「みんなの遊び場」をコンセプトに活動するWACK所属の13人組アイドル・グループGANG PARADE(以下、ギャンパレ)がベストアルバム『WELCOME TO GANG PARADE (COMPLETE EDITION)』を11月21日に配信リリースした。
同作には、これまで発表してきた楽曲を現体制で再録し新たなエディットとマスタリングを施して収録した137曲(!?)が収録。前身グループのプラニメ、POP時代から歌われてきた楽曲からインディーズ時代の曲、ギャンパレが分裂して生まれたGO TO THE BEDSとPARADISES名義で発表された楽曲、ライヴのSEとして使用されたインスト曲、新曲「Beautiful Days」、アニメ「僕とロボコ」のテーマソング「lol」のPVバージョンが8時間以上にわたって収められている。
本作のリリースを記念し13人のメンバーが13曲入りのプレイリストを1人ずつ作成。どのような想いやテーマを持って楽曲を選んだのか、そして各楽曲にまつわる思い出やエピソードなどを加入時期にわけ4回に渡りインタビューを実施していく。第3回は、2018年3月にギャンパレに加入した月ノウサギ、2019年にWAggから昇格したナルハワールド、2020年に同じくWAggから昇格したキラ・メイにインタビュー。PARADISESで一緒に活動していたメンバーでもある3人のプレイリストをもとに楽曲について読み解いていった。
取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ
「春夏秋冬」をテーマにした月ノウサギのプレイリスト
──月ノさんはどのようなテーマで、プレイリストを作成したんでしょう。
月ノ:私は「春夏秋冬」をテーマにプレイリストを作りました。「行かなくちゃ?」で春が始まって、「VILLAN」で冬が終わり、最後に自分が作詞した「Season Song」で締めています。「Season Song」は1年をまるっと通して思いを綴った歌詞なので、春夏秋冬を表した最後に締めるというテーマで作りました。
──ギャンパレには春夏秋冬それぞれ描いた楽曲があるんですね。
月ノ:あと、自分の中でこの季節のイメージに合う曲だと思ったものを詰めました。入れたい曲が山程あったんですけど、「夜暗い夢」とか「ズルい人」とかはこういう機会じゃないとなかなか入れられないレア曲だと思ったので入れました。
──「ズルい人」は、季節的には春になるんですか?
月ノ:「ズルい人」は梅雨です。松隈(ケンタ/サウンドプロデューサー)さんが作ってくれたデモの仮タイトルが「雨の西中洲」だったので、雨の季語を入れて作ったんですよ。メロディ的にも雨のイメージがあったので、春と夏の間をイメージして入れました。
──この後に夏ソングがくるわけですね。
月ノ:わかりやすいコテコテの夏ソングを全部入れました(笑)。
──秋にはどの曲で変わるんですか?
月ノ:「ANSWER」は夏と秋の狭間のイメージで。8月31日の夜というか夏休みの終わりの夜空のような感じ。そこから「PALET」と「夜暗い夢」で秋に入ってくるイメージです。このプレイリストを今日聴いてきたんですけど、「夏のバカヤロー」から「ANSWER」の流れが一番好きです。
──乙なプレイリストですね。
月ノ:初めて聴く人でも分かりやすいものにしたいなと思って、こういうプレイリストにしてみました。
直感でこれが好き!と思った曲を詰め込んだキラ・メイのプレイリスト
──続いて、メイさんはどういうテーマで作成したんでしょう?
メイ:137曲もあるので、直感でこれが好きと思った曲だけを入れました。考えすぎると分からなくなってきそうなので。そしたら意外と明るい曲より、ローテンポだけど明るいみたいな感じの曲が多くて。選んでみて自分が直感的にどういう曲が好きか顕著に出たなと思います。「普通の日常」とか「this is love song」とか可愛い曲が好きなんです。
月ノ:メイっぽいよね。
──メイさんっぽいというのは、どういうところに感じたんでしょう?
月ノ:本人が言っていたように、かわいい曲というか全部暖色のイメージがあるんですよね。黄色とか淡いピンクとか、そういうイメージがある曲ばかりで、メイっぽいなって思いました。あと、「this is love song」が入っているのがおもしろいです(笑)。
──おもしろいというのは?
月ノ:ギャンパレの中でもなかなかやらない曲なんですよ。でも、隠れた超王道アイドルソングというか。
メイ:このプレイリストでのおもしろポイントは「merry bad end」で。かわいい曲ばっかり入れようって思ったんですけど、どうしても「merry bad end」を入れたくて。どこに入れるべきかすごく悩んで変なところに入れてみました(笑)。
──曲順はどう決めたんでしょう?
