BiSが2023年1月8日(日)、ワンマンライヴ〈ESCAPE from BiSimulation〉を東京・日比谷公園大音楽堂にて開催した。
BiSは今回のワンマンライヴをもって、イトー・ムセンシティ部、ネオ・トゥリーズがグループの脱退が発表されており、会場を埋め尽くした満員の研究員(※BiSファンの総称)たちが現5人体制ラストライヴを見守った。
その様子をレポートする。
BiS現体制ラストライヴ
1月の寒空の下、レンガの壁のセットが組まれ、その中央には赤い扉が設置されたステージ。開場から開演まで初期BiSの代表曲がBGMとして流れ、これまでのライヴとはまた違った歴史を感じさせるような空気が日比谷野外音楽堂には漂っていた。
定刻の17時になると、「LET’S GO どうも」のイントロが流れ、中央の扉が開きスモークが立ち上がると、第1期BiSのアルバム『IDOL is DEAD』を想起させる”囚人服”的衣装をまとった5人――トギー、イトー・ムセンシティ部、ネオ・トゥリーズ、ナノ3、ヒューガーが勢いよく登場した。同楽曲を勢いよく歌うと、メロディックパンク調の「GOiNG ON」、3期BiSはじまりの楽曲「STUPiD」、スカパンク調の「DESTROY」、thee michelle gun elephantのカヴァー曲「スモーキン・ビリー」と5曲を立て続けにパフォーマンスした。
「はじめまして、私たち新生アイドル研究会、BiSです!」と挨拶をし、1人1人名前を言って簡潔に自己紹介すると、「よろしくおねがいします!」と5人は深くお辞儀をした。「明けましておめでとうございます!」と元気よく研究員に挨拶し「念願の日比谷野外音楽堂で出来ることをすごく楽しみにしてきました。今日は最後まで一緒に楽しんでいきましょう!」とイトーが伝え、ポップなロック曲「Hey boy hey girl」へ。可愛らしい曲調の「LOVELY LOVELY」、静と動の緩急が特徴的な「COLD CAKE」、Dragon Ashのカヴァー曲「Fantasista」、90’sメロコア調の「BASKET BOX」と休むことなく披露し、会場の熱を上げていった。
ネオが「めっちゃ寒くないですか?」と聞きつつ、半袖の研究員が多いことに触れ、「踊ってくれていたけど、まだ寒いですよね? みんなでもうちょっとだけ体をあっためましょう」と、客席のブロックごとに手をあげ腿上げ、ジャンプをし体を温めた。
その勢いのまま、疾走感のあるJ-ロック曲「DA DA DA DANCE SONG」へ。続けて、曲の間スクワットをし続けるのが定番となっている「thousand crickets」で、メンバーとともに研究員たちもスクワットをしさらに体を熱くした。BPMの速い跳ねるリズムのロック曲「テレフォン」、メンバーのシャウトと激しいイントロで始まる重低音が心地よい「FUCKiNG OUT」、メロディアスな鍵盤がエモーショナルさを生む「つよがりさん」と攻撃的な楽曲を立て続けに披露していった。
トギーがMCで「あのときああ言っていたとか、こうしていたらっていう後悔は人生につきものだし、どうしようもないこともあると想います。楽しかった日々の後に後悔するような出来事があると、それまでの全部がよくなかった気がしてくるけど、楽しかったこと、嬉しかったこと、幸せだったこと、いい思い出はいい思い出のまま持っていてほしいです。いま何か後悔しているあなたも、今までの自分が全部ダメだったと思わないで、大切にしてきたものを忘れないで、これからも生きていてほしいです。心を込めて歌います」と「TOUCH ME」を披露。研究員たちとともにサビで両手をあげて一体感を生み、メンバーは力一杯に歌い上げた。続けて3期BiS初期楽曲の「this is not a love song」、メロディアスでエモーショナルな「LOVE」と全18曲をパフォーマンスして本編は幕を閉じた。
アンコールに応えて登場したメンバーたち。1人ずつ挨拶をした。
イトー・ムセンシティ部「先日発表がありましたとおり、今日の日比谷野音でのワンマンライブをもってBiSを辞めます。まず自分がBiSに入る前からずっと憧れていたこの場所で歌えたことはうれしくて、昨日チケットが完売したことも、本当に皆さんのおかげでここに立ってライブができていることをすごくうれしく思います。私にとってのBiSの活動はかけがえのない日々でした。自分を救ってくれた音楽のある場所に立って、人前に立って歌える場所があることを1日1日生きようと思える意味があることを、当たり前じゃなくて、みんなと出会えたことも全然当たり前じゃなくて、自分1人でいきてるだけでは知らなかった感情をたくさんもらいました。研究員を見ていると、何歳になってもどんな人生を送っていてもいやなことがあっても、生きることの楽しさ、日々を全力で生きることのかっこよさ、好きなものに向き合って笑顔でいる姿に勇気をもらっていたし、すごく幸せな気持ちにさせていただいていました。BiSの活動はこれからの人生の強みになると信じています。BiSにあえて、研究員に会えて本当に幸せでした。ありがとうございました。2023年もこれからも今まで出会った皆さんの日々が幸せに過ごせるものになることを祈っています。3年間本当にありがとうございました」
ネオ・トゥリーズ「前々から発表があったとおり、私も今日でBiSを脱退します。応援してくれる研究員がいたからここまで続けてくることができました。どんなにつらい日があったとしても、ライブで研究員の顔を見たら、がんばり続けることができました。研究員からもらったたくさんの言葉とか、感情、研究員が見せてくれた笑顔、景色とか、全部全部大好きでした。これから生きていく中でまた自分が立ち止まってしまう日が来たら、みんなからもらったものを思い出して生きていこうと思います。全部、絶対に忘れません。いつまでもみんなが笑顔で元気でいてくれたらうれしいなって思っています。3年半、本当にありがとうございました」
