WACK代表・渡辺淳之介の弟子であるSuzukiが立ち上げたALL INc.が手がける、6人組アイドルグループ”LiVS”。アイドルオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」の合格者6名――コンニチハクリニック、マナツサマー、ランルウ、スズカス・テラ、コチャキンTV、ユニセックスによって結成され、”人間最高”をコンセプトに活動をスタート。8月13日（日）の中野heavy sick zeroでのワンマンライブをもってデビューを果たした。
約4ヶ月半に渡り6人で活動してきたLiVSだが、2023年12月30日（土）より2泊3日の合宿オーディションを開催。9名の候補生が参加し、エリザベスCVが合格、「ミニ・マルコ」として加入し、2024年より7人体制での活動をスタートさせた。そして、デビューして1周年の8月13日に、目標としていた下北沢シャングリラでのワンマンライブに挑む。
StoryWriterでは、LiVSメンバーへのソロ・インタビュー連載を敢行。それぞれのメンバーがどのような人生を経てLiVSのメンバーとなったのか、そしてLiVSとしてどのような未来を目指しているのか辿っていく。連載第3回目は、LiVSのメインヴォーカルの1人でもあるユニセックスのロングインタビューをお届けする。
取材＆文：西澤裕郎
写真：大橋祐希
自信がないという部分が、自分の真ん中を占めている
──LiVSでの活動を始めて約5ヶ月（※取材日：2024年1月15日）が経ちましたが、手応えはどう感じていますか？
お客さんがあまりいなかった最初の頃は、私たちがステージから降りるのが醍醐味というか、ライブの楽しいポイントの1つだったんですけど、それもできないぐらいお客さんがいっぱい入ってくれたり熱気が上がってきていて。目撃者（※LiVSファンの呼称）たちが私たちと同じくらいの熱量でぶつかってくれる感じが、すごく嬉しいなと思っています。
──ユニセックスさんについて伺っていきたいのですが、名前の由来は？
「ユニちゃん」って呼ばれたかったんです。でも「ユニ」だけだと味気ないので、そこに何かつけるかってなったときに、いろいろ案は出たんですけど、3択ぐらいになって。これが一番いいんじゃない？って感じで軽いノリで決まりました（笑）。
──出身はどこですか？
静岡です。
──どんな性格の子どもだったと思いますか？
小中の頃は、死ぬほどわがままでした。自分の意見が通らないとすぐに泣いたり、わがままで横暴な子で（笑）。我が道を行くタイプだったんですけど、そんなんだから敵を作りやすいタイプで、高校では周りに仲良い子があまりいなくなり、そこから自分に自信が急になくなって、周りの目を期にするようになったんです。でも本質は変わらないので、変わらず敵を作ったり、わがままでした（笑）。ただ、自分に自信がないのはどんどん大きくなっていって、今も継続して自信がないという部分が、自分の真ん中を占めている感じがします。
──どういうときに敵を作ってしまうことが多かったんでしょう？
当時はわがままを通したい想いが強かったので、それを押し通そうとしていることに対して、なんだこいつは！協調性ないな！って思われてたのかなって思います。
──自分のこと頑固だと思いますか？
頑固でしたね。そういう自分を客観的に見るようになってからは、人の意見を聞かなきゃとか、みんなと同じ方向を向かなきゃとか、頭で考えて行動するようになりました。
──習い事とかはしていましたか？
塾に行っていたくらいです。部活でバレーボールをやっていたんですけど、チーム競技なので、私がわがままや自分勝手だったことから、後輩からちょくちょく嫌がらせをされたり、チーム内で上手く噛み合わない子がいっぱいいたりという状態が続きました。
──ピアノとか習字みたいな習い事は特に何もやってなかったんですね。
一通り触ったんですけど続かなくて。つまらなくて、ほとんど行かなかったです（笑）。
──逆に、好きだったこととか熱中できたものはありますか？
小6のときに、お母さんきっかけでRADWIMPSを初めて聴いて。そこでドハマリしてずっと聴いているんですけど、そのくらいから音楽はずっと好きです。でも、自分のハマったものしか聴かないというか、ハマったらとことんそれを聴くみたいな感じでした。
──RADWIMPSのどういうところが刺さったんですか？
歌詞がすごく素敵で。言い回しを含めて、自分ではできない表現なのに、すごく共感できたりする部分がすごく刺さってました。
──中でも一番よく聴いた曲は？
「ヒキコモリロリン」って曲なんですけど、すごくいい歌詞で。思春期の時期、わがままだった自分が悪いんですけど、「なんでみんな私のことをわかってくれないんだろう？」と思っていて。そういうときに、自分なりに生きたらいいんだよって言ってもらえている気がして元気をもらった曲です。
