〈ツマミになるグッドミュージック〉を奏でるバンド、YONA YONA WEEKENDERSのVo.磯野くん。自他共に認める大好物の”ラーメン”を音楽に例える連載企画「ラーメンから歌が聴こえる」がMikiki、SENSAでの掲載を経て、シーズン3をStoryrWriterにてスタート! 引き続き、各地のラーメンから聴こえてくる歌と共に紹介していきます。
Vol.1 鮎ラーメン 二子玉川本店
7月某日。僕はTOKYO DOME CITY HALLにて開催された冨田ラボ20th Anniversaryイベント”HOPE for US”のリハーサルに参加するため都内の某スタジオにいた。
この日は冨田さんの他、KIRINJIの堀込高樹さん、ペトロールズの長岡亮介さん、birdさんなど錚々たるゲストシンガー達も一堂に介し、和気藹々とした雰囲気でリハーサルが進んでいたが、普段の現場とは全く違う環境に加え、偉大な先輩ミュージシャン達の前で下手はこけない……というプレッシャーが僕の体を蝕んでいた。
お昼過ぎに長めの休憩時間があり、各々ケータリングを食べたり、近くのカフェにお茶をしに行ったりと思い思いの時間を過ごす中、僕は真っ先に喫煙所に駆け込む。時計を見ると昼の1時を回ったところだった。煙草を一口吸うと、それまでの緊張が解け、同時にグゥ〜とお腹が鳴った。
「ラーメン食べたい……」
アイフォンを取り出し”ラーメンマップ”を開くと、スタジオから歩いて20分ほどのところに以前から目をつけていたラーメン屋を発見。
付き添いのスタッフをチラ見すると、「この暑さの中ラーメンのために20分も歩くのかよ?」という顔をしていた(ように見えた)が、こんな千載一遇のチャンスをふいにする訳にはいかない。
と言うわけで、スタッフをなだめすかしながら向かったのは、”鮎ラーメン 二子玉川本店”。こちらはその名の通り”鮎”を使ったラーメンを提供している。店先の暖簾にもでかでかと活きの良い”鮎”の文字が踊っていた。
店内はカウンターのみのこぢんまりとした雰囲気。メニューを見ると、ランチタイムは夏期限定の鮎涼ラーメン(1300円)のみ提供している様だ。プラス100円を支払ってちゃっかり大盛りでオーダー。
暫くすると、なんとも夏らしい一杯が着丼した。
ビシッとしめられた冷やし麺を、竹筒に入った鮎の煮こごりつけダレに浸して頂く。
つるっとコシのある麺が喉を通り過ぎ、鮎の芳醇な旨味と絶妙な塩味が口いっぱいに広がる。目を閉じると、夏の青空と山々の緑、川のせせらぎ、タンクトップ姿で蝉を追いかける少年たちの姿が浮かび上がった(ような気がした)。
ある程度食べ進めたあとは、タレを急須の特製鮎出汁を割って楽しむことも出来る。
竹すだれには香ばしく焼かれた鮎の一夜干しが横たわり、一際目を引いている。こちらは丁寧に骨抜きされているので、頭から一思いにかぶりつく。鮎の丸焼きは旅先やお祭りでテンションが上がったときに何度か食べたことがあるけれど、改めてこんなにも美味いものだったとは。
笹の葉が涼しげな鮎笹飯には、鮎100%の特製ふりかけがかかっている。そのまま食べても勿論美味いが、残った鮎出汁と花茶をかければこれまた涼しげな鮎茶漬けの完成だ。良い塩梅に漬かった赤カブと共に頂くと、夏休み、飛騨に住んでいる祖母の家で食べたお茶漬けと縁側からの風景がフラッシュバックした。
……と、危ない危ない。僕の祖母の家は岡山、それに縁側なんて無い家だったんだ。そんな架空の夏を思い出してしまうくらい、「日本に生まれて良かった〜」と感じる味わいである。
スタッフをチラ見すると、出発時とは打って変わって涼しげで穏やかな顔をしていた。きっと彼も脳内の縁側でばあちゃんとスイカでも食っていたのだろう。
山椒と胡麻で味変も楽しみながら、あっという間に完食した。
そんな一杯から聴こえてくるのは、1990年9月にリリースされた、日本の夏を代表する井上陽水の名曲”少年時代”である。
イントロのピアノを聴き目を閉じれば、きっと誰しもの心に眠るそれぞれの”夏”の風景を思い出すのではないだろうか。
青空と山々の緑、川のせせらぎ、タンクトップの少年。夏祭り、花火、ばあちゃん家の近所に住んでた同い年の女の子。
今では遠い夢のようだけど、確かに過ごしたあの夏に連れて行ってくれるような、「日本に生まれて良かった〜」と感じられる、美しいナンバーである。
さて、薄々勘づいてはいたが店の外に出るとやはり茹だるような暑さが続いていた。時計を見ると休憩時間も残り僅かである。
鮎涼ラーメンはもはや儚い夢。僕たちは汗だくになりながら小走りでスタジオに引き返したのだった。
鮎ラーメン
東京都世田谷区玉川3-15-12
玉川3丁目マンション102号
東急二子玉川駅より徒歩約5分
定休日:無休
最後に、5月までSENSAさんで連載していた僕のコラム”ラーメンから歌が聴こえる”を、StoryWriterさんにて新たにスタートさせて頂くことになりました。心より感謝申し上げます。
飽き性でほとんど何も長続きしたことのない僕ですが、音楽とラーメン屋巡りだけは何だかずっと続いています。
そんな僕の音楽とラーメンで、誰かの日常にほんの少しだけ癒しを、息抜きを、笑いをお届けできたらと思います。
どうかお付き合いのほど宜しくお願いいたします!
◼︎リリース情報
YONA YONA WEEKENDERS
配信シングル『あんしん』
配信URL : https://jvcmusic.lnk.to/anshin
◼︎ライブ情報
全国ツアー YONA YONA WEEKENDERS Japan Tour 2023-2024 “Stir up the wind” 開催!
11月3日(金)@東京 下北沢 SHELTER
11月4日(土)@福岡graf
11月5日(日)@福岡graf
11月11日(土)@広島CAVE-BE
11月12日(日)@岡山 CRAZY MAMA 2nd Room
11月18日(土)@新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11月19日(日)@埼玉HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
11月23日(木)@神奈川 横浜F.A.D
12月2日(土)@愛知 名古屋 CLUB UPSET
12月3日(日)@愛知 名古屋CLUB UPSET
12月9日(土)@岩手 盛岡Club Change
12月10日(日)@宮城 仙台MACANA
12月16日(土)@大阪Live House ANIMA
12月17日(日)@大阪Live House ANIMA
ー2024年
1月13日(土)@北海道Sound Lab mole
1月20日(土)@東京 渋谷WWW X
1月21日(日)@東京 渋谷WWW X
チケット発売中!
チケットぴあ / ローソンチケット / イープラス
YONA YONA WEEKENDERS
“ツマミになるグッドミュージック” を奏でるメロコア・パンク出身の4人組バンド。Vo. 磯野くんの表現力豊かな歌声と骨のあるバンドサウンド、長きにわたってアンダーグラウンドなシーンの最前線で活躍した彼らが作りだすステージは必見。デビュー以来ツアーは全公演SOLD OUTしており、2023年はFUJI ROCK FESTIVAL, GREENROON FESTIVALへの出演が決まるなどライブシーンでも注目を集めている。