WACK所属のアイドルグループGANG PARADEが2024年11月30日(土)、ワンマンライブ〈TO BE BORN〉を東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催した。
本イベントをもって、2016年よりメンバーとして活動してきたテラシマユウカがグループを脱退、WACKを退所することが発表されていた。チケットは前日にSOLD OUT。GANG PARADEにとって12人最後のステージとなった本イベントをレポートする。
12人体制最後のワンマンライブ
17時30分。ステージと客席の間にある大きな紗幕にメンバー1人ずつ紹介映像が流れる。メンバーの名前が表示されるたび、湧き上がる歓声。中でも、テラシマの映像が流れると、より一層大きな歓声が沸き起こった。
全員の映像が流れ終わると、生バンドのサウンドとともに紗幕が落ち、白を基調とした新衣装に身を包んだヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、チャンベイビー、キャ・ノン、ナルハワールド、アイナスターの12人が登場。「Happy Lucky Kirakira Lucky」でライブがスタートした。生バンド形式でのワンマンはギャンパレにとって初めてだ。「パショギラ」「donʼt forget me not」と疾走感あるロック調の楽曲を駆け抜けると、遊び人(※GANG PARADEファンの呼称)たちのコールや声援がバンドサウンドと混じり合った。
「はじめまして! 私たち、エンジョイプレイ、みんなの遊び場GANG PARADEです! よろしくお願いします!」と12人は挨拶し、1人ずつ簡潔に自己紹介。チャンベイビーが、「〈TO BE BORN〉、生まれましたー!」と叫び感謝を伝えた。「ホールなので遊び人もみんなも緊張しているんじゃないですか?」と投げかけると、みんなの身体を軽くするため考えてきたという〈TO BE BORN〉体操をチャンベイビーが先導して行う。肘のボーンの体操と言い、肘を左右に振りながら運動をすると、続いてお尻のボーン、肩のボーン、膝のボーンの体操を、遊び人とともに行った。
「みなさん身体温まりましたか? 身体生まれ変わりましたか? なんだか膝が笑っているな」と語り、膝にこだわったシングル曲「lol」へ。「シグナル」のイントロが流れると遊び人たちからは大きな歓声が起こった。落ちサビ前では、恒例の「ノンちゃん!」とキャ・ノンの名前を遊び人が大きな声で叫ぶシーンへ。生バンド形式ということで、いつもより長く大きな声がこだました。続けて前身グループPOP時代の2ndシングル「QUEEN OF POP」を力強くパフォーマンス。
キャン・GP・マイカが、今回バンドセットで行っていることに触れると、ココは「早くこのことを言いたくて匂わせていたらスタッフさんに怒られた(笑)」と告白。振り付けを担当しているマイカは、「バンドの力が1000以上ですが、この日のために私も頑張りました」と、この日のためだけにたくさん準備をしてきたことを語った。「今日は今日しかないとよく言うけど、本当の意味で、今日しか見れないGANG PARADEを見せるために準備してきました。隅から隅までGANG PARADEを堪能して楽しんでいってくれたらと思います」と、この日への想いを語った。
続く「Gangsta Vibes」では、メンバー5人を残し一度メンバーが下がりダンスをし、そのあと他もメンバーがステージから下がり合流するなど、自在なフォーメーションのもとパフォーマンスを見せた。和とダンスミュージックを融合させた「躍動」では、生バンドサウンドも加わることでより立体的なパフォーマンスを見せつけ、「涙は⾵に、思いは歌に」ではイントロでバレエのダンスを取り入れるなど、バンドならでは自由さの上で振り付けやフォーメーションでのアイデアを散りばめた。続いて生バイオリンの音色から「Dreamer」へ。客席からは驚きの歓声が起こり、これまでとは違うアレンジを堪能した。
