ヒナタミユ(Vo/Gt)とトヨシ(Dr/Gt)が、前身ユニットの“ヒナタとアシュリー”から改名し2020年9月に始動させた“どこでもない場所を旅する記録”を標榜する二人バンド・エルスウェア紀行。映像的でリリカルな歌詞世界と、70年代シティポップの匂いを内包しながらロック・フォーク・パンク・プログレ・ブラックミュージックなどを独自に昇華したサウンドを奏でる、他に類を見ない形態のバンドである。
11月16日にリリースした最新デジタルシングル「鬱夢くたしかな食感」は、ヒナタによる“悪い夢を見て、起きても残る後味”を楽曲に昇華したエルスウェア紀行にとっての問題作。エルスウェア紀行の“最果て”と言い表すように、二人の持つ特異な音楽性を感じられる楽曲となっている。11月26日には単独公演〈夢幻飛行 2022〉も超満員の中で大成功させた2人に、改名のことから、バンドのテーマ、「鬱夢くたしかな食感」についてまで、じっくりと話を訊いた。
取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ
どこでもない場所を旅する記録
──まずはじめに、“ヒナタとアシュリー”から“エルスウェア紀行“への改名についてから教えていただけますか?
ヒナタミユ(以下、ヒナタ):もともとは私1人でシンガー・ソングライターとして活動していたんですけど、トヨシさんがサポートで編曲や作曲に参加するようになって、これは私1人の活動ではないなと思ったときにヒナタとアシュリーって名前をつけたんです。最初はベースのメンバーにも入ってもらって3人組でやっていたんですけど、しばらくしてベースが抜けて、そのままベースに2~3年サポートしてもらっていたので、ぐちゃぐちゃした感じが残ってしまっていて。コロナ禍になって、改めて考える時間ができ、レギュラーのラジオ番組終了と同時に名前をエルスウェア紀行に改名しました。バンドとしてのサウンドもかなり変わってきていたこともあったので、再スタートというか、ちゃんともう1回始めようというタイミングで改名したんです。
──“エルスウェア紀行“という名前はどのように付けられたんでしょう?
ヒナタ:ラジオ番組の『JET STREAM』を初代の城達也さん時代から祖父といつも聴いていたんですけど、ちっちゃい頃はどこか不穏な感じがしてすごく怖かったんですよ。でも段々好きになっていって。いまでは『JET STREAM』の唯一無二な感じが自分の根底にあるというか。番組は旅先じゃない場所でも旅をするってコンセプトだったんですけど、自分たちもロック、パンク、ポップとか、一つのジャンルに拘らずやっているのが似ているなと思ったんです。
トヨシ:ヒナタとアシュリー時代、最後の方には旅のコンセプトが生まれていたよね。
ヒナタ:エルスウェア紀行の音楽を聴けばいろんな場所に行けるのが『JET STREAM』と重なるなと思って、旅=紀行で30個ぐらい○○紀行みたいな単語を考えていったんです。「少し泣く」にも「天国」って歌詞が出てくるんですけど、どこでもないっていうのが私たちらしいと思って、エルスウェア紀行に決めました。
──ちなみに、他にはどんな名前の候補があったんでしょう?
ヒナタ:レモン紀行とか。
トヨシ:あったね(笑)。
ヒナタ:うたかた紀行とかもありました(笑)。最後の方、考えすぎて訳がわからなくなって。響きとか難しいことを考えずに意味でつけました。
──「エルスウェア」自体の意味は?
ヒナタ:直訳で「どこでもない」っていう意味なんですよ。“紀行”も辞書的な意味で「旅する記録」だったので、どこでもない場所を旅する記録というのがいいなと思ったんです。
──5年前にヒナタとアシュリーとしてお二人のインタビューに立ち合わせていただいたときの印象が強くて。感覚的な部分をお持ちのヒナタさんと、論理的なトヨシさんという。
トヨシ:それは今でもすごくありますね。
──トヨシさんにとって、抽象的でもテーマが定まったことは楽曲制作における指針になっていますか?