──勉強はできる方だった？
地頭はそんなによくないんですけど、高校生ぐらいになって勉強が楽しくなって。そんなに頭のいい高校でもなかったんですけど、それなりに勉強が楽しくなった時期があって、クソ真面目にやってました。
──高校で勉強が嫌になる人も多いのに、逆だったんですね。
そうですね。全然理解できなかったものが理解できるようになるのがおもしろくて。例えば、数学でみんなが嫌いな証明とかあるじゃないですか？ 私はそれが好きで。みんなができないからやるっていう逆張りをしていたんです（笑）。
──運動やスポーツはできる方でした？
人並みですね。ただ、すごく負けず嫌いなので、体育とか全力でやってましたけど。
BiSHは、初めてアイドルに出会い自分もなりたいと思ったきっかけ
──先ほど自信のなさという話が出てきましたが、自信のなさを自覚したきっかけはあったんでしょうか？
それは、見た目です。中学校のときは自分のことをかわいいと思っていたんですけど、高校に行ったら、どうやら違うぞっていうことに気づいて。あと、性格ですね。いろいろな人と仲良くできるタイプじゃないし、明るくもなくて、地味だったのも自信のなさに通じていて。派手なことをしたがっている地味な女の子っていう感じ（笑）。
──周りに何か言われたりしたんですか？
いや、自分で気がついたんです。高校生ぐらいになってくるとキラキラした女の子たちが増えてくるじゃないですか？ 私はひねくれているので、恋愛ドラマとか純粋な気持ちで観れなくて。恋愛リアリティーショーもそんなわけないだろ！って思っちゃったり（笑）。何がおもしろいのか全然わからなくて、まったく話についていけないというか。ついていこうと思えなかったり、そういう部分もクラスの一軍から抜けるっていう感じがありました。
──客観的に物事を見るようなところがある？
それは、よく言われます。
──ユニさんは、LiVSの中でメインヴォーカルじゃないですか？ 歌うことはもともと好きだった？
歌うのは好きなんですけど、もともとあまり大きい音が得意じゃなくて。カラオケとかもそんなに好きじゃなかったんですよ。でも田舎だったので、遊びに行くところがカラオケぐらいしかなくて歌っていたくらいでした。
──じゃあ、歌が上手くなったのも努力というか練習を重ねたことによるもの？
LiVSのオーディションを受けたときに、初めて歌が上手だよねって言われて。自分では歌が好きだったし、そういう仕事に就けたらいいなとは思っていたんですけど、親にもあんたじゃ無理だよってずっと言われていたので、初めて褒められて、もっと頑張りたいなって気持ちになりました。
──そんな高校時代を経て、アイドルに行き着くきっかけは何だったんでしょう。
中学校のとき、朝の支度している最中にニュースのエンタメ枠でBiSHが歌っているのを聴いて一気に引き込まれて。そこから毎日BiSHの曲しか聴かなくなったんです。それが初めてアイドルに出会った瞬間で、自分もなりたいって思うようになったんです。
──たまたま見たのはBiSHの何の曲だったんですか？
「オーケストラ」です。
──どうしてBiSHにそれほど興味を持ったんでしょう。
最初はアイナ（アイナ・ジ・エンド）さんの声に衝撃を受けたんですけど、聴いていくうちに歌詞だったり、それを歌う人の人生とか気持ちとか歌詞に共感するようになって。歌っているメンバーたちも魅力的だなと思ってハマっていきました。
──中高時代、BiSHの存在に救われることが多かった？
そうですね。自分に問題があるないとか関係なく、壁にぶつかったり、いろいろもがいているときに支えになっていたし、生きる糧になっていました。人生がつまらなかったこともあったので、そういうときに生きる理由として聴いていた感じはありました。
──人生つまらないなってときがあった？
思い通りにいかないことしかなくて。もちろん、私のこの性格を理解して一緒にいてくれる友だちもいたけど、思い通りにならないことが多すぎて。それについていけなかった時期があったんです。
負けたくない想いが根底にある
──LiVSのオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」は、合格者はALL INc.に所属してアイドルとしてデビューできる権利が与えられる一方、落選者たちには「アイドルの夢をあきらめること」が条件となっていました。どういう経緯で行き着くことになったんでしょう。