大きな歓声が起こる客席。アイナスターが「みなさん何か気づくことありませんか?」と問いかけると、新衣装になったことを発表。白を基調に背中全体にメンバーカラーがあしらわれた衣装を遊び人たちにじっくり披露した。月ノはオープニングムービーついて触れ、メンバーの名前が表示されるたびに大きな声援が起こったことを喜んだ。ムービーを制作している映像作家の軍司拓実やグッズデザインを担当しているジンボウサトシをはじめ多くのスタッフに支えられていることにも触れ、感謝を述べると、ドクソンが名付けたバンド「GANG BOYZ卍」のメンバー、JUON(Gt.)中村泰造(Ba.)山本淳也(Dr.)半田彬倫(Key&Vin.)奈良悠樹(Gt&BandMaster.)を紹介。JUONがテレビで披露した楽曲のワンコーラスを歌ったり、半田彬倫が生バイオリンを披露したり、ギャンパレならではの親密なやりとりを見せた。
キャ・ノンが、「もっともっと声出せますか?」と、遊び人たちと動物の鳴き声を模したコール&レスポンスを行うと、「エキゾチックアニマル」へ。生バンドサウンドがとてもハマるグルーヴィーでオルタナロック調の楽曲だ。続けて、グループ名を冠した楽曲「GANG PARADE」、可愛らしさとラウドロックが融合した「Peace☆超パニック」を披露。
ナルハが「LINE CUBEは、とても楽しみという気持ちと、まだ来てほしくないという気持ちがあって。でも今日を迎えられて本当によかったと心の底から思っています。あなたがここに来てくれたこと、笑ってくれていること、それがなにより幸せなんです。GANG PARADEを好きで会いに来てくれてありがとう。まだまだ一緒に遊んでくれますか?」と想いを伝えると、POP時代から歌い継がれる「pretty pretty good」のイントロの演奏が始まり、金テープが舞った。〈上に上にいこうとしても戻されちゃうの〉という歌詞の通り、何度も辛酸を舐めても突き進んできた彼女たちだが、いま満員の遊び人たちと生バンドとともにLINE CUBEでパフォーマンスしている。その光景に胸が熱くなる。
そして、明るいポップソング「Anything Goes!!!!」を披露すると、「BEAKING THE ROAD」のイントロではミキがバンドメンバーを1人ずつ紹介し、それぞれの楽器のソロプレイを見せた。活動を始める前からバンドサウンドが好きなユメノユアの表情も楽しそうだ。そして、ココのタイトルコールとともにメロコア調の同楽曲を、遊び人たちの大声援を受けて歌い踊った。
大きな拍手が起こる会場。ユイ・ガ・ドクソンが「ここまで全員で駆け抜けてきました」と息切れしながら語ると、ココが「右腕がもげるかもしれない(笑)」と全力で駆け抜けてきたことを語った。その直後にはメイが「あと5時間はやりたい」と語り、ギャンパレらしい個性あるやりとりを見せた。
ドクソンは、「楽しみだからこそ終わってほしくないから、来てほしくないような、いち早くお見せしたいような、いろんな気持ちとともに今日を迎えました。全国各地から来てくださったみなさんのおかげで、今日をこうして迎えられたと思います。本当にありがとうございます。私も、たまに落ち込むときもあるんですけど、苦しい時一番に思い出すのがライブなんです。みんなのニコニコで踊ってくれる笑顔とか、泣き顔とか、見守ってくれる表情一個一個を思い出して、また頑張ろうって思います。だから、この先、またなにか乗り越えなければいけないときは、今日を思い出します」と、涙をこらえながら語った。
涙が流れないように天を向くドクソン。その涙を隠そうと、同期である隣のココがドクソンの長い髪の毛を顔にかけようとするのも愛情のひとつだ。「今日、ここにいてくれるあなた1人1人が違う人生を歩む中で、しんどかったり、折れちゃいそうなときに、ふと思い出して、照らしてくれる光みたいな瞬間に今日がなれていたら、そんなみなさんの居場所に遊び場がなれたら嬉しいです。まだまだたくさん見たことのないような瞬間を遊び人と作っていきたいんですけど、これからも一緒にいてくれますか?」とドクソンが投げかけると、満員の遊び人たちによる大きな拍手に包まれた。
ドクソンが「よーし! こうなったら」と言い、笑いが起こると、「いまある声も想いも全部ぜーんぶ出し切って歌って踊って笑おうぜ!」と、THE イナズマ戦隊プロデュースによるアンセム曲「ROCKを⽌めるな」へ。サビでは遊び人たちも手をあげて一緒に振り付けを行い大きな一体感が生まれた。そして12人は挨拶をし、拍手の中、ステージを後にした。
遊び人たちによる「まだ足りない」というアンコールが起こる会場。しばらくして再登場した12人は、エモーショナルでメロディアスな楽曲「Priority」を生演奏で披露した。
そして、この日をもって脱退するテラシマユウカが最後のMCを行った。
