUの愛が溢れて気絶しそうになる瞬間も挟みつつ、「絶好調だね!」と盛り上がり、「過去を見失った私たちが、新しい姿になって、新しい世界に行くという楽曲です。今ここにいるみんなと、配信を観てくれているみんなと、これからも一緒に走り続けたいという想いを込めて届けます」と語り、「再構成ウィーバー」へ。ヴォーカルからはじまり徐々にビルドアップしていくDECO27*作詞作曲のエレクトロポップをメリーゴーランドの映像を背景にパフォーマンスした。続けて、TOOBOE作詞作曲の「相反ヴァラエティ」、柊キライ作詞作曲のレトロフューチャーチックな楽曲「新世界ピグマリオン」と披露。
再びのMCでは、「今日はウルトラスーパースペシャル、ミラクルスペシャルスペシャル!」と、この日がとにかくスペシャルであることを、言葉だけに止まらず、それぞれのテンションの高さを身体を使って表現し、6人の仲の良さをみせた。「新しい世界で居場所を求めて彷徨っていた私たちが、VALISはここにいるんだぞって精一杯叫んだ演目です」と、TeddyLoid & Gigaによる楽曲「物換星移カタルシス」を、連携のとれたフォーメーションとともに表現、第1幕を締め括った。
15分の休憩タイムでは、会場にメンバー6人のインタビュー動画が流された。1stワンマンライブ「拡張メタモルフォーゼ」を開催した際、オリジンが出ることでVALISの世界観が壊れてしまうんじゃないか不安を持ちながらステージに立ったこと、その不安以上にヴァンデラーがやさしかったこと、勇気を出して出ていってよかったと当時の心境を語った。そして、今回の2ndワンマンライブは、オリジンのみでのライブであるからこそすべて曝け出して、オリジンだからこそ一瞬でしか見れない、いいものを作りたいと決意を語った。
https://www.youtube.com/watch?v=GXgp5EWMeJE&t=885s
第2幕 初めて明かされた転生前の話「この6人だからここまで歩んでこれました」
第2幕の映像が流れると、中華風のイントロが流れ、新衣装に身を包んだ6人が再登場。新曲「偶像ナイトメア」を初披露した。キャッチーなメロディとシンセサウンドが組み合わさった楽曲に、ヴァンデラーたちはサイリウムを振って盛り上がった。
「みなさんただいま! 新衣装どうですか?」と衣装をヴァンデラーたちに向けて披露すると大きな拍手が起こる。「偶像ナイトメア」をみきとPに作ってもらったこと、翌日0時から配信されることも発表。「2月のワンマン開催が延期になったときはめちゃめちゃ落ち込んだけど、もっとパワーアップしたショーを見せられると頑張ってきました。本当にありがとう。1人1人の魅力を大爆発させるよ!」と、そこからソロメドレーを披露。
VITTEがミドルテンポの「ピカピカキャンディラブイズム」で可愛らしいダンスで魅了すると、MYUは「渇愛論」で緩急あるしなやかなダンスを、NINAは「わたしマニュアル」でキレのよいダンスを、CHINOは「I.C.E」でミュージカルチックに魅せ、RARAは「禁断果実」を手足の先まで美しく表現、NEFFYは「猫好的トリックスター」を剛柔織り交ぜてパフォーマンスした。NEFFYがヴァンデラーたちとペンライトでコールアンドレスポンスをしている中、再び6人がステージに揃うと、雄之助作曲、牛肉作詞の「境界線マクガフィン」、そのままカンザキイオリ作詞作曲の「革命バーチャルリアリティ」へ。疾走感のある楽曲に客席の熱気がより一層あがっていった。
「連続で踊ると疲れるけど、めちゃくちゃ楽しいね!」と6人がMCをしていると、突然、スクリーンに「緊急告知」の文字が。驚いているメンバーの目に「2023年2月、3rdワンマンライブ」の文字が飛び込んだ。タイトルは「必然的レゾンデートル」。メンバーは何も知らなかったようで涙を流すシーンも見られたが、徐々に実感が湧いてきたのか、うれしいね!と喜びを口にして飛び跳ねた。
「私たちの過去にまつわる大切な歌です」と丁寧に口にしてから披露したのは、「乙女的サイコパシー」。テンポの早い四つ打ちにシンセが組み合わさったキャッチーな楽曲だ。歌い終えると、同楽曲についての背景が、メンバー6人の口から明らかにされた。
「ただいまご覧いただいた楽曲は、私たちと一緒に転生してきた楽曲です。私たちがVALISになるちょっと前に、今日と同じようにステージの上で披露していた過去があります。そのときの私たちはプロジェクトが志半ばに終えることが決まって、新しい道を模索することになりました。精一杯がんばってもうまくいかないこともあるんだなと辛い現実をつきつけられた、そんな出来事でした。そのとき応援してくださったファンの方々に何もできないまま、何も言えないまま姿を消してしまって、それがずっとずっと心残りでした。
