双子のロックアイドルユニットBABYTANTSが2025年2月18日(火)、1周年記念ワンマンライブ〈I wanna be a ROCK STAR〉を東京・新宿MARZにて開催した。
2024年2月にデビューした、姉の楽と妹の救によるロックアイドルユニット、BABYTANTS。メンバー自ら作詞・作曲・編曲・振付を手掛け、結成5年後の2029年に日本武道館での公演を目指して活動を行なっている。ファンの総称は、ムーニーマン。
デビュー1周年を前日に迎えた2月18日、Shun Suzuki(Gt)、本間 智行(Ba)、タカハシユウダイ(Dr)を迎え、初となるワンマンをフルバンドで実施。持ち曲をすべて披露した。チケットはSOLD OUT。会場には熱量の高いムーニーマンたちが集った。
新世代アイドルの可能性を感じさせるワンマン
筆者は、TikTokなどSNSでBiSHをはじめとしたWACKグループのカバーを路上でしている動画を眼にすることはあったが、BABYTANTSのライブを観るのはこれが初めて。
この日披露された14曲は、すべてBABYTANTSのオリジナル曲。BiSHサウンドからの影響を感じ疾走感あふれるロックチューン「曇to快天」をはじめ、歌詞からもWACKグループの影響を感じる「BABYBABY」など、ロックアイドルからの流れを感じるアッパーな楽曲が中心を占める。サビで手を上げて一緒に真似できる振り付けや、赤と水色を大胆にマッシュアップした衣装なども、WACKからの影響を感じる。
しかし、彼女たちは決してただのモノマネではない。それは、ライブを観るにつれて如実に伝わってきた。第一に、2人の力強い歌声が直接的に心に響く。ハモりが抜群によい。バンドセットであることがまったく違和感がないくらい彼女たちの歌声と生バンドの音が合っている。2人というミニマムな構成ながら、立ち位置を入れ替えたり、ムーニーマンを熱く盛り上げる振り付けやステージングもいい。
1時間半に渡るライブのセットリストの構成もよかった。楽曲単位で聴くと魅力的だが、他の楽曲と続けて聴いているうちに単調になってしまうことはありがちだ。しかし、彼女たちは、ミドルテンポで昭和歌謡調のメロディを感じるロック曲「イノセント」などで緩急をつけ、筆者のような初めてライブを観る人でも引き込まれる流れを作っていた。14曲すべてが、それぞれの魅力を引き出されていた。
ライブを観て思ったのは、彼女たちはこれまで音楽を心の底から楽しんできたのだということ。それが今のステージングに繋がっている。2人自身が体感した格好いい、おもしろい、熱くなれるものを、自ら作詞・作曲・編曲・振付して作っているからこそ、そこには血の通ったパフォーマンスが生まれている。それに呼応するムーニーマンたちの熱量は、まるでパンクロックの観客のようだった。
救がMCで、「現状維持だと焦ってしまうから、常にいろいろ挑戦してきた」ということを話していた。それが焦りにつながり失敗してしまうこともあった、と。このライブにはそうした試行錯誤の末に辿り着いた、デビュー1年にしての結晶が詰め込まれていたように思う。
2010年代以降、アイドルカルチャーは細分化・多様化してきた。そこで生まれた新しいアイドルシーンに影響を受け、自らの手でやりたいことを表現していく。新しい世代のアイドルの可能性を感じさせるワンマンライブだった。
取材&文:西澤裕郎
〈I wanna be a ROCK STAR〉
2025年2月18日(火)@新宿MARZ
セットリスト
1. BABYBABY
2. Age of me
3. longing
4. 怪獣の足音
5. 喝采モラトリアム
6. イノセント
7. A person
8. 弱虫のうた
9. Blessing
10. ハッピーポリスメン
11. 曇to快天
12. メーデー
13. ワナビー
14. ハローライト
■ライブ情報
1.5周年記念ワンマンライブ
「EVEN if 否好子,来等歩」
2025年8月4日@渋谷WWW