取材&文:西澤裕郎
4人組アイドルグループ・BLUEGOATSが2025年5月2日(金)、5thワンマンライブ〈青春謳歌〉を東京・新宿LOFTにて開催した。
BLUEGOATSは、ほんま・かいな、ダイナマイト・マリン、チャンチー、ソンソナの4名からなるアイドルグループ。「あなたと私でBLUEGOATS」というコンセプトを掲げ、THE BACK HORNの菅波栄純や、TOPICS.LAB主宰の田仲圭太といったクリエイターによる楽曲を主軸にした熱量の高いライブを行っている。
StoryWriterでは、2025年3月2日(日)のギャンブル観戦イベント~渋谷CYCLONEでの単独ライブ<DEAD OR A LIVE>の密着レポートを掲載した。密着を行なったライター・平賀哲雄氏が同ライブを観て以降、彼女たちに酔心。そこまで彼を惹きつけるものとは何か気になり、筆者もライブに足を運ぶことにした。
正直言えば、大きな期待はしていなかった。しかし、約2時間のライブを観終わる頃には大きく心を動かされていた。
自分がBLUEGOATSに惹かれた最も大きな理由。それは、4人のメンバーともが「必死に生きている」ことを体現していることだ。
彼女たちの音楽ジャンルは、青春パンクの要素が強く反映されている。2010年代以降、アイドルと様々な音楽ジャンルとの融合は活発に行われてきたが、青春パンクを正面から掲げたアイドルは多くない。それは、2000年代前半に一世を風靡した青春パンクというジャンルが、熱狂的な盛り上がりを見せつつも、どこか「青臭さ」や「稚拙さ」を蔑称的に語られる場面もあり、「本物のパンクではない」という視線にさらされてきた歴史があるからだ。
だからこそ、BLUEGOATSが2025年の今、青春パンクというジャンルに真正面から向き合い、それを“生き様”として表現している姿は、極めて真摯であり、同時に新鮮でもあった。
パフォーマンスの構成も特徴的だった。振り付けがある楽曲はごく一部で、ほとんどの楽曲では4人が横並びで、拳を握りしめながらまっすぐ前を向いて歌う。サビでは全員でユニゾンする場面が多く、歌声がぶつかり合うその瞬間に、彼女たちの本気と覚悟が感じられるようでもあった。なかでも「クズアイドル」と題された楽曲では、ほんま・かいなが声が潰れてしまうほどの勢いで歌いはじめ、その瞬間瞬間に全てを込めている様が見て取れた。
観客の様子も、一般的なアイドルライブとは明らかに異なっていた。一眼レフを構えるファンの姿はほとんどない。サイリウムもミックスもない。代わりに、ロックバンドのライブさながらに、観客たちは拳を突き上げ、叫び、全身で応える。
では、彼女たちはアイドルではないのか? 否、BLUEGOATSはアイドルだ。4人ともが「必死で生きている」姿勢をライブで体現しながらも、笑顔を見せる。その表情に惹きつけられる。その表情はまさに“青春の輝き”そのものと言える。パフォーマンスの中で、彼女たちは「ひとりひとりに届けたい」と語る。その言葉どおり、彼女たちはどこかの誰かにではなく、目の前の観客たち1人1人に、そして自分たち自身に向けて歌う。
ライブは全25曲、2時間に及ぶステージのなかで、途中1人ずつのMCも行われた。特徴的だったのは、話していないメンバーは後ろを向き、話すメンバーが観客と真正面から向き合う姿勢を大切にしていたことだ。互いへのリスペクトと、観客に言葉をまっすぐ届けようとする誠実さが伝わってきた。
青春は青臭い。だからこそ、いい。同時に、それを表に出すことにはどこか恥ずかしさもある。年齢を重ねるごとに、それを「過去のもの」として扱い、心の奥に押し込めてしまう。その根っこには、「笑われるのが怖い」という気持ちがあるのだと思う。そんな思いを抱える人にこそ、BLUEGOATSの楽曲「誰もあなたを笑わない」という一節は響く。彼女たちのライブは、観客に対しても、自分自身に対しても、「それでも生きていい」と、そっと背中を押してくれる。
がむしゃらでも、必死でも、それでも、自分なりの“青春”を生きていくのだ。そんな思いをBLUEGOATSのライブは教えてくれたように思う。
最後に、4人のMCからの抜粋を掲載する。
ソンソナ
「こうやって私達BLUEGOATSと君たちが出会ったことは偶然なんかじゃありません。君たちにどんな明日が待ってるかわからないです。もしかしたら、めちゃめちゃ怒られて、めちゃめちゃ小さいことでも大きいことでも反省して後悔して、すごい苦しい日もあるかもしれない。後悔したり怒られるのってめっちゃ嫌じゃないですか? 自分が間違えたことをしてしまったという事実も苦しい。そんなときに、今日この新宿LOFTにみんなで集まったこの景色がぱっと浮かんで、ちょっと背中を押してくれるような1日にしてみせる!します!っていう思いで今日ここに立っています。だから、絶対にこの先君達が1人になることはありません。絶対にどんなときも、いつだってあなたは胸を張って立っていてください。胸を張って生きていてください」
ダイナマイト・マリン