メイ:なんとなくグラデーションにしていて。好きな曲を選んだせいで、ちょっと雰囲気が似ている曲も多いので、流れで聴いた時に飽きがこないようにってことは考えました。「普通の日常」を結構明るめの「who am I ?」と「BRIGHT FUTURE, YOUR SMILE」で挟んだり、突然「merry bad end」を入れたり。
──1曲目に「BRIGHT FUTURE, YOUR SMILE」を選んだ理由は?
メイ:プレイリストを最初に聴いた時に一番明るい曲がきたらテンション上がるかなと思って。なので締めは「少し大人になって」でしっとりした感じにしています。「merry bad end」と「少し大人になって」は単純に私のプレイリストにただ入れたい私利私欲です(笑)。
──あははは。みんな、それぞれ違う考え方で選抜していていいですね。
メイ:MVの曲を入れようとか全然考えてなくて。他のメンバーのプレイリストを見たら意外とちゃんと入れていて、好きに作りすぎた! と思いました。クリスマスソングから「夏のバカヤロー」とか(笑)。
ナルハワールドがライヴのセットリストを考えたら?的プレイリスト
──ナルハさんはどういうテーマでプレイリストを作成したんでしょう。
ナルハ:私も好きな曲をひたすら詰め込んだんですけど、順番は結構考えて、ワンマンライヴで聴きたい曲順にしました。最初はアッパーな曲で、次にちょっと格好いい曲がきてガラッと変える。その後ちょっとエモい曲を入れて、最後は明るい雰囲気で締めるみたいな。
月ノ:ナルハがライヴのセトリを考えるなら、このプレイリストの曲ってこと?
ナルハ:うん!
月ノ:すごいセトリだ(笑)。
ナルハ:好きな曲を詰め込んだセトリ。
月ノ:エモターンのところいいな、好き!
ナルハ:いいよね、ここめっちゃ好き。
月ノ:「YEAH!!」を入れてもらえてうれしい。私もギリギリまで夏のゾーンに入れていたんですけど落選しちゃったんですよ(笑)。「これはきっとaventure」と「LOVE COMMUNICATION」と「夏のバカヤロー」を入れたくて外しちゃったので、ナルハが「YEAH!!」を入れてくれてよかった。
ナルハ:「YEAH!!」はPARADISESの最初に出たアルバムの中で一番好きな曲なんです。
──このプレイリストもナルハワールドっぽさが出ている?
月ノ:ナルハの印象が強い曲が多いです。「ALONE」「お願い」「Wonderful World」はナルハが作詞しているし、「you」もミキがナルハをイメージして作っていたり。「BREAKING THE ROAD」はナルハがずっと好きだって言っていた曲だから絶対入れるだろうなって思って。ナルハを連想する曲が多いプレイリストです。
──ナルハさんは自分でどんな曲が好きな傾向にあると思います?
ナルハ:歌詞のいい曲が好きです。でも、あまり自分では分からないかも。直感で聴いて、これ好きだなって思う曲が好きです。
3つのグループのSE全部が全部いいとこ取りしていて、めっちゃわくわくした
──逆にナルハさんとメイさんから見て、月ノさんのプレイリストはどう感じました?
メイ:パッと見た時に春夏秋冬ってあまり分からないけど、「ズルい人」が梅雨とか、「ANSWER」は夏の終わりとか聞くとすごいしっくり来る。
月ノ:1曲目を「行かなくちゃ?」にしたのは自分としても意外だと思うんですけど、シャッフルして聴いていて「行かなくちゃ?」が流れてきた時にこれだ!と思って。WACKって、合宿オーディションだったり春にいろいろあるじゃないですか? 明るいイメージもあるんですけど、その先への不安や緊張みたいなのもすごくある季節なんですよね。そういった春の始まりに「行かなくちゃ?」が一番しっくりきて。そこから「PLEASE LISTEN TO MY」っていう入学式みたいな曲に繋げたいなと思って。
ナルハ:「行かなくちゃ?」はさくら咲く前とか?