テラシマ「今日で、私テラシマユウカはGANG PARADEを脱退します。気づけば8年も長い時間、WACKで活動してきました。私の東京生活は、たった1日でグループが解散してしまうという想像もしていなかった事件から始まって。当時は立ち直れないなと思っていたけど、ある人から「これは終わりじゃなくて始まりだから」と声をかけてもらって、その言葉を信じようって。心折れることなく、ここまでやってこられました。あのときの絶望は、GANG PARADEと遊び人と、みんなとの幸せな時間の始まりになりました。
そんな幸せな生活の中で、誰よりも一緒に時間を過ごして、誰よりもいろんな感情を分かち合ってきたメンバーと、遊び人のみんなと築いた絆は私に取ってかけがえのない宝物です。きっとこんな特別な存在は他では作れないだろうし、でも、これが最初で最後で、この特別な存在をずっと抱きしめて生きていきたいなと思います。みんなGANG PARADEと出会ってくれて本当にありがとうございます。
もうこれからの生活で、メンバーも遊び人も隣にいなくて、毎日くだらないことでふざけたり、しょうもないことで遊び人に付き合わせたり、置いてけぼりにしてこっちだけで盛り上がったり、ライブで手足がちぎれそうなくらい身体を動かし続けることも、いろんな経験してきたことがこれからなくなると思ったら、自分で決めた道ではあるけど、やっぱり寂しいなって思います。
でも、この幸せが、過去に何度もみんなからもらった愛を思い出すたびに、心があったかくなるんだろうなと思うし、これからのGANG PARADEの活動をみて、その力強さに、いつだって勇気づけられるんだろうなと思ったら、前を見て自分の足で歩いていけます。みんなのこと、ほんまに頼もしいし、尊敬していて、私の生涯の誇りです。本当にみんなのこと心から大好きです!
みんなからもらった愛は、枯れることはないけど、私からみんなへの愛も枯れることはありません。すべてをかけた8年間、青春でもなくて、これが私の生活で、人生そのものでした。8年間、愛しい日々を本当にありがとうございました」
テラシマは「最後にこの曲を届けます」と語り、2014年のプラニメ時代から歌い継がれるグループの代表曲「Plastic 2 Mercy」へ。メンバーも、遊び人たちも、精一杯に手をあげてジャンプをする。ラストのサビでは、テラシマのメンバーカラーである紫のペンライトが会場いっぱいに浮かんだ。最後はテラシマは同期のココと抱き合うシーンも見せ、12体制での最後の瞬間を駆け抜けた。メンバー12人は手を繋ぎ、マイクを通さず「ありがとうございました!」と大きな声で感謝を伝え、深くお辞儀をした。メンバーがステージを去った後、テラシマは走ってステージ中央まで行き、「ありがとうございました! みんなのこと愛してるよー!」と明るく伝え、12人体制での最後のライブは幕を閉じた。
それでも「まだ足りない!」と再び起こる大きなアンコール。しばらくすると、GANG PARADEのロゴがステージ上のスクリーンに照らされ、新しいSEが流れる中、テラシマユウカを除く11人のメンバーたちが新衣装に白い上着をチューンナップして登場した。
ヤママチミキが、MCで想いを語った。
ヤママチ「私は、最初はただの1人のファンでした。そこからオーディションを受けて、合格をもらって、活動をはじめて、あっという間に10年が経ちました。この10年の中で、このグループは数え切れないくらい、数え切れないくらいたくさん変わり続けてきています。新しい出会いもあれば、別れもあって。楽しいこと嬉しいこともあれば、悲しいことも苦しいこともあって。活動をしている中で、笑っている時間よりも、悩んだり、葛藤したり、そういう時間がどうしても長くなってしまって、つらいなと思ってしまうときもあるんですね。
それでも、この場所に立ち続けているのは、あなたたちと過ごす、この何にも変えられない時間が本当に大好きで、愛おしくて。このときのために、私はこの場所にい続けることを選んできました。きっと、この先も、この選択は変わらないだろうし、今までもずっとこうやって選択してきたことは間違いじゃなかったなと思っているので、これからも私は、みんなとこういう時間を一緒に過ごすためにステージに立ち続けると思います。