トヨシ:そうですね。ただ、作っているときの感覚としてはいろんな要素を混ぜようっていうよりは混ざっちゃっている感覚があって。恐れずにロックのテイストにジャズも入れてみたら、格好よくなったり。挑戦的に恐れずに作っていったらはまりが良くて、楽曲制作もよりやりやすくなっていった部分がありました。
ヒナタ:今の話の補足ですけど、ヒナタとアシュリー時代は私が作詞作曲をして、トヨシさんが編曲メインだったんです。今も歌うラインとか歌詞の載せ方やメロディは私が考えているんですけど、トヨシさんの面が強くなっているのがエルスウェア紀行で。ヒナアシュは私が0-1を持っていってトヨシさんが10にするみたいな方法だったんですけど、エルスウェア紀行はリフとかも含めてトヨシさんの激しい要素が出ていると思うんです。
トヨシ:楽器にフォーカスがいっているようなところはあるよね。
ヒナタ:そこがかなり変わったかなって。トヨシさんの作曲家・プレイヤーとしての要素に、私がメロディを付けることによって、ちょっと変な曲になるというか。他にない感じになる。
トヨシ:そういう意味で、2人それぞれの色の独立感が前より強調されていると思います。ヒナタとアシュリーの頃よりミュージックビデオのカットも変化してきていて。一緒の演奏シーンをほとんどなくしている。それは、独立した音楽性を持っている2人を掛け合わせて作っている雰囲気を出したいからというのも実はあるんです。
転機となった楽曲「少し泣く」
──ヒナタとアシュリーの最大の武器はメロディの強さというか、キャッチーで親しみやすくて覚えやすい楽曲という部分だと思っていたので、今のスタイルに舵をとろうと思ったのが最初驚きで。そこにはなにかきっかけがあったんでしょうか。
ヒナタ:いくつかきっかけはあったと思うんですけど、レコーディングで素の感じで冷めた感じで歌っちゃったとき、トヨシさんから「絶対その方がいいよ」って言われたんです。そのとき、自分の素の部分以上に明るい曲を作っていたかもと無意識な部分に気がついて、はっとして。もちろん温かさのある曲も嘘ではないけど、もうちょっと自分には禍々しいところがあるなとか、鋭さや怒りとか爆発的なものがあることに気づいた。激しいものに対して淡々と歌うミユの歌がいいんじゃないかと思っているって、トヨシさんからの話があって、やってみようと思ったところはあります。
──トヨシさんは、どうしてそのような発言をされたんでしょう?
トヨシ:楽器が激しくてもミユのボーカルだけそれについていっていない別世界軸の良さがあると思ったんです。ミユの歌詞は、私とあなたみたいな世界ではなく、もっと外の世界から俯瞰で眺めている視点というか。そういう世界観が印象的なので、あまり感情が乗ってない方が、むしろ音楽の世界にうまくはまりやすいのかなという印象がありました。
ヒナタ:それでいうと、「少し泣く」が自分の一番素の状態というか。それまではテンション的に冷めている部分が根底にあることをなぜか隠そうとしていて。声を作っていく作業に関しても「少し泣く」が明らかに転機で。ウィスパーの人と声を張り上げる人って対極なイメージがありますけど、私はどちらも混ぜられるなという感触があって。そういう歌い方をしようという考えが合致していった感覚もありました。
──ヒナタさんの中にある禍々しさってどういうものだと思いますか。
ヒナタ:元々ヒナアシュも暖かさはありつつ、悲しさや寂しさを感じる楽曲が多かったと思うんですけど、それを見せたいとは思っていなかったんですよね。我を出すのが自分の中であまりしっくりこなくて。「少し泣く」なんかは、情景描写はするんですけど、時間の捉え方って何だろうとか壮大な話とかをしているんです。リリース後に、いいねって言ってくれる人が多かったり、刺さるものがあるってコメントを見て、自分の中にしかないと思っているものをわからないまま出していいんだなと思えたんです。禍々しさについて答えになってないと思うんですけど、人生の中で生まれた禍々しさを別に隠す必要はないと思えたんです。音楽をやっていると、そういうところに向き合わされるというか。やっていくんだったら、自分の痛いところを抉っていくしかない覚悟はいま強く持ってやっています。
──トヨシさんの楽曲とヒナタさんの内面的なものが連動している感触はありますか?