月ノ:そう。さくらが咲く直前みたいな。春が始まるドキドキの緊張と期待がどっちも詰まっている時期というか。「PLEASE LISTEN TO MY」は4月のイメージです。
──3人はPARADISESで一緒に活動していた時期がありますが、PARADISES曲をGANG PARADEで歌うのはどういう感覚なんでしょう。
メイ:めっちゃ変な感じがします。137曲の中にはPARADISESで歌っていた曲もいっぱいあるんですけど、シャッフルで聴いていてPARADISESの曲が流れた時、今まで聴いたことないメンバーの声が聴こえるとギャンパレの曲になったんだとすごくうれしくなります。
──PARADISESの曲がGANG PARADEの曲になったなって感覚があるんですね。
月ノ:めっちゃしますね。まだライヴでやっていない曲もいっぱいあるんですけど、やる時に全部の曲を進化させて届けたいなと考えていて。PARADISESでやっていた時の味は活かしつつ、ギャンパレとしてもっとパワーアップしてやることがその時知ってくれたお客さんも嬉しいことなのかなと思って。GとPの曲をやるとき、それはすごく意識しています。
──今回ギャンパレだけでなく、PARADISESとGO TO THE BEDSのSEも入っています。いま聞くと、どんなことを感じるんでしょう。
メイ:ライヴが始まる前に袖でSEを聴いていた時のことをすごく思い出します。私がライヴを観る側だったら、こんなSEが流れ始めたら楽しいだろうなって。今回、久しぶりに聴いたら一音目がなった瞬間のわくわく感が全部のSEの中に詰まっていると思って。ギャンパレのSEは今から始まるぞっていうドキドキだし、GO TO THE BEDSはここからすごいものが始まるって感じ。その中で言うと、PARADISESのSEって本当にわくわく、楽しい!が詰まったSEだなと思って。これで13人登場してみたいですね(笑)。
ナルハ:私もステージ袖に待機していることや、お披露目の時のことをめっちゃ思い出しますね。目の前にお客さんがいるのかなみたいなわくわくしている気持ちをめちゃくちゃ思い出して懐かしいなって。
月ノ:どのSEも特別だし、自分がお客さんだったらSEが入っているのはめっちゃうれしいだろうなって。GとPのSEも久しぶりに聴いて、なんて分かりやすくギャング感とパレード感があるんだろうと思いました(笑)。それでギャンパレのSEを聴いたら、なんてGANG PARADEなんだろうと思ったんですよ。3つのグループのSE全部が全部いいとこ取りしている感じがして、めっちゃわくわくしました。SEを入れているメンバーもちょくちょくいるんですけど、分かるなって思います。やっぱり入れたくなるよなと思って。
ナルハにとって恐怖の曲「ALONE」
──せっかくなので、普段なかなか焦点の当たりづらい曲についても教えてください。
月ノ:私は「PALET」と「WINTER SONG」が配信されたことがめちゃくちゃうれしくて。「PALET」は『LAST GANG PARADE』ってアルバムのシークレット・トラックで、CDを買ってくれた人しか聴けない曲で、「WINTER SONG」も配信リリースはされていなくて。それが届きやすくなったというか、うれしいなと思って入れました。
──「PALET」は今まで配信はなかったんですね。
月ノ:なかったんですよ。「PALET」はインディーズ時代所属していたレーベルのT-Palette Recordsからメジャーに変わるタイミングに、今までの感謝とこれからの未来に向けて作った曲だったので。ライヴでもやったのは野音だけだっけ?
ナルハ:私も1回しかやったことない。
月ノ:そうだよね。野音でやった「PALET」はすごく覚えていて。ちょうどその時夕方だったんですよね。大事な曲がもっとたくさんの人に聴いてもらえる機会ができて、すごくうれしいなと思います。「PALET」っていうタイトルも改めていいなと思います。
メイ:私は、あまり言ったことなかったんですけどライヴで「Message」をずっとやってみたくて。GANG PARADEでお披露目する予定だった時に振り入れしているんですよ。この曲を聴いた時にうわ、めっちゃ好き!と思って。振り入れはすごく大変だったんですけど、楽しかった思いがあって。実はこっそりライヴでずっとやりたいと思っているんです。
月ノ:本来、サキさんが卒業した次の日にメイを入れてギャンパレをやる予定で振り入れをしていたんだよね。
メイ:フォーメーションはやってないけど、振り入れは20曲くらいやっていたんです。
月ノ:「Message」は当時から人気は高くて、本当にGANG PARADE入門編みたいな曲だから、この曲もライヴでやりたいよね。
メイ:〈雨が降っててもパレード〉って歌詞がいいよね。
ナルハ:私も入れるかめっちゃ悩んだ。好きな曲を入れたんですけど、全部思い出がある曲で。それこそ1曲目の「PARADE GOES ON」は13人体制のお披露目ライブでの1曲目で印象に残っていて。活休中もめっちゃ聴いていたんですよ。「ALONE」は分裂する前のギャンパレの時、私がずっと注意されていた曲で(笑)。何回やってもできなくて。それが頭から離れない。
月ノ:ナルハってなんでもできる子っていうか、振りもすぐ覚えてくれるんですけど、「ALONE」のサビの振りのニュアンスをサキさんに何度も言われていて(笑)。
ナルハ:だから恐怖の曲なんですよ(笑)。今となっては、間奏とかでマイカさんと2人でバチバチに踊っていたり、すごく楽しく踊れます(笑)。
月ノ:久しぶりに「ALONE」の練習動画を見つけたんですけど、サキさんが「ナルハ、手!」 ってめっちゃ言っていて(笑)。いい思い出だよね。こんなに言われたの「ALONE」ぐらいじゃない?
