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【LIVE REPORT】LiVSなりのBiSH解散への返答、スク水13連発で破った最初の殻

StoryWriter

6人組アイドルグループ”LiVS”が2023年9月23日(土)、ライヴイベント〈Not Loss,But Free Live〉を東京・下北沢MOSAiCにて開催した。

LiVSは、WACK代表・渡辺淳之介の弟子であるSuzukiが立ち上げたALL INc.が手がけるアイドルグループ。アイドルオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」の合格者6名――コンニチハクリニック、マナツサマー、ランルウ、スズカステラ、コチャキンTV、ユニセックスによって結成され、8月13日(日)の中野heavy sick zeroでのワンマンライヴをもってデビューを果たした。

初の東名阪ツアーを経て迎えた今回のライヴは、WACKアーティストのグッズもしくはLiVSグッズを持参すれば入場料が無料となった。本ライヴのレポートを掲載する。


BiSH解散へのLiVSなりの返答

スクール水着(と着ぐるみ衣装)を着てステージに登場した6人のアイドルたちは、いきなり同じ楽曲を13回連続でパフォーマンスした。

同じ楽曲の連発。元を辿れば、2011年に新生アイドル研究会BiSが中野heavy sick zeroのワンマンで「nerve」三連発をしたことがメルクマールとなり、BiSHやWACKグループで定番となった奇策である。もはや奇策というより、伝統と化したといっていいだろう。

その伝統を生み出した音楽プロデューサー渡辺淳之介が2000万円を出資して誕生した会社ALL INc.が手がけるアイドルグループがLiVSだ。彼女たちは、デビューライヴとなった中野heavy sick zeroでオリジナル曲「RとC」を三連発し、BiSへのオマージュを行った。

今回のライヴは、BiSHのグッズを持っていたら入場が無料。会場のBGMには、BiSHの楽曲が流れていた。先日放送された『アメトーーク』の「BiSHロス芸人」裏では、サウナで激アツ視聴会を配信するなど、あからさまにWACKファンにリーチしチャンスを掴もうとしており、ここまで徹底していると潔くて逞しいと思うほどだ。

開演すると、BiSH解散ライヴの前説で登場したうさぎの着ぐるみを思わせる格好でメンバーのマナツサマーが登場、男性の影アナがアテレコで注意事項をアナウンス。ライヴが始まると、初期BiSとBiSHが行ったスク水でメンバーが現れ、BiSHが行った同じ楽曲の13連発を行い、BiSとBiSHが行ってきた歴史をオマージュした。

13連発を行った楽曲「RとC」は、ヘビーなギターリフのあと、肩を組んだヘッドバンキングではじまるロック曲。4回目を越えたあたりで、目撃者(※ファンの総称)も腹を括ったかのようにより激しく乗り始め、メンバーたちは客席に降り目撃者たちの円の中央で歌って踊った。目撃者のテンションもあがり、フロアの熱が一段階上がる。再びステージに戻り、コンニチハクリニック、ランルウがダイブするなど、13回を終える頃にはメンバー自身の殻が破れ、いい顔をしたライヴをやり遂げた。「以上、私たちLiVSでした」と挨拶しステージを去る6人を、汗だくの目撃者たちは熱い拍手でたたえた。

アンコールの拍手に応え、LiVSの衣装に着替えてステージに再登場した6人。「はじめまして、私たちLiVSです」と挨拶し、1人ずつ自己紹介をすると、「Shall Weeeee Dance???」「Shooting Star」「EGO」「Colorful」「MUSiC」と初アルバムの中から楽曲を披露。中でも、MVにもなっている「EGO」のパフォーマンスでの6人は大きくメリハリのあるパフォーマンスをし、初ライヴと比較しいても明らかに自信をもった出来となっていた。「RとC」13連発によって吹っ切れた部分もあっただろうが、しっかり練習を積み重ねてきたことが伝わってくるものだった。

1人1人のMCでは、グループに入るまでWACKのグループをほぼ知らなかったというコンニチハクリニックの逸話もあったが、BiSHに救われてきたことがそれぞれのメンバーの口から語られた。中でもユニセックスは涙を流しながら、「BiSHさんというグループが、とってもとっても私の憧れでした。話したら涙が出てきちゃうぐらい大好きで、私が悲しい時とか辛い時とか、私のことを近くで寄り添って支えてくれました。そんな存在にほんとにほんとに強く支えられていました。自分なんかがって諦める理由ばっかり探してた日常から、今こうしてこんなステージに立たせてもらって、たくさんの人に見ていただいます。まだまだ未熟者だし、大それたこと言えるほど成長もしてないし実力もないけど、もし今来てくださった目撃者の皆さん、あなたたちの人生が最高じゃなくなった時、最高になるまでずっと寄り添って支えていけるような存在になりたいです。私が、LiVSが、皆さんの人生の何かの材料になれるように、そんな存在になれるように、この短い人生を歩んでいく所存です。ぜひ私たちと一緒に生き抜いてください」と想いを語った。今回の〈Not Loss,But Free Live〉というライヴは、彼女たちなりのBiSH解散への返答だったようだ。BiSHという存在に影響を受け、憧れ、いつかBiSHを越えていきたいという想いをしっかりと語る場となった。

最後は、エモーショナルでメロディアスな楽曲「ONE」、疾走感あるロック曲「Preserved」をパフォーマンス。そのまま、メンバーは目撃者たち全員に手を繋ぐよう伝え、「人間最高!」と高らかに叫び、ステージを後にした。

この先、彼女たちはBiSHとWACKの伝統や精神をオマージュしながらも、LiVSらしさを出していくことが求められていくだろう。そんな未来へと踏み出すファーストステップになるようなライヴだったのではないかと思う。

取材&文:西澤裕郎
写真:伊藤洸太


■ライヴ情報

『Not Loss,But Free Live』
2023年9月23日(土)@下北沢MOSAiC
セットリスト
1. RとC
2. RとC
3. RとC
4. RとC
5. RとC
6. RとC
7. RとC
8. RとC
9. RとC
10. RとC
11. RとC
12. RとC
13. RとC
EC
14. Shall Weeeee Dance???
15. Shooting Star
16. EGO
17. Colorful
18. MUSiC
19. ONE
20. Preserved

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