表舞台から姿を消しても、実はずっと練習をがんばっていました。それを頑張ることでしか、私たちはこの世界にいることができなかったからです。ゴールを見失いながらも練習に日々明け暮れているうちに見えてきたVALIS転生という道筋。私たちは元の姿を一旦封印して、新しい姿で再出発すると決意しました。それは、今まで応援してくれていたみんなにもう一度会うためでもありました。
新しく入った裏世界や深脊界で、私たちはたくさんのことを経験してきました。もちろん姿を変えただけじゃ、うまくいくなんてことは全くなくて、いつも試行錯誤の連続でした。でも、それが全部今日のためにあったんだなとすごく思えます。この姿で、もう一度みんなの前に立つことをずっとずっと心から夢見てきたので、今日が本当に嬉しいです。
いつかこの歌を歌えるようになったときに言おうと思っていた言葉を伝えさせてください。いままで私たちを応援してくれて本当にありがとう。そして、今日、また私たちをみつけてくれて、本当に本当にありがとう。今日、この瞬間、過去と未来が交わったように感じます。ここから始まる新しいストーリーを、このライブを観てくれているみんなと歩んでいきたいです。私たちがここにいられるのは、VALISという新しい道を作ってくださった関係者のみなさん、そしていつも応援してくれているヴァンデラーのみなさんのおかげです。VALISにたくさん愛を注いでくれているみんなに感謝でいっぱいです。居場所をなくしてしまった私たちに、もう一度居場所をくれて本当に本当にありがとう。
過去も今も、リアルもバーチャルも、私たちがどんな場所に行っても、私たちはずっと私たちで、それはずっと変わらないことです。リアルとバーチャルを、2つの姿で行き来しながら、私たちにしかできないことをこれからもやっていきたい。それが、私たちがVALISになった使命だと思うから。
CHINO、MYU、VITTE、NINA、NEFFY、RARA。この6人が歩んできた道があったからこそ、私たちにしかできないショーがあると信じています。どんなに辛く苦しいことがあっても、この6人だからここまで歩んでこれました。私たちにとってVALISが大切な存在のように、みんなの心に寄り添えるようなグループになりたいと思います。私たちがどんな道を歩んでいくとしても、ヴァンデラーのみんながいるなら怖くないです。これからも私たちから目を離さないでいてください」
涙ながらに語られた6人のMCを経て、「最後にご覧いただくのも、私たちと一緒に転生してきた大切な曲です」と、彼女たちが転生する前から歌っていた楽曲「奪還シンデレラ」を披露。
「本日はお越しくださり、ありがとうございました」と6人で丁寧にお辞儀をし、ブルーの照明に照らされる中、6人はステージ中央に固まり、「転生デパーチャー」は幕を閉じた。
余韻が残る中、エンドロールのVTRが流れ、「20220730、彼女たちは飛び立つ、転生を新たな力に変えて」「再起動、最新章、この場所でもう一度だけ」という言葉が画面に照らされ、VALISは新しい未来への第一歩を踏み出した。
テキスト:西澤裕郎
撮影:小林弘輔
2nd ONE-MAN LIVE「転生デパーチャー」
2022年7月30日(土)@ヒューリックホール東京
セットリスト
Act.1
1.残響ヴァンデラー
2.真夜中コンツェルト
3.道化師ブランケット
4.開幕ゼノパレード
5.錯綜リフレクション
6.再構成ウィーバー
7.相反ヴァラエティ
8.新世界ピグマリオン
9.物換星移カタルシス
Act.2
10.偶像ナイトメア
11.ソロメドレー1 ピカピカキャンディラブイズム/VITTE
12.ソロメドレー2 渇愛論/MYU
13.ソロメドレー3 わたしマニュアル/NINA
14.ソロメドレー4 I.C.E/CHINO
15.ソロメドレー5 禁断果実/RARA
16.ソロメドレー6 猫好的トリックスター/NEFFY
17.境界線マクガフィン
18.革命バーチャルリアリティ
19.乙女的サイコパシー
20. 奪還シンデレラ
神出鬼没のバーチャルサーカス団としてパフォーマンスを行う、6人組のバーチャルガールズグループ”VALIS(ヴァリス)”
CHINO(チノ)、MYU(ミュー)、NEFFY(ネフィ)、NINA(ニナ)、RARA(ララ)、VITTE(ヴィッテ)が、アバターとオリジンの姿の両方でパフォーマンスを繰り広げ、リアルとバーチャルを行き来する。https://sinsekaistudio.jp/artist/valis/