ナルハ: 「ALONE」ぐらいですね。初めてこんなに言われた曲です(笑)。
月ノ:間奏のマイカとナルハが戦うような振りのナルハがめっちゃいいんですよ。人殺すみたいな。
ナルハ:殺さなきゃと思って踊っています(笑)。
新しく進化して歌い継がれていくことがありがたくてうれしい
──3人以外のプレイリストで気になるものはありますか?
月ノ:私はダントツで(カ能)セイですね(笑)。GANG PARADEの歴史を知らないからこそ作れるセットリストで、逆にすごくいいなと思って。セイってアイドルソングが好きだから、“こういう曲が刺さるんだな“と思って。GANG PARADEを最近知ってくれた人が印象に残る曲って、こういう曲なんだってめっちゃ衝撃的でした。
ナルハ:セイのプレイリスト、半分以上ライヴでやったことがない(笑)。
メイ:ナス(アイナスター)のプレイリストも本当に好きな曲入れたんだろうなと思った。特に後半の「〇〇」から「〇〇」までの曲とか。
ナルハ:ベビのプレイリストもいい。かわいい。
月ノ:マイカも、マイカっぽい。自分の作詞曲とか振りを作ってくれた曲が多いだろうなって思ったんですけど、マイカのイメージが強い曲が多いです。
──テーマは「ダンシング・オールナイト」って言っていました。
月ノ:たしかに(笑)。夜っぽいですね。ミキのセトリは重いなあ(笑)。
メイ:らしさが出てるね(笑)。
──137曲あると泣く泣く外す曲も出てきちゃいますよね。
月ノ:逆に何落とした?
ナルハ:めっちゃメモしたんだよね。いっぱいある。
月ノ:私は春のゾーンに「優しい風に吹かれて」を入れたくて。「YEAH!!」は最後まで残っていたんですけど、泣く泣く外しました。
メイ:私は「STARE」も入れたかったんだけど落ちました。最初のアルバムはイメージ的に全部明るい感じだったけど、ちゃんと聴いてみると「STARE」も底抜けに明るい系の曲でもないというか。いい曲やなあって思った。
ナルハ:私は「don’t forget me not」。最近、この13人でもやっていてめっちゃ入れたかったんですけど落としました。すごい好きですね。ライヴでやるのがめちゃくちゃ好き。
──ギャンパレはメンバーが増えるたびに、こうやって楽曲を毎回アップデートしていくのが素晴らしいですよね。
月ノ:本当に感謝の気持ちでしかないです。こうやって歌い継がれていくんだなという気持ちというか。ずっとある曲も進化し続けていくことが本当にうれしいです。聴いてくれる人もどんどん増えていくんだろうし、新しく進化して歌い継がれていくことがとにかくありがたくて、うれしいなって気持ちでいっぱいになります。
──最後にそれぞれのプレイリスト、どのように聴いてほしいか教えてください。
月ノ:すごく贅沢なお願いなんですけど、まずは1回聴いてもらったあとに、春夏秋冬というテーマを意識してもう1回聴いてもらえたらうれしいなと思います。知るのと知らないのでは全然聴こえ方が違うかもしれないので。もしくは、知らないで聴いて「あれ? これはもしかして、そういうプレイリストかな?」と思ってくれたらうれしい。1年まるっと通して楽しんでもらえるプレイリストになるように考えて作ってみたので、いろいろな聴き方で楽しんでもらえたらうれしいです。
メイ:この曲たちは全部が毎日の生活の中、例えば電車の中とか、朝準備している時とかに聴くとちょっと元気がもらえるような曲ばかりで。すごく背中を押されるわけじゃないけどエネルギーチャージされるみたいな意味で好きな曲をたくさん入れたので、1日が始まる前にエネルギーチャージみたいな感じで聴いてもらえたらうれしいなと思います。
ナルハ:私はライヴのセトリっぽくしたので、それを聴いて実際にライヴに来てみたいなと思ってもらえたら一番うれしいです。GANG PARADEは曲幅がたくさんあるので、明るい曲、かっこいい曲とか、そういう幅も楽しんで聴いてもらいたいなと思います。
■リリース情報
GANG PARADEメジャー4thシングル『Priority』
2022年11月16日(水)リリース
価格:1,100円(tax in)
品番:WPCL-13427
収録内容:
1. Priority
2. MELT
購入リンク:https://GANGPARADE.lnk.to/4thSG
オフィシャルサイト:https://www.gangparade.com/