トヨシ:ミユの内なる禍々しさと、僕が出したい論理的な音の組み立てが底の方で近いのかなとは思っていて。僕は音の芸術としてのゲイン効果みたいなのを大事にしているんです。安心の感情を作るために1回不安を煽るというか。例えば、ワールドカップの試合で1回負けるかもという不安からの逆転劇によって興奮が高まるじゃないですか? 同じように音楽の中でも一瞬リズムが取れないとか、すごく汚い音が来たみたいなパートを落とし込んでから、少し安心できるようにするみたいな音作りにこだわりがあって。そういう部分がミユの心の底にある部分と近い可能性もあるかなと思っています。
ヒナタ:人生って簡単じゃないと思うんです。悲しくても幸せなときもあるし、幸せでも悲しいときがある。そんな複雑さがある中で、悲しい楽しいって割り切った曲を書くのが違う感じがしていて。そういう複雑なものを出したくなってきた。だから、禍々しいというより複雑というか、いろんな感情が常に混在してるものをそのまま出したいってことなんです。
──そこまで表現をしたいというモチベーションはどういうところにあるんでしょう。
ヒナタ:つるうちはなさんの主催ライヴに出たとき、ヒナアシュを評する言葉として「こんなに朗らかな2人なのに、音楽に拭いきれない悲しみがこびりついていて、それが美しい人たちです」って言ってくれたんですよね。それがしっくりきたというか。明るくしているつもりだけど悲しく見えているんだなというか。何も隠せてないというか、こびりついている。でもそれが美しいと言ってもらえた。楽しい人を楽しくするより、底の方にいる人たちがちょっとでも前を向ける曲を私達はやっていこうと思えたんです。10を20にするというよりはマイナスをゼロにしたい。その気持ちはなんとなくヒナアシュのときからあったんですけど、そこに説明的な言葉がついて、もっと音楽自体を信じていいのかなと思えたことが根底にありますね。
──トヨシさんは楽曲制作にあたって絶対に大事にしているのは、どんなものなんでしょう。
トヨシ:10年後20年後でも格好いい音楽を作りたいと思っていて。飽きられるっていう感情がすごく嫌なんですよね。むしろ聴くほどに格好よさが増すような音楽が作りたい。そのために、曲の中に仕掛けを配置するようにしていて。同じメロディでも、一番はAメロに聴こえるのに2番はなぜかBメロに聴こえるみたいな。同じものでもちょっと角度を変えたら違って聴こえる仕掛けを細かく配置しています。全曲に聴けば聴くほど違うものに聴こえてくるようなこだわりをしていて。あまり詳しくは言わないんですけど、聴き方によって変化するような生き物のような曲が作りたいなという想いは強く持っています。
エルスウェア紀行“最果て”曲「鬱夢くたしかな食感」誕生
──最新シングルの「鬱夢くたしかな食感」を最初に聴いたときの印象として、音作りが荒々しいというか生っぽいというか感じがあったんですけど、レコーディングとミックスも、エルスウェア紀行になって、トヨシさん以外の方に任せるようになったんですよね。
ヒナタ:そこも「少し泣く」がきっかけですね。それまで自分たち以外の方を入れてレコーディングをしたことがなくて。エルスウェア紀行になることは覚悟して一歩外に踏み出すことでもあったので、いろんな人を交えて制作してみようってことに挑戦して。実際に2人で完結しない制作をしたとき、すごくしっくりきたというか。その曲が多くの方に聴いてもらえたり、自分たちではできないことを掛け合わせていったら広がるんだと実感したんです。
トヨシ:それによって僕も編曲に集中できるようになりました。ミックスやレコーディングをプロの方に力をお借りすることで、自分たちのイメージにない要素が入ってくる。それをプラスに捉えて、自分の限界をさらに超えられるといういい面があったなと思いますね。
──本作のレコーディングでは、どういう部分をリクエストしたんでしょう。