「DMとかでも、「最近生きるのがつらいです。もうどうしたらいいかわかりません」っていう話が結構届いたりするけど、みんな忘れないで欲しい。「自分なんて……」って絶対に思ったら駄目だよ。私ね、このステージにいるときは、こんなにみんなの目を見て喋れているけど、ステージを降りたらただの普通の人間で。クラスでもずっと隅の方で人の顔色をうかがって生きてきたし、言いたいことなんて言えないし、今日言ったことも明日になったら「ちょっと言い過ぎちゃったかな……」と思ったり。そんな人間です。そんな私でも、ここに立ってるときだけは、世界でたった1人の代わりはいないと思ってます。誰よりも強いと思ってます。こんなにちっちゃくても。だから、あなたも絶対自分のこと、自分なんてって思わないで欲しい。他人事じゃないからね。ここにいる人たち、別に私人の人生別にどうなってもいいけど、ここにいるあなたにだけはそうやって思わないで欲しいって思います。私にとって、私が素直になれる唯一の場所は、このステージの上だけです。1個でいい。1個だけでいいからあなたが素直になれる場所、友達の前でもいい、家族の前でもいい、1人で音楽を聞いて浸ってるときでもいい。絶対にあると思うから。みんなが素直になれる場所、1個だけ見つけてそれを大事にして生きていってください。私がこのステージが素直になれる場所と同じように、あなたもここがあなたが素直になれる一つの場所だったら嬉しいなって。私と同じだったら嬉しいなって思います。覚えておいてくれたら嬉しいです」
チャンチー
「私は、今日を迎えるのが昨日から死ぬほど不安で。今はこうやってステージに立てるぐらい元気なんですけど、朝起き上がれないとか、電車が苦手でなんかうまくいかないしって日もたくさんあって。この中にもそういう人たちがいると思うんです。前に24時間ライブっていうのをやったんですけど、そのときに、「アイドルを長くやっているけど、私はアイドルを続けてる意味がまだ見つからないからアイドルをまだやってるんだと思う」って言ったんです。だけど最近は、すごく自信を持って、胸を張って、BLUEGOATSでいたいし、BLUEGOATSだからアイドルを続けています。みんなの顔を見たらすごく私も元気になれるし、みんなと一緒にBLUEGOATSだから、夢を追いかけられると思って、私はきっとまだアイドルをやってるんだと思います。アイドルをやってて、今が一番幸せです。私みたいに気持ちがどうにもならないこととか、きっとそういう人じゃなくても、つらいときはたくさんあると思うから、そういうときに、私は救うとかそんなことはできないけど、一緒に隣で頑張れる人間でありたいです。あなたの隣でいつも頑張ってるから、一緒にちょっと頑張ってみようって思ってくれたら嬉しいです。そのために私はBLUEGOATSとしてアイドルとしてこれからも生きていきたいと思います。なので、これからもよろしくお願いします」
ほんま・かいな
「生きている中で、人生1回ってことを私はよく忘れちゃっていて。寝る前とかにふと、「さっきの時間ってもう2度と戻ってこないんだ」とか思ったりします。普通に生きていると忘れちゃいがちなんですけど、こうやってライブに来て歌ってるときに、私は歌で思い出すことがあるんですよ。人生1回だとか、この時間は1回だとか、今が私の人生で一番輝いてる時間になるんだろうなとか。全部自分で書いてる曲もあるのに、昔の自分から言われてるような気がしてすごいはっとする時間が多いです。君達も君たちにとっても、そういう歌になれていたらいいなと思います。人生1回きりって毎日毎日思い出す必要なんかないと思う。そのまま駆け抜けてもいいと思う、もちろん。それでも私は今日ここに人生の1日半日たった数時間でもここを選んでくれたからには、あなたに何か感じて帰ってほしいと思うし、BLUEGOATSをもっともっと好きになってほしいなと思うし、これからの人生で光みたいな時間をあげられたらなとずっとずっと思っています。私達は普段、YouTubeとかで悪行みたいなことを重ねちゃっているんですけど、ここ(ライブ)だけは本当に真面目にやりたいと思ってます。1人1人に向けて歌っています。友達に初めて連れてこられた人とか、たくさんいると思う。本当に誘ってくれてありがとう。そういう人たちに向けても、もちろん歌っています。自分に向かって歌ってないんじゃないかな?と思うときでも、そんなことはありません。絶対にあなたの目を見て歌っています」
セットリスト
1. 青春時代
2. GOOD LUCK!!
3. 僕らで鳴らせ‼︎
4. 迎春
5. クズアイドル
6. Dynamite!!
7. 僕らはここだ
8. ステイブルー
9. 涙の海を越えて
10. 夢で逢えたら
11. おまじない
12. アイラヴユー
13. MELLOW
14. ブルーミングドリーマー
15. 素直になれない
16. FOREVER YOUNG
17. 嘘ひとつ言えたなら
18. 東京タワー
19. 君の唄で生きていたい
20. IWGP
21. ガムシャラ
22. 誰もあなたを笑わない
23. YOLO
24. 解散
25. TOMORROW
26. 君の唄で生きていたい
■イベント情報
『永遠の花』ツアー
6月22日(日)東京・新宿Marble ①開場/開演 12:30/13:00 ②開場/開演 18:30/19:00
7月12日(土)愛知・RAD HALL 開場/開演 16:00/16:30
7月26日(土)大阪・福島2nd LINE 開場/開演 16:00/16:30
8月18日(月)東京・ 渋谷WWW 開場/開演 18:00/19:00
各公演VIP15,000円/前売3,000円/当日3,500円/新規招待無料
VIP抽選販売期間5/3(土)21:00-5/6(火)21:00
一般5/7(水)21:00-各公演前日23:59
BLUEGOATS公式X https://x.com/info_bluegoats
公演チケット販売URL https://ticketdive.com/artist/uTucnkauQ2qlA0Hqpb1S