高校を出てから、専門学校に行ってフラフラしていて。いざ就職するってなったときに見つけたのがLiVSのオーディションだったんです。「最後」って名目でやっていたオーディションだったので、このオーディションでダメだったら自分を諦めさせるための口実になるなと思って。最後頑張って夢が叶わないんだったら他の人に叶えてもらおうぐらいの気持ちで、書類で終わっても二次で終わっても、どこでも最後にしようって気持ちで受けました。
──オーディションを受けるのはこれが最初？
WACKさんのオーディションに数回書類を出していたんですけど、そんなに力を入れてたくさんいろいろなところに行ったというのはなかったです。
──振り返ってみて3泊4日の合宿はどんな日々でした？
最初は、みんなのことを敵視していたというか。必死でした。これで終わりにするって気持ちで参加したし、ここまで来れたんだからって気持ちで。もともとダンスも全くやったことがなかったので、毎日何時間もダンス動画を見ながら練習してきて。やってもやっても全然覚えられなかったけど、とりあえずやるしかないって練習していざ合宿に行ってみたら、私より振りが入ってない子もいて、それでちょっとホッとしちゃったというか。あ、私ほど気持ち強い子ってたくさんじゃないんだって、そのときは思っちゃったんですけど、それぐらいみんなを敵視していたというか、自分本位でした。
──やろうとしたことに対しての努力は昔から一貫しているんですね。
そうですね。負けたくないというのが根底にあるんです。
──ボール取りとかパフォーマンス審査は、やってみていかがでしたか？
初日のダンスは、なんであれだけやったのにこんなにできないんだと思っていたんですけど、ボール取りはほぼ気合いというか、気合いでしか勝てないんじゃないかと思っていたんです。初日、候補生のプラムサワーと一緒だったんですけど、圧倒的にダンスも上手いし、見た目も綺麗で、すごい劣等感とかを感じていたんです。気持ちとか気合いとかでしか勝てないと思って。ボール取りもプラムサワーと同じだったんですよ。ここで負けるんだったら、私の気持ちはそれまでだなって自分の気持ちを追い込んでやりました。ボール取りは頑張ってやってよかったです。結果も残せて、運営の方たちからも、そこで見るようになったって言ってもらえて。そこが私の人生の機転でした。
──合格発表のときは、自分の名前が呼ばれる自信はありました？
なかったです。前日にCグループに落とされてしまって。最後だし、とにかくやるしかないよねって気持ちで周りも何も見ずに必死にやっていたんですけど、Aグループの方から合格者が呼ばれていったので。呼ばれたときは聞き間違い？ぐらいの気持ちで、涙が出るとかそういう次元じゃなくて、驚きでずっと固まっちゃうぐらいの感じでした。
──合格した実感は、どのあたりで湧いてきたんですか？
伝えたい人に電話してって言われて家に電話したら、ちょうど両親が2人ともいて。「もしもし、受かった！」って言ったんですけど、両親も帰ってきたらどうやって慰めようか考えていたらしくて、笑いながらすごいじゃん！ みたいな。そこで実感したというか。落ちて帰ってくると思っていたらしくて（笑）。
自分に自信をつけることが目標
──合格したことで上京して、だいぶ環境が変わったんじゃないですか？
実家でわんちゃんを飼っているんですけど、自分の愛犬に会えない環境だったりするので、ストレスの発散の仕方も変えていかないとと思ったり、不安も増えました。隣の部屋の人のこととかを考えて生活するのにも慣れていなくて。自分の生活に関しては、今もいろいろと不安が大きいですね。LiVSは人に会える機会も多いし、同じ目標を持って一緒にやれる仲間たちがいることも心強いですし、メンバーのみんなも周りの人も大好きです。
──メンバーとのコミュニケーションは上手くとれていますか？
とれていると思います。みんな仲良いし、いろいろな人がいることを理解してくれている人たちばかりで。グループである以上、私の本質の自分の嫌なところは上手くやっていけるようにしなきゃいけないし、自分のわがままだけが通るわけじゃないので、抑えようとはしています。ただ、自分一人だけ走っちゃったりしたときに、ちゃんとこうしようねって言ってくれる人たちで。こいつ話通じないからいいやってならずに、ちゃんと向き合ってくれることがありがたいです。
──2023年8月13日（日）の中野heavy sick zeroでの初ライブはどんな心境だったか教えてもらえますか？
緊張しすぎて、あまり覚えてないというのが正直なところなんですけど、会場が暗くて一番前の目撃者だけ見える感じで、間違えないようにしなきゃ！綺麗に完璧にやらなきゃ！って気持ちが先行してた感はあります。あのときは逆にそれがよかったのかなって。「ONE」は自分にも刺さる曲で、大事にしてるので、自分の歌割りのところでグッと来ちゃうタイミングもありました。