ヒナタ:私達の中で最初からっとした音にしたいと思っていたんですけど、リバーヴがかったウェットな感じに仕上げてくれて。そういう新しい提案を受け入れた結果がこの曲であって。いろいろやるよと言っているエルスウェア紀行の中でも端っこにある楽曲になりました。これがエルスウェア紀行としてのスタンダードな音作りかといわれたら違うかもしれないけど、この曲はこれがいいのかなと思ってお任せした部分も大きかったです。
トヨシ:演奏でも結構荒々しくて。弦1本しか弾いていないギターのフレーズでも4本ぐらい弾いていて。綺麗に鳴らすために余計な弦を鳴らさないこともできるんですけど、あえてそれはせず、鳴っちゃったら鳴っちゃったで、その生々しさは意識して録音をしていますね。
ヒナタ:他の曲に比べて演奏も自由度が高いのが生々しいのかなとも思います。ベースの千ヶ崎(学)さんも自由に動いてくださっていたり、ピアノも荒々しく弾いてくださっていて。各々の演奏のこだわりと自由さに対して、私はいい意味であまり自由に歌ってはいない。それがちょっと不穏な妖しい感じになっているのかなと思うんです。
──そもそもこの曲は、どのような着想から誕生した曲なんでしょう。
トヨシ:元々僕がイントロを作って、ミユがメロディや歌詞、楽曲のテーマを付け加えていったんです。それに対して、僕がこれは不採用かもな?ってぐらい思いっきり作り込んでいって。これいいじゃん!っていうふうになって、そのまま今の形になりました。
ヒナタ:トヨシさんが昔やっていた作詞作曲のプログレバンドの感じがちょっとあって。ヒナタとアシュリーだったら絶対やらなかった曲なんですけど、すごくやりたいって意気込みを感じたんですよね。ただ、Dメロの歌謡曲っぽいセクション以外ほぼ出来た状態でコードだけ送られてきたんですけど、そこにメロディを付けるのは難しいと思って投げ出そうかと思ったりもしました(笑)。今までにやったことがないくらい激しさがあって格好いいなと思いつつ、自分が歌うイメージができなかった。その時、クリスティーナ・アギレラの「レディ・マーマレイド」を聴いていて。メロディが上から来るんですよね。この曲も上からメロディをつけてみようと思いついたときに突破口が見つかって進んでいきました。そのあと、テーマをどうしようかなと考えていたときに、スマホのメモにあったタイトルを思い出して。悪夢を見たんですけど、朝起きてもその後味が残っていて。気持ち悪いと思いながら書いたんです。いつか書こうと思ったタイトルはスマホに溜めているんですけど、このタイトルは気持ち悪くてあまり触っていなくて。だけど、この曲はこれかも!とのせてみたらすごくあったんです。
──悪夢はどんな内容だったんでしょう。
ヒナタ:書かないでもらいたいぐらい生々しいんですけど、あるものを食べているみたいな。そういう夢を生まれて初めて見たんですよね。その食感みたいなものが口の中に残っていて、すごく気持ち悪かったんです。ただ事じゃないと思って、それを歌詞に書かなければと思ったらこの曲になりました。夢なんだけど、確かに食感があったってことを書きたかった。
トヨシ:それを聞くと確かに最果てですよね。
ヒナタ:私もこんな歌詞を書く日が来ると思わなかったんですけど、自分の中にある禍々しい部分が書けるんだと。今まで外に出したいとは積極的に思わない部分を描きました。
──ヒナタさんは、どうして出したくないものを歌詞に書くんだと思いますか。
ヒナタ:トヨシさんの楽曲のリフだったり楽器の使い方が、それをするしかないような音だったというのもあります。トヨシさんがそこを引っ張り出してくるのであれば、私もそこを削って出しますって。でも、やっぱり自分が書きたかったのかなと思いますね。書いてしまえばすっきりするというか。出したくないものを出すのが、本来やっていくべきというか、やっていきたいことかもしれないと、ここ最近ずっと感じていますね。
──トヨシさんは、ヒナタさんの内にあるものを引っ張り出している実感はありますか?
