WACK所属の7人グループ・ASPが2023年12月23日(土)、全国19ヶ所を回るツアー〈But I Love You TOUR〉のファイナル公演〈But I love you TOUR FiNAL -I can fly!!!!!!-〉を東京・日比谷野外音楽堂にて開催した。
ASPとしては、2度目となる野音ワンマン公演。2022年8月27日(土)に行われた全国22ヶ所を回るツアー〈ACOUSTiC SAD ORCHESTRA TOUR〉のファイナル公演〈一触即発 – CRiTiCAL SiTUATiONS〉以来となる野音公演のレポートを掲載する。
二度目の日比谷野音公演
この日の野音を満員にすべく、メンバーたちは必死にチケットを売った。11月20日から、チケット手売り販売&実質無料ライヴツアー〈Actually FREE but You must come YAON Tour〉を開催。ならず者(※ASPファンの呼称)たちにチケットを手売りし、毎日のようにライブを行った。また、24時間を公開していく連載「ASP is Real.」を毎日ローテーションで行い、自分たちのプライベートをオープンにした。
ここまで、必死に会場を満員にしようとしたのはグループにとって初めてのことだ。これまでは、そうした部分を見せてこなかった。むしろ、格好悪いというスタンスでいたくらいだった。それが、今回、なぜ? その答えは、ライブ終盤にわかることとなる。
開演5分前の17時25分。この日のためにロンドンから一時帰国したWACK代表の渡辺淳之介がステージに登場。本ワンマンのみケータイの録画OKということを伝えると、野音チケットがソールドアウトしたことに感謝を述べ、「ASPとならずものの愛の結果」と賛辞を送った。「僕も、なにがなんでもという気持ちでやっていきたい。一緒に伝説作りましょう!」とならず者たちの士気をあげてステージを後にした。
客電が落ち、ステージ脇からユメカ・ナウカナ?、ナ前ナ以、、モグ・ライアン、マチルダー・ツインズ、ウォンカー・ツインズ、チッチチチーチーチー、リオンタウンが登場。いつもはそのままライブがスタートするが、ユメカがMCで感謝を伝えた。
「いつもの私たちのライブはオープニングSEがあって、そのまますぐに曲に入って、いくぞーって感じでライブが始まっていくんですけど、今日は来てくれたみなさんに、どうしてもお礼が言いたくて、スタッフさんに無理言ってこの時間を作ってもらいました。言わせてください。夢の野音、満員の野音、満員のならず者、そしてここに立っているASP、本当にありがとーーーーー!!! 今日はここ野音にいるASPと、ならず者だけの素敵な宝物を作ろうね。そして、これからも、もっともっと宝物作ろうね! 約束してくれますか? それじゃあ、〈But I love you TOUR FiNAL -I can fly!!!!!!-〉、ASP野音始めます!!」
ユメカがタイトルコールをすると、「A Song of Punk」「レリゴ」「the MAN CALLiNG」と疾走感のあるロック曲をのっけから続けた。「やっぱり野音大きいですね。でも大きいから届かなかったとは言わせません。ここにいる誰も置いていきません。全員で最高のライブ作ります!」とリオンが堂々とした声で語り、「NO REASON」へ。楽曲の途中で音が飛ぶトラブルにみまわれ一瞬の間が空くも、メンバーたちは止まることなくパフォーマンス。こうした突発的な対応も、野音まで毎日のようにライブを行ってきたからこそだ。
「TOXiC iNVASiON」「いつでもファッキュー❤️」「SPiT OUT」「BOLLOCKS」と立て続けに披露していく。どの楽曲でもメンバー間のフォーメーションが有機的に絡み合い、ライブ感が強くとてもよい。7人が1人ずつ自己紹介をし、ウォンカーが「ASPの曲はみんなとやって完成すると思っています。この7人というより、みなさんの力が加わったASPの曲はなおさら強くなるし、今日はみなさんと作るライブができたらと思っています。みなさんと、この東京の夜空の下でやったら本物になるんじゃないかと思っています」と語り、寒空の東京の下で「Tokyo Sky Blues」へ。そして、メジャーデビュー以降のダンストラックの新路線曲「NO COLOR S」「I HATE U」「PLEASE!!!」「I won’t let you go」と披露した。
モグが「満員の野音をブルーベリーでいっぱいにしたい」と語ると、各地の実質無料ライヴツアーでガラガラくじで「野音での労働」を引いたならず物たちが「労働ブルーベリーちゃん」としてステージに登場。「ライブがはじまるギリギリまで練習してくれた」と、「Blueberry Gum」をステージいっぱいに披露。そして、インディーズ時代のパンク〜ロックの楽曲「WARRiES」「日々是虚無也」「WAiT and WASTE」「ITSUMO KOKOKARA」と続けてパフォーマンスした。
