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【LIVE REPORT】Sundae May Clubと浦小雪が東京キネマ倶楽部で激突、音が重なる瞬間のカタルシスに包まれた夜

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長崎発の3人組ウルトラスーパーポップバンドSundae May Clubと、同バンドのヴォーカル/ギターでもある浦小雪とによる2マンイベント〈浦小雪 vs Sundae May Club〉が2025年3月2日(日)、東京・東京キネマ倶楽部にて開催された。

グランドキャバレーの名残が残るレトロな雰囲気漂う同会場。物販では、糖衣華とのコラボグッズや、西荻窪の喫茶店・喫茶閃光のかわいい焼き菓子なども販売されるなど、ハンドメイドな温かい空気が包んだ。

先行、浦小雪バンド

浦小雪

先行でステージに登場したのは、浦小雪。スポットライトが当てられ、ステージ下手にある小ステージにゆっくり登場すると、「みなさんと一緒に素敵なキラキラな思い出を作りたいと思っています。最後までよろしくおねがいします!」と挨拶をし、弾き語りで「ステラ」と「Lovely Lovely」を披露。力強く伸びのある歌声に、観客たちは真剣に耳を傾けた。

「浦小雪バンド、皆おいで〜」と浦が呼びかけると、アダム(Gt.)、ねぎしのはん(Ba.)、華乃(Dr.)が登場。4人は小ステージから階段を降りて楽器をセットし、ビートルズの「hello,goodbye」をバンドでカヴァーした。キーボードを弾きながら、同楽曲を歌う浦。まさに東京キネマ倶楽部の雰囲気とマッチしている。大きな拍手が起こった後、浦の弾き語りから「潮風」へ。バンドサウンドが重なったときの迫力と多幸感に観客たちは身体を揺らす。

アダム(Gt.)

ねぎしのはん(Ba.)

華乃(Dr.)

「ステージでピアノを弾くのが、大学生ぶりで緊張した」という浦。今後も違う曲もカバーしていきたいと話すと、エレキギターを手にし、「スウィートトゥース」 「地下鉄ポスター」を演奏。「次は楽しい曲をやります」と語ると、ファンキーな演奏とともに「ワンダワンダナイト」へ。楽曲の途中で、小ステージから糖衣華によるキャラクターのロニーが登場。ステージに降り、手拍子をしながら、観客たちと一体感を作った。続く「青と青」はミドルテンポのロック曲。アダムのスペーシーなギターサウンドと浦のバッキングが印象的だ。

「やりたいことがたくさんある」という浦は、客席中央を分け、下手側の観客は「浦」、上手側の観客は「小雪」と叫ぶというルールを作り、観客に指示。浦が左右の手をあげるたび、それぞれに呼応して名前を叫び、和やかな雰囲気が包んだ。

一転。激しいドラムのアタック音とともに「フリック入力オールデリート」へ。軽快なガレージロックチューンに観客たちは身体を揺らしつつ手をあげて盛り上がりを見せた。浦のメガネも外れてしまうくらい激しい。そんな演奏の中を切り裂くように突き抜ける浦のヴォーカルは圧巻だ。

続けて「夏の速度」を演奏すると、昔の友達のことを曲にすることが多いということを語り、「友達が増えていくと、いまの友達も大事にしたいと決意が芽生えるし、来てくれたみんなのことも、メンバーも、スタッフのみんなも大事にしたいと思います。これからもよろしくおねがいします」と感謝を述べた。そして、6月12日、浦小雪ワンマンライブを新代田FEVERで開催することを発表すると大きな拍手が起こった。

ひたむきにギターを弾きながら音の渦にときより無邪気な笑顔を見せるアダム、ストイックにアンサンブルの土台を作りあげるねぎしのはん、笑顔で楽しそうに跳ねるビートを叩く華乃、その上で力強く歌い上げる浦。「本を閉じたら」に続き、「ロングロングハイウェイ」では再びメガネを飛ばしながら、バンドメンバーの激しい演奏の上で、伸び伸びとした歌声を響かせてステージを後にした。

後攻、Sundae May Clubが登場

転換を経て、後攻としてステージに登場したのは、Sundae May Club。浦小雪(Vo&Gt.)、みやはら (Gt. )、ヒロト(Dr.)、サポートベースのJINが小ステージから登場し、ステージ上で楽器をセッティングをすると、「Sundae May Clubです! よろしくおねがいします!」という浦の力強い挨拶とともに、「春」で演奏をスタートさせた。エネルギーと疾走感にあふれたシャープなバンドアンサンブルが一瞬で観客たちの心を掴む。ステージを自由に動き回り、独特な動きをしながらギターを弾きまくるみやはらは心底楽しそうだ。ヒロトのタイトな小気味良いドラムも力強い。続く「Teenager」「しとろんの週末」とまったくその熱量は下がることない。バンドへの信頼感が生む音の厚み、グルーヴが観客たちを興奮させていく。

みやはら (Gt. )

ヒロト(Dr.)