私の一番の願いは、この先の未来も、あなたたちと一緒に紡いでいくことです。いま、この瞬間から、11人のGANG PARADEが始まります。いままで、GANG PARADEは変わり続けてきたけれど、きっとこの先も変化とともに進んでいくと思います。でも、たくさん変化してきた中でも、ずっと変わらなかったもの、これから変わらないものはあって。私たちGANG PARADEとあなたたち遊び人との関係は、どれだけグループの中身が変わろうとも、絶対に変わるものではないと確信しています。今までと変わらずに、GANG PARADEというグループと遊び人を信じて、これからは変化というものも武器にして進んでいきたいし、私たちはその道しかないので、どうかあなたたちもGANG PARADEをこれからも信じて、愛して、一緒に進んでくれたら嬉しいです。今日は本当にありがとうございました」
「最後に新曲をやります」とミキは語り、「グッドラック・マイフューチャー」を初披露。クイーンの「We Will Rock You」のようなビートから始まるロック曲を11人で歌い踊った。
11人は横並びになると、月ノが想いを語った。「GANG PARADEは今日まで長いこと続いてきました。私たちがいまこうやってステージに立つことができて、遊び人のみんなが応援してくれること、本当になにひとつ当たり前のことじゃないと思います。私たちが今日に向けて死ぬ気で準備してきたように、きっとみんなも今日という日に向けて、いろんな気持ちをもって生きて、今日ここに足を運んでくれたと思います。本当にみんなの想い全部が私たちGANG PARADEの生きていける理由です。今日は来てくれて本当にありがとうございました。
GANG PARADEの人生はまだまだ続いていきますし、私たち11人はこれからもGANG PARADEとして歌い続けていきます。何度経験しても別れはさみしいし、痛いけど、どの瞬間もかけがえがなかったと胸を張って言えます。これからも、楽しいことも大変なこともいろいろあるかもしれないけど、遊び人がいてくれたら、あなたが隣にいてくれたら、きっと大丈夫だと思うから、これからもGANG PARADEの隣で歩いてくれたら、私たちはすごく幸せです。どうかこれからもGANG PARADEをよろしくおねがいします。そして最後に改めて今日という日を作ってくれたみなさん、本当にありがとうございました」
大きな拍手の中、決して下を向くことなく、前を向き明るい表情を見せるメンバーたち。どこか晴れやかな顔をしている。きっと想い残すことのないように、この日に向けて必死に準備をしてきて、それを出し切れたのだろう。その表情は彼女たちが言うようにとても心強くみえた。そして、「以上、私たち、エンジョイプレイ、みんなの遊び場GANG PARADEでした!」と挨拶をし、〈TO BE BORN〉は大きな拍手と歓声に包まれて終演を迎えた。
本公演はテラシマユウカの脱退ライブという意味合い以上に、〈TO BE BORN〉というタイトルのように、ひとつの体制が終わり、また新しい体制が生まれるための重要なライブになったことだろう。これまでどんな苦難があろうとも、形を変えようとも、諦めることなく突き進んできたGANG PARADE。このグループに報われてほしい。そんな想いを、これまで以上に感じるとともに、前を向いて走り続ける彼女たちの逞しさを感じるワンマンライブだった。これからも、GANG PARADEは前を向いて走り続けていく。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
GANG PARADE “TO BE BORN”
2024年11月30日(土)@ LINE CUBE SHIBUYA
セットリスト
1. Happy Lucky Kirakira Lucky
2. パショギラ
3. donʼt forget me not
4. lol
5. シグナル
6. QUEEN OF POP
7. Gangsta Vibes
8. 躍動
9. 涙は⾵に、思いは歌に
10. Dreamer
11. エキゾチックアニマル
12. GANG PARADE
13. Peace☆超パニック
14. pretty pretty good
15. Anything Goes!!!!
16. BEAKING THE ROAD
17. ROCKを⽌めるな!!
18. Priority
19. Plastic 2 Mercy
20. グッドラック・マイフューチャー
GANG PARADE Official HP https://gangparade.jp/