トヨシ:ここ1年ぐらいは強くありますね。僕も音楽で表現しない限り、ずっとこのテンションのまま生きているというか。禍々しさへの憧れと言えば近いのかな。僕はあまり悪夢とかは見ないんです。
ヒナタ:穏やかな人なんですよ。
トヨシ:だけど内にあるちょっとした禍々しさを音にして拡大すると、ちゃんとミユがメロディとヴォーカルをのっけてきてくれるんです。
ヒナタ:ことある事に、あなたは少年ぽい方が似合うよとか、激しいのに淡々としている方が似合うよって5年前ぐらいから言われていて。
トヨシ:僕だけが言い続けていたんです(笑)。
──お互いが共鳴し合って引き出し合っているのは素敵ですね。
ヒナタ:正反対すぎるのもあると思います。音楽性とか性格も全てが違う。それが一番うまくいってるポイントなのかな。
トヨシ:食べ物の趣味だけがあうよね。
ヒナタ:打ち合わせのときに「お野菜ビュッフェありましたけどここでいいかな?」みたいにトヨシさんが提案してくれて(笑)。お酒も飲まないで平和にランチミーティングみたいな。そこがちょっとおもしろいなと思って。食の好みは合いつつ、それ以外は合わないっていう。
トヨシ:それをポジティブに捉えられているよね。
ヒナタ:昔は、トヨシさんにはこの感覚がわからないのか!みたいにぶつかることもあったんですけど、わからないからいいのかもという感覚にお互いになれたのも大きいかも。
トヨシ:わからない感覚があるのは多分素晴らしいことなんだろうなって。
ヒナタ:「鬱夢くたしかな食感」のサウンドみたいに、トヨシさんって私も知らない面がずっとあるというか。なぜかこういう人なのに、昔はプログレっぽい曲ばかり作っていて。その感覚はどこから来ているんだろうって謎はずっとあるんです。実際、自由に作ってくださいって言われるとこういうサウンドになるんですよね。私にも見せないし、本人にもわからないけど、そういうものが彼の中にはあるんだろうなと思っています。
──もしかしたら今後、今回と正反対のポップ側の最果て曲が生まれるかもしれないですね。
ヒナタ:次、録音しようと思っている曲がめちゃくちゃキャッチーで。反動でちょうどいいかなと思っているんですけど、穏やかな曲をひさしぶりにやろうという気持ちになっています。
──エルスウェア紀行のライヴは、どのようなことを大切に考えてらっしゃるんでしょう。
ヒナタ:やっぱり曲が主役だと思っていて。『JET STREAM』をオマージュしていろんな場所に連れていけることをテーマで公演をするのが自分たちらしいと思って、通年で使っていきたいタイトルとして〈夢幻飛行〉という単独タイトルを考えたんです。安心して1人になる、ってよく言っているんですけど、音楽があるところで1人になって、内省的な部分だったり心象風景を振り返るというか旅をする。1人1人が自分の頭の中、心の中を旅できるようなものが自分たちのライヴとしては正解なんじゃないかなと思っています。盛り上がるというより、それぞれ1人になる状態が1000人とか2000人になっていってくれたらなと思います。
トヨシ:ミユが8割方言ってくれたんですけど、補足するとしたら、1本の映画を見たような感覚のライヴにしたいと思っていて。それはヒナタとアシュリーからの地続きであるんですけど、エルスウェア紀行になって映画の中身が変わったというイメージですね。
ヒナタ:映画のジャンルが変わったというかね。
トヨシ:そう。映画的な楽しみをお客さんにしてもらいたいですね。
──最後に、エルスウェア紀行をどんなバンドにしていきたいと考えていますか?
ヒナタ:ありきたりですけど、どこにもない音楽を掲げているバンドでもあるので、どこにもないものを作りたい。エルスウェア紀行としか言いようがないものを作り続けたいですね。
トヨシ:僕も完全にそうですね。オリジナルを確立したい気持ちはすごく強いです。
ヒナタ:トヨシさんと2人でやっている限り、どこにもないものになるってことにはすごく自信があるので、それをひたむきにやっていくだけかなと思います。
■リリース情報
エルスウェア紀行 Digital Single『鬱夢くたしかな食感』
2022年11月16日(水)より各配信サイト配信中
https://big-up.style/3sNerw28qL
エルスウェア紀行
2020年9月に始動したヒナタミユ(Vo.Gt)、トヨシ(Dr.Gt)による”どこでもない場所を旅する記録”という意味を標榜する二人バンド。同年12月に1stフルアルバム『エルスウェア紀行』をリリース。〜さみしくて、あまくて、つよい。〜映像的でリリカルな歌詞世界と、70年代シティポップの匂いを内包しながらロック・フォーク・パンク・プログレ・ブラックミュージックなどを独自に昇華した他にないサウンドは、まさしく令和の”ニュー・ミュージック”である。ライブはメンバーのみのアコースティック編成のほか、サポートミュージジャンを迎えたバンド編成など多彩な形態で行う。
Official Site:https://elsewhere-kikou.com/