──「ONE」はオーディションで脱落してしまった候補生から届いた手紙をもとに生まれたLiVSにとって大切な楽曲ですよね。
Aメロで、〈くだらないやって忘れてたフリをしたけど本当は痛みが怖い〉って歌詞があるんですけど、今までの自分が逃げてきたこととか、やってこなかったこととか、LiVSになる前の「どうせ私なんか無理だし」と思っていたことに、自分が当てはまるなと思って、自分と重ねたりしながら歌っています。
──高校で自信がなくなったという話がありましたが、自信は取り戻してきている？
LiVSとしてやってきた5ヶ月分の自信はあるんですけど、どれだけ私の歌が上手いって褒めてもらっても、他にも上手な人いっぱいいるし……とかネガティブに考えちゃうところはあります。でも、それが逆に自分がもっと頑張ろうと思うことに繋がっています。
──LiVSは、BiSHが所属していた事務所WACKイズムを継承しているグループです。同じ曲の連発をしたり、スク水ライブとか、普通のグループではあまりやらないようなちょっと特殊なことをやっていることは、どう感じながら活動しているんでしょう。
楽しいです（笑）。曲を大事にしながらも他のことで楽しませられるのはすごく素敵だなと思うので、なんでもウェルカムです！
──2023年末の新メンバーオーディションは、現役メンバーとして最後の日に参加しましたが、どういう気持ちで参加したんでしょう。
もともとずっと参加したいって言っていて。それは、新メンバーが入ることに関してあまり乗り気じゃなかったからというのもあって。私は新しいものを受け入れるのに時間がかかるタイプなので、不安がすごく大きくて行きたいと思っていたんですよ。でも合宿に行ったメンバーや候補生を見て、自分が恥ずかしいと思って。メンバーも候補生も自分をどう変えていくか、自分の課題に向き合って戦ってるんだと思って、自分の中で考えが変わったというか。自分もいろいろやらなきゃいけないこととか、向き合っていかなきゃいけないことがいっぱいあると教わりました。私とマナツサマーは3日目に参加したので、頑張っていた子たちを見ていた自分たちができることを最大限やろうという気持ちで行きました。
──合宿を経て新メンバー「ミニ・マルコ」が加入になりましたが、どのように受け止めているんでしょう。
マルコとは会場も別で練習していたので、あまり直接関われなかったんですけど、同じ気持ちでやってくれるのがすごく心強くて、刺激を受けます。最初は、私が仲良くできるかとか、馴染めるかすごい不安だったんですけど、気さくに話しかけてくれたり、コミュニケーションもとってくれるのですごく助かってるし、グループにとっても私にとってもプラスの存在でいてくれるのがうれしいです。
──LiVSとしての2024年の目標や抱負を聞かせてください。
下北沢シャングリラを埋めるのが、今みんなで向かっている目標です。入れない人が出るくらいチケットを売りたいなって気持ち的にあるんですけど、シャングリラを埋めるのは1つの目標であって、ゴールじゃないというのは大事にしていきたい気持ちです。もっともっと上に向かっていきたいです。
──ユニさん個人としての目標や抱負はありますか？
私は、自分に自信をつけることを目標にしています。自信ない人のパフォーマンスを見て動かされるものもないと思うので、変わっていく自分を上手く見せていきたいです。パフォーマンスや歌とか自分の良さも伸ばしつつ、自分のできないことを減らしていきたいし、できることを増やしたいですね。あとは、LiVSの入り口になりたいです。知るきっかけになれたらいいなっていうのをすごく思っています。
──自分のどんなところを注目して見てほしいなと思いますか？
変わろうと頑張っているところですね。私みたいな人も結構いると思うんです。普通の人なのにこれだけできるんだぞ！っていうのを見せていきたい。そういうところを見てもらえるようにしたいなって思うし、そうなって成長していく姿を見てもらいたいです。
■ライブ情報
〈Go To 1st anniversary Tour〉
7月20日（土）@大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
OPEN 17:00 START 17:30
7月21日（日）@名古屋 新栄DAYTRIVE
OPEN 17:00 START 17:30
7月27日（土）@仙台 LIVE HOUSE enn3rd
OPEN 16:00 START 16:30
7月28日（日）@下北沢MOSAiC
OPEN 10:45 START 11:15
8月13日（火） Final@下北沢シャングリラ
OPEN 18:00 START 18:30
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