JIN(Ba.)

「Sundae May Clubの浦小雪です!」と挨拶すると大きな拍手が起こる。「今日は浦小雪さんも出ていますが、どっちも格好いいぞと思って両方やっています」「キネマ倶楽部は憧れの場所で、ここに立てて本当に嬉しいです」と挨拶をし感慨を述べると、リズム隊が軽快なグルーヴを刻み、1、2というカウントととも4つの楽器が一体となり「サイダー」へ。グルーヴィーで初期衝動も感じる楽曲に、観客たちの身体はさらに揺れる。「魔法とシャッフルビート」「シャングリラ」に続けると、ロマンチックなフレーズが耳を掴む「月夜に奥二重」を演奏した。

「今日ここに着いて、改めて会場隅々まで見渡したんですよ。あらゆるところが素敵まみれで、改めてこんな素敵な場所で演奏できてめちゃくちゃ幸せです」「やりたいことがまだまだいっぱいあるので、これからもみんなと一緒にやっていきたいです。これからもよろしくおねがいします!」と挨拶すると、浦のギター弾き語りから始まる「少年漫画」へ。他の楽器との音が重なる瞬間のカタルシスは、初めて楽器を持ってバンドで音を重ねたときの感動に近いものを感じる。それくらい彼女たちの演奏はフレッシュで琴線に触れてくる。

「晴れるな」では観客たちの手が多く挙がる。みやはら、ヒロト、JINが中央に向かい合い、音で会話しているような場面も熱いポイントだ。すると、あまりに気合いの入った演奏で浦のギターの弦が2本切れる。1曲の中で2本切れるというのは初めてだという。浦は久しぶりに使うというギターに持ち替え、ギターのリフが印象的な「やまない」へ。浦はメガネを飛ばしながらも歌い上げた。

そして、3月26日に8曲入りの2ndミニアルバムをリリースすることを発表。大きな拍手が起こった。さらに、ツアーの対バン相手が決まったことを伝え、それぞれの土地での対バンを発表すると歓声が沸き起こった。

続けて「水色」「チャーミー」とミドルテンポな楽曲を、強靭なグルーヴの中でじっくりと歌い上げる。「チャーミー」の落ちサビ前のブレイクでは、観客たちも手を叩きながら更なる一体感に包まれた。「私めちゃくちゃ楽しかったし、みんなにとっても素敵な思い出になっていたらいいなと思います。またこういう日をつくるので、また会いましょう」と浦が挨拶をすると、「夜を延ばして」へ。観客たちとのカウントとともに楽曲をはじめると、みやはらのギターソロがエモーショナルに響く。耳に残るメロディと、抒情的な歌詞、それを増幅させるバンドサウンドは圧巻だった。

浦が「最後と見せかけて……」と叫ぶと、明るくタイトルコールをし、「Sundae May Clubのテーマ」へ。みやはら、ヒロト、JINの3人が笑顔で演奏しているのが微笑ましい。サビで浦が「歌って!」と伝えると、観客たちは手を上げながらシンガロング。浦が「ありがとうございました!また会おうね!ありがとう!」とピックを投げてライブは幕を閉じた。

客電がつき、BGMが流れても止まらないアンコールの拍手。浦が再登場すると、「アンコールはないんだけど、みんなを呼びましょう」と、Sundae May Clubと、浦小雪バンドのメンバーたち、ロニーがステージに再集結。ねぎしのはんが昨日誕生日だったということでハッピーバースデーをみんなで歌ってお祝いをし、「みなさんのおかげで。こんな素敵な1日になって感謝、感謝、感激。ありがとうございました」と伝え、最後は一本締めで大団円を迎えた。

取材&文:西澤裕郎
写真:樋口隆宏


〈浦小雪 vs Sundae May Club〉
2025年3月2日(日)@東京・東京キネマ倶楽部
セットリスト
■浦小雪
1. ステラ
2. Lovely Lovely
3. hello,goodbye
4. 潮風
5. スウィートトゥース
6. 地下鉄ポスター
7. ワンダワンダナイト
8. 青と青
9. フリック入力オールデリート
10. 夏の速度
11. 本を閉じたら
12. ロングロングハイウェイ

■Sundae May Club
1. 春
2. Teenager
3. しとろんの週末
4. サイダー
5. 魔法とシャッフルビート
6. シャングリラ
7. 月夜に奥二重
8. 少年漫画
9. 晴れるな
10. やまない
11. 水色
12. チャーミー
13. 夜を延ばして
14. Sundae May Clubのテーマ

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