ナノ3「私はBiSに入って1年くらいでこうやってBiSのワンマンライブでこんなにもたくさんの研究員がいる光景を見るのは今日が初めて。野音が発表されてから、野音が研究員でいっぱいになる光景を想像して、楽しみな気持ちでいっぱいでした。今日は本当に来てくれてありがとうございます。今日、すごく楽しみに待っていてくれて、早く来て欲しいなって思ってくれた人、楽しみだけど来てほしくないなと思った人、いろんな感情をもて日比谷野音に来てくれたと思います。いろんな感情を持っていてもいいです。無理に楽しまなきゃなんて思わなくてもいいです。笑っても泣いても何してもいいから悔いのない時間を過ごしたいです。いつもBiSにたくさんの愛をくれる研究員が好きな場所で、好きなことをして、楽しい、幸せだって思ってくれたらうれしいし、その力にBiSがなれたらうれしいなって思います。私はBiSが大好きだし、BiSの音楽が大好きです。研究員とこうやって感情をぶつけ合える時間が大好きです。だからこれからもBiSの音楽を届け続けていきたいし、もっともっと楽しいことをしたいし、今日来てくれた研究員とまだ見ぬ研究員ともっと大きなところに行きたいです。だからこれからもBiSは止まらずに進んでいくし、研究員に付いて行きたいと思ってもらえるように死ぬ気でがんばります! 改めてこれからもよろしくお願いします! 今日は本当にありがとうございました!」
ヒューガー「こうしてみんながBiSを見に来てくれて、みんなでこうやって日比谷の夜を一緒にに過ごせているということが、本当に本当に嬉しいです。今日の日比谷野音はずっと楽しみにしてて、 BiSが体制が生まれ変わって、新しく5人で走り出していく。その瞬間を見てもらうライブにしたいとずっと思っていたので、だから正直、今日がこの5人での最後の舞台になってしまったことは本当に本当に悔しいです。私は、他のどこでもないBiSっていう場所で、アイドルに絶対になりたいって思って、2年間WACKのオーディションを受け続けました。その中で犠牲になるものがあったり、何回振り落とされても、どれだけ辛くなっても諦めるって選択肢は私の中のどこにもありませんでした。変わらない気持ちを持って挑戦し続けて、今やっとやっとスタートに立つことができています。夢を叶えるのは、まだまだこれからだし、やりたいこと立ちたい場所がもっともっとたくさんあります。BiSの未来は無限大です。そう信じています。私はBiSのことが大好きです。同じく、BiSのことを愛してくれてる研究員と、そして、今日ちょっとでもBiSをいいなって思ってくれ、あなたと一緒に見てい。景色をどんどんどんどん大きく大きく大きくしていきたいです。これからも死ぬ気で頑張ります。BiSは、私たちは、何度でも立ち上がって走り続けます。死ぬ気でやります。よろしくお願いします。あらためて今日は本当にありがとうございました!」
トギー「今日は、BiSのライブに来ることを選んでくれて、本当にありがとうございます。ずっとワンマンライブで立ちたかった日比谷野音にこうやって立てて、今ライブができていること、本当に嬉しいです。 もっと大きい場所に立ちたいって、改めて思いました。今日で5人のBiSは最後のライブで、明日からは3人で活動していきます。これから先のBiSがどうなるのか不安な人もたくさんいると思うんですけど、私はずっと今までもこれからもBiSのことが大事だし、BiSが好きで入ってきてくれたナノとヒューガーと、これから先も一緒に活動できるのがすごく楽しみです。新メンバーとして入ってきた2人は加入してすぐにいろんなことに振り回されながらも頑張ってきてくれた2人です。心強くて頼もしいメンバーです。だから、補い合って、支え合って、 これからもBiSを続けていきます。この先、たくさん辛いことも、課題も山ほどあって。だけど、まだまだいけるって、まだまだ頑張れるって思えるのは、これから先に楽しみなことがまだまだいっぱいあるからです。研究員には、この1年間、悲しい思いを何回もさせてしまいました。だから、これからの活動でどうしようもないくらい楽しくて幸せな気持ちでいっぱいにできるように、 そして今ここにいる研究員の10倍ぐらい、もっともっとたくさんの人たちに出会えるのを夢に見て、これからも頑張っていきます。研究員と一緒に頑張っていきたいです。だから、これからも応援してもらえたら嬉しいです。これからのBiSもどうかよろしくお願いします」
5人が1人ずつMCをすると全員でお辞儀をし、3期BiSの初期楽曲「BiS-どうやらゾンビのおでまし-」をパフォーマンス。落ちサビでは研究員たちがサイリウムを一気に点灯させてBiSの現体制最後のライヴを彩った。そして最後は、101回連発パフォーマンスをMVにした「CURTAiN CALL」を2回続けて披露し、現5人体制のBiSのラストライヴは幕を閉じた。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
■ライヴ情報
ワンマンライヴ〈ESCAPE from BiSimulation〉
2023年1月8日(日)@東京・日比谷公園大音楽堂
セットリスト
1. LET’S GO どうも
2. GOiNG ON
3. STUPiD
4. DESTROY
5. スモーキン・ビリー
6. Hey boy hey girl
7. LOVELY LOVELY
8. COLD CAKE
9. Fantasista
10. BASKET BOX
11. DA DA DA DANCE SONG
12. thousand crickets
13. テレフォン
14. FUCKiNG OUT
15. つよがりさん
16. TOUCH ME
17. this is not a love song
18. LOVE
EN1. BiS-どうやらゾンビのおでまし-
EN2. CURTAiN CALL
EN3. CURTAiN CALL