ナイが、「満員のお客さんと迎えることができて本当に嬉しいです。だから、はじめのトラブルも全然しょうがないって思えないです。めちゃめちゃ悔しいです。でも、そこから持ち上げてくれるならず者がいるのも確認できました。本当にありがとうございます。みんなが今日ここにいてくれたから、私たちは明日もこれからも力一杯活動することができています。次やる曲は、野音に来てくれるみなさんのことを考えてずっと歌ってきました」と、最新曲「Heaven’s Seven」を披露。初期楽曲「SAKEBE」、ASPはじまりの楽曲「拝啓 ロックスター様」と想いいっぱいに披露し、本編は幕を閉じた。
しばらくすると、ステージ両脇にあるモニターが点灯。メンバーたちが野音に向けて突き進んできた映像が流れた。映像内のメンバーたちに謎の荷物が届き、恐る恐る中を覗く7人。そこには、渡辺から送られた”玉ねぎ”と”2本のぶどうの缶”が入っていた。それを見て涙を流すメンバーたち。そう。日本武道館(=2本のぶどう缶)決定の報告だ。渡辺から日本武道館単独公演「We are in BUDOKAN “The floor is all ours!!”」の開催が発表されると、満員の野音の会場は大きな歓声に包まれた。
メンバー7人がステージに再登場すると、日本武道館公演のチケット購入者は4月7日(日)から全国5箇所で行われるZeppツアー各会場に無料入場ができることも合わせて発表。ユメカは、 2024年のASPはならず者との絆を深めていく年にするという意味もこめて「HOLD OUR BOND TiGHT!!」というテーマで武道館まで駆け抜けていくこともならず者たちに伝えた。
大きな拍手が湧き起こる中、7人はメジャーデビュー曲「Hyper Cracker」を披露。客席たちのならず者たちはサプライズで緑色のサイリウムで会場を彩った。ナイが「「NO REASON」もう一回やっていいですか?」と、先ほど音が飛んでしまった同曲を再び披露することを伝え、悔いのないようにパフォーマンスをすると、最後はリオンが「また会えますように」と語り、「M」を全力でパフォーマンス。ASP二度目の日比谷野音公演は大きな盛り上がりの中、幕を閉じた。
今回の野音で満員にこだわったのは、日本武道館公演へ向かうためでもあった。これまで、ASPは三度に渡り、Zepp DiverCityに挑んでいるが、結果完全ソールドアウトにすることができていない。野音も前回はソールドアウトしておらず、大きなハコを満員にすることができていなかった。そんなキャリアの中で、武道館に挑むためには、なにがなんでも野音を埋めるという事実が必要だったことは間違いない。
今回特筆すべきは、メンバー自らが手売りでチケットを売り、自分たちの想いを身をもって発信し、会場を満員にしたことだ。ならず者たちも自分たちの友達や周りの人たちを巻き込み、友達や知り合いを誘い、野音を埋めた。この事実はとても重要だ。武道館への熱い気持ちは、メンバーだけでなく、今回野音に向けてがんばってすべての人たちが持っていることだろう。ASPは血肉の通った仲間たちを多く作ることに成功した。ASPとならず者たちの絆は今回の野音を通して本当に深くなったと思う。そんな仲間を作ったASPが挑む日本武道館。ワクワクしないはずがないし、そこには特別な景色が待っているに違いない。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
■ライブ情報
「But I love you TOUR FiNAL -I can fly!!!!!!-」
2023年12月23日(土)@東京・日比谷公園大音楽堂
セットリスト
1. A Song of Punk
2. レリゴ
3. the MAN CALLiNG
4. NO REASON
5. TOXiC iNVASiON
6. いつでもファッキュー❤️
7. SPiT OUT
8. BOLLOCKS
9. Tokyo Sky Blues
10. NO COLOR S
11. I HATE U
12. PLEASE!!!
13. I won’t let you go
14. Blueberry Gum
15. WARRiES
16. 日々是虚無也
17. WAiT and WASTE
18. ITSUMO KOKOKARA
19. Heaven’s Seven
20. SAKEBE
21. 拝啓 ロックスター様
EN1. Hyper Cracker
EN2. NO REASON
EN3. M
「We are in BUDOKAN “The floor is all ours!!”」
2024年10月8日(火)日本武道館
開場/開演 17:30/18:30
[問] サンライズプロモーション東京
0570-00-3337(平日12:00-15:00)
https://asp-japan.tokyo/news/detail.php?id=1113419