4ピースバンド・超☆社会的サンダルが2023年11月22日(水)、同バンドヴォーカル/ギターのオニザワマシロの生誕企画「生前葬」を下北沢BASEMENTBARにて開催した。彼女たちのイベント制作を手伝っているATフィールド青木氏からぜひ観てほしいとの連絡があり、特に前情報もなく足を運んでみた。その様子をレポートする。
会場の下北沢BASEMENTBARのドアを開けると、会場いっぱいのお客さんで溢れていた。10代と思われる若いお客さん、そして女の子のお客さんたちが多い。音楽フェスで見かけるようなバンドTシャツを着ている感じではなく、まだライヴハウス慣れしていなさそうな雰囲気のお客さんが多い印象だ。そのフレッシュさに対し、「生前葬」というイベントタイトルにかけたお経が転換SEとして流れており、とてもシュールな光景が広がっていた。
この日は、超☆社会的サンダルの自主企画イベントということもあり、対バンの2組はオニザワマシロの仲のいいバンドが出演。3組目のトリとして超☆社会的サンダルが登場した。まず感じたのが、バンドメンバーのガタイのデカさだ。ギターのタケマスターとベースのふじおにとどまらず、この日正式加入が発表されたドラムの林田翔馬もとにかくガタイがよい。ここまでフィジカルの強いポップバンドは、近年のバンドシーンでは見たことがない。
その中心に登場したオニザワマシロ。血まみれの赤いセーラー服衣装に身を包み、ミュージックビデオが話題となっている「可愛いユナちゃん」でライブがスタート。初期・相対性理論のようなポップなギターロックではあるが、フィジカルの強い楽器隊がサビで全力で「可愛いユナちゃん!」と叫ぶところで、このバンドならではの強い癖が表出。彼女の低めでスモーキーな歌声からも個性が湧き出ており、別のバンドと比較して語ろうという気持ちもなくなった。
この日は、全部で7曲、アンコールで再び「可愛いユナちゃん」を演奏し、約40分ほどのライブを行った超☆社会的サンダル。ライブの中で、来年2月7日(水)に初の全国流通盤CDのリリースが決定したこと、そのリリース伴い3月22日(金)に下北沢SHELTERにてツーマン企画することを発表した。対バン相手は後日発表のはずだったが、「会場だけならいいっしょ?」とオニザワは対バン相手を発表していたのがおもしろかった。
超☆社会的サンダルは、オニザワマシロの魅力があってこそのバンドであることは間違いない。MC中に、この日足を運んでくれていた地元の友達の親から“コロナにならない数珠”をもらったことや、観に来ていた自身のイケメンの弟に彼女がいないので持ち帰ってほしいなど、冗談を織り交ぜながら語っていた。そしてしきりに、あなたたちが生まれてくれたおかげで私が今ここにいる、と感謝を強く伝えていた。それは、地元の友達や、バンド仲間だけではなく、この日足を運んでいたお客さんに対してもだ。1人1人に直接話しかけている。いや、コミュニケーションを取りたいと渇望しているように見えた。オニザワの魅力はそこにあると思った。一歩間違えれば、強い身内感にも繋がりかねないが、不思議と自分にも語りかけられているような感覚になる。それくらい、オニザワの言葉は本人の思っていることをダイレクトに口にしている。本気で対話したいと願っているように見えた。
17歳の時に「反社会的サンダル」を結成し、2022年4月に「超☆社会的サンダル」へバンド名を改名しており、今回も何度目かの17歳の誕生日だとMCで語っていた。それまでの彼女の人生の中で体験したことーークソみたいな男に引っかかったり、決してポジティブなことばかりではなささそうだ、を自身の中で反芻して、感情を抑え込まずに音楽へと変換。それを屈強な楽器隊とともにがむしゃらになって歌い、伝える。自分の中の感情を音楽に変換する、そんな純粋なバンドとしてのあり方がとても眩しく見えた。きっとここに足を運んだ若いお客さんたちの心に残ったものは大きいだろう。かくいう自分も、このピュアさを目撃できてとてもよかった、と思う。
取材&文:西澤裕郎
写真:汐留シユ@shiyu_sz
■リリース情報
超☆社会的サンダル
初の全国流通盤CD タイトル:未定
2024年2月7日(水) リリース
■ライブ情報
超☆社会的サンダル ツーマン企画「漂☆流(仮)」
2024年3月22日(金)@下北沢SHELTER
OPEN 18:30/START 19:00
前売¥3,000(税込+1D)
学割(高校生以下)¥2,500(税込+1D)
※当日顔写真付き身分証提示
出演:超☆社会的サンダル
※ 対バンは後日解禁
問い合わせ:ATフィールド
チケット最速先行受付:2023年11月23日18:00〜12月17日23:59
先行URL:https://w.pia.jp/t/super-sandal/
枚数制限:4枚
オフィシャルサイト https://lit.link/supersocialsandal